令和元年度第1回柏市いじめ問題対策連絡協議会 会議録

1 開催日時

令和元年5月27日(月曜日)午後2時30分から4時30分

2 開催場所

柏市沼南庁舎 5階大会議室(柏市大島田48番地1)

3 出席者

委員

河嶌議長(柏市教育長)、二瓶委員(柏児童相談所)、関根委員(千葉地方法務局柏支局)、諸富委員(千葉県警察少年課)、岡部委員(人権擁護委員)、長瀬委員(医師)、鈴木委員(弁護士)、野本委員(柏警察生活安全課)、寺本委員(大学教授)、藤崎委員(中学校校長)、飯田委員(小学校校長)

事務局及び関係部署

増子学校教育部長、髙橋学校教育部理事、小貫生涯学習部長、髙木こども部長、三富こども福祉課長、友野こども福祉課副参事、松澤学校教育課長、杉浦教職員課長、入澤教職員課副参事、逆井指導課長、大山指導課統括リーダー、加藤児童生徒課長、福島児童生徒課副参事、平野児童生徒課統括リーダー、北村児童生徒課指導主事、杉本児童生徒課指導主事、小倉児童生徒課指導主事、菅原児童生徒課指導主事、佐々木教育研究所長、麻生教育研究所副参事、山田少年補導センター指導主事、安齋いじめeメール相談員

(欠席)原田委員(柏市教育委員)、髙井委員(スクールカウンセラースーパーバイザー)

4 議題(報告・協議事項)

・委嘱状交付式

(1)平成30年度生活実態調査結果について

(2)柏市のいじめの状況と未然防止・早期対応の取り組みについて

報告1 平成30年度生活実態調査結果について

上記項目に関し、事務局が作成した資料を説明した。

それぞれの報告に際して表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

ご質問やご意見はありますでしょうか。

(長瀬委員)

ネット依存に関して、スマホを使用して眠れなくなり体調を崩す子が増えているが、「スマホを利用している子とそうでない子」の違いはあるのか。また、ラインの利用率やグループをいくつ持っているか、グループ内の人数等のデータはあるのか。

(事務局)

スマホの利用に関することで、細かな統計はとっていないが、より詳細を把握するために、次回の調査から新たに調査項目を8つ増やす予定である。また、ネット依存の治療を専門とする久里浜医療センターの医師と話す機会があり、オンラインゲームの危険性に触れていた。そのような声を学校現場にも届けていきたい。

ラインのグループの数については、例年と大きな差はなかった。小学生だと1~5グループ、中学生は10~20グループが平均となっている。以前と比較し、100グループ以上を作っている子は減少傾向がある。特徴としては、小学生は家族とのグループ、中学生は部活やクラスのグループ等が中心になっている。

(河嶌議長)

実際の学校の様子はどうか?

(飯田委員)

小学校については、ネット依存の中心はゲームであると感じている。4年生頃からゲームから抜け出せないという事例がある。保護者も悩み、カウンセラーと話をするというケースもあった。「ネット依存やトラブルについては、子どもだけでは解決が困難なこともあるので、困った時は先生に伝えてほしい」と伝えている。ネットやSNSを介しての事件は今のところない。

(藤崎委員)

中学校については、オンラインゲームについて様々な問題が起こってきていると感じている。「SNS」といえば、これまでは「LINE」や「twitter」が前面に出ていたが、ゲームをしながらチャットをしたり、しゃべりながらゲームするオンラインゲームもあったりする。そこで「年齢がかなり上の大人と知り合ってしまい、その人の家に行く」というケースもあった。オンラインゲームの実態について理解するために、我々も研修を受ける必要がある。

(諸富委員)

質問だが、「誰に悩み事を相談するか」という項目で、「相談しない人」が4~6パーセントいるのは、相談先がわからないのか。それとも相談したくないのか。細かいことが分かれば教えてほしい。

(事務局)

そこまでの追跡調査はできていない。

(諸富委員)

警察でもSNS絡みの相談が増えているが、そういうお子さんは学校生活もうまくいってなかったり、家庭でのコミュニケーションも取れていなかったりするケースが多い。もし、相談先がわからないというのであれば、対策を考えていなければいけないと思う。

(河嶌議長)

柏市がSTOPitアプリの導入を始めたころ、いじめ調査において、いじめられているのに「相談する相手がいない」という児童生徒が5パーセント程いた。一人で悩みを抱え込むことがないように、気にしていかなければならない存在だと思う。

(鈴木委員)

相談したくても相手がいないのは深刻である。その対策として、相談窓口を広げるためのSTOPitの導入だったと捉えているが、導入後、何か変化があれば教えてほしい。

(事務局)

柏市で設置している相談窓口としては、「STOPitアプリ」、「少年相談、やまびこ電話相談」、「いじめeメール相談」等がある。ダウンロードしやすいように連絡先やQRコードが載っているカードを各学校に配布している。それにより、保護者や子供から連絡がある。また、ポスターを学校にも掲示している。

また、昨年度のSTOPitアプリの相談は、165件だった。相談する際、知らない人に電話をかけるのはハードルが高い。その点では、アプリの相談は今の子どものニーズに合っていると考えている。現在、小学校で、「だれにも相談できない子」が増えている状況なので、アプリの導入も考えていく必要がある。

(岡部委員)

人権擁護委員として、年間10通くらいSOSの手紙をもらうことがある。返事を書いているが、その後どうなったのかがわからない。返信内容について、これでよかったのかと考えることもある。

(関根委員)

法務省では、毎年小・中学校にSOSミニレターを配布している。小学校は6月の初旬、中学校は6月下旬から7月上旬に学校へ直接配布している。もし、配った後に、学校で予備として置いておきたい等の要望があれば、対応できる。配布後1ヶ月くらいは、かなりの数の手紙が届く。多い時には、1日に10~20通くる。配布後の連休明けに届くことが多いので、土日に書いている子が多いと感じている。住所や名前も記入してもらい、返事が手紙と電話のどちらがよいのか記載してもらい、それに合わせて対応している。緊急性がなければ、こちらの方で返事を書くが、緊急性のあるものは、各機関に対応してもらい、一緒に対応を検討してもらうことがある。必要に応じて、教育委員会にも連絡を取らせてもらうことがある。その際はぜひ協力をお願いしたい。

(河嶌議長)

SOSミニレターは、基本的に相手とコミュニケーションがとれるようになっていてよいと思う。

最近では、スマートフォンの利用について「ルールがない」という家庭が多いようだが、どうだろうか。

(二瓶委員)

スマートフォンは使うことが前提となってくるので、安全に使うルールがあるとよいと思う。ルールについて、小学校の時はあったのだが、中学校でなくなるケースが多いのではないか。中学校になると、思春期でルールを守らなくなっていくのか。それとも、中学校から使い始めて、はじめからルールがないまま使い始めてしまうのか。

(事務局)

統計はとっていないが、保護者と直接話す中で、ルールは最初決めていたのだが、段々なし崩しになっていってしまったということを聞く。ゲームを買う時の約束と同じようになっており、ルールの定期的な見直しが必要だろう。子どもの発達に合わせてルールを緩めたり、相談して少し厳しくしたり工夫が必要だということを伝えている。また、使い方を間違えてしまい、友達とのトラブルが起きたり、いじめにつながったりすることもあるので、負の部分についても具体的な事例を紹介しながら啓発していきたい。

(河嶌議長)

スマートフォンを持つ際、親が契約者なので、何かトラブルが生じると親に責任が生じるのか。

(鈴木委員)

使っている子どもの年齢によるだろう。小学校低学年であれば、保護者の責任になるだろうし、中学生になると子ども自身の責任も問われる。使用者の年齢が低ければ保護者、年齢が高くなると子ども自身に責任が生じてくる、という考えでよいだろう。

(野本委員)

警察では、直接親に注意するというケースはあまりない。警察にも「オンラインゲームで子どもが勝手に課金して、お金の請求がきたというケース」や「親のお金を盗んでカードを勝手に買う」、「同級生同士で恐喝まがいのトラブル」等の相談がある。親からそのような相談があったとしても、契約者の親が悪いという指導はしていない。子どもと親それぞれにあった指導をしている。

(飯田委員)

SNS上のやりとりは、見えない部分が多くある。スマホの利用に関して、便利な部分は情報共有しているが、危険性などの負の部分については、あまり情報共有できていないと感じている。保護者への情報提供や啓発は必要だろう。

(藤崎委員)

ルールでは「充電をリビングでする」等があるが、これは夜間、部屋で使わせないという目的もある。昼夜逆転してしまった段階で、「スマホを取り上げる」等の対応をすると子どもが暴れてしまうということもある。事前に、未然防止の観点でルールをレクチャーする等の対応が大切である。

(河嶌議長)

スマートフォンの利用について、便利な面と人を傷つけてしまうという負の部分について整理し、事務局でも学校に伝えていく必要があるだろう。

(寺本委員)

「タブレットが自宅にありますか?」という質問について、小学4年生の持っている割合が高くなっている。小学校の頃からインターネットに触れる機会が多いということだろう。SNSの利用に関しては、LINE以外にも「ticktock」等様々なアプリが在る。それらの利用状況についても調査項目はあるのか?

(事務局)

調査で把握している。LINE以外だと、「ticktock」、「youtube」、「twitter」等がある。「youtube」への投稿に関するトラブルもあった。継続的に保護者と本人に面接を行い指導したというケースもあった。サイバーパトロールをやっていると、一時期より「twitter」の人気が下がっているようだ。徐々にインスタグラムなどに人気が移っているのかもしれない。昨年度も高校生ではあるが、「インスタグラムへの投稿でトラブルに巻き込まれた」という相談もあった。

(河嶌議長)

様々なアプリが開発されているようだが、「ticktock」とは具体的にどのようなアプリなのか?

(事務局)

15秒の音楽に合わせて動画が作れるアプリである。音楽に合わせて踊ったりしながら動画を投稿する。朝の情報番組などでも特集が組まれていて若者に人気がある。このアプリで動画を投稿し、トラブルになったという報告も受けているので、啓発講演等でも注意を促していきたい。

報告2 柏市のいじめの状況と未然防止・早期対応の取り組みについて

上記項目に関し、事務局が作成した資料を説明した。

それぞれの報告に際して表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

ご質問やご意見はありますでしょうか。

(寺本委員)

資料の5ページ目の小学生対象のいじめ防止の授業について質問だが、心理教育的な要素もあって必要なことだと思う。ダイバーシティや多様性を認め合うことを趣旨として授業を行っていると思うが、課題があれば伺いたい。

(事務局)

いじめの「未然防止」という観点で大切にしている。いじめというと非常に暗い内容になるが、子供たちに伝えていることは、クラスの雰囲気が大切だということである。被害者、加害者だけでなく、傍観者や観衆にならないようなクラスの雰囲気が大切である。資料は、高学年対象の内容であるが、低学年に授業する際は、「多様性」ということはなかなか伝わりにくい。低学年だと、「あいさつ」や「ふわふわ言葉」がクラスの雰囲気を良くするためには大切だということを伝えている。

(鈴木委員)

2ページ目のいじめの認知件数について、認知のきっかけは、どんなルートか。

(事務局)

認知の方法で1番多いのはアンケート調査である。学期末に教育委員会で各学校のアンケートを集めて追跡調査をしている。ただし、学期毎になると、間があいてしまうので、各学校には月に一回アンケート調査をするよう指導している。また、アンケートだけに頼ってしまっては、後手にまわってしまうので、担任が気付いた事案や子どもたちからの訴えも確実に記録するように伝えている。低学年の認知件数が多いのは、保護者からの訴えが多いのも要因の一つである。保護者から相談があったものについても認知件数として計上するように伝えている。

(鈴木委員)

いじめられた相談状況として、「だれにも相談していない」というものがあるが、本人は言えなかったが、周りが気付いて相談したということをイメージすればよいのか?

(事務局)

周りが気付いて声をかけることが大切である。高学年になると自分で嫌なことをされても笑ってごまかしたり、心配されたくない、恥ずかしいと思ったりすることもあるようだ。そこで、教職員のいじめに関するアンテナを高くし、たとえ本人からの訴えがなかったとしても周囲からの情報や疑わしいことも認知にあげてほしいと伝えている。

(野本委員)

認知件数に関して、平成30年度3785件ということであるが、警察の方での認知は少ない。それだけに、学校で対応を終えているという案件が多いのかと思う。柏署で、児童生徒のいじめで相談がくるケースは、この1パーセントもない。警察に来るということは、先生に相談しても対応に不満がある場合が多い。未解消という数について、解決の判断の基準はどうなっているのか?

(事務局)

警察に行くケースについては、教員や学校の対応に納得がいかず、保護者との関係がこじれてしまったケースが多い。その際、警察の方から連絡を受けることがある。情報共有する中で、警察・教育委員会・学校で連携して対応できることは大変ありがたい。今後も警察との連携を密にしていきたい。

未解消事案については、複雑なものが絡み合ってなかなか解消に至らないケースもある。本人が納得していても、保護者が納得していない。それがもとで、学校に行けなくなることもある。安易に解消とはせず、3か月経過以上しっかりと経過を見守り、解消の判断をしていきたい。

(藤崎委員)

現場に戻り、感じることは、子供の耐性やレジリエンスが低くなっていることである。我々にとっては、大したことではないと思っても、子供にとっては大変だと捉えるケースがある。本校であったケースとしては、数学の授業の教え合いの際、「え、そんなこともわからないの?」と言われたことで傷ついてしまったケース等がある。言ってしまった子に対し指導したところ、「いじめというつもりはなかった。謝りたい」とすぐに謝罪をしたが、それでも納得できないというケースがあった。子供たちのレジリエンスを高めていくことも必要なのではないかと感じている。

(事務局)

子供たちを守り切るということも大切だが、社会に出て強く生きていける能力を高めていくことも必要である。児童生徒課だけでなく、指導課の道徳教育といった面でも連携していく必要がある。

(河嶌議長)

最近話題になっているのに、HSCなども挙がっている。こういった子供たちが増えているのか。

(長瀬委員)

医療の分野では、そういったことは感じていない。社会の状況がこのようなことを起こしているのではないだろうか。

病院でも、カルテはコンピューター化されている。その際、医者によっては、患者さんの目を見ないで話しを聞き、「はい、大丈夫です」と返し、それに対するクレームもある。相手の目を見て話せなかったり、触れ合ったりすることもしない大人もいる。医療でもそういうことがあるのだから、学校では様々なことが起きているだろう。便利になれば、心の部分が置きざりにされることがある。心を強くしていくことも大事だと感じている。

また、最近では様々な言葉が簡略化されていると感じている。報告の中にあったようにSNSのやり取りでは、「かわいくない?」がプラスとマイナスの両方の意味にとれる。相手のことを考えて言葉を使うという教育をしていかないといけないと思う。

(河嶌議長)

敏感な状況は子どもだけでなく、保護者にもあてはまる。学校の状況はどうか。

(飯田医院)

教員を信用しない保護者もいる。そういう方にはスクールソーシャルワーカー(以下SSW)、スクールカウンセラー(以下SC)の存在はありがたい。若い教員への指導については、生徒指導アドバイザーの存在はありがたく、大変役に立っていると実感している。

(藤崎委員)

本校では、SSW、SCが週一回来ている。SCは予約が取れない状況で、時間が過ぎても対応してもらっている。今後、拡充していくことを考えてほしい。SCは、カウンセリングルームで待っている状況であるが、アウトリーチをして問題を洗い出すことも重要であり、SSWの存在も大きい。

近年は、問題行動の対応よりも、不登校等、エネルギーが下がってしまっている子への対応が中心となっている。SSW、SC両輪の拡充で話が進んでいくとよい

(寺本委員)

10ページ目の支援チームの派遣について。大変なケースが発生したときの対応だと思うが、実際どのくらい対応しているのか?

(事務局)

正確な数字については申し上げられないのだが、SSWが他の関係機関と連携して対応するケースも多い。教員目線だけだと対応が偏ってしまいがちだが、様々な専門家の目が入ることで、対応の柔軟性が広がる。これからも積極的に支援チームの派遣を考えていきたい。

(長瀬委員)

いじめもスマートフォンの問題もできるだけ小さい時からの対応が大事だと考えているが、実際スマートフォンのルールはあるのだろうか。スマホを与えるときに、「どういうルールを作るべきか」親が理解していないのではないか。そういう状況で、何か起こった時に「親の責任」と言われても困ってしまうと思う。低学年では、「こんなルールがあります」等の提言を教育委員会側からできればよい。経済的なリスク、健康面のリスク、危機管理のリスク等を教育委員会が作っていたりするのか。

(事務局)

教育委員会として、ルールブック等の配布はしていないが、啓発講演の資料を配布したり、学校だよりにトラブルの事例を挙げてほしいという依頼があり、情報提供したりすることがある。また、保護者の方からルールをどうしたらよいのかわからないという声も聞いているので、保護者向けの資料も配布していきたいと思う。 

(河嶌議長)

それでは、以上を持ちまして令和元年度第1回柏市いじめ問題対策連絡協議会を閉会します。事務局へお返しします。

(事務局)

皆様、ご意見ありがとうございました。これを持ちまして、次第の一切を終了させていただきます。本日は、長時間のご協力ありがとうございました。

5 予定

次回開催日時

第2回 令和元年10月3日(木曜日)午後2時30分~

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