平成30年度第1回柏市自殺予防対策連絡会議会議録
1 開催日時
平成30年8月2日(木曜日) 午後1時55分から午後3時50分まで
2 開催場所
ウェルネス柏4階 研修室
3 出席者
1. 委員(18人、うち代理出席4人)
宮島委員【議長】、竹内委員、長瀬委員、清水委員、荻原氏(小池委員代理)、藤原氏(伏野委員代理)、小林委員、橘委員、白田委員、加藤委員、中村委員、長島委員、髙橋委員、秋山委員、山口委員、恒岡副参事(高木委員代理)、染谷委員、藤崎副参事(内田委員代理)
2. 事務局(6人)
社会福祉課:田口課長、鈴木副主幹、飛田主査
保健予防課:戸来課長、野口専門監、梅宮主査
4 議事
1.柏市の自殺実態について
2.(仮称)柏市自殺対策計画の概要(案)について
5 議事(要旨)
1.柏市の自殺実態について
事務局からの説明後、次のとおり質疑応答が行われた。
- 以前よりも詳細に分析されているが、あまり政策パッケージにこだわりすぎないほうがよいと思う。また、分析が若干足りないところがある。例えば、若年者のことは大事だが、資料2の3ページには20歳未満の区分がない。また、4ページを見ると自殺者は減っているがなぜか。これまでの施策がうまくいったのであればよいが、それだけではないだろう。高齢者の自殺は減っているが、年代別で見ると30代が最も多く、続いて20~50代、一番頑張って働いている人が亡くなっているということである。どうすれば自殺者が減るのかを考えなくてはならない。資料3については、中村教授はもっと細かく分析されているはずである。無職者は正規雇用者ではないということか、非正規の扱いはどうか。また、同居者が有りの場合に同居者は親なのか配偶者なのかでも変わってくる。他にも、学内の人間関係とあるが学生だけなのか、多重債務とはどんな感じなのか、詳しく知りたいというのもある。(長瀬委員)
- 柏市としても様々な対策を実施しているが、具体的にこの施策を実施したから自殺者が減った、ということまでは捉えきれていない。なお、中村教授の調査事業の分析における有職者・無職者は死亡個票における職種をもとに判断している。(事務局)
- 資料2の2ページに地域の自殺の概要とあるが、女性では同居者が多く、男性では無職者が多い。柏市民の特徴がこれに表れていると思う。(長瀬委員)
- 昨年度の生活困窮者自立支援事業の実績を見ると、相談者の傾向として30代~40代が一番多い。続いて50~60代、この階層に多い傾向はここ数年変わらない。また、同居者が有りの方からの相談が一番多く、次に単身者である。自殺者の状況と一致しているところがあるように思う。同居者していても相談のしづらさがある。相談内容も1つではなく複合的であり、仕事や住宅ローンなどの債務問題、住まいの問題、それが家族問題に発展しており、難しいという印象を受ける。(白田委員)
2.(仮称)柏市自殺対策計画の概要(案)について
事務局からの説明後、次のとおり質疑応答が行われた。
- 人間関係やパワハラなどで若者が仕事をやめなくてはいけない、しかし家族は働いてほしいと思っていることが多い。職はないがまだ若いし生活保護も受けられない、まだ若いから働けるじゃないかと言われてしまう、そんなときにふっと死んでしまいたくなる気持ちはわからないでもない。このような場合の一時的な救済があってもいいのではないかと思う。辛いときに話ができる友達がいればいいが、そうでないと精神的に病んでしまう。自分はだめだと思ってしまうと死に向かってしまう。誰かに必要とされていると感じられれば絶対に生きていられる。地域でこの人のところに行けば話を聞いてもらえる、精神的に支えてもられるというような場所があれば自殺者は減るのではないかと思う。(小林委員)
- 資料6について、重点パッケージに8つの項目があって、柏市に該当しないところは消されている。割合から見るとこうなるのはわかるが、例えば資料3を見ると、子育てで悩んでいる人が多いのに、計画の骨子に子育てが入っていない。必要な対策が抜けているのでは。(長瀬委員)
- 子育てをしていて誰にも相談もできない人への対応や、DV被害者への支援などは重要である。施策と結びつけていくなかで、子育て支援についても打ち出していきたいと思う。(事務局)
- 日本産業カウンセラー協会では、柏市との協力体制で相談業務を実施しており、チラシを作ってPRをしているがまだまだ足りないと感じている。働く人がメインであるが、相談の内容は人間関係が一番多い。上司や同僚との関係がうまくいかないという内容が多いが、反対に誰に相談しますかと聞くと、上司に相談するという人が意外と多い。問題のある上司も多いが、両極端になりつつあるのかなと感じる。また、資料6にコミュニティ活動の充実しているところは自殺率が低いとの記述があるが、これはどういうことか。これをPRできればよいのではないか。(中村委員)
- コミュニティ活動の一例として、サロン活動が活発な地域は自殺者が少ない傾向がある。ただそれが全てではなく、人づきあいが盛んな地域は自殺者が少ないことを把握している。(事務局)
- 社会福祉協議会では支えあい活動を担っている。地域における自殺対策を考えるときに、例えばふるさと協議会にもこの会議に入ってもらってはどうだろうか。また、先週新潟市を視察したが、民生委員に18歳以下の名簿も渡していてすごいと思った。民生委員は若い方も対象となっているが、高齢者が主でなかなかそこまで対応するのは難しい。支えあい活動にも限界がある。どこまで寄り添い支えればいいかが問題。特に自殺という大きなテーマはひとつの部署で解決することはできない。ふるさと協議会の組織力を使ってもいいのではないか。(秋山委員)
- 自殺してしまうくらい悩んでいる人は世間に出てこない。そのような人に対してどのようにアプローチをしたらいいのかとよく考える。サロンや介護者カフェなどを始めているが、PRがうまくいかないのが悩み。元気なうちに地域とのつながりを作っておけば悩んだときに解決できるのではないかと思う。(小林委員)
- いのちの電話の事業報告を見ると、精神の悩みを抱える10歳未満のお子さんからの電話があったとある。また、相談者の内訳は10代が312人、20代が865人、30代が1、576人、40代が2、671人などとなっているが、10代で人生の生き方で悩んでかけてきた34件中18件に自殺傾向がある。20代は精神疾患の悩みが109件と増えて、そのうち35件に自殺傾向が見られ、若い人の自殺が増えていることを強く感じる。実際に自殺実行中だという電話もあり、誰かとつながりたいという傾向が伺える。そのような電話がたくさんかかってきている。学校だけでなく家庭にも啓蒙する必要があると思う。(加藤委員)
- 千葉大学では、柏の葉キャンパスで認知行動療法の心理教育相談を行っている。引きこもりや不登校の親御さん、若い精神疾患の方に対して、有料ではあるが適切な精神医療を提供したいと考えている。また、ゲートキーパーによる人材養成についても、認知行動療法を活用した形で取り組ませていただいている。また、子どものこころの発達教育研究センターでは、柏市教育委員会と連携して小学校5、6年生を対象に、10時間ほどいただいて不安に対処するスキルについての授業を行っている。こころの健康づくりについて,今後もぜひ連携をしていきたい。(清水委員)
- SOSの出し方教育については、文部科学省からも推進するようにとの通知が来ている。柏市では千葉大学や敬愛大学などと連携して教材開発を行っており、平成29年度からストップイットアプリを導入した。その周知も含めて、SOSの出し方教育の教材を作成し、7月11日に田中中学校で公開授業を行った。DVDが出来上がり次第、市内の中学校に配付して広く実施していく。先ほど、0歳から18歳までという話があったが、教育委員会では6歳から15歳の学齢期の子どもたちにしか対応できず、不登校になってしまったとしても卒業すると関係が切れてしまう。その部分を地域と連携し、うまく接続できればいいと思う(藤崎副参事)
- 子育て中の母親に話を聞くと、無職の母親は孤立感を持っている人が多いことがわかった。仕事を持っている人は、復職すると孤立感が解消されるが、子育て中の若い女性が孤立感を抱える傾向にある。同じ状況の人がつながれるよう、地域子育て拠点を通じてつながりを作るとともに、平成28年度よりペアレントプログラムを進めている。(恒岡副参事)
- 過去に4つのワーキンググループに分かれて議論していた際、医療のグループに入っていたが、そこには救急課も入っていた。自殺未遂者が25パーセントいたという説明があったが、実際には1回で自殺してしまう人が多い。未遂者への対策だけでは不十分であり、そこを間違えてはいけない。消防署にかかってくる電話のなかには、死にたいと訴えるものもある。重度の自傷行為であればすぐ搬送されるが、軽症の場合は対応が長引いて救急隊が停滞することもある。また、中村教授の分析については、今回提示されたデータの前に市民意識調査を行っているはず。そこから拾うべきデータもあるのではないか。例えば、プライバシー志向の高い人はこころの問題をかかえる人に対する働きかけが少ないというデータがあるので、行政がそこを考え過ぎると手が打てなくなる懸念がある。プライバシーを全部明かせと言うのではなく、そこを明かさないでできるデータの集約方法があるはずである。(長瀬委員)
- 居住地区ごとの自殺者数の比較について資料6で言及されているので、おそらく事務局では地区ごとの自殺状況を把握をされていると思う。市内は工業、商業、農業とそれぞれ盛んな地域が異なり、それぞれに特色がある、データ等を示してもらえれば役に立てると思う。(染谷委員)
- 地域の自殺者数の比較は把握はしているが、特定のエリアで自殺率に差がある。今回は資料として出していないが、それらを考慮に入れていく必要性は認識している。(事務局)
6 意見交換(要旨)
- 千葉いのちの電話では、相談電話を24時間365日受付しているが、ボランティアが200人を切っており、相談員も高齢化している。相談の電話は受話器を置くとするに鳴るような状態で、朝からずっと電話をかけつづけてやっとつながったという声も聞く。ボランティア相談員を募集しているが、現在のところ13人しか集まっていない。ぜひ広く声をかけていただきたい。(加藤委員)
7 傍聴
傍聴者1名
8 次回開催予定
平成30年11月8日(木曜日)
ウェルネス柏4階 研修室