ゲートキーパー


ゲートキーパーとは…命によりそう人

つらい状況の人の異変に「気づき」「声かけ」「話を聴く」「つなぐ」「見守る」の5つの役割を持つ方のことです。
資格や職業ではありません。
ゲートキーパーは、日本のみならず海外でも自殺予防対策につながるとして使用されている用語・概念です。
※ゲート(Gate)=扉、出入り口 キーパー(Keeper)=守る人、付添人
ゲートキーパーの役割

ひとりじゃない
- 気づき
- 声かけ
- 話を聴く
- つなぐ
- 見守る
この5つがゲートキーパーの役割です。
1 気づき

どんなにつらくても
自分から助けを
求められない方もいます

もしかしたら
あなたの身近にも
いらっしゃるかもしれません

(なんだか様子がおかしいな・・・)
(いつもと比べて元気がない・・・)
(つらそうに見える・・・)
そう気づいた時に
2 声かけ

こちらから声をかけることで
悩みを打ち明けられる方もいます
3 話を聴く

いきなりアドバイスではなく、
じっくり聴いて受け止めること
4 つなぐ
5 見守る

話を聴いた後も
関係は終わりじゃない
温かく見守る
気づきのヒント
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人は、大きな悩み・ストレスを抱えることで、何らかの異変が表れることがあります。
その一例が次の通りです。
外見
- いつもより表情が暗い
- 身なりがだらしなくなった
- 急激に体型が変化した
- 不自然なケガがある
- 持ち物に汚損や破損が見られる
体調
- 頭痛・腹痛・発熱が出る
- 食欲がない
- あまり眠れていない
- 下痢や便秘が治まらない
- ずっとだるそうにしている
(※複数の症状が長期的に続く傾向があります)
行動
- まわりの人を避けている様子だった
- 涙を流していた
- 朝起きれなくなり遅刻が増えた
- 上の空で集中力がなくミスが多い
- 金遣いが荒くなった
- 過剰なダイエットを始めた
身近な方にこのような異変が見られたら、その方は何らかの悩みを抱えている可能性が考えられます。
異変がハッキリとは分からない場合もあります。
「何だかいつもと比べておかしいな」と違和感があったら相手の様子を気にかけて見てみたり、声をかけてみましょう。
異変・気づきのヒント例がまとめられた資料、サイン ~子どもの異変・気付きのヒント(PDF:519KB)もあわせてご覧ください。


もっと知りたいという方はゲートキーパー養成研修にぜひご参加ください。
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話を聴く時のコツ
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対面での場面を想定したQ&A方式でご紹介します。
もっと知りたいという方はゲートキーパー養成研修にぜひご参加ください。
聴く時の態度について
✿ポイント~相手に安心感を与える~
Q:目線のやり場に困ってしまいます
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A:「相手の目を見て話を聴くことが、真剣に聴いている姿勢を示すことになる」とお考えの方もいますが、見られることに不安や恐怖を感じる方もいます。だからといって、ソッポを向いていると関心を持ってもらえていないようにも受け取られてしまうため、相手の方を向きつつも目線がたまにチラッと合う程度がよいでしょう。相手も目のやり場に困っている可能性があるので、机や壁にお花や絵を飾っておくなど、自然に目線をそらすことが出来る環境作りも大切です。
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Q:座る位置は関係あるのでしょうか
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A:はいあります。ただし、決まった正解はありません。真正面だと「威圧感がある」と感じる方もいたり、真横に座って目線が合わないようにすることで「安心する」という方もいたりと人それぞれです。相手に緊張やぎこちなさが見られたら座る位置を変えてみるのも一つの手です。斜めの位置が話しやすいと感じる方は比較的多いので、まずはそちらを試してみてはいかがでしょうか。
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Q:自分では親身になって聴いているつもりなのに「態度がよくない」と言われてしまいました
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A:人が相手与える印象は、55%が視覚情報、38%が聴覚情報、7%が言語情報から来ていると言われています。言葉の受け答えは上手でも表情が険しかったり、手や足を組んでいたり、声が大き過ぎたりしたことが、本人の無意識なところで思わぬ印象を相手に与えていることもあるのです。ゲートキーパー養成研修の実践編で行っている傾聴ロールプレイなどを受けてみると発見があるかもしれません。
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言葉のやりとりについて
✿ポイント~相手から教えてもらう意識~
Q:沈黙になると「何か言わなきゃ」とあせってしまいます
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A:沈黙は、相手が言葉を紡ごうとして考えている時間だったり、言葉にならない思いを噛み締める時間だったりとそれもまた意味のある時間です。相手から言葉が出てくるのを待つことも大切です。こちらが慌ててしまうと相手も急かされているように感じて落ち着いて話せないので、うなずくなどしながらじっくり聴きましょう。ただし、相手がこちらの返答を待っている場合もあるので、話が煮詰まって沈黙が続くような場合には、相手の話をもう少し掘り下げる質問をしてみるとよいでしょう。
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Q:相手にアドバイスが出来るか不安です
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A:アドバイスが有効なことも勿論ありますが、相手がアドバイスを求めておらず「ただただ聴いてほしい」という思いで話をしてくださることもよくあります。「どうしたらいいと思いますか?」「教えてください」と相手からあった場合には答えられる範囲でお答えすることが望ましいですが、そうでなければ基本的にはまず「アドバイス」ではなく「聴くこと」に意識を集中してみてください。自分が相手に教えるのではなく、相手から気持ちや状況を教えてもらう意識で相手の話をもう少し掘り下げる質問をしてみるとよいでしょう。アドバイスを求められて答えられなかった場合は、一緒にインターネットで検索をして情報を探してみたり、専門の相談機関につなぐとよいでしょう。
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Q:話を聴くだけでも意味があるのですか
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A:大切な意味があります。 話を聴くことで、気持ちが落ちついたり頭の中が整理されたりと、相手のつらさを 軽減する効果があります。少しでも楽になってもらえるよう話に耳を傾けましょう。 また、相手が「アドバイスは求めていません。ただただ聴いてもらいたいです。」 という場合も少なくありません。聴くことは大切なよりそいの手段なのです。 ただし、相手が深刻な悩みを抱えている場合など、相談窓口につなぐ必要があることもあります。
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見守りの例
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話を聴いた後の見守りの例をご紹介します。
★つないだ後もかかわりを継続しているAさん
ゲートキーパーのAさんはご近所さんを相談窓口へとつなぎました。その後もこれまで通り、ご近所さんを見かけたら声をかけたり、最近あった出来事や体調についてさりげなく聴くようにしています。
補足:相談者が相談窓口につながったことで役目を終えたように思うゲートキーパーさんは多いです。
問題解決に向けて幅広い知識や選択肢を持つ相談員は大事な存在ではあるのですが、相談員を前にすると緊張したり、「悩み事以外は話してはいけない」と思って話したいことを十分に話せなかったと感じる相談者もいます。さらに、窓口の業務時間外の対応が難しいといった点もあります。リラックスして雑談出来る近所のAさんだから出来ることがあるのです。
★しばらく会っていないが、何かあったら力になりたいと思っているBさん
ゲートキーパーのBさんは、3か月前に友人と久しぶりに会って悩みを聴かせてもらいました。その場で問題が解決したわけではありませんが、悩んでいた友人は少し元気になった様子です。それ以来、お互いに仕事が忙しいこともあってお会いしていませんが、友人のことは頭のどこかで気にかけているようです。
補足:頻繁にかかわることが難しい場合も当然あります。相手のためにと無理をして自分が潰れてしまうこともあるため、大切なのは「自分に出来ることを出来る範囲で行うこと」です。相手の悩みを受けきれない場合は、「つなぐ」ことも大切です。気がかりな場合は、さりげなく「最近はどう?」と連絡を入れてみるのもいいですね。
★地域のコミュニティに誘ったCさん
孤立状態だった知人の悩みを聴いて受け止めたCさんは、相談窓口に相談してみることを提案してみましたが、知人はそれに前向きでなかったため、Cさんが参加している地域の花壇整備のボランティアに誘ってみました。一緒にボランティア活動を行う中で他の方との交流も生まれ、そこが共通の居場所となったようです。最近では知人の活き活きとした姿も見られるようになりました。
補足:誰かの役に立てる役割を得ることで前向きに変化する方は多いです。「助けてもらっている」という意識が申し訳ない気持ちや自分が無価値であるかのような気持ちを引き出すこともあるため、そのような社会参加の機会を創り出すこともゲートキーパーとして出来ることの1つとして考えてみてください。
もっと知りたいという方はゲートキーパー養成研修にぜひご参加ください。
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ゲートキーパーを地域に増やしていこう
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柏市では、身近にゲートキーパーとして
よりそう人のいる地域づくりを目指し
ゲートキーパー養成研修を
毎年開催しています
ゲートキーパーを地域に増やしたい理由
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ゲートキーパーを地域に増やしたい理由は主に次の2つです
1. 自殺予防につながる
相談窓口の相談員やカウンセラー、医者など専門家の存在も重要ではありますが、悩んだ時の相談先として専門機関を選ぶ人は少ないのが現状です。誰にも相談しない人もいますし、精神的に追い込まれていることに本人が気づいていないこともあります。「顔を合わせることが多く声をかけやすい」「普段との違い(異変)に気づける」「相談を終えても関係が途切れない」などの強みを持つ身近な人がゲートキーパーとしてのかかわり方を身につけ、出来る範囲でのかかわりが増えれば、救いにつながる人も増えることが期待されます。
2. 防犯につながる
詐欺や性被害など、相手を騙し利用しようとする加害者の中には、ゲートキーパーの役割・かかわり方を熟知して悪用する者もいます。人の優しさやよりそいを求めていることを見抜き(気づき)、声をかけ、話を聴いて、信用させて断れなくさせた上で加害行為へと及ぶのです。
誰もがターゲットにされる可能性はあるものの、悩みや孤独感を抱える方が狙われることが少なくありません。これは、対面でもインターネットでも同様です。だからこそ顔の知れた身近な人が、ゲートキーパーとしてのかかわり方を学び、加害者よりも先につながることが大切なのです。
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