更新日令和6(2024)年3月8日

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旧陸軍高射砲第二連隊 照空予習室(建造物)

概略

照空予習室外観

場所
 柏市根戸字高野台443-3

指定種
 国登録有形文化財(建造物)

概要
 旧陸軍高射砲第二連隊の防空訓練施設として使われた
 建造物が国登録有形文化財に登録されました。

(補足)建物への立ち入りはできません。

照空予習室

 照空予習室は、陸軍高射砲第二連隊の高射砲射撃演習用の施設として建設されました。同様の建物は全国でも数棟しか建てられず、現存するのは公共所有の柏市と民間所有の兵庫県加古川市の2棟のみです。特殊な用途の旧軍施設の貴重な遺構として、令和5年(2024)に国登録有形文化財に登録されました。
 この建物の竣工時期を示す資料は確認されていませんが、高射砲第二連隊が昭和16年(1941)に東京へ移転したことから、昭和13年(1938)頃の連隊開設と同時に建築され、昭和16年までに建物は完成していたと考えられます。

高射砲第二連隊

 大正時代以降、陸軍は国土の防空強化のため、高射砲連隊を各地に設置します。昭和11年(1936)の帝国国防方針の改訂を受けて軍備が拡充され、高射砲連隊は国内及び朝鮮と台湾の合計8箇所に配置されました。
 高射砲第二連隊は、昭和10年(1935)に市川市国府台に開設された後、共に防空をつかさどる航空部隊が近くにないことから、昭和13年に旧富勢村(現柏市)根戸へ移転してきます。新しく計画された軍用地であったため、照空予習室をはじめとする一連の陸軍施設が新築されました。同年には柏飛行場が完成し、市内における帝都東京の防空体制が整えられました。

建物の特徴

照空予習室外観2

照空予習室外観

 この建物は鉄筋コンクリート造の陸屋根の平屋で、東面に屋上へ上がる階段が付きます。外側には、重量のある測遠器(対象物までの距離を測定する機器)を下から屋上へ上げるための起重機の支柱が、2本の角のように伸びています。内部は、建築当初は2階の床や間仕切りはなく吹き抜けとなっていました。

 室内は「照空予習室」で、壁と天井に帆布を張り、白・橙・青色の間接照明を当てて、異なる時間帯の空をつくりだし、投影機で飛行機の画像を空に写し移動させました。そして、これを敵機に見立て、高射砲発射の狙いを定めるための指令を出す訓練を行いました。また、屋外は「測遠器訓練所」となり、屋上に測遠器を持ち上げ、遠方の鉄塔やラジオゾンデ等の目標物の位置を実測する訓練を行っていました。

照空予習室1階内部

照空予習室内部

戦後の改装

根戸分署

柏市西部消防署根戸分署
(昭和後期)

高野台町会2階

高野台町会として利用
された2階 平成26年

 照空予習室は、戦後にしばらく空き家となった後、昭和42年(1967)に消防分署となりました。
この時に、2階床が新設され、1階の正面壁面にシャッター戸を新設するなどの改装が行われています。1階は柏市西部消防署根戸分署として、正面に消防車庫、奥に署員の事務室と控室が設けられ、平成21年(2009)に富勢分署として新設・移転するまで使われました。また、2階は地元の高野台町会と富勢商店会の事務室として、消防分署が移転した後も平成27年(2015年)まで利用されました。
 この建物の周辺は、高射砲第二連隊が移転した後、戦後に開拓され住宅街となります。連隊の敷地割りは町内の街区や通りに引き継がれ、その要所に建つ照空予習室は、地域のランドマークとして長年親しまれ、現在までこの場所の歴史を伝えています。

 
 

 

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