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柏市ゲートキーパー新聞
ゲートキーパーって聞いたことはありますか?ゲートキーパーとは、つらそうな様子に「気づいて」「声をかけ」「話を聴き」「つないで」「見守る」人のことです。
政府は、国民の約3人に1人以上がゲートキーパーについて聞いたことがあるようにすることを目指していますが、まだまだ知られていません。
そこで、柏市では、ゲートキーパーの普及啓発を目的に1人でも多くの方に関心をお持ちいただけるよう、新聞風デザインのチラシを発行して、情報発信を行っています。不定期発行、柏駅前ラックや柏市内公民館・近隣センターにて配架しています。
ゲートキーパー新聞 最新号
(令和7年8月号)地域に笑顔と話し声を
「場をつくる」学生の挑戦
(写)松村悠生さん
ひとりの学生の発案から市民の対話・傾聴の場が生まれている。
現在、東京都内の大学に通う松村悠生さんは、高校2年生の時に柏市教育福祉会館(通称:ラコルタ柏)の事業推進委員会に参加するようになり、地域の課題解決を行う仕組みづくりを考え始めた。
松村さんは、小学生の頃からボランティア活動に参加し、高齢者を中心に地域の人たちとの交流を深めてきた。
「高齢者の方々とお話すると皆さん元気になってくれるんです。」
その体験を元に、地域付き合いや社会的なつながりが減ることで生じる孤独・孤立の課題解決に向けて、気軽に人と人とが話を出来るイベント『まちのトークルーム』を企画。令和6年度はラコルタ柏3階にあるオープンスぺースにて3回実施した。
開放感のあるスペースに置かれた机と椅子。そこにいるのは、松村さん他数名のトークの相手役である。そこに、話をしたい人がふらっと現れる。中には、悩み事を抱えた人もいるようだ。
「聴く側も話す側も対等です。アドバイスはしません。聴くことに徹します。問題解決ではなくて、気持ちを吐き出して楽になってもらいたいんです。そして、笑顔で帰ってもらいたい。」
いずれは、ラコルタ柏だけでなく、市内のあらゆる所へトークルームの場を広げていきたいと考えているそうだ。
「少しでも地域や人に興味を向けて生活をしていく人が増えれば、まだまだこれから明るい社会が待っていると思うんです。ひとりで悩む状況を解消できれば、自殺予防にもつながると思います。」
原点は「防災」への関心
松村さんの活動の原点は、幼少期における東日本大震災の被災体験に始まる。保育園での昼寝中に、突如地震が発生した。目を覚ましてふと見上げると、今にも天窓が割れて落ちてきそうな光景に、幼い松村さんは恐怖を覚えたそうだ。その時のことを未だに忘れられないという。その後、防災に強い関心を持つようになり、中学1年生で防災士の資格を取得した。
「多くの死者が出た2018年の西日本豪雨の際、日頃から積極的にコミュニケーションを図っていた地域は、逃げ遅れる人が出なかったんです。」
コミュニケーションは、防災にも大きな効果をもたらす。日頃から近隣住民の情報を共有しておくことで非常時に助け合いが生まれたり、必要な訓練や避難マップを共有しておくことでパニックにならず対応することが出来るようになるのだ。まちのトークルームの取り組みが地域に広がることで、いざという時に助け合える関係づくりにもつながると、松村さんは力強く語った。
まちのトークルーム開催
令和7年8月28日(木曜日)午後2時から4時まで、ラコルタ柏3階オープンスペース(柏駅東口から徒歩10分。柏市役所の隣にあるレンガ調の建物。柏市柏5丁目10)にて、「まちのトークルーム ラコルタ柏」を開催予定。時間内、どなたでも出入り自由。
「来てみたら意外と面白かった」との感想が、これまでの参加者から届いている。悩みごと、世間話、話題はなんでもよい。
百聞は一見に如かず、ぜひお立ち寄りください。
尚、11月にも開催を検討中。
教育福祉会館(通称:ラコルタ柏)
- 問い合わせ
柏市社会福祉協議会 ☎04-7163-9001
ゲートキーパーの役割
「まちのトークルーム」における話を聴くかかわりは、ゲートキーパーの役割にも通じる。話を聴く中で相手の悩みや異変に気づくこともあるだろう。市としても、地域にゲートキーパーを普及すると共に、対話・傾聴の場が広がることを推進していきたいと考えている。
※ゲートキーパーとは、悩みを抱えた人に「気づく」「声をかける」「話を聴く」「相談窓口につなぐ」「見守る」といった役割を果たす存在。資格や職業ではなく、誰もが担うことができる役割であり、自殺予防に効果的とされ、国でも普及が進められている。
松村悠生さんのプロジェクト
『X connect(クロスコネクト)』の紹介ページ
ソーシャルスタートアップスタジオ柏
https://www.sss-kashiwa.org/services-9
バックナンバー ゲートキーパー新聞
(令和7年5月号)悩んでいても言えなくて
令和7年5月号「悩んでいても言えなくて」
令和6年における全国の小中高生の自殺者数が529人と過去最多となった。他の世代では減少傾向が見られる一方で、子どもは増加傾向にあり、一層の対策が求められている。
担任教師が気づいた異変
柏市が開催するゲートキーパー養成研修にも講師として度々登壇している悠々ホルンさんも小中学生時代に、自殺未遂を経験した一人。
当時、家庭問題や過度なストレスによって起こる心身の不調に苦しんだという。憂鬱な気持ちだけでなく、吐き気等の様々な身体症状が出るようになり、学校にいる時間もつらいものとなった。我慢を続ける内に、自室で二度の自殺行為に及んだという。
「誰にも相談することはなかった。いつも頭の中は、疲れた…楽になりたい…と考えるばかり。相談しようとは考えられなかった。」
※画像はイメージです
高校生になると、身体症状はより悪化し、再び自殺を考えるようになった。その異変に気づいたのが、当時の担任教師である。教師は、ホルンさんに度々声をかけるようになり、別室で話をすることもあったという。
「人が怖くて最初は先生を警戒したけれど、雑談を重ねる内に安心感が生まれ、心身のつらさを伝えることが出来た。家庭のことは言えなかったが、寄り添ってもらえたことで、行為に及ぶことなく生きつなぐことが出来た。」
その後、悩みから解放されるまでには多くの時間を要したというが、担任教師の対応がホルンさんの命のストッパーとなったようだ。
ホルンさんの元には10年以上に渡りつらい状況で悩んでいる子どもたちから手紙がたくさん届いている。
「たすけてと声をあげられずにいる子どもはたくさんいる。身近で異変に気づいて寄り添える人が増えれば、救われる子は増えると思う。」
ゲートキーパーを増やそう
この教師のように、生きることがつらくなるほど悩んでいる人に寄り添う人を「ゲートキーパー」と呼ぶ。資格や職業ではない。異変に気づいたら声をかけ、話を聴く、必要に応じて相談窓口につな
ぎ、つないだ後も見守る。その意識と行動によって誰もがゲートキーパーになることが出来るのだ。
柏市は、地域に身近なゲートキーパーが増えるようにと目指している。
柏市では研修を年5回開催
柏市では年に5回程度、市民や支援者向けに、ゲートキーパー養成研修を開催している。「身近な人への寄り添い方が分かかった」等、参加者からは数多くの反響が届いている。
令和7年度の研修情報は、柏市のホームページにて随時公開予定しています。
相談窓口に「つながる」冊子完成
柏市内の相談窓口情報をまとめた令和7年度版「柏市相談窓口ガイドブック」が4月より市役所や市内公共施設にて設置されている。
柏市のホームページでも閲覧可能だす。
令和7年度5月号 「悩んでいても言えなくて」(PDF:877KB)
(令和7年2月号)自ら命を絶たずに済む社会へ
令和7年2月号「自ら命を絶たずに済む社会へ」
麗澤大学の学生と市が意見交換
ゲートキーパーについて初めて知った学生から情報発信の必要性などの意見が上がった。
ゲートキーパー養成研修
柏市では、研修を年5回開催している。
ゲートキーパー養成研修
地域に増やそう「フキューズ」
柏市では、ゲートキーパー普及啓発サポーター「フキューズ」が発足した。
令和7年2月号 「自ら命を絶たずに済む社会へ」(PDF:994KB)
(令和6年11月号)あなたもゲートキーパーに
令和6年11月号「あなたもゲートキーパーに」
気づき・声かけが命を救う
柏市では、悩みを抱えた方が自殺にまで追い込まれないために身近で異変に気づける人を地域に増やそうと取り組んでいる。
地域に増やそう「フキューズ」
ゲートキーパー普及啓発サポーター「フキューズ」が発足した。
声《私の身近なゲートキーパー》
市民の皆様から頂いたゲートキーパーに関する声を紹介。
令和6年11月号「あなたもゲートキーパーに」(PDF:954KB)
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