令和元年度第1回柏市環境審議会生物部会会議録

1 日時

令和元年9月6日(金曜日)午後3時から午後5時まで

2 場所

柏市まちづくり公社 2階 会議室

3 出席者

(1)生物部会委員

野村部会長、相澤副部会長、川瀬委員、田口委員、星委員、半沢委員及び松清委員(計7名)

(2)事務局

國井環境部長、鈴木環境部次長兼環境政策課長、髙橋主幹、野村副主幹、森山主任及び宮﨑主事(計6名)

4 議題

  1. 柏市生きもの多様性プランの改訂について
  2. 改訂スケジュールについて

5 議事(要旨)

柏市生きもの多様性プランの改訂について

資料に基づき、事務局より説明。

その際に表明された主な意見は、次のとおり。

  • (川瀬委員)谷津の保全対象は田のみか。
    (事務局)埋立てていない耕作放棄地を含む田が対象であり、畑を含む埋立て済みの土地は対象としていない。
  • (川瀬委員)田だけではなく斜面林などを含む部分が水を生み出し、手賀沼の水源の一部となる。斜面林が荒れると浸透する水が減り湧水も少なくなる。保全対象が田のみとのことであるが、斜面林については如何か。
    (事務局)斜面林を含めて保全をすることで浸透する水や湧水が増加し、それが水生生物の生息環境を守ることに繋がる。谷津保全指針は斜面林を含めて守ろうという方針である。現状は田を優先して保全してきたが、今後は斜面林についても緑の保護地区制度など既存制度の活用を含めて関係部署と協議していきたい。
  • (相澤副部会長)現行施策の選択と集中を行うに当たり、現行プランの評価をすべきではないか。
    (事務局)現在進めており、次回以降示していきたい。
  • (野村部会長)評価を出すことは大切である。現行プラン策定時に重要地区の候補地を挙げたが、これは市で完全に守れるというものではないということは承知していた。しかし現状では未指定のままかなり損失していると知って衝撃だった。今後重要地区を指定するにしても、本当に守れるのか、絞るべきではないか、などを皆さんと一緒に考えていきたい。
  • (半沢委員)10年に1度の自然環境調査をされたようだが、次に還元されていくのか。
    (事務局)重要地区の候補地が10年でどのように変化したのかを中心に、NPO法人かしわ環境ステーションに調査をしてもらった。重要地区の精査をする上では、調査結果に沿って協議していただきたい。
  • (川瀬委員)特別緑地保全地区に指定された土地には手を出されないような認識があるが、緑の保護地区に指定された場合はどの程度守られるのか。売買が出来なくなるなどの決まりはあるのか。
    (事務局)特別緑地保全地区は都市計画決定のため、指定されると土地の用途変更は困難となる。対して緑の保護地区は協定に基づく制度なので、最終的には地権者がどうするかという選択の余地は残る形となる。
    (事務局)生物多様性は緑地と水辺と相関関係にあり、自然の豊かさのバロメーターから見てどうあるべきか、委員の皆様から見て、このような色々な課題をどのように評価していけばいいものかご意見をいただきたい。
  • (松清委員)生きもの環境影響評価制度が未制定とあるが、これは制定に向けての動きはあるのか。
    (事務局)平成22年度に庁内で調整会議を行った際、市で開発行為を把握できる段階が着工の2~3ヶ月前であり、その段階から環境影響評価を事業者に行ってもらうことへの理解を得るのは、困難ではないかとの指摘があり、制定にまで至らなかった経緯がある。
  • (松清委員)柏市の緑地保全の施策の中に、生物多様性という部分が明記されているのか。森林整備をしている立場で感じていることは、カシニワ制度や里山保全などに参画している市民の方から、『公園のように緑がきちんとしているのがいいのではないか。』と聞こえてくるなど、生物多様性の認識があまりないということ。そこを解消していかなければ、事業者に対し開発行為の際に配慮してほしいということも要請してはいけない。そこの根本的なところを今後どのように解決していくかが非常に重要である。こういう制度自体を動かしているところは他の市町村にあるか。
    (事務局)政令指定都市では県と同様の環境影響評価制度を運用している。それ以外の自治体では県条例での運用となっている。ただ、いくつかの自治体では開発行為や土地の形質変更の際に環境影響評価を行うようにと独自で条例を制定していることもある。
  • (松清委員)なぜ柏市は条例制定に向けた推進力が無かったのかを知りたい。また、いずれは柏市の人口増も頭打ちになり、開発自体が鈍化する状況になると思うが、それを待つだけではよくない。より能動的に市の価値を高めていき、植樹などの活動を起こさせるべきで、長期の計画として、今から先を見据えてもよいのではないか。いずれにしても、開発による緑化減少が止められないというこれまでの状況があまりにも悪いので、現状を市民に提示して、自然に対する危機感を持ってもらわなければその先の議論につながらないと思う。谷津の保全において、現状は田を優先的に保全していたとのことであるが、今後斜面林をどうしていくのか。今年から森林環境譲与税が交付されるので、生物多様性をテーマとして斜面林保全に運用してはどうか。水辺と森林で担当課を分けるのではなく、市役所全体として対応していくことこそが、生物多様性の対応として肝要ではないか。
    (事務局)それぞれの場所とこれに関連する政策や状況がスキームとして出来ていないと捉えている。柏市は地方都市としては水も緑もかなり多いが、どこをどこまで対策すべきかという線引きが明確化されていない。これは短期間で解消することは難しく、少し長い時間軸の中でどのように直していくかも1つのテーマになっていくと思う。
  • (野村部会長)全てが今回の部会で解決するとは思っていない。より良い方向に向けて進めていきたい。
    (事務局)森林環境譲与税について、柏市にも将来的には3千万~4千万円が交付される予定であるが、もともと地方の森を守ろうということが制度の根底にあり、使途が制約され、市街地では扱いが難しい制度となっている。住宅地の中の自然に使っていくのか、谷津の周りに使っていくのか、森林環境や生物多様性を含めた生きものが生きていく場所の教育に使っていくのか、様々な使い方があるので積極的に議論していきたい。
  • (半沢委員)柏市に今更大きなマンションは不要ではないか。開発と環境の繋がりあるとは感じられない。生物多様性は環境部で、開発は都市部でとなると、いつまでも知らない間に開発されてましたで終わってしまう。制度設計自体を変えていかないと全部壊れてしまうのではないか。
    (事務局)我々も同感である。法令上、建築可能である土地に何らかの理由で制限するということは難しい。これまでそこを乗り越えることができていない。職員も市民の皆さんも危機感は覚えていると思われるが、実際の法整備が追い付いていない。行政サイドとしても裁判まで持ち込んでも止めようという意識まで辿り着いていない。環境部としてはこれを引っ張っていかなければならないが出来ていない。公共性や自然のあり方はとても大事であり、市民の皆さんやNPOの皆さんと協力してそこに辿り着けるかが大きなテーマであると考える。
  • (川瀬委員)開発行為について。他の市町村では水循環を大きなテーマとして捉えている。他市では雨水の浸透に関する条例が厳しくなってきているが、柏市はそれ程厳しくない。これで開発や建築にかかる費用が大きく変わる。当然、業者は開発し易い場所で開発を行う。水循環に本気で取り組まないと、開発業者のいいようにされてしまうと感じる。
    (事務局)雨水浸透に関しては本年度から雨水排水対策室が雨水桝設置基準を改定した。また、水害対策として流出水の抑制にも取り組んでいる。今後、業者に浸透していけば変化があるのではと考えている。環境部としても気象の変化により大雨が増えるなどの事象に対する災害対策として水循環を施策の中に位置付けていかなければならない。
  • (松清委員)開発行為に制限をかけることは非常に難しい問題で、性急にやっていくべきとは必ずしも思っていない。一方で、市民や行政側に意識改革をしてそれをかけやすい環境作りを目指していかなければならない。市民に対しては生物多様性が自分たちの生活環境にどれだけの影響があるかを啓発していき、市の内部に対しては生物多様性の計画を立てていくなかで、指針を示してもらいたい。
    (事務局)都市は住宅開発や防災、河川などあらゆることが関わっている。そこに関与しないと生物多様性も進まない。計画を作って実績を残し、初めて予算に対しての意見が通るようになるので、こうしたアプローチは継続して実行していきたい。
  • (相澤副部会長)教職員も含めて行政職員の研修として生物多様性を組み込んでいくというのはどうか。市民に対して啓発活動をしようということは出るが、行政職員でも理解していない人は多い。社会を変えるために行政の中から変えていくのが良いかと思う。
  • (半沢委員)手賀沼をテーマにしていただけるというのは所属団体としてはありがたい。手賀沼は水が少なく、どのように増やすかが課題となっている。ここ10年ぐらい若い世代をターゲットに手賀沼の観光地化を進められている。ぜひ行政には観光地化の中に生き物がたくさんいる手賀沼という理念も含めていってもらいたい。
    (事務局)今回手賀沼をテーマにしようとしているところであるが、市民が柏市の自然を求め、よい環境で癒されたいと向かう先が手賀沼である。観光地化も進められているが、自然の中に身を置いた時の手賀沼の豊かさや、手賀沼に繋がる水系とか、市街地まで続く緑の豊かさといった奥深さに気付いてもらいたいという思いがある。現行プランにある重要地区37箇所全部に市が手を付けて人を貼り付けるという手法は限界がある。市民の目が手賀沼に向かうように、あるいは手賀沼にいる人が市内の奥底の緑や水辺を思い出せるような形で構築をし直そうというのが、今回手賀沼をテーマにしたところである。
  • (星委員)手賀沼に若い世代の視線を向けるという意味では、来月開催される手賀沼エコマラソンなどのイベントを利用するのもよい。また、市内に大型アウトドアショップがオープンするなど、若い世代を中心にアウトドアが流行している。手賀沼周辺にもキャンプ場などあると思うが、流行の先を見て取り入れると、若い世代の目が更に手賀沼に向くのではないかと思う。
    (事務局)手賀沼は柏にとって大きな財産であるため、シンボリックに扱っていきたい。
  • (松清委員)市民への啓発活動の際など、ストーリーとして手賀沼を扱うのはいいと思う。ただ、施策的に扱っていく場合はもっと本質的に見ていく必要があると思う。

(2) 改訂スケジュールについて

 資料に基づき、事務局より説明。

6 傍聴者

傍聴者なし

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