平成28年度第2回柏市社会教育委員会議録

1 開催日時

平成28年11月8日(火曜日)午後1時30分~4時30分

2 開催場所

沼南庁舎5階 501会議室

3 出席者

(委員)
池沢議長、村田副議長、宇佐見委員、下田委員、川鍋委員、井上委員、淺岡委員、神田委員、小林委員、岩渕委員、清水委員

(事務局)
篠原生涯学習部長、髙村生涯学習課長、生涯学習課橋本統括リーダー、生涯学習課飯田主査、生涯学習課渡辺主事、萠抜生涯学習専門アドバイザー、大場生涯学習専門アドバイザー、石井生涯学習専門アドバイザー

4 内容

  1. 開会
  2. 生涯学習部長 挨拶
  3. 柏市社会教育委員会議長 挨拶
  4. 説明事項  
    他市町村における社会教育委員の答申・建議等について  
    他市における過去の提言について
  5. 協議事項  
    子どもの体験活動(概念図案)について  
    子どもの体験活動(事業案)について
  6. 閉会

5 説明・協議概要(要旨) 

説明事項

事務局より2点報告。

「他市町村における社会教育委員の答申・建議等について」及び柏市における過去の提言等について説明。

協議事項

  • 議長 
    次第の5について、二つのグループに分かれ、グループワーク形式で協議を行い、最後に発表いただく。最初に「子どもの体験活動(概念図案)」について、ご協議いただく。協議に入る前に事務局より説明を。
  • 事務局 
    グループワークの方法について説明。(2グループに分かれて、グループワーク実施。各グループのまとめは、別紙1のとおり)
  • Aグループの発表 
    子どもの体験活動について、まず、背景や意義、効果について、一くくりで説明する。
    そもそも背景は2つあり、1つは核家族化、もう1つは核家族化に伴って弱くなった地域力と考えられる。そのような中、失敗の体験、敗北感を味わうことが非常に少ないのではないかという意見が多く出た。また、大人の水準で大人が子どもに求めすぎること、レールを敷きすぎること、そのような部分があるのではないかという意見があった。さらに、実際に経験が多いとそれだけ得るものも多いという意見が出た。そのような中、たとえば、大人がレールを敷きすぎることや、いろいろな角度からのものの見方を覚えることとか、関わる大人がどのように接するかということで目的や効果も変わってくるのではないかという意見が出た。
    そして、キーワードについては、まず1点目の親については、親が「体験をしてくるように」と丸投げをするのではなく、親自身も参加すべきであること。次に2点目の命については、安全性や他人を思いやることも大事だが、自分自身を大事にすべきであること。最後に3点目の地域については、やはり人材発掘、周囲に目を向けるということ。地域では異年齢によるかかわりもでき、学年や世代を超えた関与もできる。それが地域のよさではないかということで話がまとまった。
  • Bグループの発表 
    まず、背景は、地域力の低下。親が地域につながっていないことで、親も孤立しているということ。そして、核家族化により、世代間やおじいちゃん、おばあちゃんから学ぶこともなくなってきている。そして、核家族化といっても親子が緊密かというとそうではない。親は、趣味や仕事に追われ、子どもには「早くしなさい」といい、親子ともども時間に追われて、コミュニケーションが不足しており、子どもが孤立した状態になっている。親も共働きが多いということが親の忙しさのひとつになっている。
    次に意義は、意義と効果と目的が渾然一体となってしまったが、子供は体験活動をすることによって、学校の学習とは違った意味で失敗をし、また、自分が集団の中でどういう立ち位置なのかということ、本当は得意だと思っていたことが実は苦手だったとか、真のリーダーがわかってくるとか、そのような意味で自分のことが分かるようになるのが大きな意義である。そして、問題に直面したときに解決する能力を培うということが大きな意義である。
    そして効果は、先ほどとつながるが、想定外の出来事に対応できるようになること、打たれ強い人間になること。そして、自分も失敗し、苦労もし、工夫もするため、そのような体験は、なかなか忘れず、本を読んだり、人から聞いたりする学びではなく、自分に刻みつけられるような学びができ、深く学べるということ。そして、与えられたものの中からは、本当の経験はなかなかできず、体験活動によって想定外の問題に直面したり、普段体験しないことを体験したりすることによって、自分を理解することになる。
    次に、目的は、自己肯定感を育成する、コミュニケーション能力を向上させる、それから多様な人間の価値というのが、勉強や器用さだけではなく、いろいろな面で価値があるということを、知るということ。そのことでお互いを認めることとなり、それから、他人の痛みもわかる様な人間になり、また、自己肯定感にもつながる。そして、他者と協調してよりよい社会を築いていこうという態度を養おうとすることが目的になる。そして、最後までやりきっていく、という責任感も身につく。
    そして、何回も繰り返し出た意見としては、失敗から学ぶということ。失敗をさせるということにはものすごく意義がある。
  • 事務局 
    2グループの発表に対する質疑は。
  • アドバイザー 
    体験というと、感動や喜びの体験をイメージする。皆さんの発表では、失敗をさせるということであったが、具体的にどのような失敗を考えているのか。私は、体験が喜びにつながり、感動が喜びにつながり、喜びが次の意欲につながると考える。失敗はできればしないほうがいいが、その失敗をどのようにとらえているのか。
  • 委員 
    そのとおりだと思う。たぶん、皆さんが考えている失敗は、1から10までの中の、工程の中での失敗という感じだと思う。1・2・3・4といくのが、1・2・5と行ってしまって、4をどうしたのかというときに、その4の失敗をもう一回考えて、5に結び付けて、6・7・8・9・10という成功をさせるというような失敗なのではないかと思う。結果的に失敗するというのは、もちろんよくないことである。だから、何か1つのものを作り上げるというときの中での、その工程での失敗というものをさせたほうがいいということ。分からないという場所、そして、そのような場所でくじけたときに手助けをし、そこで成功して、失敗したものをまた元に戻してあげるというような失敗と思っている。
  • 副議長 
    私も同じ考えである。20年ぐらい学校の方たちといろいろな体験活動を行ってきたが、先生方はいいものを与えてあげたい、いい体験をさせてあげたい、そして、いい感動やものを与えることで次のステップとして勇気や自信につながると思っていると思うが、実際に子どもたちとやり取りをしていると、できなかったことを積み上げていってできた小さいことのほうが自信につながり、逆に、大きいことの目的にあっという間に達成しても、それは一瞬感動しても、その子の体験としては、身についているのか、というと違うと思う。もっと小さいことだったり、自分がちょっとやってみたいけれど、どうやっていいかわからないものに試行錯誤して、なるべく大人が関与しないであげるということの失敗の小さい積み重ねであったり、たぶん大事だな、と皆さんおっしゃっていたのかなと思う。
  • 委員 
    失敗することで得られる気づきである。失敗よりは成功のほうがいい。しかし、失敗することは、大きい失敗もあるが、これはうまくいかなかったからこうすればいいと、次につながる失敗もある。
  • 委員 
    失敗の具体的な例として、青少年相談員が主催しているオーバーナイトハイクでの経験があげられる。30キロを歩くことを目的に子どもたちが集まってくるが、全然装備がなっておらず、最初の2キロで救護されてしまう子もいる。しかしそれは、救護であって、失敗ではない。足を痛めて全然歩けないが、救護所でちゃんと救護されて、ゴールに戻るという選択肢もある。また、本人の選択でリタイアというケースもある。それを失敗ととるかは別として、別の委員が発言された、自分の準備が足りなかったという気づきにもなる。そして、来年はもう少し、体調も、装備も整えて、来年に臨むという子もいる。躓いた先に自分が何を見つけていくのかということが大事になってくる。そこで、大人のプッシュも必要となるが、そこで何かを持って帰ってくれたら、こんなにいいことはないのかなと思う。
  • 委員 
    先ほど1つ、言い忘れた。大人は子どもに対してレールを敷いて、お膳立てしてしまう。それが、子どもが自分で試行錯誤して学んでいくということを阻んでいるということも背景にあるという意見が出ていた。
  • 議長 
    次に、「子どもの体験活動(事業案)」について、ご協議いただく。協議に入る前に事務局より説明を。
  • 事務局 
    グループワークの方法について説明。(2グループに分かれて、グループワーク実施。各グループのまとめは、別紙2のとおり)
  • Aグループの発表 
    私どものグループで話し合ったのは、新規事業はいらないということである。ここには、それぞれ既存の事業でがんばっている人たちが集まっている。しかし、現状としては、子どもの奪い合いになっている。新規事業よりも、まず、今現在の事業の定着化を図っていきたいという意見が出た。
    ただ、そのような中でも、新規事業についても検討したところ、夢見る講座ということで「ふるさとかしわ大発見」という事業を考えた。
    柏の名産はカブであるが、そのことを知らない人もいる。それはいけないということで、ふるさと柏のために、名産の柏のカブを使った一大事業をおこしてみたいと考えた。目的は、農業体験を通して、特産品であるカブを見直していただきたいということ。
    最初は、対象を小学生とその保護者と考えたが、そういう狭い範囲ではいけないことから、オール市民を対象として講座を組みたいと考えた。
    また、カブとあわせて田中茶も見直してほしいという意見も出た。
    子どもたち、そして、市民の方に、その作物を育てることの大変さを体験していただく。小学生は、種まきから収穫までのワンポイントしか体験していないため、その過程の、農家の方の日々の大変さを体験していただくために定期的に農家にお邪魔し、作業のお手伝いをするということも事業計画の中に入れるということとした。収穫したら、実際にそれを道の駅や「かしわで」さんにご協力いただき、売り子になる。売り子になって、買っていただいた方の笑顔を体験するということも1つの喜びかと思った。
    それから、もう1つは実際にカブを使った料理教室。子どもの料理教室は、各料理台に材料、たとえばお砂糖が大さじ2杯であるとか、おしょうゆが大さじ1杯であるとか全部計量されたものが並んでいる。だから、失敗しない。鍋にあけて、フライパンにあけて、炒めるだけという、そのような料理教室が非常に多いが、そうではなく、教室の前に、お砂糖のつぼから、しょうゆのビンから全部置いておき、そこでそれぞれが計量して、という料理教室を体験させたい。それにより、ちょっと、お砂糖が多かったり、しょうゆが多かったりして、味で自分の失敗を感じることができる。そのような料理教室を実際にやらせてみたい、やっていただきたいということ。
    それから、田中中学校で茶摘をやっているが、まだまだ皆さんご存知ないため、もう少しアピールしていただきたい。
    また、北部にある「こんぶくろ池」。
    地域の人は知っているが、非常に南北に長いまちになっており、はっきりいって沼南の方たちは柏の葉キャンパスや「こんぶくろ池」には、なかなか行くチャンスがない。また、逆に私の知っている柏の葉キャンパスの方たちは沼南のほうは全然知らない。そのような文化の交流もすごく大事だと思う。「こんぶくろ池」で、かぶと虫がとれる。あそこはNPOの人たちが一生懸命がんばって整備して、すごく立派な「こんぶくろ池」に再生できたので、そういうことをもう少し見直していただき、すべて、ひっくるめて、夢見る講座、「ふるさとかしわ大発見」というものを企画してみたいと思った。
  • Bグループの発表 
    私どものグループは、具体的な事業や活動というより、生物的自立、社会的自立、そしてその中間にあるものという整理をした。
    生物的自立というのは、生命を維持できる体験。火おこしや魚とりなど、そのようないろいろなことを親子で体験する。
    社会的自立というのは、社会の中で、地域の中で、どれだけ自分の立ち位置を見つけて自立していけるかということ。子ども目線でいろんなことを考えてもらうということで、子ども社長であるとか、子ども町会長であるとか、いわゆる、子どもの参画による、地域づくりをしていってはどうかという考え方。
    そして、やはり、地域と学校とは、切っても切れず、学校ともつながっていかなくてはいけないことから、いろいろな世代の人と交流することが必要であるという意見が出た。たとえば、防災訓練は大人だけでやっているが、中学生が災害時に人材として期待できることから、中学生・小学生を巻き込んだ、地域での防災対応に対する何か事業をしたらどうかという意見が出た。しかし、そのためには、いきなり、いつやるから集まってくださいということでは、その場で終わってしまうため、普段からお互いに顔の見える関係を築くことが必要だと思う。
    いま、民生委員の立場で、学校からの要請をうけて、地域の1人暮らしの高齢者のところに中学生が訪問して、たとえばクリスマスの時期だとクリスマスカードを手書きで持って行って、手渡している。そのような世代間交流をいろいろとすることによって、中学生にとって自分の住んでいる地域のどこに、そういう高齢者がいるか、どういう手助けのいる人がいるかということを知ることとなる。本当に中学生が地域で大きな力になると思う。
    だから、そういう環境づくりをするために、キャンプや子どもが企画する盆踊り大会、地域の伝統文化の継承、地域行事に子どもたちが参画するということを企画したらどうかということである。
  • アドバイザー 
    2つのグループの発表は、すばらしいと思う。
    ただ、実際にこれらの事業を展開していくとなると、人集めから、プログラム作り、それから、実践して評価することや、先ほどの成功体験、失敗体験をいかすことにつなげていくことを検討しなければ、事業として成り立たないと思う。
    そこで、時々出たが、このような体験は、学校をベースとしてやっている。学校の体験活動とコラボして、ステップアップできるような事業を考えなくてはいけないと思う。ただ、この社会教育委員会議で子どもの体験学習ということをまとめ、これを学校現場で取り組んでほしいということとなると、やはり負担感がある。
    学校で今やっている既存の事業の見直しをきちんとやった上で、何が一番不足しているのか、どういうことが手助けをお願いしたいのかということを、話し合いながら、調和をとりながらやっていくことが、大事であると思う。
  • 委員 
    お話のとおり、学校と協力してやれれば一番いいと思う。文部科学省も体験学習は増やそうとしているが、体験活動が多くなれば、その分、危険が多くなる。しかし、体験活動が増えても、教員の数は変わらない。そのようなリスクが今の中ではある。それをもう少し考えないと体験活動を多くするだけではダメなのではないかということを新聞で読んだ。
    そして、今のお話を聞いて、今度、地域の人とか親とかが学校と一緒になって体験活動をできればいいなと思ったが、そこで何かあったら、その人たちの責任になるのではないかということも、考えなくてはならない。そうすると、体験活動は、どのようにリスクをヘッジしていくかっていうのが、すごく大きな問題であるというふうに思った。
  • 副議長 
    教育委員会の関係を20年、地域活動の支援を13年してきた中で、その二つにおきている問題というのは、実は地域と学校がつながることでほぼ解決してしまうことが多いと思う。13年間、地域と学校をつなげるべきということで、学校の先生方や地域のふるさと協議会、町会、自治会の方とどうやったら、地域と学校がつながるかということをやり続けて、やっと今、高柳でもいい形で支援ができたし、増尾でも、高田でも、地域と学校がつながるという形で少しずつ解決していく問題が増えてきた。いま、柏第六小学校では、モデル地域ということで文部科学省と東大や高齢者機構の方と一緒にやっているが、柏第六小学校と地域の方がつながったことで、今、いろいろな形でお互いにいい効果が生まれてきていて、子どもたちを、どうやって、地域と学校が一緒になって育てていったらいいかという、出発点に立てたという状態だ。
    そこで、今アドバイザーがお話されたように、この問題を社会教育委員会で、いろんな立場の方がいて、民生委員の方や地域の方や学校の先生方や社会教育施設の方がいるので、今この場で、この提案の先のところ、どうやったら、今、ここにあげている事業を具体的に落としていけるのかという論議に移れたらいいと思った。
  • 委員 
  • 平成10年に高柳でオヤジの会を立ち上げて、17年になるが、その間、地域がら、なのかもしれないが、怪我をしたらどうするとか、なんかあったらどうするとかということは考えているが、誰も口に出していない。やっと最近になって、自分たちも保険をかけなくてはいけないのではないかと言い出しているが、じゃあ、調べておくなどと言って、そのままになっている。子どもたちには、事業をやるときには、かならず保険をかけている。先日も怪我をした人がいたが、自分でやったのだからいいよとなった。怪我をしたらなどということを先に考えてしまうと、できない部分も出てくる。だから、地域でやろうと言っているのに、こんなことを言っては申し訳ないが、怪我などを心配するなら、出てくるなという感じもある。もちろん怪我をしないようにやるということは大事である。ただ、そこにばかり凝り固まっていると何もできない。
    私は、高柳小学校・中学校の校長先生が変わると必ず学校に行くが、その際に、学校は地域のものだから、先生のものではない。先生方はサラリーマンだからいなくなってしまうし、学校は地域のものだから、地域の人たちが守る。だから、何でもやるから言ってくださいと伝える。その結果、体育祭や文化祭も手伝うし、枝が伸びてきたら切る。
    学校に聞くと、学校には実はあんまり予算がなく、業者に頼むお金がない。そのため、地域の人たちがやるからいいよということでやるが、怪我のことを言ったらできないし、いろんな意味で知恵を絞りあって、怪我をしないようにやろうというのが一番いいのかなと思う。高柳の場合は、そういうことを考えずにやった結果が、今の高柳の姿になっている。怪我をしないようにやるという気持ちがあれば、怪我とか事故とかというのは、極力減るんじゃないかなと思う。
  • 委員 
    学校と地域がうまくつながるコツは何か。
  • 副議長 
    地域の協力者と学校側の協力者の両方に接点を持てる人材がいないとつながらない。中立な立場で相手のニーズを両方聞いて、うまくつなげてくれる方が、両方の立場にいてくれないとなかなか難しい。
  • 議長 
    以上でグループワークを終了する。本日の意見やこれまでの協議を踏まえ、議長と事務局とで原案をまとめ皆様にご覧いただく。

その他

  • 事務局 伝達事項が2点。1点目は先日の全国社会教育研究大会千葉大会の報告について(副議長及び委員より、同研究大会の概要について報告)。2点目は、次回の会議の日程について。
  • 次回は、2月7日(火曜日)午後1時30分からとする。
  • 議長 それでは、これをもって、閉会とする。

6 傍聴者

0人

7 資料

会議資料(PDF形式876キロバイト)

別紙1・2(PDF形式201キロバイト)

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