更新日令和7(2025)年4月16日

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令和6年度第3回柏市在宅医療・介護多職種連携協議会会議録

1開催日時

令和7年3月13日(木曜日)午後7時から午後9時まで

2開催場所

柏地域医療連携センター(Webと参集のハイブリッド形式)

3出席者

(1)委員

松倉座長、古賀委員、石橋委員、中山委員、寺田委員、齊藤委員、大塚委員、ワーファ委員、佐野委員、土谷委員、小林委員、狩野委員、堀田委員、橋本委員、志村委員、中村委員、横尾委員、柴田委員、宇佐見委員、笠原委員、日笠委員、中川委員、青柳委員、飯島委員、辻委員、高林委員

(欠席)織田委員、金江委員、土橋委員、荒木委員

(2)行政

高橋健康医療部長、大西健康政策課長、竹本副参事(高齢者支援課長代理)、小出地域包括支援課長、鞍橋救急課長

(3)事務局(地域医療推進課)
岡村次長兼課長、熊井専門監、飯塚専門監、坂本主任、井上主任、野﨑主事、吉田主事、山本主事

4議事等

  • 各部会の取り組みについて
  • テーマ達成に向けた今年度の取り組み成果と来年度の実行計画について
  • 報告
  • 総括

5配布資料

6議事 要旨

(1)各部会の取組みについて

ア 多職種連携・情報共有システム部会

  • 事務局
    資料1に沿って説明
  • 小林委員
    部会の今後の取り組みについては、令和6年度と7年度の2年間をかけて、カシワニネットの効果的な活用に関する取り組みを検討・実行してまいります。今年度はカシワニネットの活用状況を調査しました。2300名弱と多くの登録者がいますが、実際にカシワニネットを活用して多職種と連携している方は少ないことが課題として明らかになりました。年度当初に行ったアンケート結果などを踏まえ、第3回部会では、カシワニネットの活用を促進するための具体的な取り組みを検討しました。具体的には、カシワニネットの操作や活用方法に関する研修会等を企画し、カシワニネットを使った連携を自ら進んで行っていただけるような環境づくりを目指します。また、病院との連携も課題であり、在宅と病院との情報共有ツールとしてカシワニネットを活用していただくため、積極的に働きかける機会を設けてまいります。今後は、第3回部会での検討を踏まえ、次年度の取り組みを具体化するための検討を事務局と進めていきます。
  • 松倉座長
    ありがとうございます。国はシステムを活用した施設・病院・在宅との連携を推進し、診療報酬上の評価も行う方針を示しています。柏市では、在宅の多職種間ではある程度システム活用が進んでいますが、施設や病院では遅れている現状があります。この点を取り上げていただいたことは有益です。施設においても様々なシステムの導入が進められていますので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

イ 研修部会

  • 事務局
    資料2に沿って説明
  • 古賀委員
    顔の見える関係会議は、柏モデルを代表する会議の一つですが、近年、特に第2回会議では医師の参加が少なく、他の職種の参加者も固定化しています。圏域会議等は地域連携を促進する場であるべきですが、参加者の満足度も8点台前半と低く、テーマ設定に課題があった可能性もありますが、全体的に参加者が減少傾向にあります。今後、会議のあり方を見直す必要があります。8050問題に関しては、これまでの在宅医療介護の連携では80歳代については議論されますが、50歳代については、精神障害者や障害者を支援する施設・団体が参加すると有意義な会議になります。今回は4圏域のうち、東部沼南地域のみ沼南サポートセンターの参加があり、良い議論ができました。他の地域では、関連団体の参加が得られず、議論が深まりませんでした。第3回アドバンス会議では、医師の参加率が11%となり、ハラスメントや在宅現場での安全性について有益な議論ができました。参加者の満足度も8点台半ばと高評価でした。顔の見える関係会議については、第2回研修部会で議論した通り、より多くの方が参加できるような環境づくりやイメージ戦略を来年度は強化していきたいと考えています。意思決定支援Eラーニングは、現在、訪問介護事業者さん向けに実施していますが、介護サービス事業者協議会、特に施設からは、意思決定支援や看取りにおける利用者の意向の確認方法について、研修のニーズが寄せられています。今後、施設向けの研修会を実施することに期待しています。
  • 松倉座長
    顔の見える関係会議は、これまで多くの傍聴者を集め、活発な議論が行われてきましたが、コロナ禍を経て、ウェブ開催を模索するなど試行錯誤を重ねてきました。対面形式に戻りつつありますが、以前ほどの活気がないのが現状です。しかし、会議自体の魅力が失われたわけではなく、研修部会では魅力的なテーマも検討されています。工夫を凝らしながら、柏モデルの中核を担う会議として、引き続き取り組んでいただきたいと思います。e-ラーニングも順調に進んでいるようで、ありがとうございます。

ウ 啓発・広報部会

  • 事務局
    資料3に沿って説明
  • 石橋委員
    当部会は、3部会の中で唯一、在宅医療を受ける側の市民と関わる領域を担当しています。柏モデル発足から15年が経過しましたが、市民への啓発が十分であったかというと、認知度は依然として低く、70%の方が「知らない」と回答しています。さらに、この数字はアンケート回答者に限ったものであり、市民全体ではさらに低いと推測されます。柏市として、モデル事業を市民に認知していただくためには、広報媒体との連携を通じて露出機会を増やすことが最も効果的であると考え、繰り返し提案していますが、行政内部の事情もあり、実現には至っていません。今後も働きかけを続けてまいります。映画を活用した広報は初めての試みであり、その効果に期待しています。
  • 松倉座長
    市民啓発は、歴代の部会長が苦労されてきた、最も難しい分野ですが、最終的には市民に情報が伝わることが重要です。組織を構築しても、それを受ける市民の理解と利用がなければ意味がありません。映画は、柏モデルの構築過程で関係者が熱意を持って制作に携わったものであり、感動的な作品です。この映画を活用した広報は有効な手段と考えます。石橋委員は様々なアイデアをお持ちですので、行政と連携して事業を推進していただきたいと思います。

質疑応答

  • 青柳委員
    「わがや」の啓発について質問があります。私は町会の役員も務めており、回覧板を回していますが、「わがや」は不定期で、いつ配布されるのか予測できません。素晴らしい広報誌ですので、配布方法や市民への周知方法を工夫する必要があるのではないでしょうか。町会でも広報物の取り扱いについて議論があり、個別に配布すべきか、町会でまとめて配布すべきか、回覧にすべきか、検討しています。久しぶりに「わがや」を拝見しましたが、定期的に発行されているのでしょうか。今後、市民に読んでいただくために、どのような配布方法を検討されているのか、お聞かせください。
  • 事務局
    「わがや」は年2回、9月と3月に定期発行しております。全戸配布ではなく、13万部を各世帯にポスティングで配布しています。周知方法については、昨年度からSNSの活用を開始し、LINEやXで情報発信していますりがとうございます。
  • 松倉座長
    その他に、一般の方に読んでいただくための取り組みはありますか。
  • 事務局
    SNSの活用に加え、学校向けには紙媒体で配布していますが、学校からの配信サービスを利用して電子版を配布しているところもあります。これらのサービスを活用し、より多くの方に読んでいただける環境を整備していきたいと考えております。
  • 松倉座長
    ふるさと協議会の青柳委員から、定期発行についてのご質問が出るということは、一般市民には情報が十分に伝わっていないと考えられます。ポスティングすれば読んでもらえる、という考えではなく、内容が素晴らしいだけに、手に取って開いてもらうための工夫をさらに検討していただきたいと思います。
  • 青柳委員
    回覧板でどのような広報物が、どのルートで配布されるのか。町会では、広報物を決まった月に回覧するよう取り決めている場合もあります。「わがや」もそのように、町会長や自治会長に事前に相談し、適切なルートで配布することが重要です。町会や自治会は不定期に様々な広報物を扱っており、会議で配布を指示されても、郵便料金が高額なため、役員が持ち帰ることもあります。ふるさと協議会でも同様の状況だと思います。どのルートで配布しているのか、お聞かせください。
  • 松倉座長
    この点についても、今後の検討課題とさせてください。受け取る側の意見を参考に、より良い方法を検討する必要があると思います。貴重なご意見、ありがとうございます。Eラーニングについては、啓発・広報部会、研修部会でも話題になりました。ACPはNHKの番組でも「人生会議」として取り上げられ、在宅医療を考える上でも重要な要素です。古賀委員が胆管がんの患者さんを在宅で診療されている様子も紹介されていました。患者さんの生の声がテレビで伝えられたことは、啓発効果があったと思います。Eラーニングでは、ワーファ委員が主演を務められていますが、感想や伝えたいことがあれば、ぜひお聞かせください。
  • ワーファ委員
    先生方や事務局の皆さんとEラーニングを作成しました。医療職だけでなく、本人や家族の意向を尊重し、共に人生の最終段階、これからの人生をどう歩むか、自分たちに何ができるのか、これまで関わってこなかった職種の方々も考えるようになっていることがわかりました。Eラーニングの視聴数はまだ多くありませんが、柏市が取り組んでいるACPを、全職種、そして市民の皆様と協力して進めていくという活動をさらに深めていきたいと考えています。
  • 松倉座長
    ビデオをご覧になった方は、行政を含め、素晴らしい内容だと感じていると思います。ぜひ多くの方にご覧いただき、ご意見やアドバイスをいただければ幸いです。介護施設におけるシステム利用についてですが、介護報酬改定でシステム利用が推奨されています。柏市行政も当初はおよび腰でしたが、積極的に活用するよう働きかけています。しかし、なかなか進んでいない現状があります。その問題点や改善策について、施設の方にお話を伺いたいと思います。横尾委員、特別養護老人ホーム等でのカシワニネットの利用状況について、ご意見をお願いします。
  • 横尾委員
    施設では、先生方と直接お話しする方が早いという意識があり、カシワニネットの利用が進んでいません。施設内でも、居宅介護支援事業所でも、情報が本当に共有されるのか不安があり、直接話した方が確実だと考え、カシワニネットの利用に至っていないのが現状です。他の施設も同様の状況ではないかと思います。
  • 松倉座長
    全国的にDXが進み、システム導入は進んでいますが、柏市ではカシワニネット以外のシステムが導入されているという話も聞きます。柏市が開発したシステムですので、まずは情報共有だけでも、カシワニネットに関心を持っていただけるとありがたいです。横尾委員から、行政の方と連携して、施設への働きかけを強めていただければと思います。よろしくお願いします。

(2)テーマ達成に向けた今年度の取り組み成果と来年度の実行計画について

  • 事務局
    資料4に沿って説明
  • 松倉座長
    各職能団体におかれましては熱心にご検討いただき、ありがとうございます。それでは、各団体からご報告をお願いします。まずは柏市医師会からお願いします。
  • 古賀委員
    今年度、実行して良かった取り組みとその理由ですが、第1回の「顔の見える関係会議」で、サービス担当者会議におけるACPの実践、患者さんの意向を把握するための基盤として、それぞれの価値観を理解するための「もしバナゲーム」を実施しました。人によって価値観が異なること、そして利用者さんの価値観も尊重すべきことを学ぶための会議です。参加者からは好評をいただきました。また、ファシリテーターを置かない形式としたことで、部会の負担軽減にもつながりました。訪問看護、リハビリテーション関係者も含めた在宅医療連合学会に参加し、柏市の取り組みを発表しました。医師会だけでなく、訪問看護ステーションやリハビリテーション連絡会も参加し、連携して発表を行いました。病院と在宅との連携については、出張版の「顔の見える関係会議」を、国立がん研究センター東病院と名戸ヶ谷病院で開催しました。病院の先生方にご参加いただくことは時間的、場所的に難しい面がありますが、病院に伺って開催することで、より良い連携関係を構築することができました。一方、退院前カンファレンスの実施回数を増やすことを検討しましたが、実現には至りませんでした。来年度に向けて引き続き検討します。BCPワーキングでは、人工呼吸器装着者の個別避難計画を作成していますが、避難場所や非常用電源の確保など、様々な課題が明らかになりました。具体的な対策はまだこれからであり、来年度も継続して取り組みます。在宅医療推進のための多職種連携研修会は、かかりつけ医の在宅医療への参画を促すことを目的に、柏モデルの当初から実施しています。今年度はEラーニングと集合研修を実施しましたが、積極的に参加した医師は1名にとどまりました。しかし、この先生は今年4月から在宅医療に本格的に参入してくださるため、研修の目的は一定程度達成できたと考えています。今後の開催については、改めて検討します。第3回の「顔の見える関係会議」では、病院スタッフにも参加を呼びかけましたが、在宅側の視点に偏った議論となり、反省点も残りました。来年度の取り組みは、基本的に今年度と同様です。「わがや」の周知方法の検討、「顔の見える関係会議」の開催、病院との連携などを引き続き進めていきます。多職種連携・情報共有システム部会には、情報共有ツールの利用状況を調査し、今後の役割を検討していただきたいと考えています。退院前カンファレンスについては、連携促進に有効であると考えていますが、実施状況を把握するため、令和7年5月から7月に行われたカンファレンス数をカウントすることにしました。定期的にカウントし、連携の進捗状況を評価します。主治医・副主治医制度は、柏モデルの根幹であり、かかりつけ医が主治医、副主治医がサポートすることで、在宅医療への参入障壁を下げることを目的としていますが、最近は新規参入が減少しているため、制度の見直しも検討します。
  • 松倉座長
    ありがとうございます。様々な取り組みに熱心に取り組んでいただいていることがよくわかります。歯科医師会の中山委員お願いします。
  • 中山委員
    当会では今年度、資料4の10ページに記載されている取り組みを行いました。直近では、オーラルフレイル講演会、訪問診療におけるオーラルフレイルについて、多職種の方々にもご参加いただき、開催しました。今後も多職種が参加できる講習会を企画し、知識の共有と連携強化を図ってまいります。来年度も引き続き、多職種が参加できる講習会の開催を計画しています。また、リーフレットの作成も予定しています。会員向けには、摂食嚥下機能に関する講習会を開催し、摂食嚥下障害に対応できる歯科医師の育成に努めます。資料4の13ページに記載されている通り、かかりつけ歯科医が在宅患者さんを訪問し、診断を行い、必要に応じて専門医を紹介するという、患者さんが安心して過ごせるピラミッド型のシステム構築を目指します。今年度実施した市民啓発イベント「健康かむかむフェスタ」も来年度も開催します。オーラルフレイルの周知、口腔機能と栄養の関連性、かかりつけ歯科医の重要性について啓発を行います。在宅医療が必要となる前に、市民の皆様に正しい知識を伝え、在宅療養に移行する際に困らないようにするための啓発活動も重要だと考えています。最後に、周術期等における口腔機能管理に関する資料を作成し、関係機関との連携を密にしていきます。
  • 松倉座長
    歯科医師会は15年前、柏モデルが始まる前から在宅医療に取り組んでおられ、我々も多くのことを学ばせていただきました。引き続き、きめ細やかな取り組みをよろしくお願いいたします。次に、薬剤師会齊藤委員お願いします。
  • 齊藤委員
    薬剤師会の齊藤です。当会では、主に在宅委員会が中心となり、会議を開催し、様々な検討や研修会を実施しています。今年度は、意思決定支援について、多職種の方々からお話を伺いました。ご講演いただいた皆様、ありがとうございました。普段は接する機会の少ない分野について学ぶことができ、その重要性を認識することができました。検討課題としては、行政と連携して重複投薬の患者さんへの働きかけを試みましたが、具体的な成果を上げるには至りませんでした。来年度も行政と連携し、同様の取り組みを継続し、成果を上げられるよう努めます。医薬品の供給不足が問題となっていますが、麻薬についても同様の状況です。麻薬の小売業者間譲渡の許可がないと、麻薬の譲渡ができません。現在、柏市内では3つのグループに分けて対応していますが、これを一つにまとめ、より多くの薬局が情報を共有し、迅速に対応できる体制を構築することを来年度の目標とします。
  • 松倉座長
    薬局は診療報酬改定の影響もあり、様々な課題を抱えていると存じます。特に、チェーン展開している大規模薬局をまとめ、在宅医療にどのように貢献していただくか、難しい課題ですが、齊藤委員のリーダーシップに期待しております。ありがとうございます。続いて、柏市訪問看護ステーション連絡会のワーファ委員、お願いします。
  • ワーファ委員
    今年度、実行して良かった取り組みは、看看連携セミナーを継続的に開催し、病院との連携を強化できたこと、地域包括ケアシステム研修に積極的に参加し、多職種連携の充実を図れたことです。東葛北部地区との連携も継続し、活動範囲を広げています。検討が必要な事項としては、Eラーニングの視聴状況について、効果測定が十分ではありません。また、Googleマップを活用した訪問看護ステーションの所在地情報の共有を計画していますが、まだ作成中です。来年度早々に完成させたいと考えています。障害児や医療的ケア児を支援する団体、精神科領域の地域包括ケアシステム構築推進事業への参加も継続しています。SNSの普及による社会情勢の変化、介護者となる家族の精神的な問題など、家族関係の複雑化が進んでおり、介護保険制度の枠組みにとらわれない、より包括的な連携が求められています。来年度は、これらの課題に対応できるよう、さらに活動を充実させていきたいと考えています。看看連携セミナーについては、来年度、これまでの国立がん研究センター東病院と慈恵医大柏病院に加え、辻仲病院柏の葉も参加を表明してくださっています。顔の見える関係会議や地域包括ケアシステム研修会への参加は、これまで管理者が中心でしたが、今後は一般スタッフにも積極的に参加を呼びかけます。
  • 松倉座長
    患者さんと最も密接に関わり、その情報を共有してくださっているのが訪問看護ステーションの皆様です。一方で、医師会と同様に、連絡会に所属していない事業所や、病院からの紹介がスムーズに進まないなど、様々な課題を抱えていると伺っています。これらの課題を共有し、共に解決に向けて取り組んでいきたいと思います。続いて、柏市介護支援専門員協議会の狩野委員、お願いします。
  • 狩野委員
    資料の22ページに記載されている、今年度実行して良かった取り組みを抜粋します。当協議会が主催する研修会を年4回開催しました。介護報酬改定の説明、虐待、身体拘束、ハラスメント防止に関する研修、柏歯科医師会との合同研修会、2月にはBCPに関する研修も実施し、計画策定や能登半島地震での災害支援活動の経験に基づく講義をしていただきました。今後の課題は、多職種協働を推進するための、より適切なケアマネジメント手法を盛り込んだ研修会の開催です。BCPにおける個別避難計画については、避難所の問題、人工呼吸器を使用されている方の対応など、引き続き問題提起を行っていきます。ICT活用については、様々なシステムが存在し、統一が難しい状況ですが、国が推奨するケアプランデータ連携システムも検討されており、情報を整理しながら、柏市としてどのように多職種連携を図っていくか、皆様と協議していきたいと考えています。資料23ページ、令和7年度に向けた取り組みとしては、これまでと同様に、ケアマネジャー向けの研修を年3回程度開催する予定です。薬剤師会様からも合同研修の提案をいただいています。具体的な研修内容については、これから検討していきます。情報交換や研修を通じて、ケアマネジャーの資質向上を図ります。地域BCP策定に向けたワーキンググループにも引き続き参加し、個別避難計画や連携型地域BCPの策定に貢献します。昨年度と異なる取り組みとしては、令和7年度から公式LINEの活用を視野に入れ、今年度末からテスト運用を開始しています。主にカシワニネットや協議会ホームページの情報発信、研修案内、災害時の緊急連絡ツールとしての活用を検討しています。
  • 松倉座長
    ケアマネジャーの皆様は、ご家族を含め、様々な職種を繋ぐ、まさに要となる存在です。地域BCPにも参加していただき、災害時の避難計画作成にもご協力いただいていることに、改めて感謝申し上げます。柏市の在宅医療を推進する上で、ケアマネジャーの皆様は欠かせない存在です。引き続きよろしくお願いいたします。続いて、医療ソーシャルワーカーの堀田委員、お願いします。
  • 堀田委員
    今年度、実行して良かった取り組みは、面会制限が緩和され、患者さんやご家族とのコミュニケーション機会が増加したことです。しかし、面会時間の制限や、感染症の流行期には面会が中止となることもあり、対応に苦慮しました。既存のMSW会議は年2回開催していますが、参加者同士の意見交換の時間が限られており、継続的な効果測定も難しい状況です。MSW同士の交流機会を充実させるための工夫が必要です。来年度は、MSWのコアメンバーを中心に、ウェブ会議のあり方を見直し、連絡協議会の設立を目指します。これまで千葉県全体の協議会に参加していましたが、今後は地域の特性に応じた協議が必要と考え、柏市での協議会設立を最優先に進めます。感染症の流行期でも、面会や意思決定に関する協議を継続できるよう、ICTツールの活用も検討します。
  • 松倉座長
    病院への入院時、退院時において、ソーシャルワーカーの皆様は、病院にとっても在宅にとっても重要な役割を担っており、情報共有の要でもあります。しかし、業務が多忙であり、人材流出による人手不足という課題も抱えています。ソーシャルワーカーは病院の退院調整のルールを理解している重要な存在です。その土台を作り、病院長にも理解を促すような意気込みで、ルール作りを進めていただきたいと思います。続いて、在宅リハビリテーション連絡会から、橋本委員、お願いします。
  • 橋本委員
    今年度の取り組みについて、皆様からご報告があった通り、連携会議や在宅医療連合学会で発表を行いました。福祉用具に関する研修会を実施し、実際に福祉用具を体験できる機会を設けました。参加者は多くありませんでしたが、動画配信を企画しており、現在準備中です。動画を通じて、より多くの方に情報を届けたいと考えています。在宅のリハビリテーション専門職が集まり、連絡会を運営していますが、対面で顔を合わせる機会が減少しています。互いに情報交換できる、顔の見える関係を構築できるような会を企画していましたが、実現には至っていません。来年度の取り組みとして、引き続き検討します。病院から在宅、在宅から病院への連携がスムーズに進んだ事例を共有し、リハビリテーション専門職がケアマネジャーや福祉用具専門相談員、介護職等と連携して、専門性を活かせるよう、来年度も取り組んでいきます。
  • 松倉座長
    柏の在宅リハビリテーション連絡会は、特養からスタートし、志の高い皆様が集まっていると伺っています。柏市、そして日本の在宅リハビリテーションを牽引していただきたいと思います。ありがとうございます。次に、認定栄養ケアステーション連絡協議会の中村委員、お願いします。
  • 中村委員
    今年度実行して良かった取り組みは、居宅療養管理指導を受けている患者さんについて、カシワニネットを活用し、多職種の訪問状況を確認することで、より適切な栄養管理につなげられたことです。病院、福祉施設、在宅が連携して行った顔合わせ会をきっかけに、多職種連携が進んでいます。栄養情報提供書を相互に作成・交換することで、病院から在宅、施設へと、患者さんの食形態をスムーズに移行できることを目指しています。今年度は、食形態の変更状況について調査を行いました。検討が必要だった点としては、多職種への働きかけが十分にできなかったことです。調理実習は、新型コロナウイルスやインフルエンザの影響で実施できませんでした。医師の指示がない場合、栄養指導ではなく栄養相談という扱いになります。地域包括支援センターから依頼される事例を共有したかったのですが、個人情報保護の観点から実現できませんでした。来年度は、各栄養ケアステーションの特徴をまとめたパンフレットを作成し、多職種や地域住民に広く情報提供することで、連携を強化したいと考えています。急変時のBCPについては、私たちにとってハードルが高く、何から取り組むべきか検討が必要なため、今後、学習の機会を設けるなどして取り組んでいきたいと考えています。
  • 松倉座長
    柏モデルが始まった当初は、在宅医療に管理栄養士が関わることは一般的ではありませんでした。食事は、在宅で生活する上で非常に重要な要素であり、管理栄養士の専門的な知識と技術は不可欠です。今後も連携を深め、活動を充実させていただきたいと思います。次に、柏市介護サービス事業協議会、横尾委員、お願いします。
  • 横尾委員
    事業者協議会として、会員事業所の職員の基礎知識、特に医療に関する知識の向上を目指しています。研修については、これまで感染症に関する研修は多く行われてきましたが、HIVに関する研修は十分ではありませんでした。HIV感染者の方も高齢化し、介護サービスを利用する機会が増えると考え、慈恵医大の先生をお招きし、講演会を開催しました。HIVは正しく理解すれば過度に恐れる必要はないという認識が広がり、大変有意義な研修となりました。研修スタッフ交流会では、ゲームなどを取り入れ、多職種が交流を深めました。70名程度の参加があり、盛況でした。講演会は3月に開催し、コンプライアンス、特に不適切な対応が問題となっていることを受け、アンガーマネジメントに関する研修を行いました。当初は参加申し込みが少なかったのですが、当日参加者が増え、50名弱の医療関係者を含む多職種の方々にご参加いただき、大変勉強になったというご意見を多数いただきました。今後の介護サービスの提供に活かしていきたいと思います。職員の確保については、柏市にご協力いただき、介護の仕事相談会を開催しました。障害のある方の参加もあり、多くの方にご来場いただきました。検討事項としては、相談会の終了時間を1時間延長しましたが、延長時間帯の来場者は多くありませんでした。来年度は元の時間に戻すことも検討しています。また、学校行事と重なる時期であったため、開催日程についても検討が必要です。部会については、訪問部会で意思決定支援に関する研修を行っていますので、柴田委員から補足説明をお願いします。
  • 柴田委員
    8月に意思決定支援に関する研修会を、研修部会の古賀委員、ワーファ委員と合同で開催しました。来年度は、各事業所で意思決定支援に関する研修を広げていきたいと考えています。今年度は、もしバナゲーム、訪問介護におけるグレーゾーン事例に関する研修を、医療職や柏市と連携して実施しました。来年度も引き続き、サービスの質の向上と多職種連携を推進していきます。
  • 横尾委員
    来年度の課題と取り組みですが、今年度と同様に、三師会や各種団体の協力を得ながら、医療に関する知識の向上を図っていきます。古賀委員には、事業者協議会の理事会にオブザーバーとしてご参加いただき、利用者の入所前の健康診断書について、専門的な立場から貴重なご助言をいただきました。来年度以降も、医師会、三師会の先生方にご助言をいただきながら、事業を推進していきたいと考えています。
  • 松倉座長
    連携協議会では、これまで在宅で亡くなる方と病院で亡くなる方の割合について議論してきましたが、施設で亡くなる方の割合が非常に増えており、2040年にはさらに増加すると予測されています。施設は今後ますます重要な役割を担うことになります。HIV感染症や意思決定支援など、重要なテーマに取り組んでいただいていることに感謝申し上げます。コロナ禍では大変なご苦労があったと思いますが、医師会としても、施設は共に連携していくべき重要なパートナーであると考えています。今後ともよろしくお願いいたします。続いて、地域包括支援センターの笠原委員、お願いします。
  • 笠原委員
    各包括支援センターで、ケアマネジャー支援として事例検討会や地区別研修会を開催しました。研修会では「私の望みノート」を紹介し、本人支援に活用したいという意見が多く寄せられ、実用化に向けた周知が進みました。地域向けの講座でも、「私の望みノート」を本人支援のツールとして紹介し、いざという時に医療職や介護職に自分の意思を伝えるための手段となることを啓発しました。顔の見える関係会議への参加と参加の推奨については、今年度、包括支援センターの職員延べ71名が参加しました。ケアマネジャーや介護事業所への参加を呼びかけた結果、新規参加者の増加につながりました。圏域会議では、参加者が新たな相談先を知る良い機会となり、会議後、実際に連携が実現したケースもありました。検討が必要な事項としては、本来、本人と家族の意向に沿った多職種連携を推進することがテーマですが、本人と家族を中心としたチーム支援を考えると、日常の療養支援の場で、本人や家族が自らの意思を表明できるような環境づくりが包括支援センターの役割であると考えます。本人らしさを尊重した支援と、家族介護者への支援を目的とした地域向けの講座も継続して開催していく必要があります。また、医療関係者への包括支援センターの周知も、さらに体系的に進めていく必要があります。来年度は、今年度の取り組みを継続します。「私の望みノート」の紹介は、本人らしさの支援に加え、家族や介護者への支援にもつながるツールとして、ケアマネジャー支援の研修会や、包括支援センターが主催する講座を通じて、地域への周知も進めていきます。実務において、多職種が円滑に連携できるよう、強固な関係性の構築を目指し、各包括支援センター職員の顔の見える関係会議への積極的な参加と、ケアマネジャーや介護事業所への参加呼びかけを継続していきます。
  • 松倉座長
    地域包括支援センターは、まさに市民向けの窓口となる重要な部署です。市民啓発にも積極的に取り組んでいただいており、啓発・広報部会と連携して事業を推進していただけるとありがたいです。職能団体からは目標や課題についてご報告いただきました。次に、ふるさと協議会・社会福祉協議会から、市民の声を直接聞く立場として、ご意見やアドバイスをいただければと思います。まず、社会福祉協議会の中川委員、お願いします。
  • 中川委員
    在宅医療出前講座の件数についてですが、包括支援センター経由で光が丘地区社会福祉協議会(社協)で、昨年度に引き続き出前講座を3月に実施しました。社協や民生委員を通じて地域に周知することが、最も効果的な方法の一つであると考えています。社会福祉協議会としても協力していきます。青柳委員もおっしゃっていましたが、ふるさと協議会の連合会で説明する機会を設けることも有効です。一般市民の多くは在宅医療について知りません。光が丘地区での出前講座には、毎回50名程度の市民が参加し、好評を得ています。来年度も継続して開催する予定です。このような地道な活動が、在宅医療を周知するためには不可欠です。社会福祉協議会としても支援していきますので、ご協力できることがあればお声がけいただければと思います。
  • 松倉座長
    我々は医療を提供する側として、様々な情報発信を心がけていますが、市民の生の声、そして市民との接点を持つ皆様からのご意見は大変貴重です。ぜひお力添えをお願いいたします。次に、ふるさと協議会連合会の青柳委員、お願いいたします。
  • 青柳委員
    地元のふるさと協議会としては、地域包括支援センターの会議に参加させていただき、情報交換を行っています。在宅医療連携について、どこに相談すれば良いか、基本的には地域包括支援センターが窓口となりますが、そこまで至らない方や、連携を希望されない方もいらっしゃいます。そのような場合に備え、連合会として、地域包括支援センターや連携の仕組みについて周知する場を設けることも検討できます。各地区のふるさと協議会では、地域包括支援センターの職員に会議へ参加していただいています。社協のメンバーも参加しており、支えあい会議など、様々な関係団体にご参加いただいています。しかし、医師会、歯科医師会、薬剤師会との接点は限られています。ふるさと協議会連合会にも働きかけていただき、情報提供や意見交換の機会を設けていただけるとありがたいです。私どもも、情報を得てすぐに理解できるわけではありません。継続的な情報提供と、担当者による説明が必要です。高齢化が進み、家族だけで対応することも難しくなる中で、連携の重要性はますます高まっています。ぜひ、ご協力をお願いいたします。
  • 松倉座長
    我々も、ふるさと協議会がどのように活動されているのか、十分に把握できておらず、情報提供も不足していたと反省しております。どのような場にご参加いただければ、情報をお伝えできるのか、ご意見を伺いながら、市民啓発を効果的に進めていきたいと思います。ご協力よろしくお願いいたします。

7報告

(1) 柏市在宅医療・介護多職種連携の推進に関する協定に基づく検討会について

  • 事務局
    資料5に沿って説明
  • 松倉座長
    これまでの取り組みの中で、課題も含め、古賀委員が各団体や行政にヒアリングを行い、具体的な提案をまとめてくださいました。古賀委員からコメントをお願いします。
  • 古賀座長
    2025年を迎え、柏モデルは全国的に展開され、成果を上げています。しかし、2040年に向けて高齢者は増加する一方、在宅医療介護を担う人材は減少していくことが予測されます。これからの柏モデルをどのように構築していくか、いくつかの提案をさせていただきます。これまで、在宅医療介護連携というと、在宅医療、つまり自宅での医療に焦点が当てられがちでしたが、今後は施設との連携も非常に重要になってきます。施設も数は増えていますが、それを支える人材は減少しています。効果的な連携を実現するため、医師会としてどのように変わっていくべきか、検討を進めています。第8次保健医療計画では、これまで介護保険制度の中で高齢者の在宅医療介護を提供してきましたが、今後は障害者や福祉分野との連携も求められています。柏モデルも、新たな連携の形を模索していく必要があります。
  • 松倉座長
    辻委員にもこの会議にもご出席いただきましたので、改めて、コメントをいただければ幸いです。
  • 辻委員
    医師会の皆様と久しぶりに率直な意見交換をさせていただき、感謝申し上げます。柏の医療介護連携モデルは、医師会と市役所が連携し、多職種が一体となっている、日本でも有数の優れた取り組みであると認識しています。皆様の努力によって、素晴らしいシステムが維持されてきました。しかし、古賀委員から、現状に対する厳しい認識と、様々な課題が提起されました。私は、このシステムが2040年に向けて、柏市民だけでなく、全国に貢献できる重要な基盤であると確信しております。引き続き、よろしくお願い申し上げます。
  • 松倉座長
    辻委員から、柏モデルの原点を再認識させていただくような、力強いコメントをいただき、ありがとうございます。皆様と共に、今後も取り組んでまいりたいと思います。

(2) 柏モデルガイドブック改訂の検討状況について

  • 事務局
    資料6に沿って説明
  • 松倉座長
    コア会議での議論を経て、ワーキンググループでの検討を進めています。病院・施設グループ、かかりつけ医・地域包括支援センターグループ、多職種グループ、そして最終的には全職種が集まり、議論を重ね、ガイドブックを作り上げていく予定です。具体的な論点やスケジュールについては、今後検討を進め、大幅な改定につなげていきたいと考えています。 

(3) 地域BCP策定に向けた取り組みについて

  • 事務局
    資料7に沿って説明
  • 松倉座長
    柏地域では、これまで災害対策として、病院のBCPについては取り組んできましたが、在宅療養者、特に要介護度の高い方への支援については、「Kネット」という言葉があるだけで、具体的な対策が不十分でした。今回、古賀委員を座長に、多職種、そして行政の防災安全課、福祉政策課、障害福祉課、地域医療推進課が連携し、具体的なプランを検討しています。ケアマネジャーや訪問看護ステーションの皆様にもご参加いただき、実効性のある計画を策定できるよう、取り組んでいます。災害対策を担当する立場としても、心強く感じています。

(4) 市内病院地域連携担当者連絡会議について
(5) 地域包括ケアシステム研修会について
(6) 在宅医療推進のための多職種連携研修会について

  • 事務局
    資料8、9、10に沿って説明務局

8総括

  • 高林委員
    私が柏に来てから15年という歳月が流れました。2025年問題とは、病院が満床になり、患者さんが入院できなくなり、高齢者の行き場がなくなるのではないか、という懸念でした。柏市は懸命に取り組み、日本全体としても、そのような事態は起きていません。地域包括ケアシステムが機能し、国民の意識も変化し、平穏な2025年を迎えることができました。これは素晴らしい成果です。しかし、2040年には、日本人の死亡数がピークを迎え、166万人の方が亡くなると予測されています。その時、何が起こるのか。2080年には高齢化率が41%に達するとも言われています。本当に対応できるのか。2つの大きな課題が待ち構えています。2040年には、多くの方が亡くなるため、葬儀の問題が生じるのではないか、という意見もありますが、私はそれ以前に、日本の医療が経済的に立ち行かなくなるのではないかと危惧しています。近年の医薬品価格の高騰、医療費の増加は著しく、今後も上昇が続くでしょう。一方、GDPは伸び悩み、生産年齢人口、労働人口は減少し、働き方改革によって労働時間も短縮されています。このままでは、医療費がGDPを上回り、医療制度が破綻する可能性があります。高額療養費制度の上限額引き上げの議論も始まっていますが、問題はそれだけではありません。古賀委員も指摘されていましたが、松戸で在宅医療に携わっていると、ごみ屋敷、セルフネグレクト、8050問題など、様々な社会問題に直面します。医療の枠を超え、社会的な問題にも対応しなければならない状況です。経済的な問題、社会的な問題が、医療の現場に押し寄せてきています。これらの問題にどう対応していくか、2040年までに解決しなければならない課題です。当然ながら、政策を立案する側は、医療費を抑制するため、高額な医療費、高齢者医療に焦点を当て、対策を講じようとするでしょう。無駄な医療費を削減しようとする動きも出てくるかもしれません。その結果、医療のあり方そのものが大きく変わる可能性もあります。我々がここで議論している、「最期まで自分らしく生きる」という考え方は、ある意味では、医療費抑制の方向性と一致する部分もあります。しかし、それは同時に、非常に危険な側面もはらんでいます。我々が良かれと思って進めていることが、結果として、人の寿命を縮めることにつながってはなりません。最期まで幸せに生きるためにはどうすれば良いのか、死をどのように捉えるべきか、真剣に考えるべき時が来ています。本人と家族の意向に沿った多職種連携は重要ですが、「本人と家族の意向」とは具体的に何でしょうか?本当に彼らは理解しているのでしょうか?我々が誘導すれば良いのでしょうか?これは非常にデリケートな問題です。十分な説明を行い、我々が正しいと信じる考え方を伝え、啓発していくことが、個々の患者さんに対しても、高齢者全体に対しても必要です。中川委員がおっしゃっていたような啓発教育は、私も柏で毎年参加していますが、もっと積極的に行うべきです。私も後期高齢者の一人として、高齢者が高齢者を支えなければ、この社会は成り立たない、ということを伝えています。意向に沿うことは重要ですが、どのような意向を尊重するのか、我々自身が見極め、議論を深める必要があります。
  • 松倉座長
    私たちが目指す方向性と、社会全体の流れは一致する部分もありますが、慎重に進めていかなければ、取り返しのつかないことになる可能性もあります。過去には、政治家が不用意な発言をして、社会的な批判を浴びたこともありました。真の幸せとは何か、専門職だけでなく、市民と共に考え、共有していく必要があります。貴重なご意見、ありがとうございました。
  • 辻委員
    高林委員は、東京大学が柏プロジェクトを始める際、千葉大学にご挨拶に伺った時、最初に激励してくださった方です。その時からすでに、高齢化の波が押し寄せ、病院だけでは対応しきれなくなる、という危機感を抱いておられました。当時、委員が予測されていたのは、2、3メートルの津波だったかもしれませんが、今は10数メートルの本格的な津波、それが2040年です。そのような認識の中で、先日の三者協議会で、古賀委員が現状に対する厳しい認識を示されました。今回の資料、研修部会の資料6ページにある「顔の見える関係会議」は、柏市医師会が独自に創設した、素晴らしい取り組みです。しかし、柏モデルを知らない人が多い、参加者が固定化している、という課題も明らかになっています。在宅医療の認知度についても、資料にある「わがや」と出前講座のアンケート結果では、70%の方が「知らない」と回答しています。改めて、本格的な津波に備える必要があると痛感しています。日本一のシステムを構築されましたが、さらに大きな波に備え、日本のモデルを維持するためにはどうすれば良いか。次世代の市民にもっと理解していただく、つまり、お客様を増やす必要があります。出前講座や「わがや」は大変素晴らしい取り組みですが、もう一歩踏み込んだ提案をしたいと思います。介護支援専門員協議会が言及されている地域支えあい推進協議会、通称「支えあい会議」があります。これは、地域包括ケアシステムの基盤となる組織で、自治会、民生委員、住民団体、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどが参加し、日常生活圏域単位で活動しています。この支えあい会議で、在宅医療の問題を積極的に取り上げ、議論を深めるべきです。出前講座のように、特定の場所や機会だけでなく、より身近な地域レベルで、継続的に議論する場を設けることが重要です。地域の代表者が集まる支えあい会議で、在宅医療について議論し、最終的には自治会レベルまで情報を浸透させていく必要があります。ふるさと協議会からも力強いご発言がありましたが、支えあい会議と、包括支援センターの担当区域を基本とするふるさと協議会が連携することが重要です。生活支援体制整備事業という枠組みを活用し、支えあい会議に在宅医療のテーマを組み込むことを提案します。市民が亡くなる前に最も重要なのは、病院を退院する時です。病院が在宅医療を正しく理解することが、円滑な在宅移行の鍵となります。医師会の働きかけにより、病院との連携は進んでおり、MSWの連絡会も設立されようとしています。これは、認知度が低いという課題に対する、当面必要な取り組みです。参加者が固定化しているという問題については、私には妙案は浮かびませんが、自治会の後継者不足も同様の課題を抱えています。ある盛んな自治会に秘訣を尋ねたところ、「新住民に積極的に声をかけ、自治会に参加するメリットを丁寧に説明すること」だと教えてくれました。各団体も、若くて将来有望な人材に、ここで活動するメリットを伝え、次世代への参加を呼びかけることが必要ではないでしょうか。幸い、柏市医師会をはじめ、各団体のリーダーは比較的若い世代です。ここでしっかりと次世代を育成することができれば、必ず未来を切り開くことができると信じています。医師会については、研修会に参加する新しい医師が減少しているという課題がありますが、在宅医療に携わっていないかかりつけ医の先生方にも、地域の集まり、「顔の見える関係会議」などに医師会を代表して参加していただき、現状を知っていただくことが、新たな刺激になるかもしれません。若くて意欲のある先生方に、まずは参加を促し、新しい風を吹き込んでいただくことが重要です。最後に、大きな津波が来ることは避けられません。今年度の取り組みは完了しましたが、再来年度以降は、2040年を見据えた取り組みが必要です。市役所には、2040年に向けて、日常生活圏域単位で在宅医療のニーズがどのように変化するのか、予測を示していただきたいと思います。データは存在するはずですので、どこまで公開するかは検討が必要ですが、2040年に対する予測を市役所が明確に示し、このままで良いのか、という問題意識を共有し、議論する体制を構築することが、柏市のシステムを維持し、将来にわたって役割を果たしていく上で不可欠であると考えます。
  • 松倉座長
    多くの気づきをいただきました。我々も柏モデルを15年間進めてくる中で、「柏モデルは素晴らしい」と言っていただくことは大変ありがたいのですが、新しい参加者に対して、「柏モデルはすごいんだ」と伝えるだけでなく、共に考え、共に創り上げていくという姿勢が、当初の熱意に比べて不足していたのではないかと反省しています。ある程度、形ができてきたことに満足してしまっていたのかもしれません。これからは、関係者だけでなく、市民の皆様と共に創り上げていくという意識を強く持ち、初心に立ち返って取り組んでいきたいと思います。
  • 飯島委員
    2・3点お話しさせていただきます。いつもと同じような話になりますが、進捗状況については、東京大学として何か申し上げる段階ではなく、皆様が着実に進めてくださっています。松倉座長がおっしゃったように、今日の資料をこの委員会の担当者だけでなく、関係者全員で共有することが重要です。しかし、単に資料を共有するだけでなく、十数年かけて培ってきた柏モデルに参画していることの意義や誇りを、若い世代や新しく柏に来た専門職の方々にも感じてもらえるような雰囲気づくりが最も大切だと思います。松倉座長がおっしゃる通り、立ち上げメンバーは当事者意識を持っていますが、次世代は同じ熱量を共有できていない、これは地域包括ケアに限らず、あらゆる組織に共通する課題です。その熱意を少しでも次世代に伝えられるような環境づくりが、最初の一歩になるのではないでしょうか。市民啓発については、石橋委員もおっしゃっていましたが、70%の市民が「知らない」と答えているのは、アンケートに回答した人に限った数字であり、実際にはもっと低い可能性があります。現実を受け止めながらも、前向きに取り組む必要があります。サロンからの出前講座の依頼が減少しているとのことですが、先日、松倉座長や古賀委員と少人数で意見交換した際にも申し上げましたが、啓発する側は、受け手である住民の関心やニーズを把握しきれていないことがあります。住民がどう感じているのか、何を求めているのか、どのような情報提供が効果的なのか、住民の視点に立ったアドバイスを積極的に取り入れる時期に来ているのではないでしょうか。住民啓発に近道はないと思いますが、全国の自治体が苦戦している中で、何らかの形で一歩踏み出す必要があります。柏市で在宅医療介護連携システムを利用し、石橋委員や古賀委員に診療していただき、最期まで見送ることができた、というご家族がいらっしゃるのであれば、そのような方々に、どのようにして情報を得て、柏モデルを知り、利用するに至ったのか、経緯を伺ってみてはどうでしょうか。「わがや」がきっかけだったのか、他の情報源だったのか。成功事例をいくつか集めることで、何らかのパターンが見えてくるかもしれません。デスカンファレンスは、亡くなられた方の事例を振り返り、多職種連携の課題を検証するものですが、病態やサービスだけでなく、なぜ在宅ケアを選んだのか、なぜ柏モデルを選んだのか、情報源は何だったのか、という点にも着目し、振り返ってみることも有効ではないでしょうか。そうすることで、柏モデルとしてこれまでアプローチできていなかった情報伝達経路が見えてくるかもしれません。住民目線での意見やアイデアは、我々が想像もしないような力を発揮することがあります。地域包括ケアとは少し異なりますが、私は全国でフレイルサポーターという高齢者のボランティアを育成する活動に携わっています。彼らの意見を聞くと、我々研究者や行政が考えつかないような発想やノウハウが生まれてくることがあります。在宅医療ケアとフレイル予防は異なる分野ですが、住民の潜在能力は非常に大きいと感じています。先日、東京都医師会の地域包括ケアの会議で、ACPの話題が出ました。ある先生が、「いきなりACPの話をすると、抵抗感を示す患者さんや住民が多い。しかし、現役時代からの人生設計、ライフプランの中で、健康、メタボ対策、フレイル予防、要介護状態、在宅サービス、そして最期まで、人生のライフコース全体を考える中でACPを位置づけると、住民は受け入れやすい」とおっしゃっていました。確かに、自分自身の人生に重ね合わせることで、より深く理解できるのだと思います。このような視点も、住民の方々から出てくるかもしれません。本人と家族の意向に沿った支援は、最も重要なテーマです。私自身、QOL研究、特に「ライフ」を「いのち」「生活」「人生」の3つの側面から捉える研究に取り組んでおり、最終段階に入っています。心身ともに苦痛がないこと、美味しく食べられること、楽しい時間を過ごせること、尊厳が保たれること、自分らしく生きられること、幸せを感じられること、孤独ではないこと、これらの要素が、人生の質を高める上で重要であることが明らかになってきています。研究成果がまとまりましたら、改めてご報告させていただきます。現在、柏モデルは着実に次の段階に進んでいます。しかし、次の段階だからこそ、課題は複雑であり、解決策は一つではありません。皆様と共に知恵を絞り、困難を乗り越えていくことこそが、柏モデルの真価を発揮することにつながると信じています。東京大学は、皆様の活動を学び、共に考え、貢献できることを探求していきたいと考えています。
  • 松倉座長
    多くの気づきをいただきました。前回、2040年に向けて取り組む、という大きな方向性を示していただきました。今回も、実際に在宅医療を利用されたご家族に、情報源や利用のきっかけを伺うという、具体的な提案をいただきました。早速、古賀委員と連携し、情報収集の方法を検討し、今後の活動に活かしていきたいと思います。柏モデルは、全てが順調に進んでいるわけではありません。古賀委員が課題を明確にしてくださったことで、現状を客観的に見つめ直すことができました。NHKの番組では、「大変な2025年をどう乗り越えるか」という特集の中で、15年前から在宅医療に取り組んでいる柏市が紹介されました。我々の活動は、全国からも注目されています。各委員方からいただいたご意見を踏まえ、2040年に向けて、より大きな課題に立ち向かうためには、3.11の東日本大震災の経験も踏まえ、医療介護従事者だけでなく、市民一人ひとりが、困難な状況に直面しても、自分らしく生きられるよう、共に考え、行動していく必要があります。そのためには、多職種連携だけでなく、市民の声をしっかりと聞き、共に新たな柏モデルを創り上げていくことが重要です。皆様からいただいた数々のアドバイス、ご提言を、今後の活動に反映させていきたいと思います。本日は長時間にわたり、ありがとうございました。

事務連絡
令和7年第1回在宅医療・介護多職種連携協議会
日程:令和7年7月3日(水曜日)

お問い合わせ先

所属課室:健康医療部地域医療推進課

柏市豊四季台1丁目1番118号(柏地域医療連携センター1階)

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