令和2年度第1回地域公共交通部会会議録

1 開催日時

令和2年7月30日(木曜日)午後3時5分~4時30分

2 場所

沼南庁舎5階 大会議室

3 出席者

委員(代理出席含め16名)

井出委員、伊東委員、齋藤委員、斯波委員、鈴木委員、中嶋委員、西川委員、根本委員、松田委員(檜山委員代理)、藤井委員(部会長)、伏野委員、星委員(副部会長)、松丸委員、武藤委員、矢島委員、吉﨑委員

事務局

坂齊交通政策課長他5名

4 傍聴者

5名

5 議題

(1)公共交通空白不便地域の対応について

(2)予約型相乗りタクシー「カシワニクル」事業計画変更(案)について

6 議事要旨

公共交通空白不便地域の対応について

事務局から、公共交通空白不便地域の対応について、資料4~6、議題1参考資料1.及び2.に基づき説明し、事務局案のとおり対応を進めていくこととなった。

予約型相乗りタクシー「カシワニクル」事業計画変更(案)について

事務局から、予約型相乗りタクシー「カシワニクル」事業計画変更(案)について、資料7~9及び議題2参考資料に基づき説明し、事務局案について委員全員からの承認を受け、協議が調った。

7 主な質疑応答

公共交通空白不便地域の対応について

(根本委員)

1.現在検討している新たな公共交通システムとは、カシワニクルシステムか、ジャンボタクシーシステムか、それとも第3のシステムについて考えがあるのか。

2.新たな公共交通の運行計画や運営について、各地域の町会が担当するのか。町会へのアンケートの設問7を見ると、地域や町会が運行の主体になると読み取れる。運営経費が利用料金だけで賄えない場合、行政の方で負担してもらえるのか。

3.カシワニクルシステムを採用した場合、ドアトゥドアでかつ低料金の交通になると思うが、交通事業者の営業に対して影響が出てしまい、持続可能性がなくなるのではないか。

4.導入前の試験運行において、利用の動向を確認しながら事業内容を調整していくというステップが必要かと思うが、このあたりはどのように考えているのか。

(事務局)

1.新たな公共交通システムについて、どのようなものを採用していくかについては、地域に入ってみて、住宅の立地状況や新しい交通をどのくらいの人が利用する可能性があるのか等を踏まえながら、ジャンボタクシーのような定時定路線型が良いのか、カシワニクルのようなデマンド型が良いのか、もしくはその他の別の方法があるのかという点も含めて、地域の状況に相応しいものを検討していきたい。

2.運行計画や運営の全てを地域に任せるわけではない。市と地域とで連携しながら考えていきたい。他の自治体では地域による自主運営という事例もあることから、このような事例も参考にしながら地域と行政の運営の分担を考え、柏市に合った方法を検討していきたい。

新たな公共交通の事業費について、利用料金で賄えない場合はどれくらい市から支出できるかはこの場で即答することはできないが、地域で完全に自主運営することは難しいことだと思うので、市からの支出についても考えていく。

3.地域に市が公共交通を導入することによって、バス事業者様やタクシー事業者様に影響が出る可能性があるというご指摘をいただいているが、その通りであると思っている。市が税金を投入して相場より安い利用料金で乗ることができる公共交通として、現在ジャンボタクシーやカシワニクルを運行しているが、既存の交通事業者様にご迷惑がかからないようなことを念頭に運行しなければならないと思っており、新たな公共交通の運行においても、各事業者様にご相談させていただいて決めていく必要があると思っている。

4.実証実験についてであるが、アンケートやヒアリングを実施し、地域の皆さんの需要が高く、乗っていただけそうだということで運行を開始することになると思うが、実際に運行した場合に、あまり乗っていただけないという可能性もあるとは思っている。一度運行を開始すると地域の方にも運営する負担がかかり、行政としても負担が出てくるので、ある程度の期間で運行をやめる可能性もあるということを踏まえながら、実験をスタートするべきであると思っている。

(根本委員)

まだアンケート回収途中だと思うが、次の10月1日の部会で大体のアウトラインをお聞かせいただけるということでよいのか。

(事務局)

今後アンケートを整理し、その結果を踏まえて地域に入ってヒアリングを行っていく。地域に入ってみないと状況が分からない部分があるため、10月の部会の中では、アンケートの結果をとりまとめたものをお見せし、ヒアリングについては途中の経過報告になる可能性が高いと思っている。

(伊東委員)

1.資料4のカルテについて、南部地域のカシワニクルとジャンボタクシーの運行エリアは評価はしないことになっているが、この地域の評価も必要ではないか。

2.資料5及び6の評点のつけ方で、11地域の平均値以上かつ中央値以上は3点、いずれか以上の場合は1点となっているが、基本的には人口密度が高くて高齢化率が高いところの点数が高くなるような評価になっている。このような3点、1点のつけ方というものを初めて見た。2点がないということと、平均値以上かつ中央値以上の場合を3点とする根拠が分からない。

3.アンケートの項目について、もうアンケートは配布してしまっているとのことなので参考意見になるが、車を所有している方で、どのような公共交通を作っても公共交通を使わずに車しか使わない、という人をどう判断するのか。

また、車の所有について、世帯の中での所有状況を把握できていいるかどうかということ、それに加えて、家族の送迎があるのかないのか。自分では運転免許証を持っていないが、家族に送迎してもらっている人もいて、家族としては負担があるけれども、公共交通が導入されれば使いたい、という人もいるかもしれない。

もうひとつが運転免許証の返納の予定である。運転免許証を持っていて車を利用しているけれども、本当は運転が怖くて運転免許証を返納したい、ただ公共交通がないので仕方なく車を利用している、という人をどのようにこのアンケートから抽出し、公共交通を優先的に整備するエリアかどうかの判定の基準に反映しているのかという点が気になったので質問させていただく。

(事務局)

1.ジャンボタクシーとカシワニクルが現在運行している地域の評価についてであるが、現在コミュニティ交通として政策を展開しているエリアについては、今回の公共交通空白不便地域の対応とは別枠でルートやダイヤ等の見直しを進めていこうと考えている。

今回の公共交通空白不便地域への対応については、現在、市として政策をうてていない地域に特化して資料を作成させていただいている。

2.地域別評価の1点と3点の配点であるが、まず、こちらの地域別評価表については、この結果を根拠に新たな公共交通を導入していくというものではなく、11地域の公共交通空白不便地域のうちで先行的に地域に入って調査していくのはどの地域かを決めるためのものであり、困っている可能性が高そうな地域として上位4地域を抽出したものである。現在4地域にアンケート調査を実施しており、今後、アンケート結果を踏まえて地域の生の声を聞いていきたいと考えている。

なぜ2点の配点がないのかということについては、その方が各地域の合計点数の上下関係が分かりやすく比較しやすいからである。あまり細かく点数を設定してしまうと合計点の地域毎の差が出てこないため、便宜上1点と3点をつけ、比較のしやすさに考慮している。

3.アンケートの項目の件であるが、自宅に自分専用の車があるのか、それとも家族が持っているのかという視点でのアンケートは今回実施していないが、問3や問5の項目で、買い物や通院の際に最も利用する交通手段を尋ねており、自分で車を運転するのか、家族等による送迎なのかといった地域の皆さんの具体的な移動手段を確認したいということで、今回このような枠でアンケートを実施させていただいた。

運転免許証の返納の予定については、アンケートの質問が多くなりすぎないように配慮したこともあって記載していないが、是非ヒアリングの中では状況について地域の方に確認していければと思っている。

(伊東委員)

1.カルテについては、カシワニクルとジャンボタクシーを導入した後に他の地域と比べて評価が良くなったのか、または、それでもまだ悪いのかを確認する必要があると思うので、公平な評価をするために同じ項目で他の地域と比較しないといけないと思う。

2.アンケートに関しては、本当に困っている人をどのようにアンケートから抽出して、本当に困っている人がどの地域にいるのかということを絞り出すのには、少し質問項目が物足りないというのが個人的な感想である。

抽出された4地域以外において、本当に困っている人が沢山いる地域がある可能性があるので、そこが抜けてしまうことのないよう、よく確認する必要があると思う。

(事務局)

補足させていただくが、11地域については、このうちの4地域だけを対象にするということではなく、まず初めに4地域にヒアリングに入り、順を追って他の地域もヒアリングしていくという流れとなる。

(伊東委員)

ヒアリングの際の集まりに参加できない人ほど交通弱者である可能性が高い。そのような人の声をどのように拾うか、声の大きい人の意見に引っ張られることのないよう注意することが重要である。

(藤井会長)

公共交通が欲しいという希望は地域にヒアリングするとだいたい挙がってくるものである。公共交通がいらないという地域はまずない。乗る乗る詐欺は本当に困ることであり、公共交通が走ったら乗るから走らせて欲しいと声をあげるものの、実際に公共交通が走ると乗らない。

ある自治体では、新たな交通の運行前に地域に調査した結果、収支率の見込みが35%ということで導入することとしたが、実際に運行した際の収支率は5%であった。理由としては、先ほど伊東委員から話があったように、実際の利用者の特定のところがアンケートの回答からではなかなか難しかったことであり、実際には家族等により送迎してもらっているにもかかわらず、アンケートにおいてはタクシーを利用しているとの回答が相当数いたことが挙げられる。

アンケートにおいては、まずは全体像を把握するため、地域の母数として公共交通を利用しそうな方たちの枠組みを捉えること、その上で本当に公共交通を使う人を見極めていくということが重要となってくる。

地域を調査する中で、公共交通を必要としている人がいるのかどうか、地域の中で公共交通が必要だという意向が出ているのかどうか確認していくことが必要になってくる。

また、地域の既存の交通のルートと競合しない形で地域の移動を確保できるのかを考えていかなければならない。

(松丸委員)

今回選出した4地域だが、タクシー事業者の観点から申し上げると電話をいただければ5分10分で玄関までタクシーをお届けできる地域となる。改めて新たな交通を導入するのではなく、既存の資源であるタクシーを有効に使うのもひとつの考えではないか。高齢者であるとか住んでいる場所とかで条件付けをした上で、タクシーの交通費の一部を市で負担した方が早く対応できるのではないか。

(藤井会長)

周辺の自治体では、 75歳以上であるとか独居老人であるとか条件付けをして不便地域を対象として、松丸委員から話があったように取り組んでいるところもある。既存の交通モードをどう使うかという話と新たな交通という話、地域で需要がまとまるのであればジャンボタクシーのような方法となるので、地域の中で個別に検討していくのがよい。

(根本委員)

この4地区をよくぞ選出していただいたと思っている。まずは導入をしていただきたいと思う。運用でうまくいかなかったら次のステップで調整すれば良いのではないか。

また、コミュニティバスの運行に関して、町会で運営してくれということになると、柏市の町会加入率が70%を以下であることもあり、加入している方と加入していない方の間でトラブルにもなる。できれば行政でかなりの負担をお願いしたい。

(藤井会長)

これまでたくさんのご意見が出ているので、事務局としてはひとつひとつ対応していってもらいたい。地域の中の問題点・課題で、今困っているのか、将来的に本当に必要なので継続的に考えてほしいというレベルなのかなど、地域の特徴を丁寧に把握してどのような交通手段を地域に具体化していくかというところの絞り込みを進めていく必要がある。

予約型相乗りタクシー「カシワニクル」事業計画変更(案)について

(松田委員(檜山委員代理))

1.カシワニクルの運行エリアを拡大する地域について、一部当社の路線バスが運行している。議題1の資料における公共交通空白不便地域でない地域も含まれており、なぜこの地域を拡大したのか。

2.タク停を作る際に、既存の路線バスと競合しないように配慮をお願いしたい。

3.現状での逆井駅への乗り入れに加え、今後、高柳駅にも乗り入れることになるとバス事業者と競合するので、あくまでも逆井駅への乗り入れだけ、というような配慮をお願いしたい。

(事務局)

1.公共交通空白不便地域でないのにカシワニクルの運行区域を拡大することについては、現在ちばレインボーバスの路線と同じ路線にかしわ乗合ジャンボタクシーが通っているが、1日往復4便で利用者は1日2人程度であり、ほとんど利用されていない状況で、地域の需要とジャンボタクシーの運行の仕方が合っていないと思っており、この区間のジャンボタクシーをやめて、カシワニクルに切り替えていくということが目的となっている。この見直しを一度にやってしまうと利用者が混乱してしまうので、まずはカシワニクルのエリアを広げて、それからジャンボタクシーの路線を廃止していくというような段取りで進めていきたいと考えている。

2.タク停の設定については、今後ちばレインボーバス様とご相談させていただければと考えているのでよろしくお願いしたい。

3.カシワニクルの高柳駅への乗り入れついては、現在の計画の中では予定していないが、地域の需要も多いことが考えられ、今後仮に高柳駅への乗り入れの検討を進める場合には交通事業者様への営業への影響を考慮し、ちばレインボーバス様やタクシー事業者様と十分協議しなければいけないと思っている。

(松田委員(檜山委員代理))

ジャンボタクシーからの切り替えについてはもともと利便性が少なくて、それを向上させるためにカシワニクルにするということであると思うので、今のジャンボタクシーの利用状況がそのまま移行するという説明はどうなのかと思う。それであればそもそもカシワニクルに切り替える意味はないはずで、需要喚起があるから、カシワニクルに変えるということだと思う。そうなると既存の輸送への影響は心配せざるを得ないというところはあるのでよろしくお願いしたい。

(伊東委員)

1.カシワニクルの運行区域の拡大について、ここの地域をどのような経緯で追加することとなったのか、資料では利便性の向上を目指すという説明しかなかったので分からなかった。なぜこの地域に絞ったのか、絞るときにどのような情報をもとに設定したのかという根拠となるものが何か教えていただきたい。

2.カシワニクルの台数は2台なので、地域が拡大されると利用予約の際にお断りする確率が増えるのではないか。また委託費が増えるのではないか。

(事務局)

1.ジャンボタクシーの沼南コースは路線が非常に長く、乗っている時間が長いため利便性が良くないので、路線を少し短くしたいというところもある。また、今後ジャンボタクシーの利用率が低い路線を廃止する予定があり、その廃止する路線の区間をカシワニクルでカバーする、というのが根拠である。

2.委託費については、利用者が増えれば委託費も増えてくるかとは思う。この場では、いくらくらい増えるかは用意していない。

(藤井会長)

カシワニクルの運行区域を拡大した効果については、今後検証していかなくてはならないと思う。

カシワニクルは東京大学のオンデマンドシステムを導入した事例となるが、オンデマンド交通で1日に1台当たり何回運行できるかについて、当初計画されたところでいうと約32回の運行は確保できるとの数字が出ていた。現在カシワニクルは2台で運行しているので約60回の運行は確保でき、理論上は区域を拡大してもカバーできるのではないかと思う。

8 次回開催予定

令和2年10月1日(木曜日)に開催予定

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