更新日令和3(2021)年2月26日

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令和2年度柏市幼児教育振興審議会会議録

1 開催日時(資料送付日)

令和2年10月8日(木曜日)

2 開催方法

書面形式による開催

3 意見書提出者

総括 藪中会長

意見書 江島副会長,村川委員,築田委員,吉田委員,小野委員,水野委員,上野委員,宇佐見委員,多賀井委員

4 議題

柏市における幼稚園・保育園・認定こども園から小学校への滑らかな接続の在り方について

5 議事等(要旨)

〇報告

柏市立教育研究所における幼児教育関係の取組(柏市幼保こ小連携)

〇意見

事務局による報告後,委員により表明された主な意見は,次のとおりである。

【江島副会長】

  • 新型コロナウイルスの影響により,とりわけ直接的な対面を前提とする従来の連携活動が中止や延期となるなどのやむを得ない事態になっていることが予測される。この状況下における実現可能な連携活動の在り方を再考・検討し,幼保こと小学校のスムーズな接続を図ることが要請される。(特に各学校と各園の交流会や体験学習等)
  • 教職員研修では,小学校教員は園による「アプローチカリキュラム」の,幼保こ教員は小学校による「スタートカリキュラム」の内容についての理解を図るとともに,それぞれのカリキュラムの特質とそれに基づく各教育機関の実践を共有できるような研修体制・内容が望ましい。(その意味で,令和2年度の「幼児教育共同実践研究」の合同開催(予定)は効果的な取り組みと言える)

【村川委員】

  • 今回のテーマは,就学前の施設の小学校とのスムーズな接続。そのスムーズな接続に馴染まない集団がいるはずである。それが資料によれば「小一プロブレム」という言葉が使われている。この集団は極めて幅広いレベルの子どもたちで,小一では改善されない人もいるかと思われる。「小一プロブレム」という言葉自体が適当な用語とは思わないが,平成28年度から令和2年度まで,これは学校数だが,増加傾向はないものと考えてよいのか。

【築田委員】

  • アプローチカリキュラムにおいては,文字や数の知識の先取りではなく,“遊びや生活の中で”見たことがある,聞いたことがあるといった実体験を増やし,学びの基礎になる感覚を育成していくことが,とても大切である。また,幼児期の遊びや生活習慣の重要性を保護者の方々ともより深く共通理解していく必要があると感じている。
  • 伝え合いについては,積極的な意見表明だけでなく,困った状況におけるサポートの求め方も集団活動では重要になってくると思われる。個人の特性を踏まえ,言語表現で求めることが難しい場合には,非言語(挙手やアイコンタクト,先生が近くに来た時にタッチ等)の方法やタイミングのはかり方をスキルとして教えると,子どもたちの学びやすさにつながるのではないか。

【吉田委員】

  • 初めに,「滑らかな接続の必要性・重要性」等について,改めて論議することで,課題点や改善方法が導き易くなる。
  • 施設種別や地区別の代表者が携わり,課題点の明確化や目標設定について協議することで,「施設毎」の特性,「地域毎」の特性を踏まえることができ,主体的・合意的・合理的・効果的・地域特性的に改善を進めることができる。
  • 協議時のテーマとしては,「幼保こ」と「小」の間にあるギャップには,どのようなことが存在し,どのようなことが課題・問題となっているのかという点について,しっかりと議論し検証する必要がある。
  • “より良い接続の在り方”として,「滑らかな接続となる“最良な状態・条件”」等について,施設種別や地域別の代表者からの意見を元に協議し,「共通目標」や「施設毎の目標」として落とし込み,達成目標として設定すると良い。
  • 達成目標へ向かう方法論として,教育・保育の方法を具体的に定め,取り組む。
  • より良い結論を得るためには,以上の協議プロセスを重視することが大切である。
  • 接続の在り方への具体的な提案
  • 施設の理解…存在意義・役割・必要性・効果性・独自文化等の確認・理解
  • 子ども理解…幼児期~学童期の成長発達・行動・生活の特性や能力等の確認・理解
  • 段差…ギャップ・ハードルを低くするために,教育・保育のレベルを相互に寄せ合って行く
  • 従来からの取り組みで判明した課題点・問題点の確認・理解
  • 教職員による相互交流や施設見学を行う際は,形骸化しないように,しっかりと目的意識を持つ

【小野委員】

  • 今年度は年度当初より新型コロナウイルスの流行により,保育園においても行事等の中止や変更が相次いでいる。本来であれば地域の様々な方々との交流が,子どもたちの良い経験につながるのだが,今現在も一切できなくなっている。そのような状況において,本園では,5歳児は行事以外の活動の充実を目指し,一人ひとりの興味や関心が学びへとつながるよう,一人1冊のファイルを用意して,家庭との連携の下,「学びの物語」を紡いでいるところである。具体的には,園で栽培した野菜を家に持ち帰り,家族で料理をしてレポートを提出してもらったり,日々の活動で製作したものなども写真に撮って綴ったりしている。行事の準備に割いていた時間を使って一人ひとり遊び込む時間が増えたと担任も評価している。
  • 一方で,小学校や小学校のお兄さんお姉さんへの憧れの気持ちも当然強いことから,交流が難しくても,絵本やパンフレットを使って,具体的に学校生活がイメージできるような時間もこれから多く持てるよう,工夫していこうと考えている。また,通学路を散歩で通ってみたり,交通安全教室なども開催したりしていきたい。一日も早く新型コロナウイルスによる感染症が収束し,1回でもよいので交流できる日が来ることを祈っている。

【水野委員】

  • コロナ禍において,幼保こが小学校と交流するというのはとても大変なことである。せめて,教職員同士の心のつながりが大切だと思うので,このような形の会議であっても重要なことである。
  • 「滑らかな接続について」の中の小一プロブレムの状況について,一時的に落ち着いてきたように見えたが,現在16校と増えている状況である。集団行動ができない・座っていられない・話が聞けない等の状況は全て小学校2年生までに落ち着いているのか。幼児教育,小学校教育の行い方の問題なのか,個々の資質の問題なのか,そのほかの問題なのかを掘り下げていかなければ,小学校生活をスムーズに行わせることが難しくなり,最終的には,一部の子どもたちに悲しい思いをさせてしまうのではないかと思う。
  • ひらがなの読み書きは教え込む必要はないとパンフレットに記載されているが,学習予定を見ると鉛筆を持って4時間目に名前を書く授業がある。少し無理があると感じるが,いかがなものか。

【上野委員】

  • 柏市版「接続期カリキュラム」について

内容が整理され,しっかりできていて,大変参考になるものである。各学校でどのように活用されているか,検証はなされているのか。幼保こ小担当者や担当学年だけの情報共有ではなく,管理職や特別支援コーディネーターを含め,全職員での取り組みになっていることを願う。

  • はてなパンフレットについて

カラー版が就学時健康診断で保護者に配付されることは大変良いことである。内容の中の相談窓口について,「教育支援室」はおそらく入学後の相談に当たるところである。入学前に必要な「就学相談」「ことばの発達や弱視・難聴に関する相談」「入学にあたっての金銭的な援助」「子育て全般の相談」など,パンフレットに記載するか,その情報が得られるサイトの紹介などが入っていると良い。

  • 家庭と学校の連携について

今年度,コロナ禍での入学となった保護者の皆さんが,学校からのお手紙の内容一つ一つがなかなか理解できないことに気付かされた。いつもなら,学校やママ友などに気軽に相談できていた小さな疑問が,不安を大きくする原因となっていた。学校は,入学期の保護者にもっと丁寧な説明をすべきだと思う。今後はホームページやメール,説明動画をもっと活用するとよい。

  • 幼保こ小連携について

コロナ禍の中,今年度の幼保こ小連携の体験活動・会議はほとんど行われていない状況と思われる。来年度の入学前には,担当者がオンラインやオフラインで話し合うことが必要ではないか。また,感染予防を行いながら,オンラインで幼稚園・小学校の児童をつなぐ試みも必要だと考える。本校は,地域の幼稚園・保育園に声をかけ,オンライン学校探検・オンラインゲーム大会などを企画しようと思っている。すべての学校で,工夫した「つながる・つなげる」活動が行えると良い。

  • 地域,関係機関との連携について

幼保こ小連携の中にインクルーシブや特別支援の項目はないのか。また,関係機関として,保健所の乳幼児健診や子育て支援など,幅広い連携がとれるようなシステムがあると良い。保育園は保育,幼稚園は教育,小学校は教育だが,本審議会のテーマは「滑らか接続」であるが,子ども一人ひとりを教育と保育の部分に分けて語ることはできない。保育と教育では,行政区分も分かれているが,そこをつなげて広い視野に立ったシステムの構築について審議会でも議論していきたい。

【宇佐見委員】

  • 教育研究所における幼児教育関係の取組みについて賛同する。

【多賀井委員】

  • アプローチカリキュラムの小学校の学びの基礎となる幼児期の姿の項目の多さに驚いた。個人差が大きい幼児期にこれらを意識してどんな経験をさせるのかを考えるのは大変かと思う。アプローチカリキュラムは5歳児のカリキュラムとなっているが,3・4歳ぐらいから小学校をもっと身近に感じられる,関わることができる体験があると良い。

〇委員による意見書をもとに,会長により表明された総括は,次のとおりである。

【総括(藪中会長)】

2019年10月から3歳~5歳の幼児教育・保育の無償化がスタートしました。その目的の一つにはいわゆる「小一プロブレム」への対応があります。これが資料にあります「柏市版令和2年度接続期カリキュラム」だと思います。このカリキュラムでは,幼児期の教育と児童期の教育の目標「学びの基礎力の育成」という一つのつながりとして捉え,就学前施設が小学校に合わせるのではなく,互いの教育を理解し,見通すようにするという考え方を推進されていることが伺えました。本カリキュラムでは,「アクティブ・ラーニング」も推進されていますが,就学前施設で育てられた主体性をさらに生かしていく工夫をされることも重要なことだと思います。そのためには,就学前施設と小学校のそれぞれがその役割を果たすとともに,子どもの発達や学びの連続性,一貫性を担保し,子どもに対して体系的な教育を組織的に行うための接続の進め方とあり方を共に研究していく必要があります。その第一段階である児童や幼児が交流する取組はすでに行われています。今後この取組がさらに発展していくためには,就学前施設と小学校のそれぞれの施設が,それぞれの教育目標を達成しつつ,有効な接続ができるようにするにはどうすればよいかについて,議論を重ねていく必要があるでしょう。議論のきっかけとしては,現在進行している「保幼こ小接続」について次の2点をさらに検討していただくことを提案します。1.幼児と児童の学びの姿を知ること,2.幼児教育・小学校教育それぞれでの学びを知ること,を実施していただくことです。具体的には,育てたい子どもの姿とはどのようなものか,2.遊び・体験がどのような学びにつながっているか,幼児期の学びの姿が小学校教育にどのように接続していくのか,の共通理解をさらに図っていただきたいと思います。柏市では,連携から接続へと徐々に発展しています。今後に期待しています。

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