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市議会令和7年第1回定例会における教育行政方針
令和7年2月21日(金曜日)に開会した「市議会令和7年第1回定例会」において、次のとおり令和7年度に予定している教育委員会の主要な取組の概要について報告いたしました。
市議会令和7年第1回定例会教育行政方針
市議会令和7年第1回定例会の開会にあたり、新年度に向けた教育行政の主要な事項について、その方向性と概要を申し上げ、市民並びに議員の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
第六次総合計画の初年度となる令和7年度は、学校教育、教育環境、生涯学習及び文化におけるそれぞれの目指す姿の実現に向け、総合計画や部門計画に基づく各種施策への取組を着実に実施し、柏市の教育行政を推進してまいります。
はじめに、基本方針及び部門計画の策定についてです。
柏市立学校の児童生徒にとってより良い教育環境の確保と教育の質の向上を図るため、本市の学校教育における羅針盤として策定する「未来につなぐ魅力ある学校づくり基本方針」につきましては、パブリック・コメントによる市民等からの意見聴取を終え、今年度末の策定へ向けて、教育委員会の附属機関である「教育政策審議会」での審議は最終局面を迎えております。
本基本方針は、今日の学校現場を取り巻く様々な教育課題への対応の方向性や将来を見据えた学校のあり方を示しており、「柏市の学校教育が目指す子ども像」や「目指す学校教育」の実現に向けて、令和7年度から各種教育施策に取り組んでまいります。
また、学校教育に関する部門計画として策定している「教育振興計画」につきましては、令和7年度をもって現在の計画期間が満了することから、次期計画の策定を進めてまいります。
策定にあたっては、未来につなぐ魅力ある学校づくり基本方針の内容を踏まえるとともに、昨年12月に市民、児童生徒、教職員を対象に実施したアンケート調査の結果も参考としながら、教育政策審議会において、多面的な審議のもと、具体的かつ実効性のある計画となるよう取り組んでまいります。
さらに、教育環境整備の計画となる「学校施設個別施設計画」を令和6年度からの2か年で改定いたします。
改定にあたっては、未来につなぐ魅力ある学校づくり基本方針の内容を踏まえ、昨今の財政状況や児童生徒数の推移など教育環境を取り巻く動向を捉えた施設整備方針とするとともに、計画第一期目の実施工事に関するコスト分析、今後の教育水準に求められる標準的な学校施設のあり方、さらにはカーボンニュートラルに向けた環境負荷抑制策など新たな視点も踏まえて検討を進めてまいります。
続いて、令和7年度の教育委員会の主要な施策について、その概要を申し上げます。
まず、柏中学校区義務教育学校の設置についてです。
これからの時代に求められる質の高い教育を実現するため、義務教育9年間を見通した小中一貫教育を実践する義務教育学校を令和10年度に開校すべく、ソフトとハードの両面から準備を進めてまいりましたが、市長の施政方針にもありましたとおり、建設業における働き方改革の影響による工事期間の延長や、現在の柏中学校の運営をとめることなく工事を安全に進めるために行うグラウンド等の先行整備の実施を踏まえ、開校までのスケジュールを見直し、令和12年4月の開校を目途に事業に取り組んでいくことといたしました。
本事業においては、昨年9月に設置した柏第一小学校、旭東小学校、柏中学校の学校運営協議会委員により構成する「地域協議会」を設置し、これまで合計14回にわたり、学校統合に関することを含め、様々な角度から大変活発に意見交換がなされており、地域での理解と合意形成に向けた丁寧な取組に努めているところです。
また、施設整備にあたりましても、地域協議会委員からの意見を聴取するほか、本年1月には、関係校の児童生徒にアンケートを実施したところです。引き続き、開校までの間、学校関係者との協働のもと、教育環境の充実と教育の質の向上へ向けて、児童生徒はもとより、保護者、地域、教職員等、全ての学校関係者に愛される学校づくりに努めてまいります。
次に、小中一貫教育の推進についてです。
児童生徒一人一人に「安心・安全な居場所」があり、全ての子供の「学習権」を保障する誰一人取り残さない教育を実現すべく、全市的な推進に向けて取り組んでおります。
令和7年度は、「小中連携教育研究協力校」として、先行して取り組む体制を構築した市内3つの中学校区において、校務分掌や教科ごとに「部会」を立ち上げ、中学校区の目指す姿の実現や課題解決に向け、計画的に取り組んでまいります。また、各中学校区に担当の指導主事を派遣し、協力校での実践を全市的に展開できる基盤を整えてまいります。
さらに、義務教育9年間だけでなく、就学前からの切れ目のない学びの実現のため、幼稚園・保育園等と小学校の連携を推し進め、授業や活動の相互参観等も引き続き実施し、各校の実態に寄り添った支援に努めてまいります。
次に、GIGAスクール構想によるICT利活用の推進についてです。
令和3年度以降、学習活動の一層の充実や「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を目指すGIGAスクールを開始し、ICTの活用を段階的に進めてまいりました。
令和7年度においても、引き続き、デジタル学習基盤を活かした、児童生徒の資質・能力の育成に努めるとともに、各学校に常駐するIT教育支援アドバイザーによる学校への支援、WEBサイトやクラウド上の教職員掲示板を活用した情報発信、教職員研修の充実を図り、デジタル学習基盤の活用推進に取り組んでまいります。あわせて、GIGAスクール端末の更新に向けた準備を滞りなく進めてまいります。
次に、水泳指導等業務委託についてです。
これまで、児童がより意欲的、効果的に指導を受けることができるよう、市立小学校の水泳指導における業務委託を推進してまいりました。
令和3年度より段階的に実施校数を増やしており、令和7年度には対象校を40校まで拡大し、令和8年度には水泳授業を自校で行う学校への指導員派遣を含め、市内全小学校の委託完了を目指して取り組んでまいります。
次に、SNS相談業務委託についてです。
令和6年度よりSNS報告・相談プラットフォーム『STANDBY(スタンドバイ) 』の相談業務を、サービスの即応性や相談機能の向上を目指し、民間事業者に委託しております。対象学年を小学5年生から高校3年生まで拡大したことや、心理の専門的知見からの助言が可能となったことから、今年度は概ね1,000件、20,000回を超えるチャットの返信を行っております。
今後も、児童生徒が誰にも相談できない状況とならないよう、引き続き相談窓口の一つとなるよう推進してまいります。
次に、教育支援センターの充実及びスクール・ソーシャル・ワーカーの配置についてです。
不登校児童生徒数は年々増加しており、近年では特に小学生の増加が顕著となっております。これまでも、教育支援センターでの対応をはじめとした不登校児童生徒への支援に取り組んでまいりましたが、引き続き、不登校となる背景を理解した上での個別適切な支援を講じてまいります。
また、貧困、児童虐待、ヤングケアラーといった困難を抱える児童生徒に対しては、学校だけで支援を完結することは困難であり、児童生徒本人だけでなく、保護者をはじめとした家庭環境に対しての働きかけや、関係機関との連携・協働が必要不可欠です。
そのため、今後も学校現場へのスクールソーシャルワーカーの配置を充実させ、より早い段階でのケース対応により、問題が大きくなる前の早期支援に努めてまいります。
次に、特別支援教育の推進についてです。
特別支援学級在籍児童生徒数は大幅に増加する一方で、特別な支援を要する児童生徒の「自立」と「社会参加」への支援が急務となっております。学校においては、特別支援学級での学習及び生活の支援とともに、通常の学級における「交流及び共同学習」の充実が求められ、教育支援員によるきめ細やかな支援が必要不可欠です。
また、通常の学級にも車いすを使用している等、教育支援員による個別の対応が必要な児童生徒が在籍していることから、教育支援員の配置を継続して推進し、児童生徒の校内での活動を支援してまいります。
次に、教室不足対応事業についてです。
学区内の児童生徒数の増加により、将来的に既存の校舎だけでは受け入れが困難となることが見込まれる小中学校において、増築校舎の整備等を行い、良好な教育環境の確保に取り組みます。
令和7年度は、増築に向けて継続中の田中中学校の工事及び柏の葉小学校の設計に加え、高柳小学校の工事に着手します。
また、児童が急増する柏第七小学校と田中北小学校でリースによる校舎設置を行うほか、柏第七小学校においては、あわせて、プールの解体工事や特別教室を普通教室に転用する工事等を行い、各校において必要な教育環境の確保に向けた取組を進めてまいります。
次に、空調設備整備事業についてです。
授業や部活動中の熱中症対策及び避難所としての機能強化の観点から、市立小中学校の体育館へ空調設備の設置を進めております。
令和6年度には、市立中学校20校への設置工事が完了しました。引き続き、中学校1校及び小学校41校への設置工事を実施し、全ての市立小中学校で空調設備が供用開始される予定です。
次に、校舎等老朽化対策事業についてです。
学校施設の老朽化対策として、学校施設個別施設計画に基づき施設整備を順次進めております。
令和7年度は、校舎の長寿命化改良事業として、光ケ丘小学校での設計、高田小学校での工事に新たに着手いたします。このほかにも、西原小学校及び柏第四中学校では継続中の工事を進め、両校とも二学期から新しい校舎での学校生活が始められる予定です。
さらに、屋内運動場の長寿命化改良事業として、設計及び工事それぞれ2校ずつ実施するほか、校舎の大規模改修事業として、逆井小学校での設計、柏第四小学校ほか3校での工事を実施してまいります。
また、風早南部小学校の空調設備更新工事の設計、柏中学校のトイレ改修工事を実施いたします。
次に、学校給食施設の改修及び更新についてです。
安全・安心な学校給食を安定的に提供するため、老朽化した学校給食センターの移転整備を進めるとともに、自校方式調理場の改修や再整備を計画的に進めてまいります。特に、柏第七小学校の児童数の急増への対応としましては、給食室の調理能力不足が一時的なものであることから、高田小学校の給食調理場に他校への給食運搬機能を整備することで対処してまいります。
また、柏第三小学校につきましては、衛生基準を満たした新たな給食室を整備するため、令和8年4月の稼働に向けて工事を進めてまいります。
さらに、学校給食調理員の熱中症対策として進めてまいりました学校給食施設への空調設備の設置につきましては、小学校への設置工事が完了しましたので本年4月から運用を開始いたします。中学校につきましては、令和7年度に設置工事を行い、令和8年4月からの運用を予定しております。
次に、学校給食費の公会計化についてです。
令和6年度は管理システムの構築や保護者への周知、関係取引先などとの調整を進めてまいりましたが、本年4月から徴収管理業務を市教育委員会に移行し、教職員の業務負担軽減、給食会計の透明性及び保護者の利便性の向上に努めます。
あわせて、請求書処理にデジタル化サービスを導入し、業務の効率化を図ってまいります。
次に、部活動の地域移行についてです。
全国に先駆け、令和5年9月より市内全中学校で実施してきた休日の部活動の地域移行は、令和6年度には陸上競技部と吹奏楽部の地域クラブもスタートし、土日に活動を行っていた全ての部活動の移行が完了いたしました。
「子どもたちの持続的な活動環境の確保」「教員の時間外勤務の削減」「児童生徒・保護者・教職員の活動に対する満足度」の観点から、一定の成果を把握した一方で、事業開始により明らかになった課題を整理し、地域に根付いたより良い活動環境が提供されるよう継続して取り組んでまいります。
特に、参加費用の支援については、国や県に協力を要望し、経済的理由により活動に参加できないといったことが起こらないよう対応してまいります。
次に、放課後子ども教室推進事業についてです。
放課後子ども教室推進事業では、現在の補充学習支援を目的としたステップアップ学習会や体験学習型、及び昨年10月より高柳小学校でモデル事業として開始した居場所型を引き続き実施していくとともに、こどもルームとの一体的運営を目指し、「すべての児童の放課後の居場所」の提供を推進してまいります。
次に、文化財保存活用地域計画の推進についてです。
柏の先人たちが築いてきた貴重な文化財を次の世代につないでいけるよう、柏市文化財保存活用地域計画に基づき保存・活用の事業を展開してまいります。
文化財の保存としましては、旧吉田家住宅の茅葺屋根の葺き替え工事を行います。工事の際は、工事見学会を開催するなど、市民が文化財に触れることのできる機会を設けてまいります。
また、文化財の活用に関しては、推進体制として多様な主体で構成される計画推進協議会を昨年度立ち上げたところであり、関係団体・市民との協働による既存連携事業の強化、新規文化財活用事業の検討を行ってまいります。
最後に、令和7年度の教育委員会の組織改編についてです。
放課後の新たな居場所として、こどもルームと放課後こども教室との一体的運営を目指す体制を構築するため、市長部局の学童保育課をアフタースクール課として教育委員会の生涯学習部に移管し、全ての児童の放課後居場所づくりを推進します。
また、教員の働き方改革を推進し教育の質を高めるため、学校教育部の学校財務室を学校財務課として教育総務部に移管し、学校現場における財務事務の支援体制の強化を図ってまいります。
以上、令和7年度の重点的な取組を中心に概要を申し上げてまいりました。
市民の皆様一人一人が生涯を通じて学び、地域でいきいきと生活を送ることができるよう、また、これからの時代を担う子どもたちが自他との対話を大切にしながら、心身ともに安心して学び続けることができるよう、「柏で学んでよかった、これからも柏で学び続けたい」を目指し、今後とも全力で教育行政の推進に取り組む所存でございます。
議員の皆様の今後一層のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げまして、教育行政方針とさせていただきます。
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