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1-1.現況と課題

中央ゾーンの現況と課題については、平成11年度に実施した「柏市中央ゾーン整備構想策定基礎調査」において、(1)中央ゾーン全体の現況調査(自然条件・社会条件・都市基盤状況)、(2)中央ゾーン居住者のアンケート調査、(3)コミュニティ地区別の現況調査を行いました。ここでは、整備構想を検討する上で特に認識しておくべき中央ゾーンの「現況、特性、問題点・課題」を以下に整理しています。

1.現況

  • 居住年数が20年以上、または10年以上といった定住世帯が多いことがあげられます。
  • 中央ゾーン全体の人口は近年減少傾向にあり、豊四季台・旭町・新田原・富里・永楽台の各コミュニティ地区及び柏駅前の町会で減少しています。
  • 高齢化率は全体的に高く、豊四季台団地、柏駅西口側、柏駅東口側の広範囲で15%を超えています。
  • 豊四季台コミュニティ地区で少子化の傾向が現れており、小学校の小規模校が存在しています。
  • 市街化の進展に伴い、住宅地における緑被率の低下や自然環境の悪化が生じています。
  • 用途地域の指定は、柏駅を中心とした商業系の外側に、中高層住居系、低層住居系が段階的にまとまりをもって指定されています。
  • 土地利用では、密集市街地の防災上の課題、代替わりによる宅地の細分化やアパート化が進んでいます。
  • 鉄道駅は中央ゾーン内に4駅(柏駅・南柏駅・北柏駅・豊四季駅)あるが、柏駅の利用が極めて高く、他の駅近辺からも車・人・自転車が柏駅に集中しています。
  • 交通は通過交通と地区内交通、自動車交通と歩行者交通等が混在しています。
  • 駅までの交通手段は徒歩・自転車が大半を占めており、バス利用は少ないようです。徒歩での所要時間は20分以上の人が多いようです。また、自転車の利用は、60歳を越えるとバス利用に移行する傾向が強くなります。
  • 買物は柏駅周辺と地元商店街を利用しており、特に柏駅周辺への依存度が高いようです。
  • また、高年齢化にしたがい地元商店街への利用に移行しています。
  • 余暇活動は、散歩・ウォーキングが定着しており、特に50歳以上に高く支持されています。
  • 地域活動は、環境美化・自然保護・資源のリサイクルに関心が高いことがあげられます。
  • 若者が多く集まるまちになっている反面、治安が悪いという声も多くあげられています。
  • 柏駅を中心とした放射環状系の道路網となっており、通過交通も中心部を通る交通体系となっています。

2.特性

(1)柏市の今後の方向性

  • 柏市は、東京のベッドタウンである「住宅都市」から、昭和48年に完了した全国初の市街地再開発事業を契機に、柏駅周辺の商業集積が飛躍的に進み、現在では、商圏人口217万人・吸引人口57万人(柏市商圏調査報告書・平成11年3月)を有する、千葉県北西部を代表する「商業都市」として発展してきました。
  • また、北部ゾーンにおいては、常磐新線の建設と沿線地区の計画的な市街地整備が予定されており、東葛テクノプラザや東京大学柏キャンパス、周辺の産業集積と合わせた新たな都心機能の創出が期待されています。
  • 第5次首都圏基本計画においては、業務機能等諸機能の東京中心部への集中による一極依存構造に伴う弊害を解消するため、職住近接の総合的な居住環境を備えた都市として発展することが期待されています。

(2)中央ゾーンの特色

  • 中央ゾーンは、柏駅を中心に商業・業務機能及び行政・文化機能等が集積した「中心市街地」(都心)があり、その周辺には利便性の高い「居住地」が形成されており、さらに手賀沼・大堀川・大津川など都心や居住地に近接して豊かな「自然」が残されている。この「中心市街地」「居住地」「自然」がワンセットのパッケージとして形成されていることが、中央ゾーンの大きな特色になっています。
  • したがって中央ゾーンにおいては、これら3つを活かしながら、さらに新たな魅力・個性を生み出していくことが望まれています。
  • また、地域内外から幅広い世代の人々が集まる地域であることから、都市生活の利便性を、さらに高める施設整備と、人々が集い・憩い・交流する場を生み出す魅力ある拠点づくりを進めていくことも期待されています。

3.問題点・課題

中央ゾーン全体に係る課題は、大きく次の3点に集約しました。

  • (1)首都圏における分散型ネットワークの一翼を担う都市の中央部として、今後、中央ゾーンにおいては、商業・業務機能及び、文化・娯楽・居住など、諸機能の集積が一層期待されます。
  • (2)中央ゾーンの構想づくりにおいては、北部ゾーンの緑園都市構想・南部ゾーンの緑住都市構想との機能分担と連携を考慮する必要があります。
  • (3)柏市は、常磐新線沿線整備地区において常磐線と常磐新線が最も近接する都市であるため、柏駅周辺地区と(仮)柏北部中央駅周辺地区との連携に配慮した構想づくりが重要です。

また、上記以外の中央ゾーンの個別課題については、平成11年度に実施した「柏市中央ゾーン整備構想策定基礎調査」において、(1)第四次総合計画の有識者会議・職員提案会議における課題、(2)アンケート調査等からみた課題、(3)中央ゾーン整備構想策定委員会において指摘された課題、(4)同幹事会において指摘された課題等を各々整理しました。

ここでは、都市を構成する要素別(1都心、2拠点、3居住、4自然、5市民、6交通、7個性)に中央ゾ-ンの個別的な問題点・課題を取りまとめています。

(1)都心

  • 柏駅周辺の都心については、柏市の顔として、都市の活力を創出し、活発な交流等の各種情報を発信する場としての役割が期待されています。
  • 柏駅東口地区は、広域的な交流拠点として、地域内外の人を惹きつけ、多様な交流を生み出す、文化・娯楽機能等複合的な都市機能の集積整備が求められています。
  • 柏駅西口地区は、北部新都心への玄関口として、業務施設や宿泊・交流施設の整備とともに、新たな商業・娯楽機能の整備が求められています。
  • 柏駅周辺の交通については、交通渋滞の改善・交通規制・駐車場整備・自転車対策・歩道整備・バリアフリーなど、総合的な交通環境整備が強く要望されています。
  • 柏駅周辺における治安の悪化が懸念されており、安全で安心な都心づくりが求められています。
  • その他・柏駅周辺の虫食い状になった空地の有効活用が期待されています。
  • 若者の消費が落ち込み、今後も商業集積だけに頼るのは限界があるとの認識から、柏駅周辺に新たな集客力のある施設や業務施設の誘致が期待されています。
  • 柏駅コンコースの改善などの駅舎の改修、駅ビル化や駅空間の有効活用などが要望されています。

(2)拠点

  • 中央ゾーンにおいては、3つの鉄道駅周辺(南柏駅・北柏駅・豊四季駅)及び、広域的な公共公益施設(行政施設・スポーツ文化施設等)が拠点として考えられますが、これら各拠点については、各々の地域特性を活かした方向性や位置づけが必要です。
  • 北柏駅・南柏駅・豊四季駅周辺は、生活関連サービス拠点として整備するとともに、柏駅を補完する機能導入などの位置づけも必要です。
  • 公共公益施設については、文化施設では特に図書館の整備、スポーツ・レクリエーション施設では、体育館・温水プール等の身近に利用できる施設が求められています。

(3)居住

  • 柏駅周辺の居住地では、人口の減少・高齢化・少子化が顕著でコミュニティ活動が空洞化しつつあり、若者等の住みやすい環境を整備する必要があります。
  • 住宅密集地の防災課題や宅地細分化による住環境の変化が懸念されています。
  • 誰でも安心して生活できるバリアフリーの都市基盤整備が必要です。
  • 高齢化の進展に向けて、高齢者の生活支援・介護と社会参加を促進するシステムの構築が必要です。
  • 市民の防災意識が高まっており、災害に強いまちづくりが求められている。特に、避難場所(学校・公園等)への歩行者の避難路の確保も重要です。
  • 柏駅周辺の治安の悪化が懸念されており、居住地においては、防犯灯や交番の設置及びパトロールの強化を求める声も多く、安全で安心なまちづくりが求められています。
  • ごみ集積所のマナーや不法投棄など、居住地における環境美化を指摘する声が多く、また、落ち着きや安らぎなど、静かな住環境も求められています。

(4)自然

  • 中央ゾーンにおいては、手賀沼・大堀川・大津川などの豊かな自然環境の保全・活用を図り、日常生活において緑を身近に感じられる環境づくりが必要であり、河川から入り込む谷戸部(やとぶ)(水系)を活用したビオトープネットワークの再構築が望まれます。
  • また、市街地内にある農地を生産の場と共に、防災としての機能と、市民全体の「心の癒しの場」として適正に維持・活用していくことが必要です。

(5)市民

  • 行政と民間事業者や地権者・市民などが一体となってまちづくりに取り組む重要性が、今後、一層増していきます。
  • 市民がまちづくりに主体的に参加し、NPO・ボランティア等が自主的に活動できる体制づくりや情報提供が必要です。
  • 地域特性や市民ニーズを先取りした行政サービスは、市民の多様なニーズの把握を通じて初めて実現できます。
  • 地域住民がコミュニティ単位で地域の諸問題に取り組むことが望まれます。
  • 市民の自主的なまちづくりを育成・支援していくための情報化も重要です。
  • 高齢化の進展は、まちづくりにおいてマイナスイメージではなく、ふるさとづくりを担う人的資源が豊富にあると考えられます。

(6)交通

  • 骨格的な都市計画道路の整備、通過交通と地域内交通の分離が必要です。
  • 自動車交通と歩行者交通や自転車交通の分離・歩道整備・段差解消など、歩行者の安全確保とバリアフリーが強く求められています。
  • 柏駅周辺の駐車場や駐輪場の整備が求められています。
  • 柏駅東西口の交通混雑の改善、違法駐車・駐輪の排除が求められています。
  • 散歩・ウォーキングが日常生活に定着しており、通学路を含め、歩くこと・健康づくり(自転車利用含む)に視点を置いた道づくりが求められています。
  • 公共交通機関の利用促進を図るためには、商店街バスチケット制度の導入、ミニバス・コミュニティバスの導入とバス路線の見直し等が必要です。
  • 柏駅・公共公益施設等へのアクセス(自動車・歩行者・自転車)の改善が求められています。
  • 柏駅周辺の現都心と北部新都心をつなぐシンボル道路の整備が必要です。

(7)個性

  • 市民が愛着を持ち、求心力と活力ある柏を創造するには、柏の個性を活かしたまちづくりが求められています。
  • 柏市の個性となりうる既存の資源として、柏駅周辺のにぎわい・豊かな自然環境・柏レイソル・ストリートミュージシャン・活発な市民活動等があります。
  • また、新たなものとしては、高度化した情報ステーションのようなシンボル的なものを導入し、個性の創造と情報発信することが必要です。
  • 都市景観は、重要な個性としてあげられることから、地域の特性を活かした魅力ある都市景観の形成が必要です。

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