更新日令和3(2021)年2月26日

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柏市新中央図書館整備基本計画策定有識者懇談会第3回会議録

1 開催日時

平成19年11月27日(火曜日) 午前10時~正午

2 開催場所

柏市役所沼南庁舎5階501会議室

3 出席者

(委員)
阿部孝(座長)、玉川 博(副座長)、植松貞夫、岡田恒一(欠席)熊谷道子、重盛恭一(欠席)高橋 裕、藤田とし子

(事務局)
川上生涯学習部長、猿渡教育総務課長、成島図書館長、坂巻教育総務課副参事、小舘教育総務課専門監、橋本教育総務課主査、松永教育総務課主任

4 議題

  • (1)市民ワークショップ報告
  • (2)付加価値を高める資料計画について
  • (3)魅力ある図書館空間について

5 配布資料

6 議事(要旨)

(1)市民ワークショップ報告

【事務局】第一回目のワークショップでは、市民の参画において何ができるのかという議題で進めて参りましたが、第二回目は市民が具体的に参画している事例を紹介するため、市内の市民参画の事例として、かしわインフォメーションセンターの事務局長であり、また当有識者懇談会の藤田委員にお越しいただき、4つの視点からお話いただきました。1つ目は、かしわインフォメーションの開設にあたっては、行政と市民が協働して、施設の在り方や運営方針について話し合い、施設は行政が持ち、運営は市民が中心となって行うことを取り決めたという点です。2つ目は、事務局スタッフは、運営方針の検討やそれに係る資料作成を行い、インフォメーションセンターの裏方として支援するのに対し、市民ボランティアは、いつお客さまが来てもいいように案内業務に専念するといったように業務分担を明確にしている点、3つ目は、新中央図書館における市民参画の在り方を考える際も、柏市の財政状況を考慮するなど、柏市の立場と市民の立場の両面の考えをもって取り組むと良い結果がでるのでないかという点、4つ目は、行政と市民がパートナーシップを組む上での成功のキーワードは、円滑なコミュニケーションであり、そのためには、「信頼関係」、「責任の明確化」、「権限の移譲」が欠かせないという点です。藤田委員の講演後はグループワークを行いました。

【委員】初めてワークショップに参加しまして、最初の印象は新しい図書館に対して、良い図書館になって欲しい、計画が公表されたり、変更されたりする中で、市民の皆さんがそれぞれ抱える想いをできる限り提案したいという気持ちが現れていたように感じました。参加者の中には、図書館で地道なボランティア活動を続けている方もいれば、今回新たに参加した方もおり、それぞれの立場は色々なものでした。

ワークショップを見ていますと、参加者の想いが強いだけに、意見と感情を分けて表現できない、意見に感情が乗っかってしまうという点がありました。ある程度は自由に議論していただいてよいと思いますが、ワークショップがどのように運営されるべきなのかについては確認したほうがよいと思いました。

基本的には、ボランティアとは、組織の運営方針・目指すものがあり、そこに寄り添っていくものだと思うので、やりたい気持ちを出しすぎると、収拾がつかないように感じます。かしわインフォメーションセンターでは、個人の想いと提案をもとに1つの方向性に決めたら、後は皆が黙って従うということになっています。互いにそれぞれの立場を認め合わなければ、まとまった形にはならないと思いました。

【委員】どんな仕事でもそうですが、思い入れが強いのはよいですが、本来の目的とは異なるところに議論が及んでしまうこともあります。

【委員】ワークショップの参加者の経験値がバラバラなので、議論の着地点を毎回確認するとよいと思います。

(2)付加価値を高める資料計画について

(3)魅力ある図書館空間について

【事務局】新中央図書館の考え方といたしまして、図書館サービスの原点を踏まえるとともに現代的な課題にも対応し得る情報拠点の核を目指すこととしており、「つなぐ」をキーワードにコンセプトを構築いたしました。

それらを踏まえまして、新中央図書館の方向性といたしましては、まず、図書館法に定められたサービスを確実に行うことを前提に、その上で、柏市らしい独自のサービスを展開する。

次に、厳しい財政状況に鑑み、経営意識をもって、図書館運営を行う。

最後に、現在直面している高齢化や国際化など、新たな課題解決に役立つ最新の情報を提供することを3本の柱として、考えております。

続いて、今回の議題にあります、付加価値を高める資料計画の考え方をお示ししてあります。図書館本来のサービスに忠実ということが前提ですが、付加価値のキーワードといたしましては、「柏市の文化の創造・継承」であると考えており、柏の伝統も収集対象になると思います。一方で、レイソルやウラカシなどについても、図書館の役目として収集していくこととしています。マネジメント意識を持つことでは、例えば、今まで16の分館がそれぞれ、網羅的に揃えていた資料も、これからは新中央図書館でのみ収集してもよいと考えています。また、大学との連携もここに入ってくるのではないかと思います。3つ目に、時代の変化に対応しうることということで、「市民とともに成長」、「まちづくり支援」、「課題解決支援」がキーワードになってくると思いますが、活動の記録やデータベースなど時代にあった記録媒体による収集を行いたいと考えております。最後に合理的な運営ということで、利用者のリクエスト等の扱いについても課題になってくるのではないかと考えております。続きまして、3枚目の施設構成及び要素についてご説明します。情報拠点がコンセプトですが、施設構成として、「動」と「賑」と「静」の3つの要素が考えられると思います。「動」については、交流から活動へとつなげる空間、「賑」については、賑やかな空間ということで、パソコンなどの持込が可能なグループ学習のできる空間、「静」は静かな空間であり、ゆったりと読書ができる空間を目指したいと思います。

続いて、施設の要素としては、部門別にご提示しております。1つ目は導入部門ということで、コーヒーを飲みながら本を読める空間イメージ、2つ目に開架部門ということで、4段書架をベースにフロアが見渡せるような空間をつくりたいと考えております。各スペースの蔵書冊数については、委員の皆様のご意見をいただきながら、検討したいと考えております。次に交流・情報部門については、様々な活動を通じて、柏市のパワーを作っていけたらと考えております。最後に、今回再開発ビルの中ということで色々と調整が必要になると思いますが、基本構想の目標については原則として確保していきたいと考えております。

【委員】論点は2つあり、1つ目は柏市の付加価値を高めるということで、柏文化の創造・継承などが挙がっておりますが、それだけでよいのかという点。また、もう1点は施設計画についてとなりますが、例えば、目標来館者数や蔵書数が提示されており、各部門は、それらを前提とした配置になっております。このあたりの規模算定も含めてご意見をお願いしたいと思います。

【委員】柏市らしさということですと、ここにあるように柏の文化の継承がテーマになってきますが、この点は重要なので充実させる必要がありますが、将来を見据え、現在の情報がどのようにして提供されるのかも大変大きな課題になると思います。どういう方法で情報提供するのかなど、かなり難しい部分があると思います。そのほかでは、分館との連携を含めた柏市らしさを考えていけたらと思います。例えば、分館から情報を吸い上げ、それを新中央図書館で発信するということができると独特な情報提供が可能になると思います。図書館内で情報が作られていくようなシステムができてくると良いと思います。例えば、アマゾンなどは上手く管理されています。本当に必要にしているものがメールで入ってきますし、柏市でも分館とネットワークしながら、管理機能を高めていくというのもありうると思います。

【委員】開架部門の中の児童開架スペースの図書ですが、子ども図書館の蔵書冊数は何冊となりますか。

【事務局】3万冊となります。

【委員】新中央図書館は、駅前ということもあり、多くの児童が利用すると思われますので、ご提示いただいた冊数では、少ないように思います。また、現在の本館では外国の絵本や紙芝居なども充実していますが、それらを書籍に含めると1万冊は少ないと思うので、再度検討していただきたいと思います。また、交流・情報部門ですが、こちらはオープンスペースがよいと思いますが、いかがでしょうか。

【事務局】基本的には全てオープンスペースを想定しておりますが、面積的に限られておりますので、時間によっては面積を変更するといった方法も検討する必要があると思っております。

【委員】私は新中央図書館の中に使い勝手の良い、多目的なクローズな施設が取れるとよいと考えていました。他の目的には使えないかもしれませんが、例えば、70~80人が入れる、クローズなスペースで、その中で展示や読み聞かせなど、その場で追体験ができたり、そこから何かが生まれるスペースがあるとよいと思います。例えば、環境に関する展示をしたとして、その後に環境関係の映像を見るといった活動ができるとよいと思います。他の施設を利用すればよいという意見もありますが、その場でやったことを即体験できる図書館であると良いと思いますので、ご検討いただければと思います。また、新中央図書館も掲示板をぜひ工夫していただきたいと思います。

【委員】掲示板は、ネット等ではなく、物理的な掲示板ということでしょうか。情報を市民に分かりやすく伝えられるとよいと思います。

【委員】物理的な掲示板です。

【委員】東京大学の柏の葉キャンパスが購入している電子ジャーナルが利用できないかということですが、これは提供者側との契約が必要になり、構成員でないとできないことになります。その規則を乱すとペナルティーが与えられるなど難しい状況です。柏市の市民がキャンパスに行って、調べるのは契約上問題ありませんが、コンピューター上でアクセスして入るのは難しいということです。また、柏市らしさということでは、歴史・文化は当然必要ですが、古いものばかりを集めるだけでは不十分であると思います。これからの柏を作るために必要なものを集めていただけると良いと思います。時代の変化に対応するという点でいえば、これまでの図書館は収益を生み出さず、税金を使っているだけといわれてきましたが、図書館こそ税金を生み出すのだと、産業支援や市民の資格取得支援など、周囲の関係者の所得が増えることで、間接的に収益を生み出す取り組みをしてきた例もあります。

続いて、施設計画に関して述べますと、考え方を改めていただきたいこととしては、開架部門の4段書架です。我々が一番取りやすいのは目の前にある棚、つまり、身長の90%の位置にある本なわけですが、この部分がない書架は本を探すときに屈む必要がでてくるため、好ましいとはいえません。例えば、書架は6段あり、その代わり1番下の棚は使わないほうが良いと思います。また、1つの書架を5段で利用するのであれば、もう少し多くの蔵書が排架できると思います。また、児童向けの図書は少ないと思います。それから、自動化書庫と可動式集密書庫を併用する理由がわかりません。

【委員】書架の段数については重要な問題であると思うので、ご検討いただければと思います。自動化書庫と可動式集密書庫の併用ですが具体的なイメージはどのような感じでしょうか。

【事務局】貴重資料は自動化書庫では難しいということで、手動のものが必要になってくると思われます。決定事項ではなく、面積的な問題も含めて、これから議論したいと思います。

【委員】小中学校との連携についてはどのような状況ですか。

【事務局】関係者と年に数回の打合せを行っていますが、具体的にはこれからになると思います。

【委員】柏市には小、中学校合わせて60以上の学校がございますし、学校との連携についてもご提案があればよいと思います。

【委員】柏市の文化継承ということで、実際に東葛の歴史についての記事を書くという仕事をしたとき、郷土資料を利用していましたが、現参考資料室に入っている図書の質は非常に高いと感じました。希少な本がきっちりと整理されており、柏の財産であると思います。今後、合併等があれば、柏の歴史を再編することになりますが、その場合は参考となる良い本が沢山ございます。そう考えますと、古い資料を集めるということについても、不足しているところは強化していただきたいと思います。また、柏市のまちを研究されている方が増えており、市民でない方が柏の現代史について調べに来る機会も多いので、やはりこれから先に向けて、柏市の情報をアーカイブする方法を考えたほうが良いと思います。また、このあたりの作業については、ボランティアの方々が活躍できる場になると思います。

【委員】市民活動が活発なこともあり、活動場所は必要であると思いますが、場所貸しになると、少々もったいないと思いますので、なんらかの形で図書館に関係のある活動をしていただけたらと思います。

【事務局】基本的に場所貸しという利用法は考えておりません。

【委員】柏文化の継承・創造は大事なことですし、必要なことであると思いますが、柏の歴史等の蔵書だけでなく、それに至るまでの写真を展示できる場があればよいと思います。

また、学校図書館との連携については、小中学校では色々な調べものによる授業がありますが、学校図書館では不足しているところに対する支援を考えていただければありがたいと思います。やはり、自分の目で書籍に目を通して調べることを基本にしたいと思っておりますので、ぜひご検討いただきたいと思います。

教育委員会を通じて、日本の言葉や文化を習得させる取り組みを行っておりますが、語学面での充実も検討していただければと思います。

【委員】新たな視点を提供していただきました。外国人の方が入学されておりますが、学校の方々も色々とご苦労されているようです。先ほども外国語の絵本等の話もありましたが、外国人向けのサービスについてご検討いただければと思います。

【委員】語学も重要ですが、さらに、お子さんの親に必要な情報が行き渡らないことも課題であると思います。親たちも忙しく、出向けない状況ですので、先ほど、掲示板や情報発信の話が出ましたが、問題解決支援を外国人の方々に対して、イベント等によって基本的な生活支援の視点を取り入れていただければと思います。

【委員】学校図書館との連携ということで、例えば、帯広や新潟では、1クラス程度の生徒がバスで図書館にやってきて、図書館の使い方から始まり、書籍を探し、まとめのプレゼンテーションをするためのスペースが設けてあります。時間が指定されるため、使用率は高くないのですが、そういう方法で行えば、多くの本に触れながら、総合学習が可能になると思います。

【委員】外国人の方々へのサービスですが、柏で定住されている方に対しても情報が行き渡ってない状況であり、ましてや短期留学生などは、災害時の避難場所などをご存じないと思われます。我々も外国人向けのパンフレットを作っているのですが、外国人の方々は、その配布場所が分からないようで、なかなかパンフレットが行き渡りません。本来は各分館に配布できればよいのですが、金額の問題もあり、全館に山積みに置けるほど余裕はないので、その場合は、新中央図書館に集中して置くことが重要だと思います。また、一人で暮らしている方や障害を抱えている方など、インターネットを利用できない方にどのように情報提供するかも課題になると思います。新しい図書館ができた際は、そういった方々へのサポートができる仕組みがあればよいと思います。

【委員】資料の媒体にもよりますが、資料を置くだけでは不十分であり、直接話しかけないと難しいのだと思います。

【委員】直接的な情報提供ができればよいと思います。

【委員】資料に学習スペースとありますが、こちらは分館にはそういったスペースがないため、学生が一斉に集まってくることも考えられます。この点についてはどのように考えているのでしょうか。

【事務局】学習スペースは、基本的には設置する予定です。いままで、学習スペースを要望する声はあるものの、十分に確保されていない状況ですので、席数については詰めておりませんが、設置したいと考えております。また、分館にあふれている本の一部を本館に移動し、分館に学習スペースを設けるという方法もあると思います。

【委員】この学習スペースは、いわゆる自習用スペースということでしょうか。

【事務局】そのように考えています。

【委員】そうであれば、交流・情報部門に入るのではないでしょうか。開架部門で学習スペースというと、図書館の本を利用して勉強するということになると思います。

【委員】受験生の方々が一斉に押し寄せて、他の利用者が使えない恐れもあるため、席の割り振りが必要になると思います。

【委員】さきほど、大学施設との連携という話が出ましたが、図書の連携以外にも考えられると思います。サイエンスカフェなど、今、大学で研究していることを市民に広めていくこともやられていますが、その場所が不足しています。そういうものを図書館でやっていけるとよいと思います。それは、自然科学に偏ったものではないでしょうし、生活の在り方など、様々な分野で成立すると思いますので、そういうことをやっていける場所を提供できると非常によいと思います。

【委員】柏市は大学コンソーシアムが動いているので、各大学の方々と議論していただいてもよいと思います。大学の場合は、補助金の問題があるため、来ていただいた方に利用してもらうことはできるが、連携に関しては法令的な枠組みを考慮する必要があります。そのあたりをどう解決していくかが課題になると思います。

【委員】例えば、鳥取では、鳥取県立図書館が音頭をとり、鳥取県内全ての公共図書館の本が検索可能ですが、それに加えて、鳥取大学の資料も検索できるようになっています。柏市と市内の大学が包括協定を結んでいただけると、図書館同士のやりとりが円滑になると思います。図書館同士の協定から始めるのは難しいと思います。

【委員】柏の付加価値を高める情報ということで、現在の情報という点については、例えば、柏周辺の企業や学校などが発信する情報に図書館としてどのように関わっていくかが課題になると思います。

【委員】本日は、先生方から色々なご意見を頂戴しましたが、まとめると同時にどこまで取り組んでいけるか、また、意見を具体的なコンテンツに落とし込めるかなどについてご検討いただければと思います。

【委員】鳥取のように県内全ての図書資料が見えるようになれば、柏市にない資料についても他の市に所蔵されていることが分かり便利になると思います。そのあたりが実現すると便利になると思います。

【委員】検索の技術を進歩させようということで、様々な取り組みが進められていますが、まだ実用レベルにはなっていないのが実情だと思います。公共図書館を管理するシステムは市場として魅力的ではなく、新しい技術を導入するインセンティブがない状況です。

【委員】基本的には様々な情報がデータベース化されることになってくると思いますが、せっかくなら図書館に来て、本を読んだり、作業することで、図書館のデータベースが自然に構築される仕組みも考えていければよいと考えています。

【委員】ウィキペディアのように、柏市の情報をオンライン上でストックするという方法はあると思います。

【委員】インターネットで情報を集積する際は、正誤等について慎重に扱わなければならないと思います。

【委員】その点について、検討する必要がありますが、私が申し上げたいのは、来館した方が集めた情報を図書館に提供してもらうことはできないのかということです。

【委員】図書館法においては、貸出記憶は返却された瞬間に消去しなければなりません。また、インターネット接続では利用者の履歴を読むことも問題になる可能性があります。

【委員】本日は、色々と貴重なご意見を頂戴できたので、本日の懇談会は終わりといたします。それでは、次回の打合せについて連絡をお願いします。

【事務局】本日も熱心にご検討いただき、ありがとうございました。次回は最終回となりますが、2月26日を予定しております。お時間につきましては、調整のうえ、早めにご連絡いたします。26日の会議では、整備基本計画書について、完成度の高いものをお示ししていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

7 傍聴

5人(うち記者2人)

8 次回開催日時(予定)

平成20年2月26日(火曜日) 時間未定

以上

お問い合わせ先

所属課室:生涯学習部図書館

柏市柏5丁目8番12号

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