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更新日令和3(2021)年2月26日

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第四回 かしわ・その時「大正9年10月1日~第一回国勢調査が実施された日~」

歴史発見 第四回 かしわ・その時

第四回 かしわ・その時「大正9年10月1日~第一回国勢調査が実施された日~」

今回の「かしわ・その時」は、今から91年前の大正9年(1920)10月1日、日本で初めて国勢調査が実施された日です。
この日、午前0時を期し、地区内の梵鐘や警鐘が一斉に打ち鳴らされ、第一回国勢調査の幕が切っておとされました。欧米列強の仲間入りを目指す日本の意気込みを示す一大国家行事でした。
このときの調査データや市内の資料を紹介しながら、近代化の中で農村から商都へと劇的に変貌をとげた柏の姿を追います。
(平成23年9月30日掲載)

梵鐘の合図で国勢調査開始

手賀村の国勢調査員の写真
手賀村の国勢調査員の記念写真(大正9年)

千代田村国勢調査員の写真
千代田村の国勢調査員の記念写真(大正9年)

第一回国勢調査の特徴を示す2枚の写真が残されています。調査員たちがそれぞれ当時の手賀村と千代田村役場の前に整列し、紋付はかま姿の正装に胸を張って写されています。国勢調査の調査員には地方の名士たちが任命されました。

辞令の写真
第一回国勢調査員の任命状(提供:中台貞夫)

徽章の写真
徽章(提供:森重平)

内閣から任命状と金色の鵄(とび)に導かれた神武天皇の姿がデザインされた徽章を受け、初めて実施された一大国家事業に参加できることは大変な名誉だったに違いありません。
船戸山高野(ふなとやまごうや)にある山中家の日記には「午前0時をもって調査開始を告げる花火が打ち上げられ、鐘等が鳴り渡った」と10月1日のページに記されています。
国や自治体は国勢調査に当たって予備調査を行うなど、周到な準備を行いました。『国勢調査員必携』などのマニュアルが調査員に配布され、広報誌には幾度も調査の意義や方法が掲載されるなど、住民への宣伝も熱心に繰り返されたのです。

土村誌の写真
土村報(提供:酒井根区)

国勢調査員必携の写真
国勢調査員必携(提供:中台貞夫)

調査が終わると、調査に関わった人々には国や村から感謝状や記念品が贈られました。国から授与されたのは青銅製の記念章で、表には大同年間の国司が戸籍の巻物を手に立っている姿がデザインされ、日本開闢(かいびゃく)以来の大事業であることを強調しています。

国勢調査感謝状の写真
感謝状(提供:中台貞夫)

記念章の写真
国から授与された記念章(提供:森重平)

国勢調査記念の木杯の写真

村からは朱漆の三重木杯が贈られ、表にはやはり神武天皇が描かれ、裏には「風早村・第一回国勢調査記念」と書かれています。

農村から商都へ

日露戦争や第一次世界大戦を経験した日本では、イギリス・アメリカ・フランスなど欧米列強に肩を並べ、世界の大国となっていくための国力増強が叫ばれます。このため徴税と徴兵などの基礎資料として、正確な人口把握の必要性が認識され、実施されたのが国勢調査です。
調査項目は、氏名・出身地・性別・続柄・年齢・生年月日・国籍・職業の八つの項目でした。

国勢調査申告書の写真
国勢調査申告書(提供:吉田宗弘)

照査表
照査表(提供:中台貞夫)

初めて国勢調査が実施された大正9年当時、柏市は、千代田村・田中村・富勢村・土村・風早村・手賀村の6村に分かれ、人口は合計24,908人でした。日本が高度経済成長に入った昭和30~40年代、人口の流入が起り柏市は急速に発展。平成17年の第18回国勢調査時には人口380,963人を数え、およそ15倍にも膨れ上がったのです。
この間、柏市を支えていた産業も大きく様変わりしました。大正9年当時は、柏市域の住民が就いていた仕事は約82%が第一次産業(農林水産業など自然を利用した産業)でした。とりわけ、柏市では米作りなど農業の占める割合が大きかったようです。一方、平成17年の国勢調査結果では、一転して第三次産業(小売業やサービス業など)が77%を占めています。現在は商業都市として発展を続ける柏市ですが、当時は農村として機能していたことが伺えます。

人口の変化
世帯数と人口の変化

産業構造の比較
産業の構成割合の比較

(参考資料)

  • 市町村要覧表(国勢調査報告 第8冊 第10巻 府県の部 大正9年)
  • 都道府県・市区町村別統計表(国勢調査 平成17年)

第一回国勢調査が行われた頃の柏市域の様子

国道6号線付近の田園風景の写真
現在の国道6号線付近から柏駅方面を望む(大正10年)

大正十三年運河堤防上の家並みの写真
第一回国勢調査が行われた頃の町並み・利根運河堤防上(大正13年)

織物工場で働く女性
布瀬地区の織物工場で働く女性たち(大正12年頃)

歴史発見「かしわ・その時」シリーズ

歴史発見「かしわ・その時」は、毎回、その時々に起きた柏市にとって歴史的な出来事を通して市民の皆様方に地域の歴史を紹介していくコーナーです。

歴史発見「かしわ・その時」シリーズ 一覧

タイトル 概要

第一回

昭和8年7月20日

~柏競馬場駅ができた日~

柏競馬場は当時、東洋一の威容を誇り、「柏を関東の宝塚に」というまちおこし計画の中核をなす施設で、昭和8年7月20日の競馬場駅の開設はこれを象徴する出来事でした。

第二回

昭和54年8月14日

~米軍通信所が返還された日~

日本側に返還された米軍の柏通信所を通して、十余二地区の成り立ちと「柏の葉」開発の歴史を紹介します。

第三回

昭和22年9月15日

~カスリーン台風・水魔が襲来した日~

猛威を振るったカスリーン台風をテーマに、利根川や手賀沼のほとりに暮らした人々と、水魔との苦闘の歴史を紹介します。

第四回

大正9年10月1日

~第一回国勢調査が実施された日~

第一回国勢調査をテーマに、このときの調査データや市内の資料を紹介しながら、近代化の中で農村から商都へと劇的に変貌をとげた柏の姿を追います。

第五回
昭和29年11月15日

~柏市が誕生した日~

町村合併から市制施行をテーマに、当時の懐かしい写真や資料とともに、中核市へと劇的に変貌をとげた柏の原点を紹介します。
第六回
文明10年12月10日
酒井根原の合戦~太田道灌、襲来~
江戸築城で知られる太田道灌と、下総の千葉孝胤が戦った酒井根原の合戦をテーマとして、数少ない当時の古文書史料を手がかりに、謎に包まれた柏の中世を考えます。
第七回

昭和24年1月25日

軍部が恐れた穏健派~牧野伸顕、十余二に永眠~
今から63年前、激動の大正・昭和期に活躍した政治家牧野伸顕が十余二で死去しました。牧野伸顕邸を中心に、鈴木貫太郎・吉田茂らと繰り広げた知られざる終戦への歴史に迫ります。

さらに詳しく知りたい方は・・・

さらに詳しくお知りになりたい方は、柏市史などをご利用ください。今回のテーマに関する市史の書籍は次のとおりです。

「大正9年10月1日~第一回国勢調査が実施された日~」に関する書籍

書籍名 該当ページ 販売 備考

柏のむかし

137~139

販売終了

図書館等で閲覧可能。
(書籍の概要)旧柏市域の歴史の一コマ、一コマを簡潔に記述し広報かしわに連載した「柏のむかし」の一部を書きなおして纏めたもの。

柏市史(柏市教育委員会より発行する柏市の歴史に関する書籍)は、柏市立図書館、柏市行政資料室(柏市役所1階)などでご覧いただけます。また、販売中の書籍については、行政資料室(柏市役所1階)、文化課(沼南庁舎)でご購入いただけます。郵送での購入も可能です。
販売方法などの詳細のページへ

(2011年9月30日掲載)
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