更新日令和4(2022)年2月24日

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第1回柏市保育のあり方検討懇談会会議録

開催日時

令和3年7月15日(木曜日)午後1時30分から午後3時20分まで

場所

ラコルタ柏(教育福祉会館)2階 多目的研修室1・2
(柏市柏五丁目8番12号)

出席者

外部委員

阿部委員、岡田委員、佐野委員、戸巻委員、水野委員、山田委員

庁内委員

髙木委員、村越委員

庁内関係部署

保健福祉部障害福祉課、こども部子育て支援課、こども部こども発達センター、学校教育部児童生徒課、学校教育部教育研究所

事務局

秋山市長、依田こども部次長兼保育運営課長、他10人

傍聴

傍聴者

5人

傍聴の状況

傍聴要領に反する行為は、見受けられなかった。

議題等

  1. 委員紹介
  2. 柏市保育のあり方検討懇談会について
  3. 柏市の保育に係る課題について
  4. その他

配布資料

議事要旨

市長挨拶

  • 本日は、委員をお引き受けいただき、感謝します。
  • 保育のあり方がどうあるべきか、ということは、社会状況の変化によって変わっています。例えば、自分の親や親族が高齢になった際に、かつては家族だけで支えていましたが、約20年前に介護保険制度が発足し、社会で支えるようになりました。保育に関しても比較的家庭内で何とかしていこうという考え方がありましたが、核家族化の進行や共働き世帯が多くなり、保育も社会全体でしっかり支援しましょうということになっています。
  • 私は12年前に市長になりました。当時は1歳児が保育園に通う割合が1割程度だったのが、今では3割程度となっています。
  • 大きな枠組みは国が決めますが、細かい裁量は各自治体に任されています。今後10~20年後、柏市の保育をどのように行っていくか、方向性を決めて、その方針に沿って毎年、創意工夫や試行錯誤を行っています。
  • ただ、一概に保育といっても、教育の視点、経営者の視点、保育士の視点、保護者の視点、市役所の視点などがあります。市役所の視点というのは、財政や長期的に安定した運営面の視点などです。そのような様々な視点を組み合わせて優先順位を検討しつつ、施策を作り上げていきます。
  • 今回の委員の皆様は、それぞれの分野の専門家ですので、それぞれの専門の観点からこうあるべきだというご意見や現状についてお話しいただくとともに、ご専門以外の話も聞いていただいた上で、様々な意見を組み合わせ、様々な視点でご意見をいただきながら、そのご意見を参考に、柏市の大人として、子どもたちといかに向き合っていくかという大きな道筋を作っていきたいと思います。

委員紹介

事務局より、委員名簿に沿って委員を紹介した。

柏市の保育に係る課題について

事務局より資料説明を行い、内容について質疑応答及び意見交換を行った。

(事務局)

  • 本会議は懇談会のため、座長の選任は行いません。よろしければ、庁内委員である髙木委員に、ここからの進行をお願いしたいと思います。

(異議がなかったため、進行を髙木委員に一任した。)

(髙木委員)

  • 事務局から説明会がありましたとおり、本会議は懇談会となっており、一つの結論を出すのではなく、意見を伺うことが目的となっています。
  • まず1回目として、柏市の子どもの育ちについて、柏市の保育に期待していること、課題であると感じていること等、皆様それぞれのお立場から、忌憚の無いご意見をお願いします。

(戸巻委員)

  • 私立認可保育園協議会会長という立場でお話しさせていただきます。
  • まず、人材確保について。現在、認定こども園、保育園、幼稚園ともに人材確保に苦慮しています。柏市では職員の処遇改善等に早くから対応してくださっていますが、近隣市が後から良い条件を提示しています。特に金銭面でのフォローが厚くなっている状況下で、なかなか人材が来ない。保育の質の向上という側面から考えると、やはり人材確保をしっかりできるようにすることが大切だと考えています。
  • 千葉県の保育人材の有効求人倍率が3.02という説明がありましたが、肌感覚では3どころではなく、5倍ぐらいではないかと思います。
  • 柏市ではこども園、保育園、幼稚園が協力して合同就職説明会を開催しており、そこには多数の学生さんに来ていただいていて、もちろん就職に繋がっています。ただ、柏市が先駆けて始めた就職支援を他市も行うようになり、学生はそれらの市を回って比較して就職先を決めるようになっています。その結果、柏市は金銭面で少々不利な部分が出てきているのではないかと考えています。
  • 今後は金銭面だけではなく、柏市で仕事をすることの意義やプラスとなるイメージを学生さんたちが感じるような取り組みも必要ではないかと考えます。実習やインターンの受入れ等、様々な工夫や対策を組み合わせていくことをしっかりできたらいいのではないでしょうか。
  • 求人については喫緊の問題ですので、このような状況が続くと、「職員が足りないから子どもを受け入れられない」ということが、いつ起きても不思議ではない。もしかすると、もう起きているのではないでしょうか。待機児童や入園保留者の問題を解決できない大きな要因になり得るということを、皆様にご理解いただけたらと思います。
  • 2点目に、特別な支援を必要とする子どもへの対応について。協議会で独自に会員園62園へアンケートを実施したところ、園児数の約10%弱が特別な支援を必要とするお子さんである現状が浮き彫りになりました。200人定員の園には20人いる、という数値です。これまでは、公立保育園は園数が少ないものの、多くの支援を必要とする子どもを受け入れている現状があり、下支えをしてくださっていたと思います。
  • ただ、支援が必要な子どもが増えたことにより、民間園でも受け入れざるを得ない現状が、アンケート結果の数値に表れていると考えています。
  • 教育・保育の質を向上させる際に、特別な支援を必要とする子どもと、支援を必要としない子どもの活動は切り分けされるべき場面があると考えています。例えば、5歳の子どもが小学校就学に向けて、45分間ぐらいは椅子に座っていることを体験しないと、小学校では厳しいと思います。動き回ってしまう子どもがいると、支援を必要としない子どもたちの行動も引っ張られてしまうことがあります。実際問題として、どちらにとってもプラスではない状況です。就学にあたり、45分間座れるようになるための時間は必要ですし、そこで動いてしまう子どもについては、その子どもに合った適切な療育機会を持つことが大事です。
  • 学級崩壊という言葉がありますが、保育園の世界でも保育崩壊が起きています。年齢ごとに必要な成長を担保できない状況になっています。特別な支援を必要とする子どもたちが多い状況に、保育自体が成立していないことがあり、先生たちに負担を強いることになっているのではないかと考えます。ウェルネス柏に様々な施設があり、支援事業を請け負っていただいていますし、他の施設にお願いすることもありますが、人材が全く足りていません。
  • 児童発達支援施設は人口10万人あたりに1か所あった方が良い、などの数値も示されていたと思います。公立・私立に関わらず、特別な支援を必要とする子どもたちを支え育む機能を持たせ、事業を進める必要が喫緊にあると思います。
  • 特別な支援を必要とする子ども、必要としない子ども、両者に負担がかかっている状況ですし、保育士や幼稚園の先生たちの負担も大きく、平等に愛情を注ごうとしてキャパシティーオーバーになり疲弊しています。
  • 保護者に専門機関への相談や受診をお願いすると、快く受け入れてくださる場面もあれば、うちの子に限ってという場面もあります。受け入れていただいても、予約が取れず受診までに2~3か月かかることがあり、保護者の精神衛生上良くない状況が起こります。
  • 保護者も子どもたちも現場も困って苦しんでいる現状について皆様にご理解いただき、支援機能を地域の機関が担って対応していくことをご検討いただきたいと思います。
  • 3点目は、公立保育園の建て替えについて。もともと柏市では、戦後から公立保育園で子どもの保育を進めてきた経緯があります。我々民間保育園は、本来は行政が行うべき事業を委託されて実施していることになります。基本的には、委託先を優先することが必要で、委託先が潰れては意味がないと思います。一方で、公立保育園には公立でしかできないことがあります。
  • 民間保育園が施設を整備する際には、整備にかかる費用の4分の1だけを柏市に助成していただければ、残りは国・県・民間で費用を分担することができます。一方、公立保育園を整備する際には、柏市が100%負担することになります。つまり、公立保育園を1園整備する費用で私立保育園4か所が整備できてしまうという原理原則があります。民間の活用を含め、公立の役割を考えつつ、準備を進めていただきたいと思います。
  • 保育園の建て替えは意外と簡単ではありません。子どもたちを常に受け入れ続けなければなりませんし、夏休みがあるわけでもありません。代替園の用意や、プレハブを造るなどの作業が必要です。幼稚園と比べて、保育園の園庭は狭めですので、園庭に代替園を建てることはほぼ不可能な状況があります。そのような中で園の建て替えを行うのはかなりシビアな面があるので、工夫しながら整備を進める必要性があると考えています。
  • 子どもの数が減少してくることは承知していますが、子どもの数が減少したから園数を減らすのではなく、子どもが減っても「柏の保育は質が良い」「柏に住んで子どもを育てたい」と思ってもらうことが大切です。
  • 新卒の学生さんにも「柏市で働きたい」を思っていただけるような、心に刺さる施策が必要だと思います。
  • 流山市では、新卒の正規保育士に給与の上乗せや30万円の奨励金交付などを行っています。学生にとって30万円は大きい金額ですので、生半可なアピールでは勝てません。
  • 「東京ブラックホール」という言葉があり、東京方面に吸い寄せられる保育士が多いので、柏市には茨城県からいらっしゃる先生が多くいます。ただ、本質的に、なぜこの仕事を選んだのかという所に着眼点を置いて、心に刺さるものを検討した方が良いと思います。

(髙木委員)

  • 多くの貴重なご意見、統計からは見えてこない肌感覚の規模感、ありがとうございます。

(水野委員)

  • 柏市認定こども園協議会会長という立場でお話しします。
  • 現在、インクルーシブ保育が注目されています。特別な支援を必要とする子どもや、日本語が通じない外国人の子どもなどの割合が増えています。おおよそ、一クラスに3~4人いる状況です。10年前には1学年に3~4人程度でした。一クラスに3~4人いると、やはり集中させようと思った時に、騒いだりするお子さんがいると、一般のお子さんの中には引きずられる子が出てきます。そうなると、お互いに存在を認めることも大切ですが、その域を超えて、騒いでもよいという方向へ流れる傾向があります。やはり、小学校に上がる前に、けじめや集中力を養うというような必要な教育ができない部分があるのが現状です。
  • 2歳時クラスでも支援が必要な子どもが何人もいます。今年は特に多く、30人のクラスに5人はいます。月齢によって成長は異なりますが、まだ幼いので、ふざけるお子さんに皆揃ってしまいます。そうすると、もう先生の能力以前の問題です。
  • そのような状況を見ると、その子に合った教育・保育方法や施設が必要であり、それがないとお互いに苦しい状況になります。
  • 現状では、障がい児や特別な支援を必要とする子どもに対応する施設が少なすぎます。本来は、週1回程度通う必要がある療育を月1回2時間程度しか受けられない状況です。そのあたりの状況は改善していただきたい。
  • 求人や人材確保に関しては、流山市が有利だなと思います。良い先生を雇うことが良い保育に繋がるので、誰でもよいわけではありません。きちんと保育や教育を行いたいという志をもった人材を確保するには、やはりお金だけではない、様々な待遇などの条件整備が必要です。毎年、この時期になると、来年度も続けるかどうかや新規採用の話が出て、胃が痛くなる辛い状況です。
  • 先生の数が足りなければ、インクルーシブ教育も対応できない。子どもによっては、1対1でつかないと保育にならない場合もあります。やはり、その子に合った安全な場所で遊ばせることや、お散歩をさせたい。保育士は「みんな一緒」という気持ちが強く、心優しいので、多動傾向にあるお子さんにはかなり配慮しています。
  • 特別な支援を必要とするお子さんには市から手当が出ますが、人材が足りないので、人でサポートしていただきたい。良い保育を行いたいので、ご協力をお願いします。

(髙木委員)

  • 人材確保という面で、切実な状況を教えていただきました。お子さんの生まれ月で発達にも個人差がありますが、さらに特別な支援を必要とする子どもがいる中で、個人の発達をいかに支援していくか、特別な状況がうかがえました。

(山田委員)

  • 柏市私立幼稚園協会会長をしているので、今回の懇談会では一歩下がったスタンスで発言します。市内の私立幼稚園では、約5、000人の子どもと600人の教職員がおり、それぞれ特色ある教育を行っています。
  • 先ほど、柏市の保育のあり方の方向性を定める議論を進めるということで、特に質と量を確保するということですが、公立と私立がそれぞれの強みは何かを議論すると、自ずと答えは見えてくると思います。公立は、私立が提供できないサービスを担っていく。公共事業ということで、赤字でも一人の子どもをしっかりサポートしていくような気概が必要だと思います。私立では、一人の子どもに多額のお金をかけるわけにはいかないことは、幼稚園でも同じです。
  • それぞれの具体的な強みを生かして事業を行い、差別化を図っていけば、道が見えて来るのではないかと思います。
  • 前職が流山市の企画部門だったので、公共施設のあり方について話をさせていただきます。公共施設は管理計画があり、その下に個別計画があります。配置計画があり、どうしても人口減少エリアの施設は取り壊したり集約したりすることが求められます。ただし、保育園については、人口が減少しても潰してはいけない。1人でも必要な子どもがいれば、行政として責任を持たないといけない。市全体のことを考えた場合にそうあるべきかを、今一度、小学校や公民館を含めて、その中に保育所を入れてみたりするような検討も必要ではないかと思っています。
  • 将来的には人口は減少し、子どもの数も減りますが、保育に係わる予算を削ることはやってはいけないと思います。予算は減額しないで、保育の質を上げていくことに予算を充てる。「柏市の保育はすごいですね」という形にすることが必要だと考えます。

(髙木委員)

  • 山田委員には、公共の施設のあり方という点でも、様々なご意見をいただきたいと思います。

(村越委員)

  • 柏市立豊四季保育園の園長をしています。公立の保育園に長く勤めていますが、人手不足や気になるお子さんが多くいるという現状はあります。
  • ただ、気になるお子さんは、保育士にとって気になるお子さんなのか、何を基準に気になるのかを考えていきましょうと、職員に話をしています。
  • 例えば、「お片付けするよ」と言ったときに、お片付けしない子どもが保育士にとっては気になります。でも、そのお子さんに、まだ遊んでいたいという意思があるのであれば、その意思を尊重するのが保育ではないかという話をしています。
  • 公立保育園でも世代交代が進んでいて、仕事を始めて10年未満の職員が多いので、これまでのようなピラミッド型の構成の中で先輩から受け継いでいたようなノウハウ継承が進んでいません。自分の思いどおりの保育ができない子どもが必ずしも「気になる子」ではない。大人のエゴになってしまうおそれがあります。子どもの気持ちに寄り添う保育を行い、「まだ遊びたかったんだよね。もう少し遊ぼうか」とか、「今、先生はこういう風にして欲しいんだけど、どうかな」という風に、子どもに寄り添うと、子どもも自分の気持ちを先生は分かってくれたといって、そこで変わるお子さんもいるかもしれない。そういうお子さんは「気になる子」ではないと、その辺の棲み分けもしていく必要があると思います。自分の思う保育ができないから「気になる子」というのは危険かなという話をしています。
  • 保育士が気になっても、親御さんからすると「うちの子に限って」という思いがあるのは当然だと思うので、保護者の思いにも寄り添って、本当にこの子どもが早く療育に繋がったほうが良いと思う時には、そういう場面をうまくキャッチして、それとなく保護者の方に気が付いていただけるような言葉をかけたり、保護者が「何かこういうことがちょっと気になるんだけど」という発信をした時に、保育士から「お母さん、実はね」という形で、保護者の気づきを大切にするように気を付けています。
  • 保育士のスキルアップも必要で、A先生だったら「気になる子」ではないのに、B先生だったら「気になる子」にならないよう、どの先生であっても同じように保育を受けられる保育力が必要だと思っています。基本的には、子どもの気持ちに寄り添い、大事に育てるという意欲があれば、きっと子どもたちにとっては、それが自信に繋がり、自己肯定感が強くなると思います。
  • 公立保育園でも人手不足はあります。離職していく職員もいます。しかし、人が足りていないから何かできないとは言いたくない。そこはチーム力として保育を工夫しながら、どの子どもにも同じように保育を提供できるようにする努力はしています。

(髙木委員)

  • 公立では、人材確保も大変ですが、世代が入れ替わる時期なので、中堅職員があまりいないことが課題です。園長や副園長になれる人材が不足しています。そのような環境で若い世代を育成しなければならないことが課題と受け止めています。

(佐野委員)

  • 今回は保護者として、認定こども園も私立幼稚園も認可保育園も認可外保育園もすべて経験した立場で話をします。
  • 保護者の立場としては、毎日が本当に目まぐるしく、忙しい日々でした。それでも、毎日日誌のような形で子どもの様子をノートに書いていただいたのが、今でも宝物です。日中は子どもを見ることができないので、帰宅後に甘えている姿しか知らない。もっと手をかけてあげたいけれども、疲れているし、就寝しなければならない。ですから、子どもの様子を記録に残していただくことは本当にありがたく思っています。
  • 一時保育もよく利用しました。幼稚園が行事等で休園の際、働く身では休むことができない時に利用していましたが、なかなか予約が取れないことがありました。皆さん、自分と同じような状況で苦労されているのだろうと思いました。
  • 子どもは3人いますが、今は皆、小学生以上に上がっています。直近のことは分かりません。しかし、一時保育は、仕事をしている人にとっても専業主婦の人にとっても、そのような場を整備してくださることはありがたいと思います。
  • 公立保育園を利用した際、子育ての中で悩みがある時に、子どもの様子をノートに書くと、きめ細かに対応してくださいました。園長先生や副園長も私の話に耳を傾けてくださり、感謝しています。
  • 幼稚園は、保育料が高いことが不安でしたが、子どもにかける最初の投資だと思いました。幼稚園の特長は、保護者が入る園を選ぶことができることだと思います。どの園も特色があって良い所がありますが、自分の子どもがどのように育って欲しいか、親が仕事をする立場で生活しやすいか、子どもがその環境で苦しまないか、やんちゃに遊びたいのか、まじめに勉強したいのか等、各家庭で状況は異なると思いますが、そこはすごく考えて決めました。幼稚園の良い所は、一人ひとりへのサービスがとても手厚いところだと思います。学習できることもたくさんあったので、幼稚園の強みはなくさないで大事にしていただきたい。幼稚園を選ぶ際には、愛着をもって選んでいる人もいれば、自分が幼稚園で育ったので安心だから入れている人、近くだから入れている人もいます。
  • おそらく今の子どもたちは、汚れたりびしょ濡れになったり、体を目一杯使って遊ぶダイナミックな挑戦をする時間や経験が少なくなっていると思います。現代の家庭では、日常的になかなか手を付けにくくなっているのが現状のため、新たなことに挑戦する機会を保育の中で期待しています。
  • 子どもが小学校に入ってから、ちょっと悲しい出来事があった際に、久しぶりに幼稚園に行った時に、先生がギュッと抱きしめてくれたことが、子どもにとって大きな心の支えになりました。保育園や幼稚園は戻っても良い所、自分にはそこに居場所があったと思える所であるような包容力を是非もって欲しいと思います。
  • 小学校に入った子どもたちを見ていると、失敗や間違い、自分と違うことを受け入れる能力が少ないと感じることがあります。自分と違うことを受け入れること、異なる価値観や環境を理解し合うことが大人になっても求められてくると思います。そのような機会があったら、いじめも減ってくるかなと思います。
  • 保護者同士の関係で思うこと。他人と話すようになって、自分の中では正解だと思っていたことが必ずしも正解ではなかったり、自分では問題だと思っていたことが大した問題ではなかったりするなど、新しい見方ができて、自分の救いになったことがありました。何でもない挨拶から始まる人とのふれ合いや地域とのふれ合いが、自分の中で宝になっていくと思うので、地域交流は保育の上で大切かなと思います。
  • また、学ぶ楽しさも子どもたちに培って欲しいと思います。学習面で追究していく、自分の好きなことを追求していくことは面白いことですが、それに親が全て対応できるわけではない。また、保育の形も1対1は困難でも、同じようなまとまりの中で色々な見方があり、発想の転換があり、みんなでやっていくことも面白い。子どもたちにとっても、自分の悩みを共有できて、「自分だけじゃないんだ」と安心することがあると思います。例えば、夜だけオムツを履いているなど、普段は人に言えないことが、お泊り会の時に、「あっ君もなんだ」と安心できる機会があると、子どもたちの顔がちょっと違ったりします。友達との関係も大切なので、保育に期待したいと思います。

(髙木委員)

  • キーワードとして、一時保育のあり方のご意見がありました。柏市も色々な形態で一時保育を実施していて、非常勤で勤めている方や主婦の方がリフレッシュや冠婚葬祭などの場面で利用されることを想定していますが、今後、どのように展開していくかが大きな課題だと捉えています。
  • 保育園は利用調整を行っていますので、第一希望の園に行くことができるかどうか分かりませんが、幼稚園は希望する園を選んでアタックすることができます。そのような情報提供も適切に行っていかなければいけないと思いました。
  • また、保育園も幼稚園も、卒園児童が大きくなっても戻ることができる居場所であってほしいと、親も学べる場所で、地域の皆の拠り所になるような柏市の特長が出せるように、ご意見いただければありがたいなと思います。

(岡田委員)

  • 市内の小児科医の立場からお話しします。
  • 特別な支援を必要とする子どもの話ですが、先ほどから先生方が大変だということ、確かにそうだろうと思います。保護者の立場からすると、仕事もしたいし、子どもには他の子どもと同じ体験や学びをさせたい思いもある。そのあたりを、いかにバランスをとって満たすかが大事かなと思います。
  • 人材確保に関しては、発達障がいの子どもに対しては、療育のマインドを保育士さんに身に付けていただくことや、医療ケアが必要な子どもに対しては看護のマインドを持っていただく様な形で、保育士皆さんに複数の観点を学んでいただくことが考えられます。また、多職種連携のような対応もあります。
  • 昨今の様に感染症が出ると保育園としてもデリケートになります。よくある受診のパターンとしては、朝は元気で保育園に連れて行くと、昼頃に電話がきて、熱があるので連れて帰ってくれと言われる。帰りがけに救急外来に寄っても、救急だから検査はできない。一旦帰ると、だいたい夜は熱が上がり、朝は下がるので、また朝に保育園に連れていく、ということになります。病児の子どもを受け入れるところがないので、働く親からすると、病児対応の充実が必要です。
  • 今ある施設や人材の中で、何をどうやっていくかというところで、医師会が何か力になれることがあれば協力します。

(髙木委員)

  • 岡田委員からは、多職種の連携というキーワードや、病児保育という課題をいただきました。コロナの影響で、保護者の方が少し休みを取りやすくなった面もありますが、全員がそうではありません。病児保育についても、今後またご意見を伺っていきたいと思います。

(阿部委員)

  • 親の立場と保育士養成に携わる者としてお話しします。
  • 大分過去の話になりますが、私の子どもは、柏市の公立保育園で、生まれて3か月からだいたい10~11時間保育を6年間受けました。その子どもとの生活がどのようだったのかを振り返りました。
  • 連絡帳で保育園の様子が分かりますので、連絡帳で私が気にかけたことは「子どもがやりたいことをある程度させていただいているか」ということです。体を動かすことが好きな子どもで、ある時鉄棒に夢中になり、自由遊びの時など鉄棒の前回りを1週間も続けるようなことを先生はやらせてくれていました。好きなことを存分にさせてもらっていたので、割合と早い時期から自分なりに考えて自分のことを決めるようになっていました。高校も大学も自分で選択して決めました。大学院生になって、自分の専門を深めるために、イギリス留学を目指してNHKの英語講座を4年ぐらい自主学習し、時間がかかっても自分のやりたいことに向かうというように、自分で自分の人生を切り開いてきているように思います。
  • 親として、特別に何かをしたというより、当たり前の生活、朝ご飯を食べて、保育園に通い、夜は遅くとも9時30分までのできるだけ早く寝られるようにする毎日でした。その中で、日々感謝したことは、保育園で好きなことに夢中になって遊ばせてもらったことです。家では、少ない時間の中で、子どもの話を聞くように努力しました。自分の話を聞いてもらった経験をたくさん積んでいることが、たぶん人の話を聞けることや、学校に行っても静かに座っていられることに繋がっていったのではないかと思います。いわゆるお勉強を早くから教えたりしなくても、子ども自身が面白そうとか、必要だと思ったときに、自分で取り組みできるように子どものペースをできる限り受け入れたつもりです。
  • 保育士養成校の研究者としては、子どもの自発性を中心に保育を考え続けています。先ほどから、保育現場の人手不足が課題となっていますが、養成校の立場からは、せっかく希望に燃えて入学してきた学生を、きちんと現場に出してあげられないことが辛いことです。何を保育者の専門性とし、それをどのように学生に伝えるかを研究していますが、4年間で伝えられることは少なくて学生には申し訳ないと思うところもあります。そこで、養成期間の4年間で「学ぼう」という姿勢だけはきちんと伝えようと考えています。また、保育は一人でするのではなく、チームですることが重要であること、そのために、人と関わる力を身に付けられるように授業を工夫して、養成に携わっています。
  • 国の養成のカリキュラムで足りないと思うことは、個人差の激しい乳幼児期の子どもをどのように保育するのかという方法論ではないかと思います。例えば、インクルージョンという考え方があります。育ちにくさを抱えているお子さんと、そうではないお子さんとが一緒にいるということは、お互いにとって、これからの多様性の世界を生きる上で、必要な生き方を学び合う良い生活の在り方だと思うのですが、その考え方をどのように実践するのかという方法論、つまりインクルーシブ保育の方法も、研究者によって違いがあったりして、不確かなところが多くあるように思います。自分自身のこれまでの養成の実践を踏まえると、保育の理論を実践に移す方法論を伝える授業があまりないことに気付かされます。授業内容として理論を伝えることで精一杯になり、実際に子どもたちを目の前にした時に、どのような関り方をしたらよいのか、集団の中でこの子どもをどのように見るかというような話になると、充分ではなかったように思います。これからの養成において、保育の方法について研究することが、一つの課題と思います。
  • これまでの幼稚園の学習指導要領や保育所保育指針などの記述においても、やはり方法論に関することが不足しているのではないかと考えています。
  • 現在使われている指針や教育要領、小学校以上の学習指導要領において、指導の方法として、「アクティブラーニング」が重視されています。乳幼児期だと、遊びながら、体を動かしながら考え、考えたことをやってみて、分からなかったら試行錯誤したり、工夫したりしながら物事に取り組むという方法ですが、それは、幼児教育だけではなく、小中学校も高校も大学も、そのような授業形態を取り入れるようになってきています。
  • 乳幼児教育を、集団の場だからと言って、みんな一斉に同じことをするという考えではなく、集団を一人ひとりの育つ場所だと捉え、一人ひとりが育つような方法を考えていかなければならない。様々な育ちの姿を見せる一人ひとりの子どもの教育・保育において、一人の保育者が何から何まで完全にしなければならないということには無理が出てくるように思います。かといって、無尽蔵に現場の要求を聞き入れるほど経済的にゆとりがあるわけではないという現状でできることから始めるとしたら、お互いが補い合うためにチームで保育することや、園内の他職種間の連携、地域の関係機関との連携など工夫の余地があると思います。
  • 以上を踏まえて、公立保育園の役割を私なりのイメージで話すと、これからの人材養成はスペシャリストを育てることだと思います。現在、保育士のキャリアアップ研修のコースはいくつかありますが、保育の専門的知識を踏まえていることは当たり前ですが、それにプラスして「私は乳児保育が得意です」「障がい者保育は私に任せて」というような人材が公立保育園の中にいて、私立の先生方と連携しながら、保育の質向上のための役割を果たすことができると、限られた人材でも、今よりは保育の質の向上に寄与できるのではないでしょうか。

(髙木委員)

  • 柏市の中で、スペシャリストを育てられるような環境が出てきたら、その中で保育士さんがやりがいを感じたり、スペシャリスト同士が各園で連携体制や多職種チームで対応できたら、解決できる道筋もあるというような貴重なご意見をいただきました。

次回開催日時(予定)

令和3年9月2日(木曜日)午後2時から

 

お問い合わせ先

所属課室:こども部保育運営課

柏市柏5丁目10番1号(本庁舎別館3階)

電話番号:

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