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令和5年度柏市地方創生総合戦略評価委員会 会議録
1 開催日時
令和5年12月18日(月曜日)午後1時30分から午後3時
2 会議形式
WEB会議
3 出席者
(1)委員
河南委員、久我委員、鈴木委員、染谷委員、常住委員、寺内委員、宮入委員、若林委員
(2)事務局
小島企画部長、保木経営戦略課長、他5名
4 議事等
- 柏市地方創生総合戦略評価指標について
- 柏市地方創生推進交付金事業評価について
- 意見交換
5 企画部長挨拶
小島企画部長より挨拶。趣旨は以下のとおり。
- 令和3年度より、市の最上位計画である総合計画の後期基本計画と同時に第2期柏市地方創生総合戦略の運用が始まり、今年度で3年目となる。
- 後期基本計画、総合戦略ともに令和3年度から5年間の計画期間であったが、コロナ禍を経て社会情勢が変化したことを踏まえ、総合計画は計画期間を1年前倒しをして令和7年度から新たな総合計画として運用を開始していくこととした。
- 今後、次期総合戦略について、新たな総合計画の中に溶け込ませる一体化を行うか、総合計画と総合戦略を別にして、一体的に策定するか検討していくが、いずれにしても、総合計画と総合戦略が一体となって、今後、本市が進むべき進路を示していく。
- 本評価委員会の主目的である交付金活用事業の評価について、現行の第2期柏市地方創生総合戦略に基づいて、国からの交付金を活用した事業は農政課が行っている手賀沼関係の事業である。
- 現在の地方創生総合戦略は、コロナ禍に策定した戦略であるため、現在の社会情勢等と異なる状況もあるが、この後、農政課からの説明を聞いたうえで、令和4年度の取組に対する評価をいただきたい。
- 意見交換の場では、各委員の専門的な立場から意見をいただきたい。
6 委員紹介及び委員長等の選出について
事務局より、初出席の委員を紹介。
委員長及び副委員長を次のとおり選出。
- 委員長宮入委員
- 副委員長河南委員
7 議事要旨
(1)柏市地方創生総合戦略評価指標について
事務局より、令和4年度評価及び概要について資料1をもとに説明。
(2)柏市地方創生推進交付金事業評価について
農政課より、令和4年度事業概要及び成果等について資料2をもとに説明。趣旨は以下のとおり。
「手賀沼地域『小さな拠点』創出事業」
- 令和3年度から令和5年度の3カ年事業であり、令和2年度で終了した前計画の横展開事業として新たに事業計画が採択されたものである。
- 事業実施主体は官民連携で立ち上げた組織である手賀沼アグリビジネスパーク事業推進協議会となっている。
- 手賀沼アグリビジネスパーク事業推進協議会は、平成28年度から農業を中心とした「手賀沼アグリビジネスパーク事業」として手賀沼地域活性化させていく目的で立ち上げた協議会で、株式会社道の駅しょうなんや地元農家、地元の民間事業者、NPO法人などが入っており、柏市は監事として構成している。
- 道の駅しょうなんを地域のエントランスとし、そこで集客した人々を手賀沼地域に送客し、事業の一環として整備した「水辺の拠点」及び「わしのや農業交流拠点」の活用と交流人口の増加により地域全体の活性化や中間支援組織の構築を目指すグランドデザインとなっている。
- 水辺の拠点については、手賀沼に魅力を感じる利用者や事業者をターゲットとした、民間サービスに支えられた活性化の拠点、わしのや農業交流拠点については、集落と農的活動に関わる都市住民等の連携により、地域課題の解決を目指す地域活動コミュニティの拠点として活用され、道の駅しょうなんを含めた拠点間連携が活性化されることを目標としている。
- 水辺の拠点(手賀沼フィッシングセンター)は、農水省及び手賀沼漁業協同組合の土地を借地し、市で駐車場や観察池等を整備した。
- 「テガヌマウィークエンド」というイベントを10月の週末を中心に開催した。手賀沼周辺で活動する団体と連携したプログラム実施している。
- 生き物観察会(ミライのいのち池の生きものとお話しよう!)は、生き物観察だけではなく、池の環境改善等も行い自然環境について学んでいけるフィールドとなっており、令和4年度は541人に参加していただいた。
- 水辺の拠点等を中心に手賀沼周辺をフィールドとして活動する多様な団体が組織された「ヌマベクラブ」では、毎月1回ヌマベ部会を開催したりしている。そこでは拠点の活用方法や使用上のルール、イベント内容の検討、勉強会等を実施し、水辺の拠点に関する利活用について協議を行っている。
- わしのや農業交流拠点は、空き家の寄附を受けた柏市が休憩所のような形で整備した。
- 「手賀沼ワインプロジェクト」は地元の農業者が周辺の耕作放棄地を活用してワイン用ぶどうを生産を始めたことをきっかけに、将来的にワインを販売するだけでなく、体験プログラムの企画やワインツーリズムの商品として方向性を検討している。
- ぶどう作りについては、ボランティアも市内外から参画しており、関係人口の増加にも繋がっている。
- 令和4年度では耕作放棄地活用に関して理解を深めるため、農地を提供してくれている地権者や周辺農家等を招待し、ぶどう畑の見学会を行い、今後の将来像について説明をする機会を作った。
- 栃木県足利市にあるワイナリー「ココ・ファーム」にワインプロジェクトメンバーや地域住民と視察を実施したことにより、他地域のワイン周知を学ぶ活動を行った。
- 道の駅しょうなんは、「てんと棟」は地域のエントランス拠点として、令和3年12月に施設を拡張し、既存施設「つばさ棟」も令和4年4月にリニューアルした。
- 中間支援組織の構築に向けては、本事業の実施主体である「手賀沼アグリビジネスパーク事業推進協議会」が、今後、手賀沼周辺で活動する団体等の支援や地域の課題解決、まちづくり、情報発信などを担う「手賀沼まちづくりセンター」として、これまでの組織形態から法人化に向けた検討をしている。
- 令和4年度は主な機能や役割を「アグリ部門」「ツーリズム部門」「インフォメーション部門」の3つの部門に分けていくことを検討した。
- KPIについては、令和3年度から始まり2年経過したが、今年度の取組も踏まえると、概ね達成見込みとなっている。
(3)意見交換
「柏市地方創生総合戦略評価指標」
(宮入委員長)
指標としている「子育てに関する支援に対する満足度」は年々低下していっている一方で、それぞれ5つの事業が良い自己評価をしているので、指標と事業はどのように結びついているのか。また、子育てに関しても複数の担当課にわかれているが、同じ目標に対して関わっているはずなので、どのように連携しているのか教えてほしい。
(事務局)
委員長おっしゃるとおり、各事業と「子育てに関する支援に対する満足度」の因果関係を捉えることは困難である。本来であれば、各事業が最終的に満足度へどう結びついているのか、事前に整理をしたうえで自己評価をするべきだったと考える。担当課としても子育ての満足度を1つの事業で直接的に評価することは、非常に困難だと推察されるので、次年度以降は、各担当課と事務局で評価前に事業の関連性や指標への影響をブレイクダウンしつつ、整理していく。各事業の連携についても、事務局が中心となり、各事業の関連性、指標の設定のあり方等について、見直しも含めて検討していく。
(常住委員)
「子育てに関する支援に対する満足度」の指標について、令和4年度の実績値は低下しているが、満足していない内容や期待している支援内容まで問う設問ではないのか。
(事務局)
選択式で満足度の調査を行っており、設問設計についても課題があると認識している。
(鈴木委員)
選択式アンケートの回答方法が「満足している」「満足していない」だけだと、「どちらともいえない」という曖昧な回答が多くなると考えられる。子育ては、世代や属性によってきめ細かな支援が必要になるので、設問も細かく設定できれば望ましい。
(事務局)
アンケートの回答を確認してみると、「どちらともいえない」という割合が増えている。選択式設問であっても、回答を選択した理由まで含めて聞いていくことで、初めて分析が可能となり、適切な評価につながると考える。
(宮入委員長)
先週発表された「共働き子育てしやすい街ランキング」では、松戸市が全国1位であった。
言い換えれば、隣接している市において、子育ての満足度が高いことが判明しているため、真剣に満足度を高める政策や事業を考えていかなければ、柏市を選んで子育てしてもらえないのではないか。やはり担当課がしっかりと連携して、点で行っている事業をつなげていくことが大切である。そのうえで、連関している事業が効果的なのか、評価されていないとしたら、各事業が意味のないことを行っているのか、それとも事業自体が知られておらず、発信力がないのか等、検証していくことが大切である。
(久我委員)
手賀沼周辺地域の取組や子育てに関する取組のような現在行っている事業について、都内に活動拠点を置いている人に周知されていないという実感がある。例えば、子育て情報啓発物は母子手帳交付時に配付したり、市のHPに掲載したりしていると思うが、定住人口の増加や子育て満足度の向上の視点で考えてみると、転入してもらうために周知することも重要である。市外に向けた広報活動で試みていることはあるのか。
(事務局)
市によって政策や事業の違いがあるため、異なる点を分析したうえで整理しなくてはいけないと感じる一方で、似たような事業でも情報発信のタイミングや伝え方によって受け取り方が異なることも重々承知している。柏市は広報部を新設し、地域ブランディングやシティープロモーションに力を入れていく体制となっている。
「手賀沼地域『小さな拠点』創出事業」
(鈴木委員)
PR冊子である「TEGALOVE」や「手賀沼いちごスタンプラリー」を読んだが、きれいに作られており、読み物としても大変面白かった。
道の駅しょうなんがリニューアルしたことで、人の動きが活発になってきたと感じる。柏の名産や象徴は見えにくかったが、今後、重点的に進めていく取組である「手賀沼ワインプロジェクト」が活性化していけば、ワインを柏市内外にPRできる可能性がある。
(河南副委員長)
手賀沼周辺は我孫子市も印西市も関わっているので、広域で連携しながらにぎわいを創出していきたい。千葉県もできる限りバックアップしながら協力していきたい。
現在取り組んでいるワイン、ブルーベリー、かぶ等の農産物を活用した地域創生に、今後も期待している。
(久我委員)
私自身、手賀沼が汚かった幼少期の頃と比較し、「手賀沼地域『小さな拠点』創出事業」はレジャーや学びのフィールドとして活用しており、水質改善も含めて、市民としても評価できる事業だと感じるので、さらに対外的にアピールしていってほしい。
(寺内委員)
銀行に配属されたばかりの頃は我孫子支店だった。また、妻が沼南町の出身であり、道の駅しょうなんの開設当初も記憶している。当時は会社勤めを終えた人たちがドライブついでに立ち寄ったり、運送ドライバーが休憩したりする場所だったが、現在は、月曜日から金曜日でも駐車場に空きがなく、常に人で溢れている。施設も増えたことで、ファミリー層や若い人たちが多く集まり、サイクリングを楽しんでいる姿を目にする。
手賀沼には、渡ってきたハクチョウがそのまま住みついている光景が見られ、自然も豊かである。また、手賀沼フィッシングセンターについても家族連れや若い人がテントをはってバーベキューを楽しんでおり、変化してきている。手賀沼全体が都心にも近い、全世代の方がくつろげるようなエリアになった。
「手賀沼地域『小さな拠点』創出事業」が継続性をもってさらに拡大していくことを期待している。無料サイクリング等で道の駅しょうなんとフィッシングセンターをつなげば、さらに相乗効果が生まれるのではないか。現在の取組は非常に高く評価している。
(染谷委員)
この事業について、委託を受けている手賀沼アグリビジネスパーク事業推進協議会の一員でもあるので、評価は難しい。昨年度、手賀沼地域は千葉県知事からも「ちばコラボ大賞」をいただいており、道の駅しょうなんとしても我孫子市と連携して取り組んでいきたいと考えている。
寺内委員からのハクチョウの話について、自然豊かで素晴らしい反面、イネや苗を食べられてしまう農業被害も多いので、課題として捉えている。
(常住委員)
指標2.「『小さな拠点』に新たに加わったサービスの利用者数」における実績値1,660人は道の駅しょうなんに訪れた人数か。
(農政課)
本事業内で新たに加わったコンテンツや体験プログラムの利用者数になる。つまり、サービスに参加した人数である。
(常住委員)
サービス利用者のアクセス手段は車か。
(農政課)
立地的に公共交通機関から離れている場所なので、バスか自家用車の利用がメインとなる。
(常住委員)
駐車場にも限りがあるなかで、さらに多くの人に利用してもらうために、車以外のアクセス手段は検討しているか。
(農政課)
現時点で具体的にはない。確かに公共交通機関は難しいが、エントランスとなる道の駅しょうなんは400台近くの駐車場があるうえ、バスも通っている。フィッシングセンターの駐車場も拡張している。道の駅しょうなんで自転車をレンタルし、サイクリングでアクセスしてもらう方法もある。
(宮入委員長)
道の駅しょうなんから手賀沼フィッシングセンターまでは歩ける距離か。
(農政課)
約5kmなので徒歩だと厳しい。
(若林委員)
令和4年度は本学の授業の一環でも手賀沼関連で関わらせていただいた。今年度以降も継続的に連携させていただき、学生のステップアップの機会を与えてもらいたい。
道の駅しょうなんは、令和3年度にリニューアルオープンし、最初は新しい施設のため来場数は多いと思う。今後も引き続き来場数を維持していくためのイベントや仕掛けがあれば、協力していきたい。
(宮入委員長)
事業の評価と道の駅しょうなん自体の評価の切り分けが難しいが、地域全体が活性していかないと点で終わってしまうため、道の駅しょうなんの拡張により得られた集客を活用することは悪いことではない。
イベントを多く打ち出しているが、SNS等を活用して発信しているので、周知も問題なくできていると思われる。イベントに対するリピーターの割合は把握しているのか。
(農政課)
イベントごとに個人の特定やアンケートなどはしていないため、リピーターを正確に把握していないが、「生き物観察会」などは小学校4年生から初めて小学校6年生まで参加する等の特定のお子様が参加している印象がある。
地域のファンを増やすという観点から、リピーターを増やすことも目的としている。
(宮入委員長)
継続性をもってイベントを行うことが大事である。テーマに基づいた体験をしてもらうテーマパークの要素を取り入れ、年間パスポート発行やポイント制度によるインセンティブ付与等、工夫を凝らして繰り返し参加してもらえる仕掛けが必要だと感じる。
体験から滞在というステップを踏み、移住という最終フェーズまで移行する戦略的なシナリオを描きながらイベントを紐づける設計にすることが大切である。
この事業は環境教育とも結びついていて、総合戦略基本目標1の子育て関する支援に対する満足度の向上に寄与するのではないか。あくまでも一例だが、他事業とも連関するよう展開していってほしい。発信という面からも、外部だけでなく庁内に向けてPRするインナーマーケティングを強化し連携してもらいたい。
(農政課)
農業体験や星空の観察イベント等については子育て世代との親和性は高いと感じており、こども部の公式LINE配信などを活用するといった部分での連携は進めている。この交付金活用事業ではないが、未就学児向けの農業体験も進めているところなので、子育て支援とも関わりながら拡大していきたい。
また、情報発信については、庁内でも課題として認識している。今年度でこの交付金は終了してしまうが、来年度以降、情報発信を強化しながら事業を継続できるように考えていきたい。
柏市地方創生推進交付金事業の評価について
令和4年度に実施した「手賀沼地域『小さな拠点』創出事業」について、出席全委員より「総合戦略のKPI達成に有効であった」と評価を得た。
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