平成30年度第2回柏市立図書館協議会会議録

1 開催日時

平成30年10月24日(水曜日)午後2時から4時

2 開催場所

柏市まちづくり公社 階会議室

3 出席者

  • 委員   
    井上会長、三浦副会長、加藤委員、中島委員、山宮委員、田川委員、渡辺委員、菅原委員、田辺委員、白井委員
  • 事務局
    小貫生涯学習部長、中山生涯学習部次長、小池図書館長、早川統括リーダー、古川統括リーダー、利光副主幹、千田副主幹、後藤副主幹、高村生涯学習課長、橋本副参事、柳川副主幹、川本主任 

    宮田氏、島津氏(アカデミック・リソース・ガイド(株))

4 概要

資料に沿って、事務局から説明。委員からの主な意見は、次のとおり。

1 柏市図書館のあり方に関する進捗報告

2 複本等について

  • 渡辺委員
    児童書と一般書は分けて考えた方が良い。児童書はどの時代でも読み継がれる本があるので、いつどこに行っても手に取れるよう、蔵書が多くても良いのではないか。
    一般書は、予約が集中するのは話題になった本に偏ると推測する。ブームのようなものであるなら、少し蔵書を抑えめにして、申し訳ないが予約を少し待っていただいてもよいのではないか。 
  • 菅原委員
    子育て支援の観点からは、読み聞かせに必要な本がいつでもあることはありがたい。寄贈方法について教えてほしい。
    (事務局)ここ1、2年以内に出版されたもので、図書館で動きがあるものはお受けできる。古いもの、専門的なもの、辞典、雑誌などは寄贈を受けていない。また、後の処理は図書館に任せる、ということでよければ寄贈を受けている。
  • 田辺委員
    寄贈本の扱いが疑問だった。価値のあるものがリサイクルに出されている例もあり、もったいないと思っていたが、説明を受けて疑問が解消した。

    話題の本は予約をしてもかなり待たされる。図書館としても利用者としても難しい部分だと思う。

  • 白井委員
    一度リクエストをすると、便利さにより繰り返しになって、同じ人・偏った人の要求が繰り返されているとは考えられないか。
    (事務局)どういう利用者がどのようなリクエストをしたか、という統計は取れない。市民の7パーセントしか図書館を利用していないという数字が出ていて、その中でどれくらいの人がリクエストしているか掴めていない。図書館としては資料要求があったときにはお応えする、という事業を行っており、誰が何回リクエストをしてもそれをお断りすることはない。リクエストをしないのは勿体ないという事を周知していくのも業務の一環であり、是非使ってもらいたいと思っている。
  • 白井委員
    そうであるのならリクエストの仕方を知らない人もいると思うので、ホームページをわかりやすくするとか、学校で子ども達に伝えてみるとか、お年寄りのサークル等でも周知していき、多様な層からリクエストを受けることが大事ではないか。それで複本が増えるのは致し方ない。私は新聞の書評欄をチェックしている。賞を取った本ではなく、新聞の書評欄で紹介される本の情報も参考にしてほしい。
  •  加藤委員
    小学校では年齢によって人気シリーズには差がある。こども達にアンケートを取りリクエストを聞きながら精選している。人気シリーズについてはやはり多めに置いて、こども達が読みたいときに読めるように心がけているが、それだけでなく、頻繁に図書室通いをしている子どもは深い本を手広く読んでいるので、そのような子どもの少数意見も大切にしている。子ども達が図書館へ行くにあたっては「読みたい本があること」が重要である。図書館でも、読みたい本を把握するために、学校のアンケートを参考にしたり、直接学校職員や学校図書館を見学したりすることが参考になるのでないか。
  •  中島委員
    学校図書館では、調べ学習に使う本は学校間でリクエストが重なることが多いので自前で揃えたいと思っている。しかし同じ本ばかり40冊ということもできないので、せめてグループで、と基本となる本を6冊から8冊揃えている。課題図書は年によって変わり翌年は読まれない。色々な本を揃えたいので、学校では複本を良しとはしていない。図書館に、44冊の調べ学習用の図書を複本で用意してもらっている。とても重宝している。
  • 山宮委員
    リクエスト本がすぐに手に入るとありがたいので複本がよくないとは一概には思わない。予約待ちをする楽しみもあるが、すっかり忘れ去っている時もある。リクエストが多いものに対しては沢山揃えてほしい。
  •  田川委員
    ほっとハッと通信のイラストを描いており、参考とする絵本を図書館で借りている。我孫子と流山の図書館が好きだが、これらの図書館にない本が柏市の図書館にはあったことが有り、助かっている。子どもは読みたい本はすぐに読みたいだろうから複本は必要だと思うが、大人は少し我慢してもいいかと思う。
  •  三浦副会長
    29年3月にだされた「柏市まちづくり推進のための調査 調査結果報告書」では、図書館の利用目的として、5割以上が小説・文芸書を借りて読むため、2割は絵本を借りて読ませるため、という結果もでている。とすると、複本を一括で考えるのではなく分けて考える必要がある。
    柏市子ども読書活動推進計画(第三次)でも乳幼児期から図書館の利用登録をし、図書館から多くの本を借りることで、家庭に本のある環境をつくる、とあり、近くの分館に本がある、複本を置く、という図書館の意思が感じられる。
    児童書や学校で利用するような本は一か所で揃えられず大量に必要とされる場合もあるので、そのジャンルの複本はあってしかるべきと考える。文芸書についても闇雲に揃えるのではなく、厳選していくべきものと考える。
    また、文部科学省から出ている「親と子の読書活動等に関する調査」によると、読書好きの保護者の子は読書好きの傾向がみられる、とあり、図書館が身近にある地域、蔵書が充実している地域の児童・生徒、保護者はよく図書館を利用している、という報告もある。保護者が図書館へ行きたいと思えるよう、ある程度の料理本やハウツーもの等もそれぞれ揃えていくというのも間違いではない。
    購入と寄贈を分けて考えることについては、他市の図書館ではベストセラー的なものは寄贈をよびかけているように、市民が市民に還元していく流れをつくってもよい。
    資料には、近隣の埼玉、神奈川、特に千葉県内の大きな自治体の状況が載っていない。比較対象とするのであれば、東京に近い地区、柏という特異性を持ったところと同じような埼玉、神奈川等の自治体と行うべき。
    複本がすべて悪いわけではなく、ものによって良いもの、悪いものがある。多くの資料を揃えるのは当たり前である。
  •  井上会長
    資料は柏市と先進自治体との比較という説明であったが、先進自治体というより新しく大規模に図書館を作ったところでないか。新設の図書館ではよほど良い本であれば過去に遡って購入するが、よほどのものでない限り、その時流通している本を大量購入しており、ベストセラーではなくても魅力的な新しい本がたくさんある。このような時は同じ本にリクエストは集中しないため複本は少なくて済む。柏市と同様に予算も書庫もなく古くから細々とやりながらも利用を伸ばしている図書館と比較することも大切でないか。
    複本については児童書と一般書を分けて考えないといけない。柏市で複本の多い児童書は、評価の定まったロングセラーが多い。子ども達が来た時に手に取れるということを実現しており良いことだと思う。一般書は児童書と違いロングセラーのものだけではなく多様性も大切になるため、複本をどれだけ揃えるかは迷う。
    隣市は13万都市、3分館で10冊まで購入し、寄贈をホームページで呼びかけている。ブームが過ぎて無駄になるかもしれないが、分館数を考えると柏市の複本の購入上限20冊は多すぎるわけではない。
    また、ブームがおちついても、分館である作家の一番有名な本はなく、3番手、4番手の本しかない、ということはできないのでないか、と思う。
    一般書については、買えばいい、と考える方も多くいるが、まずは図書館で読み、本当に良ければ買いたい、という使い方をしている人もいる。回転数も多く、柏市で20冊というのは無駄ではないのではないか、と考える。
    隣市では、10冊以上ある本でリクエストが落ち着いたら、一つのタイトルを10冊集めて十冊文庫とし、読書会用テキストとして使っている。そういう考え方もできるのでないか。

3 学校図書館との連携・支援の方向性について

  • 加藤委員
    調べ学習が盛んに行われているので、単元に合わせたセットを用意していただけるのはありがたく効果的だ。ただ予約の仕方や予約の状況が学校側に的確に伝わってきていないので、今後は予約のスムーズ化が大事だと思う。
    子ども司書のポップ展示は職員も保護者もとても喜んでいる。今後子ども司書の取組みを広げて、希望者を増やしたい。そのためには、学校の中で図書館の利用方法や意味を変えていく必要がある。以前は学校図書館は読書をする場所だったが、今は調べ学習が主流になっている。これからは異年齢での交流、子ども司書活躍の場になっていくと考えられる。現在の子ども司書の活動は学校それぞれで特色を発揮してやっているが、図書館職員と学校が、子ども司書にどういう活躍の場があるのか、一緒に考えていただける機会があるとよい。
    子どもたちは図書館は読書をする場所と思っており、それだけではないということが現場に伝わっていない。図書館が発信していても学校現場に伝わっていない現状。図書館と学校現場がどのように話をしていくか、どのように繋がっていくかということが大きな課題でないか。図書館が学校に来るとか、学校の様子を見る等の活動が図書館と学校の交流には効果的だと思う。
  •  中島委員
    学習セットの利用については、二学期からは予約カレンダーを作成したので、学校図書館指導員同士は予約の状況を把握している。図書館との連絡は電話ではなくメールでのやり取りがよい。書面の方が間違いがない。
    調べ学習の本は学校図書館でも用意するが、図書館でも更に購入してほしい。
    図書館のホームページを見やすくしてほしい。ビブリオバトルの情報も古い。
    日本語を母国語としない子どもが増えており、英語圏だけではなくアジア各国から来ている。各言語の本があればよいと思う。デイジー図書の充実もお願いしたい。
    補足だが、貸出数が学校によって0の学校もあるが、学校に蔵書があるから0なのであって学習していないわけではない。
  •  山宮委員
    学校において、子ども達にポップやビブリオバトルが浸透しているのは素晴らしいと思う。
  •  渡辺委員
    学校図書館で子ども達が読書活動をスタートさせ、将来にわたって図書館を利用する、調べたいことを調べられる力を付けるきっかけになってほしい。学校図書館を通じて、図書館本館や分館をスムーズに使えるようになることが大切である。授業の中で図書館での調べ方やリクエストのやり方を教えるとか、まち探検時に端末画面での予約してみる、などちょっとしたことを繰り返すことによって、自分でできる、という体験をすれば、一人ひとりが学校図書館や分館をとおして図書館と近くなれるのではないか。
  •  菅原委員
    資料(未来の柏の図書館について語り合おう!で出た意見)14ページにある「映像、CD、メディア」について現状ではどのように考えているか。
    (事務局)現状では映像資料は賞をとったものや学習に使うもの、地震映像資料等、社会的話題性のあるものを受け入れている。CDも専門家推薦のものの中から選んでいる。柏市内の学校演奏のCDは郷土資料として複数受入れしている。図書館で視聴することも可能。アンテナを高くして、定期的に選定会議を行い収集している。
  •  三浦副会長
    図書館として子どもたちの支援は大切だが、子ども達は図書館に行くことができない環境にある。帰りの寄り道禁止、クラブ活動・部活、習い事・塾等で、学年が上がっていくほど時間は無くなる。不読率に如実に表れている。ではどうすればいいのか。
    しかし、子どもたちは学校図書館ヘは行かざるを得ない。学校図書館で本の楽しさや喜びを教えていただければ、卒業後に公共図書館に行くきっかけになるかもしれない。公共図書館はそれを期待している。図書室の本は古いが学校図書館指導員の先生が工夫してディスプレイ等している。
    学校図書館は、読書の場、自由研究や課題のディスカッションの場となることのほかに、居場所としての機能も今は大事。不登校にまでならないが居場所がない、という子どもが学校図書館にいる。図書館は学校図書館と連携していくことによって、豊かな子ども達をつくっていくとともに、その子どもが親、祖父母を図書館につれてきてくれる存在になればよい。
    子どもの読書活動の推進に関する法律の附帯決議で、子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において、本と親しみ、本を楽しむことができる環境づくりのため、学校図書館、公共図書館等の整備充実に努めること、とある。まずはこういう環境づくりをしてほしい。
    図書館は使うと便利なため、それを知ると爆発的に利用が増える。人や物が増えるとミスを犯すので、学校と図書館のルール作りが必要である。
  •  白井委員
    高等学校図書館とはどのように連携しているのか。高校生は大人が考えているよりスマホをとても活用している。電子書籍によって複本問題も解決できるかもしれない。
    (事務局)市内の高等学校図書館とも毎年検討会を設けている。学校司書の方と話し合いの場を設けており、その流れでビブリオバトルや毎年1校ずつだが読書交流会、今年は高等学校図書館で、消費生活センターと連携し18歳成人にむけて消費者教育の関連本を巡回展示している。
    電子書籍については、今後検討していかなければならない課題だと考えているが、現在、図書館で利用できるコンテンツが非常に少ないことが、多くの図書館に広まっていない理由だと考えている。
  •  井上会長
    学校図書館コーディネーターとは?
    (中島委員)司書教諭を中心にした支援を行っている。「図書館のこの本を使ってこのように授業をすればよい」「このようにすればもっとよく授業ができる」ということを各学校を回ってアドバイスしている。
  •  井上会長
    学校図書館指導員の方が全校にいらっしゃるということから、良いことが始まったように思える。
  •  中島委員
    学校図書館指導員の勤務時間は1日5時間。一日中休むこともなく働いている。
  •  井上会長
    学校にそのような方がいらっしゃるということで、子ども達も学校図書室に向かうのでないかと思われる。

4 全体を通しての意見・質問

  • 白井委員
    柏市図書館のあり方策定に関する進捗報告の最初にある、「柏らしさ」と言われてもぴんと来ない。市民活動に積極的な市民と控えめな市民がいるというところに注目しているといっていたが、公共図書館が注目していくべき柏らしさとは何か。柏らしさというのだから、他の地域との比較ででてくることと思う。また、公共性の面からみるとどう考えるか。
    (事務局)これは事務局としてのたたき台として出している仮説。仮説が正しいと思っているわけではなく、市民の皆さんと議論していきたい部分でもある。行政としては公共性は必ず担保しなくてはならない。適正な手続きの中で視覚化していくことが大事と考える。
  •  白井委員
    内容が抽象的でよく分からなかった。サウンディング調査やワークショップの参加者数が少ない。
    (事務局)市民の意見を聞きながら肉厚なものにしていく。最初の基本理念を次のステップで具体化していくのでご意見をいただければありがたい。
  •  三浦副会長
    全国的に人口や財源減少の中で柏に住みたい人、永住したい人を集めるためにも教育文化行政は重要。若者が柏に住みたいと思えるようなことを盛り込んでほしい。図書館はその一環だと思う。財政状況が厳しいということは分かるが、図書館を財源・人を集めるようなものとしてほしい。
    分散している分館の機能と厳しい財政状況が問題とされているが、分館は近隣センターの一つの機能であり、近隣センター全体の考え方も交えていかないと成り立たないと思う。
    本というものは日常生活のご飯。新しい情報はおかず。米の飯が常時あることが大事。基本になる資料あってこそ、新しいメディアへチャレンジするのが本来の姿ではないかと思う。
  •  渡辺委員
    生の意見(声)をここまで集めたのは素晴らしいこと。調査資料において専門的情報を一度に収集したい、という意見が多くみられるが、この機能は図書館本館でないとできない。本館の主要機能として専門書を集約して置くとか、調べもの専門の人を置くなど強化してもよいのでは。また分館は、くつろぎたい、いろいろな本に触れたいという方のためにあると考え、どのような本が借りられているのか、どのような年代の人が来館しているかデータをとって、その人たちに必要な蔵書を強化するなど、目的や役割を分けてやっていけばよい。
    図書館の利用者が少ないのなら図書館を利用しない理由を調べることも必要。
  •  白井委員
    公共図書館で専門書といっても難しい。専門書に関しては大学図書館との連携をとっていけばよい。図書館に大学図書館との橋渡しをしてもらえるとありがたい。

 5 傍聴

傍聴者 2名

6 次回開催予定

平成31年3月27日(水曜日)

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