令和2年度第1回柏市社会教育委員会議録

1 開催日時

令和2年8月28日(金曜日)午後1時30分から午後3時30分

2 開催場所

柏市役所沼南庁舎 501会議室

3 出席者

(委員)
寺本議長、常野副議長、岩田委員、門井委員、坂巻委員、前川委員、羽村委員、村田委員、岩﨑委員、伊藤委員、牧野委員、青山委員

(事務局)

宮島生涯学習部長、沖本生涯学習課長、渡邊同統括リーダー、山本同副主幹、高丸同主任、中澤同主事、萠抜生涯学習専門アドバイザー、馬場生涯学習専門アドバイザー、岩渕生涯学習専門アドバイザー

(その他)

中央公民館:山岡館長

学校教育課:関根指導主事

図書館:橋本館長、川本主査、栗田主事

(傍聴者)

1人

4 内容

  1. 開会
  2. 生涯学習部長あいさつ
  3. 議長あいさつ
  4. 令和2年度生涯学習部各課・館主要事務事業の概要について
  5. 説明事項 

    「前年度会議の振り返り」

    「社会教育委員会議の全体スケジュール」 

    「提言の骨子案について」

  6. 講話 

    「子どもの体験にどう関わるか」

    講師:文教大学人間科学部准教授 青山委員
  7. 協議事項(グループワーク) 

    「子どもが楽しいと思える(ポジティブな)経験とは、どのようなイベントや活動があるか」

  8. 事務連絡
  9. 閉会

5 令和2年度生涯学習部各課・館主要事務事業について

添付資料のとおり

各委員からの意見はなし

6 前年度の振り返りについて

前年度会議で設定したテーマ「地域に愛着を持つ子どもの育成」から「地域に愛着を持つ子どもを育むために」への修正を事務局より提案した。また、前年度会議の協議事項で出た意見の報告を行った。

(青山委員)

愛着を目標にして、事業を進めるのか。また、修正した「育成」から「育む」に修正した理由としては、どのようなニュアンスが込められているのか。

(事務局)

最終的な目標を愛着にするのではなく、委員の方々の共通認識のキーワードとして協議をしていただければと思う。修正理由としては、「育成」だと押し付けるイメージが強くなるので、子ども自身の内から湧き出てくることをイメージしている。

(青山委員)

キーワードとして大事にしているのであれば良い。「育む」については、提言を組む中で検討していければと思う。

(岩﨑委員)

柏市でどのような地域活動が行われているのか、話を聞くことは可能か。

(事務局)

次回の実践について協議していただく際に柏市の事例を説明したい。

7 講話

「子どもの体験にどう関わるか」

委員の共通理解を図り、議論を深めるために文教大学人間科学部准教授の青山委員から、子どもの体験活動について講義を受けた。

(羽村委員)

私は学校の外でいろいろな体験とか教育みたいなことを行っており、学校教育の中で何かできないかと思うことがある。学校の限られた時間には詰め込めないので、学校と社会教育で、どこかで線引きをしたり役割分担をしたりする必要がある。答えがあるかはわからないが、どのように考えているか。

(青山委員)

教科書的な理想を言えば、社会には色々な可能性が多くあり、網目が濃く、全員を拾えるような形がある方が良い。しかし、私は学校側のカリキュラムは、もう少し自由で柔軟な方が良いと考えており、学校側が教育課程を遂行することだけをゴールにしないような変化をした上で、体験型の授業が増えていく形と社会教育側でいうと全員が平等にチャンスを与えられる形の取組みが進んでいくと良いのではないか。実際に行政が補助金を交付したりして、生活保護世帯の子どもたちをちゃんと参加させられるような取組みが進んでいる。そんな取組みの中でこの太い線をちょっとずつ地域側と学校側の両方が変わっていくような形に変化していければ良いと考える。

(寺本議長)

今、学校と社会教育の役割分担という話題があったので、岩田委員、学校教育の現場から何かあるか。

(岩田委員)

一時期、学校に求められていることが非常に多くなっていたが、ここ数年はそれを見直して、社会と家庭と学校で、学校は学校でしかできないことに力を置いて、社会と家庭の力を借りて各々の責任で実施し始めている。

(村田委員)

体験は五感を通して感じ取るものだと考える。学校での学習は与えられるものであり、学校で教育的な体験等と言った時に体験としてはいいが、与えてしまうとそれは違うのではないかと思う。

(青山委員)

体験を与えないとできない社会という前提がある。格差の問題を考慮すると、ある程度やむを得ない部分もある。まず、一歩目として関わる大人が体験を意識することで、与える体験の中にも村田委員が仰る体験らしさが残る。

(前川委員)

親として感じていることだが、子どもを教育していく上で近道ばかりを要求しているように見える。子どもに対して、「勉強をやりなさい」とか、「サッカーをするならサッカーチームに行きなさい」ということに力を入れてやっているが、それ以外の様々な経験をさせることも大切で、学校や親が上手に引っ張っていかないと大人になった時に、限定的な話しかできなくなってしまう恐れがある。私は小さい頃の何気ない経験が大人になって身になっていることを実感しているので、子どもには日常の中で興味がないことも大事であると、親としてそこを意識して体験なり勉強をさせていかなければならないと感じている。

(寺本議長)

東京大学大学院教授で生涯学習を専攻している牧野委員から、「今後の生涯学習の在り方」についてお話しを伺いたい。

(牧野委員)

人生100年時代になってきており、また人工知能が発達し、AI時代に入ったと言われている。それに伴い、2030年頃の大学卒業生の65パーセントが現代にない仕事に就いていると議論されていたり、貧困をはじめとして社会の分断が非常に深刻になっていると言われている。今の子ども達が100年、人生をどう生き抜くのかといったことが問われてきており、学校の在り方、地域との関係等の様々な事を変える必要があるとの話しが出てきている。その中で新しい学び方としてアクティブラーニングと言われる、自ら能動的に関わって、対話的な関係の中で新しいものを発見していきましょうとか作っていきましょうという話がある。AIに依存してしまうと、自分で物事を考えないようになる恐れがあるので、自分が作れる側に回れるように、自分で意思判断や価値判断をしながら自分で自分の人生を作っていく当事者にならなければならない。そこで体験が大事という議論になるが、生涯学び続けるための基礎を作るという意味ぐらいで使わないと、今度は何か体験をしなければならないと言う脅迫観念が生まれてくる。子どもが自分の人生を歩めるように、体験といったものをきっちりと何のためにやろうとしているのかを議論していきながら、子どもたち自身が自分で探求できる力をつけていくことが大事である。

(寺本委員)

青山委員の教育的という言葉も立場によって、様々な考え方があって、全て組織化できるものではなく、管理的であるべき部分とそうでない部分がある。牧野委員の話については、すごく興味深く、「自己」の認識や「生きる力」といったキーワードにも繋がる。大人が心配し過ぎて色々施している延長に、子どもの生活が窮屈になっている現状もある。「楽しい」、「うれしい」という、生きている喜びや、子どもながらの楽しみが見いだせるシンプルな発想も大切にして、今後のグループワークに取り組んでいただきたい。しかし、一方で、より複雑で重要なテーマも含んでいるように感じる。

(坂巻委員)

今回の協議会のテーマは子どもの気持ちをどう育んでいくか。それをどうやって大人が進めていくかという話だと思う。私は現在、朝の交通指導を行って16年目だが、最初に交通指導をした小学校6年生は現在30歳くらいになっており、道で会った時に「おやっさん」って声をかけてくれる。それがまず基本だと思う。大人と子ども、学校と地域をどれだけ融合させていけるかが大事になってくる。大人が今後どれだけ子ども達と親しんでいけるか。自分の経験を押し付けるつもりもなく、今の時代と自分達が育った時代は全然違うので、それを無理やり押し付けても絶対にいいことはない。今の時代に合った経験をどうやってさせるかが今回のテーマの課題かと思う。

(伊藤委員)

今まで私が考えてきた体験をどうしたらいいのか、難しい課題であると感じた。今のこの現状の中で、近い将来の子どもたちをどのようにしたら、社会の中でうまく生活ができるかというのを考えたい。

(門井委員)

子どもたちが考える力をつける、考える場を与える。わざわざできたものを与える、ルールを押し付けると言ったものは違う。坂巻委員が述べた何十年か経って子どもが話しかけてくれる、これは日常の中で、子どもにとって素晴らしい体験である。子ども達には限られた時間の中で、子どもたちの考えをデザインしたり、子どもたちのためになる時間のデザインをこの場で協議したい。自分が関わっている団体の中で、子どもたちに遊びやゲームをする機会があり、ルールを説明するが、子どもたちの中で生まれてくるルールもあり、これも考える力なので、子どもたちが考えるルールというものも尊重できれば良い。

8 協議事項(グループワーク)

「子どもが楽しいと思える(ポジティブな)経験とは、どのようなイベントや活動があるか」について、3班に分かれ協議した。

(1班発表・岩﨑委員)

体験活動を通して、思い通りにならないことも必要なんじゃないかと意見がありました。結果がどうなるか分からないから、ワクワク感みたいなものがある。だからこそ、思い通りにならないことの楽しさも必要だと考える。イベント型を実施する際には、イベントに参加すると、大変だよな、これをすると準備をしなきゃいけない等を考えてしまう。だから、気軽に親子で参加できるものが良い。また、気軽に入れるサークルもあると良い。気軽に参加できて楽しめるのが、継続して参加できるイベントなのではないか。それから、柏市は若い世代も多くいる。若い世代との接点のあるイベントも必要なのではないか。柏市は地元企業が多くあるので、地元企業の子ども向けインターン制度もできたらいいのではないか。

(2班発表・坂巻委員)

子どもの提案は、大きな影響力を持っている。そんな子どもの意見や提案を大人がしっかり受け入れられるか、そういうのを今後はやっていけたらいいと思う。親同士は授業参観があるので、地域で見かけても誰だかわかる。児童と関わりのない高齢者は不審者と間違われることもある。そのため、思い切って学校が地域に授業参観を呼び掛けてみたらどうか。そのような機会があれば、子どもが地域の人を認識し、認識があれば、地域で会った時に挨拶もできて、より一層地域が良くなって明るくなるのではないか。他に、子どもが主体となって、自身で企画して何かを出来たら良いといった意見もでた。

(3班発表・羽村委員)

2班に同じく、子どもが主体となり自分たちで意見を出し、それを社会で実現するというような取り組みが良いという意見があった。これは柏版キッザニアみたいなもので、具体的には、子どもが農作物作りや商品の売買等を教えてもらい、実際に作物作りや売買を市内各所で行い、市内を周遊しながら出来る中長期型のプログラムになっている。これらの経験は子どもたちにとって参加した事を実感できるものと考える。別の意見で、子どもがやりたいことと、大人が経験させたいことには違うケースがある。大人が経験させたいという現状の中で、大人がやらせたいことは副産物的に仕込み、子どもが積極的に参加したくなるような看板を掲げておくことが重要なのではないか。このような話は、様々なところで聞く。実施方法によっては、学校や地域等、学校にそのまま取り入れるのは難しいが、学校の中に一部だけでも取り入れて、子どもにとって愛着を育みつつ、やりたいと思いながら体験でき、大人もやらせたいような体験プログラムができるのではないだろうか。

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