更新日令和4(2022)年3月22日

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vol.10 「遊び」と「学び」に境界線はない

「いいね、べべちゃん!」

1歳を機にベビー(孫)を『べべちゃん』と呼ぶことにしたばあば。

そのばあばの声にべべちゃんは、一瞬手を止めたが、再び元気にウェットティッシュでテーブルを拭きはじめた。
大人がテーブルを拭いていると、ウェットティッシュを欲しがり、楽しそうにテーブルを拭くようになった。

 

…いや、全く拭けていないけどね。

 

大人のマネをするのは、子どもの大切な成長の1つだ。

人類は長い間、幼い頃からそうやって大人の真似をしたり、遊んだりしながら、生きるためのアレコレを学ぶ歴史を重ねてきたらしい。

子どもにとって、遊びイコール学びであることが自然な姿なのだ…と、ばあばは想像する。

遊ぶことは生きること。

子どもは、遊びを通じていろいろな体の動きを試すようになる。
遊びを通じて他者との関わりや、日常の危険と安全を知る。
考えて試してみることや、何かを知ることは楽しいのだと知る。

遊びは育ちに不可欠だ。
特に幼い子どもにとって、遊ぶことは生きることそのものだ。

 

べべちゃんは、拭き掃除らしき作業に満足すると、ウェットティッシュを横にポイと投げ捨てた。

「もしもし~。ゴミ箱に捨てようね~。」

そんなとき、べべちゃんはニンマリと笑うのだ。

 

1歳になったべべちゃんの好奇心は、日々、磨きがかかるばかり。
生涯、好奇心を失いたくないと思っているばあばには、まぶしいぐらい。

壁紙の手触りを確認したり、家具のデコボコを指で確かめたり、じいじの真似をしたり、手をつかずに転んでみたり(!)…。
日々、遊びながらたくさんの経験を重ねている。

ママ、ついに復職!

ところで、ママはついに復職することになった。
それは、ベべちゃんが保育園に入園することを意味する。

自分の子育て期には、1歳にもなれば保育園に預けて復職するのを当然と思っていたばあば。
なのに、なぜだろう。孫の入園については、

<保育園は、もう少し先でもいいんじゃないかな~>

と思ってしまったのだ。

 

これがウワサに聞く「孫かわいさに態度変わっちゃう説」というやつ?

 

でも、世のばあば・じいじは、万が一そう思ったとしても、
そして悪気がなくても、その気持ちは口にしない方がいい。

ママ・パパたちがいろいろ考えて、或いはその選択肢しかなかった結果の決断なのだから、ばあばたちは気軽にケチをつけてはいけないのだ。

ワタクシばあばも、もちろん、お口チャック。
できるだけ「口を出さずに手を貸す」という心持ちでいることが理想…。

気をつけていても、祖父母の(出しゃばりならぬ)気配りを時に煩わしく感じるというハナシもある。ばあばが思うサポートの理想が、子ども夫婦にとっても理想とは限らないことも覚えておきたい。

保育園お迎えデビュー

そんな中、いざ入園となって、ママ・パパとも保育園のお迎えに間に合わない日が毎月のように発生することが判明した。

送迎にファミサポやシッターなどを活用する選択肢もあるが、同じ市内に住んでいることやべべちゃんの個性を考えた結果、ばあば・じいじが主要サポーターに選出された。

ママ・パパが早退やシフト交代などを調整しきれないときに、ワーキングばあばが休みをいただいて、お迎え班に参入することに。じいじも時間が許す限り全面協力することになった。
スタメンから外れないように、一層、健康には注意しなければ…。

保育園に通うようになると、気がかりは送迎だけではない。
ママとパパは、慣らし保育や急な呼び出し、ベビーの体調不良による急な休暇取得をできるだけ二人で対応しようと話し合っているらしい。

そして、保育園デビューから2週間して、ついにばあばも保育園お迎えデビューの時がきた。

本物の祖母です。

お迎え時は、保育園の入口にあるインターフォンを押して門を開錠してもらい、関係者だけが入場することができる。

「◯◯組べべのお迎えです」とばあばが名乗ると、
「今日はおばあちゃんがお迎えですよね。どうぞ。」と返事が返ってきた。

<いや、おばあちゃんっていうか、Meme(めめ)さんです>

と心で思う。

…祖母と名乗り慣れていない者の謎の抵抗である。

中に入ると、先生に「おばあちゃん来たよ~」と言われながら連れてこられたべべちゃんは、
「オバアチャン?」とハテナ顔。

「ほら~、おばあちゃんだよ」と、もう一度先生に言われながら、ばあばと目が合ったが、べべちゃんは無表情・無反応のまま。

 

「あれ~?おばあちゃん…だよね?」
先生は、ばあばにちょっと不信の目を向けた。

 

「本物の祖母です(汗)」

 

そういえば、これまでは家族内でのノーマスク&ノー眼鏡の付き合いだったべべちゃん。
ばあばのマスク&眼鏡姿をほとんど見たことがなかった。
さらに、ばあばが「めめさん」ではなく「おばあちゃん」と呼ばれることを知らなかった。

慌てて、息を止めて一瞬マスクを外して顔を見せた。
すると、べべちゃんは、やっとばあばとわかってほほ笑んだ。

 

<わかってもらえてよかった~>ホッとするばあば。

誤った引き渡しがないように気を配っている先生の鋭い眼差しを知った瞬間だった。

 

<保護者は安心です。ありがとうございます!>

と心でつぶやく。

「遊び」と「学び」の境界線

保育園からばあばの家に連れ帰り、夕飯を食べてママの帰りを待つ。
新しい環境と刺激に満ちた生活のためか、べべちゃんは、疲れで食べながらウトウトと目を閉じかける。

「今日もいっぱい遊んだのかな。まだ、ちょっと緊張したよね。」
子どもの育ちには睡眠も大切。眠ってママを待とう。

 

<べべちゃんもばあばも、日々、好奇心でいっぱいだね>
寝顔を見ながら、また得意のべべちゃんとの共通点探しをするばあば。

 

子育て期を終え、ライフワークの時間を持ちやすくなったばあばの好奇心は、べべちゃんのそれと似てきている。
子育て期を卒業した人生の先輩方は、習い事や学びなおしというやつを楽しんでいるという話もよく聞く。

これがウワサの「年齢を重ねると、<遊び>と<学び>の境界が再びあいまいになっていく説」というやつかしら?

でも、べべちゃんとばあばの伸びしろには雲泥の差が…。

 

<まぁ、そこは致し方ないか。>

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