令和元年度第1回柏市生涯学習推進協議会議録

1 開催日

令和元年8月27日(火曜日)午後2時30分~午後4時35分

2 開催場所

青少年センター 創作室

3 出席者

(委員)
池沢会長、清水副会長、岩渕委員、末武委員、高橋委員、常野委員、内藤委員、並木委員、根本委員、牧野委員、三好委員

(事務局)
河嶌教育長、小貫生涯学習部長、髙村生涯学習課長、渡邊同統括リーダー、船越同統括リーダー、三田上同担当リーダー、山本同担当リーダー、高野同主事補、石井生涯学習専門アドバイザー、馬場生涯学習専門アドバイザー、石田教育総務課長、橋本中央公民館副主幹、橋本図書館長

4 内容

  1. 開会
  2. 委嘱状交付
  3. 教育長あいさつ
  4. 委員及び職員紹介
  5. 会長、副会長の選出
  6. 生涯学習推進計画の概要説明
  7. 協議事項 生涯学習についての意見交換
  8. 事務連絡
  9. 閉会

5 会長、副会長の選出

委員の互選により、池沢委員を会長に、清水委員を副会長に選出

6 生涯学習推進計画の概要説明

事務局より生涯学習推進計画の概要について説明

池沢会長:事務局側からの説明について、質問はあるか。

根本委員:私は地域の立場からの意見を申し上げたいのだが、いろいろとアンケートを取っていただいて、回収率が半分以下だということで、非常に寂しいが、もう少し高めるように努めていただきたい。それで、「地域活動やボランティア活動に参加していない」というのが、7ページにあるように、71パーセントと、非常に高い。これは、今、柏市で、町会、地縁組織、町会加入率が非常に低く、ちょうど71パーセント前後なんです。ですから、これと同じような数値かなと思う。地域組織には町会という自治会がありますが、戸建てと集合住宅によって加入率がだいぶ違う。戸建ての場合は加入率が80パーセントを優に超えていて、90パーセントに近いような加入率。集合住宅については非常に低く、ならすと70パーセントを割るが、それとだいたい同じような数字がでていて興味を持った。まず、地域に携わっていただくということが一番大切なことではないかと思う。今、私は20のふるさと協議会をまわっていて、どこの地域でも、担い手不足というのが非常にクローズアップされた課題となっている。なぜ人材、担い手不足になってくるかというと、結局、企業の定年が65歳、70歳になりつつあるとき、企業を卒業した人、退職した人が、70歳になってから地域に参加する年代というのは非常に少ないということが1つの課題ではないかということに、最近気が付いた。ではどうしたらいいのかというのは、地域と学校、地学連携、地域と学校が連携することによって、いろいろ担い手が発掘されるのではないかという意見が非常に多くある。折しもコミュニティ・スクールがこれからいろいろと進んでいくということは、時期を同じくして、非常にいいタイミングではないかと思っている。教育委員会としても、できるだけコミュニティ・スクールを推進していただいて、それで地域との連携を取っていくということを進めていただきたいと思う。行政のほうでは、最近、「生涯現役」というものを促進しているという協議会ができた。そうすると、生涯現役ということは、100歳時代ということで、生涯現役のうちに生涯活動というものを推進していただけるというのは、いいことではないかと思う。もう1つ、以前は、「生涯学習推進員」という方が、各ふる協に張り付く担当がいたらしいが、今はいない。どうしていないのかは、分からないが、「生涯学習推進員」という方を各地域に、少なくとも20の地域に張り付けていただいて、それで地域と生涯学習が一緒になって、これは新しい事業を推進するということではなくて、いろいろ、お互いにコラボしながらやっていくという方法も1つの選択肢としてよろしいのではないかと思う。

池沢会長: ただ今の根本委員の意見に関して、少し事務局でお答えいただきたい。

事務局:まず、アンケートの回収率の向上については、先ほどお示しした率で、全国的にこのぐらいの回収率にはなっているかと思うが、我々としても、策定にあたって市民アンケートを取るにあたり、回収率向上のために何か工夫できないかということで検討はしている。地域に携わっていただく方、担い手不足等については、まさに我々も課題意識を持っていて、そういうところの改善に寄与できるような生涯学習推進計画にできればということで、根本委員がおっしゃったことに何らかの形で対応できるような計画を作りたいと思っており、この後、後半の意見交換のところでも、そういうご意見を頂ければと思う。コミュニティ・スクールの推進については、教育委員会として一生懸命やっていくという方針なので、努力していきたい。「生涯学習推進員」がいなくなった具体的な理由を私も把握していないところがあるが、公民館の地区館というのは、確かに近隣センターの中にあったが、それが廃止になった代わりにコミュニティ事業等を近隣センターでやっている中で、事業仕分け等があり、だんだん形が変わってきてしまったというような流れは認識している。

根本委員:なくなった原因は置いておいて、これからの推進員の方向性としてはどのように考えているのか。

事務局:全体的なお話になってしまうが、事業仕分けで、生涯学習事業というのが、おそらく、市民の方から見て置き去りになっている感があるかと思う。そこについては、今後、福祉との融合も重要であり何らかの形で取り戻していく必要があるのではないかと考えている。具体的な策は、今は申し上げられるものが出来上がっていない。

根本委員:事業仕分けは過去の事業であって、過去の話。今は事業仕分けについては、あまり取り沙汰されていないので、もう一度、元に戻っていただきたいと思う。

7 協議事項 生涯学習についての意見交換

「生涯学習に関心がない人に対して、生涯学習をするきっかけを作るにはどうしたらよいか」

事務局:第3次柏市生涯学習推進計画についての課題意識について説明

池沢会長:自由に意見交換をお願いしたい。ご自身が今なさっていることなどを通して考えると、いかがか。

牧野委員:今日、この議題を見て言っているが、行政のほうは、生涯学習についてはもう分かっていると、第3次の総括も聞く必要がないというように受け止められる。そして委員には、何か生涯学習に関連するスキルを言えというように受け止められるが、そういう方針でよいか。「どうやって生涯学習に気付いて広められるか」という話をしろということであって、「柏市がどういう生涯学習を目指しているのか」といったことは、もう検討する必要がないとお考えだと受け止めてよいか。

事務局:第4次計画も基本的には第3次計画の理念を継承するということで考えている。いろいろな課題があり、漠然と「やらなければいけない」という認識はあるが、それを2回目以降で、何らかの形で案を出すにあたり、今回は、皆さまのお考えを伺うことによってヒントをいただきたいという形で考えている。そういう意味では、生涯学習について我々が分かっているということではない。そこは事務局として勉強不足で大変申し訳ないが、我々の理解を超えた、あるいは我々の視野の行き届かないところを、皆さまには見えていらっしゃるのではないか、そういう期待の下に、今回、このテーマを設定している。

牧野委員:気になるのが、第3次の生涯学習の計画を、第4次でも進めるという方向で考えるということか。第3次の生涯学習の計画が思ったように進んでいないので、むしろ、どう進めるかという話をしてほしいということなのか。この第4次の協議会において、そのあたりがはっきりしない感じがする。

事務局:第3次の内容をそのまま持って来て広めるということではない。理念として、継承すべきところはするが、内容も第4次ということで、がらりと変えるということを、今の時点で意思決定されたわけではないが、変えるべきところはしっかり変えて、新しいものを作りたいと思っている。

根本委員:「生涯学習推進員」の再構築という部分、そういう課題を進めていただきたい。第3次で至らなかったこと、「生涯学習とはなんぞや」となり、いろいろな地域活動があり地域活動を色分けすることはないが、生涯学習というものは新たに立ち上げる事業ではないと思う。地域にはいろいろ活動している団体がいるが、その団体がプログラムしている、いろいろな事業に相乗りするということを視野に入れていただきたい。第3次でもし達成されていないのであれば、そういった部分を第4次で推進するという動きであれば、もう少し地域の活動に顔の見える参加というか、そういったことに参加するほうがよいのではないか。

池沢会長:「顔が見える」というと具体的にはどなたのことか。

根本委員:事務局というか、生涯学習推進される方、つまり教育委員会だと思うが、そういう方が地域のイベントに顔を見せて、一緒に地域活動に参加することによって、生涯学習が推進されるのではないか。

岩渕委員:「生涯学習」という言葉がなかなか私たちの生活の近くにいないような気がする。そもそも、きっかけを全員に与えなければいけないんだろうかというところも、ふと考えてしまったりして、全員が全員の問題意識として生涯学習を考えなければいけないのか。たぶん皆さん、生きていながら、何かしら関わってはいると思うが、知らないうちに関わっていて、それがイコール生涯学習だったという認識をしないまま活動していらっしゃる、活動というか、生活をしていらっしゃる方が多いとは思う。

常野委員:7、8年前にこの地域でそういう活動を起こせと言われた時に、私は戸惑った。何をしていいのか、何が問題なのか、東大の牧野先生からアンケートを取っていただいたり、いろいろな形の方向性を出してもらったりしたが、その中で我々は何も分からないということをまず皆で理解しましょう、ということになった。そこで、いろいろな講師の方々に来ていただいて、1つずつの内容に関して勉強した。実は、立ち上げようと思った年が東北災害の年だった。お金は下りて来ない、やることは決まっている、どうにもならないということで、近隣センターの場所を借りて、総計で延べ人員300人から400人ぐらいの人が、そこで講義を聞いたという経験がある。これは非常に新鮮な経験であったし、学術的な、専門的な先生の話や、個々の活動の動きとかを聞き、それを学びながら、自分たちでできる1つずつのことをやっていくということが初年度から始まって、今、7、8年目になっている。だから、我々は、何も知らないまま動くことによって、今まで培ってきたものが生涯学習かなと思っている。そんな内容で、ここでどういう形に持って行くかということよりは、地域の人たちが何かをしたいという気持ち、願望というものが出て来るような動きの内容ということが大事だと思うし、我々が肝に銘じていることが、その向上心というか、もう少し先を見ながら動いていくということが、近くにいる小学生とか中学生とかに、個々に感じられて、そしてそれで地域というものが加わっていったら、本当は一番いいのかなと。我々は、昔からある鎮守の森を再生しようという動きを、最初にした。そのために、地域の人達が皆、努力しながらやるべきことを考えて、それを人に伝えていきながら発展していくと、こんなことを夢見ながら、我々は、「地縁のたまご」ということで、血縁ではない、地でつながっている他人の孫を育てていくという、そういう考え方にまとめていって、動いた。ここで言う生涯学習ということと合っているのかどうかは分からないが、我々の地味な動きの中で、それを一つずつ実施する、それは実施しようと思うと、ニーズが出て来る、学ぶという必要性が出て来る。学ぶという必要性を個々に組織し、個々に与えてもらうというような、そういう形の制度と結び付いていくと、1つのまとまった内容になってくるような気がする。我々は知らなくて良かった、いつも素人で良かった。ほかの色に染まらないで、そのままの動きで良かった。勝手なことをして、牧野先生にも叱られるが、動きの内容としては、そんな基本的なニーズが生まれて来るような形の動きが必要なのではないかという気がする。

内藤委員:私が思っていることだが、まず、生涯学習は、一般の方は、勉強することというふうに思われがちなのかなと思っていて、先ほど説明があったように、何でもいいんだと思う。自分がこれからの人生を進めていく上で、何か関われるものがあればいい、それに対して行政は、そういう場、機会を与えることが大事であって、そこから先は、そういう機会を得た人たちがどんどん自分で考えて、広げていけばいいんだと思っている。私どもは生涯学習施設で、利用者拡大に向けて取り組んでいることを、要約して申し上げたい。まず1つは、積極的な情報配信を心がけている。これまでは、ホームページでの情報発信とチラシ等の配布を中心に行ってきたが、今年度当初からは、Twitter(ツイッター)での情報発信を強化した。さらに今後はFacebook(フェイスブック)とインスタグラムを活用して、幅広い年齢層に広告していく。2つ目は、市町村や他の社会教育機関・団体との連携を進めようと思っている。柏市にも入っていただいているが、「ちばりすネット」で、県内市町村や大学等の生涯学習に関する情報を集めた、情報提供システムに登録している団体から、それぞれが行っている講座を推薦してもらって、登録団体による互選により、優れた取り組みを表彰するとともに、周知していくことを考えている。また、事業の充実ということで、今日、皆さんの机の上に「人生100年時代を楽しく過ごすために」ということで、今度の日曜日の講座だが、これもチラシを見ていただくと分かるように、講座、テーマの名称からどんな内容かを分かりやすくして、県民が参加したいと思われるように、工夫を進めている。また、幅広く、さまざまな分野から、県民が関心のありそうなテーマを選ぶようにしている。また、小さい頃から、生涯学習に積極的に関われる機会の確保のために、今年度から、「ちばっ子学び塾」という「子ども大学」のようなものがある。いくつかの講座を開設し、子どもたちがその中から自分の関心があるようなこと、学習意欲を高めるようなものを自主的に選んで、講座に参加していくものである。さらに、若者の地域課題解決のための異種の活動の実施ということで、高校生を中心とし、自分たちのまちづくりの社会参加事業に参加できるように、UDCK、柏の葉キャンパス駅前にあるアーバンデザインセンター柏の葉と連携した事業を実施し、高校生が自主的に、自分たちのまちづくりをどうしていこうかという、考える機会を設けている。最後になるが、障害者の生涯学習の樹立ということで、これは文部科学省の委託事業を活用した、知的障害者を対象に、ヘルマンハープや大正琴の楽器演奏や歌唱等の音楽活動を通じて、仲間と一緒に楽しみながら活動することにより、社会参画を促すということで、国の計画にもあるように、障害者に向けた幅広い生涯学習のきっかけ作りを、今後も進めていきたいと思う。

並木委員:第3次推進計画の中に、「活動内容が分からない」という、市民からの声が上がっているということで、やはり、発信に尽きるのかなと思う。子どもたちも、「勉強したい」と言って1年生が入ってくる。でもだんだん、学年が上がるにつれて「勉強は嫌いだ」というふうになる傾向がある。それは我々の責任でもあるので、自戒を込めて言っているが、学ぶということが楽しいということを、伝えなければいけないなと思っている。そういう意味では、学ぶことが楽しいという発信をどれだけするかということかなと思っている。どんな活動をしているかというのを、とにかく、いろいろな場面で、発信の仕方を変えてと、今でも発信されていると思うが、それが目に留まっていない、意識に入っていないということなのではないかと思うので、その仕方を変えるとか。例えば、「今月の一押し活動」と、団体をランキングしたり、学びポイント制とか、何かに参加するとポイントカードがあるとか。それも弊害もあると思いますが、発想を変えていって、発信していくということが大切なのかなと。我々も学校自体、今、どんな活動をしていて、子どもたちがどんな様子なのかというのは、常々、発信しようと心がけている。その発信によって理解が得られる、信頼してくださるということはあると思うので、そういう意味で、いかに発信をしていくかということを、皆さんのご意見から強く思った。

末武委員:本校では、子ども達が地域の方と活動する機会がなかなか無い。卒業生の保護者から顕著に出る意見では、「学校を卒業して、運動する機会等がなくなってしまって、太ってきた」とか、もっと地域で運動をする機会などが得られればいいのだが、保護者が1人連れて行くのも大変で、とかいう話を伺ったりすることがある。保護者の方たちもずっと頑張られていて、和太鼓のサークル等を作って、作曲活動をしたり、本校の文化祭で発表していただいたり、それから、流山高等学園さんの方では、運動会の調整をしてくれるので、卒業生が活動する機会を作ったり、ということはしているが、どうしても、地域の中で、継続していくという観点で見ると、そういう場所で活動できたというお話は、なかなか聞くことができないということが現状。時々だが、企業の方がジャガイモ堀を計画してくださったり、企業から発信していただいた活動に子どもたちが参加するということもあるので、企業の大きな力を借りるということも、1つの方法だと思う。地域にどんな会社があるか、ということも、私たちも知ることができて、卒業後に子どもたちも地域で働く場所を得ていますので、そういったきっかけにもなっていて、そういった場所がどんどん増えるといいなと思っている。まだまだ機会が少なく、来年に控える、オリンピックとか、パラリンピックのスポーツを、通常校の子どもたちと活動したり、地域の方と活動したり、というところで広げていったり、そういうことがまた健康の活動に広がったりするといいのかなと思いながら、職員がそういった活動に一部携わったりさせていただいている。まだまだ、きっかけがたくさんあるといいなと思っている。

高橋委員:すごく難しいテーマで、私どものボランティアセンターの中でも、常に考えていること。特に私、これまでの活動から、牧野委員や常野委員にだいぶ刺激を受けた者の1人だが、やはりボランティアの領域も、「ボランティア」と先に出してしまうと、本当に意識の高い方は来てくれるが、関心のない方は向いてくれないというのが実態としてあって、いかにボランティアというようなことを表に出さずに、むしろ楽しさとか、自分のために入ってもらって、結果的に、ボランティアなり生涯学習につながったという形にならないかなとずっと考えている。そういった意味で、関心がない方に振り向いていただくためには、生涯学習ということが最初に知らなくていいんではないかなと、個人的には思っている。結果論として、つながれば良いと。そのためには、楽しい切り口とか、いろいろあると思うが、よくNPOとか、生涯学習領域で楽しくやっているようなところの方から、「公的機関がやればやるほど固く感じてしまって、そのあたりの柔らかさをどう出していくかというのがポイントじゃないか」と言われることもあるので、そのあたりを、今回の計画で議論できたらいいかなと思う。

三好委員:私も市民活動をしている者として、というところだが、この資料を読ませていただいたときに、生涯学習と言っていながら、市民活動のようなことを支援している第3次のことだったんだなと、市民活動と生涯学習と、どう違うのかなと思ったり、今日の目的は、人々が生き生きと楽しく暮らすこと、生活の質を高める幸福感を一人一人が持つことなのかなと思ったら、「それは福祉だ」と思ったりした。こういった学習の機会というのは、いろいろな場面で今は多様化しているので、あらゆるところにたくさんあったほうがいいと思うので、そういう活動を推進していくことが本当にいいなと思ったが、皆さんのお話を聞いていたりする中で、生涯学習は、市民活動で勉強したり、生活の中で何かを学んだりする全てが生涯学習であるとするならば、教育長のごあいさつにもあったような縦割りのようなところを取り払う活動を生涯学習からされることもいいのかなと感じた。例えば、いろいろな目標の中で、地域支援課と協働推進課、図書館、中央公民館は仲間だが、子育て支援課、母子保健と、似たような目標を持って、それぞれがいろいろなことを考えて、やっていらっしゃる。そういうところを皆さんに、円滑にいくように、それがいろいろな市民の方に届くようにコーディネートするとか、そういった活動もしていくということの意識の違いみたいなものも、少し、計画の中に入れていくのがいいのかなと思った。いろんなところで「アウトリーチ」と根本委員がおっしゃったが、情報を発信して待っているのではなくて、自ら出て行くこと、いろいろな方とつながろうとしていること、そういうこともすごく大事かなというように思ったりもした。中央公民館が、今、改修工事をしているが、市民活動だったり教育だったり、福祉などが一緒になることができるいい機会であるならば、そういうところをモデルにして、生涯学習のための施設にするとか、もう少し大きいところで生涯学習を考えられるような、そういう活動になっていくといいのかなと思ったりもした。子どもたち自身が学校で学ぶ以外にも、いろいろな地域の中で魅力のある大人たちと出会ったり、学ぶことによって、そういう楽しさロールモデルのような方たちを見つけていくということが、学校だけでは学び得ないことなので、そういったことも支援していただきたいと思う。青少年センターについて、第3次のときには、計画の中に一つも出ていないが、子どもたちにもできる生涯学習みたいなことも考えながら、いろいろなところと連携を取っていくということも一つかなと思った。

池沢会長:最後に牧野委員に、実践と専門の立場から、少しお話ししていただきたい。

牧野委員:先ほど、今日の意見交換のテーマについて疑問があるという話をさせていただいたが、今、第3次を見ましたら、今までもこういう作り方をされてきたんですね。例えば、「市民の方に第2次計画は活用されなかったので、第3次では、こうしました」、「学習成果の活用策が不十分だったので、第3次はこうしました」みたいな形で作られてきたんだなというのが分かりましたが、もし可能でしたら、次回に、この上位計画である市の第五次総合計画の「教育」に関わるところと、教育振興基本計画の文言を出していただいた上で、この生涯学習の推進計画がどう位置付いているかといったことをお示しいただきたい。それでもまだ疑問があるのは、これは行政の推進計画であって、市民が活用しなかったから、計画をどうこうしますという議論にはあまりならないのではないかと思う。さらに言うと、例えば、柏市がこういう課題を抱えているからこそ、実は生涯学習はこういうふうに対応するんだということの中で、この計画が作られていくんではないかと思うが、そのあたり、「第3次の計画が市民に利用されなかったから変える」とかではなくて、その時の計画策定時と違って今の社会状況によって、「こうすべきだ」という議論から政策的には作られていくのではないかなと思うが、そのあたりの作られ方が、私たちが慣れているものとは違うものであるため、そのあたりについて、柏市として、どうお考えなのかをお聞きしたい。その上で池沢会長からお話しがありましたが、実は、こちらの資料集の15ページに入っています、中央教育審議会の答申にも関わっており、それから、今、柏市が推進しようとしているコミュニティ・スクールの計画策定に関わってきているが、実は、これを見てお分かりになりますように、教育振興基本計画では「生涯学習」というのを、人生100年時代を見据えて、生涯学習と言っておきながら、中教審では「社会教育の振興方策」というように述べている。もう少し言うと、今、文科省の中に、社会教育と名前が付いた課は全部なくなってしまい、しかも生涯学習という名前が付いていた政策局があったが、その局名もなくなってしまい、今は総合教育政策局になってしまって、唯一、生涯学習推進課というものだけが残っている。それでも社会教育が大事であるという議論を立てている。なぜか、ということだが、先ほど岩渕委員がおっしゃったように、生涯学習と言われてもあまりピンと来ないと思う。私たちは専門にやってきた者として、当然、生涯学習とは何かという定義をせよといえばできるが、たぶん、一般の方々にしてみれば、生涯学習はそれと認識しなくとも、結構いろいろなことをやって楽しんでいたり、一番大きな、広い概念は、自分が、ある意味では、生活がより良くなってきたと思えるプロセスにいれば、生涯学習をしていることになるので、あえて生涯学習とは思わなくとも、学習はされている。新しいことなどを学んだり、意識して学んだりしなくとも、例えば、今日は雰囲気を変えたいと思って、内装を変えるために、お花のことを勉強してみた、とか、自分なりにアレンジしてみたということを繰り返すことが生涯学習をしていることにもなっているので、たぶん、「これだ」というふうに言ってしまうと、堅いものになってしまっていて、受け入れにくいものになっていくだろうと。では、「あなたは生涯学習をしていますか」ということは、国の調査でもあるが、聞いてみると「いや、していません」という方が多いが、実際にはやっていらっしゃるんだろうと思う。その意味では、生涯学習をどう、行政として受け止めてやっていくのか、ということが問われなければいけないかなということが一つ言える。それからもう1つは、国が社会教育と言っているのは、「Society5.0」(ソサエティ5.0)という時代がこれからやって来ますよ、それに対応して、コミュニティ・スクールを作りましょうということになった。社会教育は大事ですよ、ということ。簡単に申し上げると、一つは、コミュニティ・スクールを作る時の議論で、各地の教育長さんに聞いたところ、このまま学校を放っておくと、あと10年でもう学校は機能が停止するという議論がなされた。先生方は多忙で、学校が福祉的なことも抱え込んでしまっており、教育機関ではなくなりつつある。学校に行っても、子どもたちは希望を語れなくなっていくことが想像され、それで、学校をもう少し身軽にしていくというか、先生方ご自身が教育の専門職として、教育に関われるようにするという議論から出発したのがコミュニティ・スクールの議論。もう1つ、先ほどの教育基本計画の中には入っていますが、当時出た予測で、2030年になると人工知能がどんどん発達して、今ある仕事の約5割は人を雇わなくなるという議論が出ていた。それだけでも職がなくなるとか、失業するという形。逆の言い方をすれば、2030年までの、その時の大学卒業生の65パーセントが、今はない職に就くことになる、という話だけれども、今はない職に就くというのは、今はないので、我々はどうなるのかは分からない。その意味では、子どもたちに、要は過去の知識を学ぶだけではなくて、むしろ、探求する力や学び続ける力を付けてもらわなければいけないですよね、という議論の中で、もう学校の中だけでは、教育は終わりませんよ、というふうに、2015年に国が宣言して、そして、来年から始まる学習指導要領が作られて、たぶん先生方は、こんなにたくさん書いて、何考えてんだろうと思っているかもしれないが、もう終わらないように作ってしまってある。そういう背景もあって、地域社会と一緒になって子どもを育ててくださいね、子どもにはもっと豊かな言語体験といわゆる体験活動を保障して、自分で自分のことを考えながら、友達と一緒になって、自分の人生を探求し、創る力を付けるようにしてくださいね、というのが、コミュニティ・スクールの方向性。さらにそれに対して、今度は社会教育を一般行政に移管してもいいですよ、というふうにしたのは、なぜかというと、実はもう、そうせざるを得ないぐらい、地域社会は壊れてきてしまっているという大きな前提の認識があって、簡単に言いますと、人々が学び合いながら、お互いの環境とたくさんのネットワークを作っておかないと、人々がいろんな制度の狭間に落ち込んで、見えなくなる、特に子どもたちが見えなくなるから。子どもたちは、落ち込んでしまうと見えなくなるので、そちらに持って行かれてしまって、今、大変なことになっているが、そういうことも含めて、底が割れないような社会を作る必要があるということで、もう社会教育だけでは対応できないけれども、一般行政と連携を取りながら、教育的に1人でも結びついていく、例えば学び的に関与しながら結びついていくことをしながら、一般行政そのものの底を厚くしましょうというのが、社会教育と一般行政を結び付けましょうという議論につながっているところがある。それ自体も、学校教育も含めて、教育が教育だけで成り立つ時代ではなくなってしまったのではないかという認識があって、今、大きな政策が作られてきているところ。それに対して、では柏市はどうされようとするのか、といったところが問われているということだと思う。そういう意味では、「学びとは何か」という議論にはならないが、例えば、人々が、自分一人良ければいいんじゃなく、お互いに少し配慮し合いながら、一緒になってやるこの社会、いい社会、もっといい社会を作りましょう、とか、もっと自分のいい生活は作りたいですよねという形で、関係を深めていくという営みそのものが生涯学習なんだというふうに位置付けていければ、日々、皆さんがやっていることが基本的になってくると思うので、その上で、自分たちは子どもたちに対して何ができるのかとか、例えば、この社会を次の世代につなげていくのにはどうしたらいいんだろうかということを、自分の活動の中で課題化していくことによって、少しその指向性を高めていく。そうなると、そこで子どもたちがさまざまに触れ合う中で、自分たちは大人たちからも大事にされているし、自分たちがこの社会を担っていくんだという気持ちを強く持っているし、例えば、自分の将来、学び続けていきながら、考え続けている子たちになっていくということが実現していくというような、そういう循環ができるといいな、と考えているということ。その意味で、生涯学習の推進計画が、行政として、どう受け止められていきながら、どう推進されていくのかといったことが問われることになるのかというふうに考えているということ。

池沢会長:今のお話を参考に、今後の方針を考えていかれたらと思っている。

8 その他

次回の会議は令和元年10月29日(火曜日)の午後1時30分から沼南庁舎会議室の予定

9 傍聴者

0名

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