更新日令和6(2024)年2月1日

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令和5年度第1回柏市自殺予防対策連絡会議 会議録

日時

令和5年10月19日木曜日

午前9時から午前11時まで

場所

柏市役所本庁舎第5及び第6委員会室

出席者

委員(順不同)

千葉大学大学院医学研究院 清水栄司委員【委員長】

柏市地域生活支援センターあいネット 川野優委員【副委員長】

認定NPO法人千葉県東葛地区・生と死を考える会 竹内啓二委員

医療法人社団健仁会手賀沼病院 浅井清剛委員

柏市民健康づくり推進員連絡協議会 橘房子委員

社会福祉法人千葉いのちの電話 渡邉薫委員

一般社団法人日本産業カウンセラー協会東関東支部 秋山礼子委員

千葉県柏警察署生活安全課 高橋雄介委員

柏市社会福祉協議会 山下嘉人委員

柏市福祉部 谷口恵子委員

柏市健康医療部 高橋裕之委員

柏市こども部 髙木絹代委員

柏市経済産業部 鈴木実委員

柏市教育委員会学校教育部 三浦邦彦委員

事務局

福祉政策課虻川課長、保健予防課小倉課長、福祉政策課高橋主幹、保健予防課澤畑専門監、福祉政策課吉田副主幹、福祉政策課石田主査、保健予防課土井主事、福祉政策課中村主事

議事

柏市の自殺者数の状況について

柏市の自殺の現状と課題

柏市自殺対策計画(現行計画)の進捗状況と評価

(質疑応答)

竹内委員:資料4のP2について、未達成の原因は何か。

事務局:コロナ禍におけるコミュニティ活動、人と人がふれあう活動が中々できなかったところが要因として推定できる。3年前になるが、緊急事態宣言が出て以降、学校・職場問わず、人と人が会うことが非常に難しい時期があった。そのことから、コミュニティづくりや、老人クラブの加入者数等、人と人がふれあう取組について未達成になってしまったものと思われる。

竹内委員:助け合い活動の団体も活動ができなくなって減っているということである。「はぐはぐひろば」とはどういうものか。

事務局:子育て支援事業であり、主に0~2歳児の乳幼児、未就学児で保育園等を利用せず家庭において保育をしている方を対象とした地域で集まることのできる場所を提供する事業となっている。

竹内委員:コロナの感染が弱まり、利用者については、上向き傾向にあるか。

事務局:ご発言のとおり。

秋山委員:資料3の冒頭部分について、自殺の原因は健康問題が一番多いとなっているが、これは身体なのか、メンタルの状態なのか。

事務局:統計の資料について、資料3のP3以降に一部添えているが、まだ精査中である。健康問題が身体なのか、あるいは精神なのか詳細の資料はないが、次回ご用意できれば提示したい。

第2次柏市自殺対策計画策定方針(案)について

(質疑応答)

清水委員:インターネットでのゲートキーパー事業は先進的な取組である。グーグルでの連動広告とは、インターネット上で、自殺につながるキーワードを検索するとゲートキーパーにつながるということだと思うが、それは柏市民の方に限定しての取組か。その仕組みを教えていただきたい。

事務局:令和3年から開始した事業で、自殺に関するキーワードを検索すると、位置情報が柏市の場合には検索結果のトップに相談窓口が表示されるようになっている。この取組は、市内在住・在勤者をメインの対象としているが、昨年度のデータでは88%がそれに該当している。柏市外からのアクセスであっても、相談を受け付け、必要に応じ適切な専門機関や自治体につなげる仕組みとなっている。

清水委員:非常に素晴らしい取組だと改めて認識している。

意見交換

竹内委員:認定NPO法人千葉県東葛地区「生と死を考える会」の理事長をしている。先日麗澤大学で30周年の全国大会を開催した。全国に30ほどの組織がある中で、9組織が集まった。会全体では、高齢化が進み後進に受け継ぐのが難しい中で、我々の会では次の世代が育ち、大学が関連していることもあり活動が活発となっている。グリーフケアも病院でボランティア活動を続け、コロナ禍でも施術と話を通じた支援を2箇所で提供。自殺に特化したグリーフケアは少数だが、毎月日曜に実施。親や配偶者を失った人へのサポートも長年続けており、スタッフも成長している。来年度にはグリーフの養成講座再開予定である。ホスピスのボランティア養成講座もオンラインと対面で実施し、現在30名ほどが実習中となっている。

浅井委員:手賀沼病院は自殺や自殺念慮が強い患者を受け入れており、最近では10代後半から20代の女性患者が増えている。主な要因は対人関係の問題が中心であり、特にSNSに関連した問題が顕著である。匿名性の高さから「死ね」などの過激な言葉が頻繁に使われ、それが受け手を傷つけるケースが増えている。SNSでの孤立感が自殺念慮につながることもあり、現状でもネットリテラシー教育は実施されていると思うが、そうした対策の強化が若年層の自殺率の減少に有効と考えている。

橘委員:健康づくり推進員連絡協議会の副会長を務めている。本計画の策定において、子ども・女性に対する支援が明記されるとのご説明で大変嬉しく感じている。地域密着型の活動で「母と子の集い」を開催しており、コロナにより3年間の中断を経て昨年再開したところ、地域の母親たちから待ち望まれていたことを感じ、活動が地域に貢献できる可能性を実感している。父親の積極的な参加も見られ、こうした地域における活動が自殺予防にもつながると考えている。専門職のサポートを受けながら、地域課題への対応を行っている。

川野委員:生活困窮や福祉相談を受けている。本日の資料を拝見し、自殺に至る方は単身者と思われがちだが、同居であっても自死に至る方が多いことに気づかされた。孤立を防ぎ、具体的な支援を行う一方、受診中であっても急な死亡例もあり、対応には苦慮している。個々の機関だけでなく、地域全体で当事者を支えることが重要だと感じている。

渡邉委員:千葉いのちの電話の研修担当を務めている。いのちの電話では、電話相談や自死遺族支援、対面相談、インターネット・メール相談の4つの事業を行っている。基本的に24時間365日の対応であるが、相談員の減少もあり、そうした対応が難しくなりつつある。通常の電話相談のほか、自殺予防フリーダイヤルもあり、発信元の県でつながらない場合は、他県のセンターにつながるシステムも導入している。令和4年度の総受信件数は16,093件で、性別の内訳は、女性が男性をやや上回り、多様な性の方からの相談もある。相談内容は、男女ともに孤立・孤独や人生に関すること、心身の健康について、家族との不和などが中心であり、女性では、夫からのDVに関する内容が多くなっている。年代別では40代から50代の相談が多く、自殺傾向は50代男性が強い傾向にある。相談者のほぼ半数が精神疾患を抱えている可能性があり、治療中の方からの相談も多くなっている。相談員の高齢化もあり、新たな相談員を募集している。研修期間は1年から1年半であり、関心がある方がいれば講演会にも足をお運びいただきたい。

秋山委員:産業カウンセラー協会では、柏市の協力を得ながら対面・電話での相談を行っている。対面カウンセリングについては、4から8月にかけて301名が相談に訪れている。無料相談が市の広報で周知されていることも影響し、相談者数は増加している。最近の傾向として、不登校に関する相談が顕著に増加しているが、不登校の場合、スクールカウンセラーにつながりにくいことがその一因と言える。同時に高齢者の相談も増加しており、孤立と生活の困難が絡み合った深刻な状況に直面するケースが増えている。行政の支援情報が届かず、窮地に立たされた高齢者が増加しているものと認識している。

高橋委員:初めての会議で多くの相談機関の存在を知り、学びになった。自殺を考える人は声を上げにくいため、支援者・相談窓口側から手を差し伸べる仕組みが必要だと感じた。

山下委員:社会福祉協議会は、柏市の地域福祉を推進する組織である。柏市の社会福祉協議会の重点施策として、孤立させない体制づくり、仕組みづくりを展開している。主に相談・支援や住民の助け合い活動、生活支援サービス等を行っているが、コロナ禍で利用が増加したのは、産前産後の支援で、令和2年と比較し、令和4年では倍に増えている。今後も産前産後の支援は増加するものと想定している。子育て中の母親を中心に、配偶者との子育ての考え方の相違や無理解、子育てへの自信のなさとそこから来る無力感といった相談事例が多くなっている。

谷口委員(福祉部 部長):ご説明の通り、自殺対策としてどのような取組をしたらよいか、行政としても試行錯誤しながら推進している。インターネットを活用した取組についても、効果の程度、効果が認められる対象などを確認しながら、今後のITの進化に合わせ行政としても対応していきたい。

高橋委員(健康医療部 部長):健康医療部は健康づくりを中心に取り組んできたが、今後特に子どもや女性、また自殺未遂者への支援を課題と位置づけている。若年層のネットリテラシー向上については、市としても周知徹底が必要だと考えている。また、相談においては、精神疾患を持つ方からの相談が増えており、障害手帳を持たない人々へのアウトリーチ支援の充実が自殺予防につながると感じている。柏市では50人の自殺者が報告されているが、実際にはさらに多くの人々が心の病を抱えていると考えている。

髙木委員(こども部部長):今回の計画改定において、女性や子どもへの支援が強化されることをありがたく思う。未就学児がいる保護者が自死するケースが数件あったが、いずれも家庭、保育園、職場などに所属していても、周囲が受け止めきれずに自死を選んでおり、社会のつながりが希薄化するなかで多様な支援が求められている。全国的に、子どもを道連れとした心中も減少しておらず、保護者を支えることがこどもを守ることにつながると強く感じている。
子ども・子育て支援に関わるなかでは、子ども同士の対人関係の問題が増えており、教育委員会とも連携し、課題として取り組んでいる。最近の報道から、若年層の対人関係の理解や距離感について危機感を感じており、子どもたちに対人関係を教える機会を幼少期から設けるべきだと感じる。また、子どもを守るためにも、保護者とのコミュニケーションの大切さを再認識したところである。

鈴木委員(経済産業部 部長):経済産業部の主な取組は、就労支援や中小企業の経営支援等になるが、かしわ地域若者サポートステーション(かしわサポステ)と連携しているため、概要についてご報告申し上げる。令和4年度のサポステの利用状況は、新規登録は176人、年齢層は29歳以下が71%で増加しているが、40代も13%含まれており、就職氷河期世代への支援も行っている。116人が進路決定し、65人が20時間以上の就労を決定している。柏市のサポステの就職率は他地域よりも高く、昨年度には延べ4,300人が相談に訪れ、若者のサポートの重要性を認識している。今後もサポステを含めた連携を強化し、就労支援を進めたい考えである。

三浦委員(教育委員会学校教育部 部長):子どもの自殺対策につながる学校現場でも、様々な取組が行われている。21校の中学校ではスクールソーシャルワーカーを配置。ネットリテラシーに関連してSNSのリスクに対処するため、専門家による研修を実施している。生徒一人一台の端末を持つ状況で、いじめの相談・報告アプリ「STANDBY」を導入。相談内容は多岐にわたるが、危険性の高い内容には、学校側と連携し教育委員会が関与する。将来的にも子どもたちが相談しやすい環境づくりが求められていると認識している。

事務局:秋山委員から、自殺の原因である「健康問題」について精神的あるいは身体的なものかということについてご質問を受け、ご提示した資料には詳細がなかったが、江戸川大学の中村先生の分析によれば、自殺者のうち身体に疾患があると思われる割合はコロナ禍前後ともに約6から7%であり、精神的な疾患はおよそ17から19%と、パーセンテージとしては精神的な疾患の割合がより高いことが示唆されている。一方、インターネットゲートキーパー事業では、精神面の相談が約90%で、通院が必要な人も含まれているのに対し、身体的な健康問題を訴えた人は約18%で、自殺未遂の経験がある相談者も45%ほどいるため、相談者全体では極端な結果となっている。

清水委員長:貴重なご意見に感謝申し上げる。不眠症治験では「認知行動療法アプリ(IIIP MED:スリーピーメド)」の利用を促進し、睡眠薬と比較したアプリの有効性を調査する予定である。これは高齢者の薬への依存や副作用のリスクを考慮し、アプリの提供により認知行動療法を広めるための取組である。子どものストレス対策としては、ストレスの解決法を提案するワークシートを用意し、自殺を選択肢とせず、問題解決法に焦点を当てることを推進している。実際に研究結果からもこのアプローチは一定の有効性が示されており、一般の方や生徒に対しても普及させたい考えである。

次回会議

令和6年1月18日木曜日を予定。

会議資料

次第(PDF:67KB)

資料1:柏市の自殺者数の状況について【自殺者数の推移】(PDF:142KB)

資料2:柏市の自殺者の推移について【男女比率・年代別】(PDF:263KB)

資料3:柏市の自殺の現状と課題(PDF:818KB)

資料4:柏市自殺対策計画の進捗状況について(評価指標)(PDF:363KB)

資料5:自殺対策計画策定方針(PDF:1,318KB)

参考資料:柏市自殺対策計画の進捗状況について(主要事業)(PDF:696KB)

 

お問い合わせ先

所属課室:福祉部福祉政策課

柏市柏5丁目10番1号(本庁舎別館2階)

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