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近年、全国的に梅毒の感染者が増加しています。令和4年の報告数は12,964件で、平成11年の感染症法の改正以降最大値となりました。
千葉県でも令和2年は152件、令和3年は235件、令和4年は337件と増加し続けている状況です。
柏市における令和4年の発生件数は前年の約3倍で、千葉県内で最も多い件数でした。令和5年は8月22日時点で47件となっており、昨年を上回る速度で感染者が報告されています。
また、感染者の性別は男性が半数以上を占めていますが、近年は20代前後の若い女性の報告が急増していることも特徴的です。
令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 |
令和5年 (8月22日時点) |
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件数 | 14 | 21 | 22 | 63 |
47 |
梅毒は、性行為などによって、梅毒トレポネーマという病原体に感染することで起こる性感染症です。性器と性器だけでなく、性器と口(オーラルセックス)、性器と肛門(アナルセックス)等でも感染します。
早期の薬物治療で完治が可能ですが、検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。
時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。
また完治しても、感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要です。
感染したあと、経過した期間によって、症状の出現する場所や内容が異なります。
初期には、感染がおきた部位(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)にしこりができることがあります。また、股の付け根の部分(鼠径部)のリンパ節が腫れることもあります。痛みがないことも多く、治療をしなくても症状は自然に軽快します。
しかし、体内から病原体がいなくなったわけではなく、他の人にうつす可能性もあります。感染した可能性がある場合には、この時期に梅毒の検査が勧められます。
治療をしないで3か月以上を経過すると、病原体が血液によって全身に運ばれ、手のひら、足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹が出ることがあります。小さなバラの花に似ていることから「バラ疹(ばらしん)」とよばれています。
発疹は治療をしなくても数週間以内に消える場合があり、また、再発を繰り返すこともあります。しかし、抗菌薬で治療しない限り、病原菌である梅毒トレポネーマは体内に残っており、梅毒が治ったわけではありません。
アレルギー、風しん、麻しん等に間違えられることもあります。この時期に適切な治療を受けられなかった場合、数年後に複数の臓器の障害につながることがあります。
感染後、数年を経過すると、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生することがあります。また、心臓、血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、場合によっては死亡に至ることもあります。
現在では、比較的早期から治療を開始する例が多く、抗菌薬が有効であることなどから、晩期顕性梅毒に進行することはほとんどありません。
また、妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります(先天梅毒)。
一般的には、外来で処方された抗菌薬を内服することで治療します。内服期間等は病期により異なり、医師が判断します。病変の部位によっては入院のうえ、点滴で抗菌薬の治療を行うこともあります。
医師が治療を終了とするまでは、処方された薬は確実に飲みましょう。性交渉等の感染拡大につながる行為は、医師が安全と判断するまではひかえましょう。
また、周囲で感染の可能性がある方(パートナー等)と一緒に検査を行い、必要に応じて、一緒に治療を行うことが重要です。
コンドームの適切な使用により予防ができます。ただし、コンドームが覆わない部分の皮膚などでも感染がおこる可能性があります。
皮膚や粘膜に異常があった場合は性的な接触を控え、早めに医療機関を受診しましょう。
県内の保健所では、HIVと同時に検査を受けることができます。感染が心配な方は検査を受けましょう。
柏市でもHIV抗体検査とあわせて希望により、性感染症検査(梅毒、クラミジア、B型肝炎、C型肝炎)も受けられます。
詳細はこちらをご覧ください。
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