令和2年度第1回柏市文化振興審議会会議録

開催日時

令和2年8月20日(木曜日)午後2時30分から午後4時30分

開催場所

沼南庁舎5階 大会議室

出席者

委員

飯森豊水委員(会長)、鈴木將勝委員(副会長)、林久美子委員、中村眞知子委員、亀岡浩美委員、

香島ひで子委員、手塚ナツ子委員、堀良慶委員、出浦真緒梨委員

事務局

河嶌貞教育長、宮島浩二生涯学習部長、吉田敬文化課長、野澤資子主幹、横山左千江副主幹、

大野和宏副主幹、山本遥主事補

内容

  1. 開会
  2. 教育長挨拶
  3. 会長挨拶
  4. 議事
    1. 報告事項
      • 令和2年度芸術文化事業の実施状況について
      • 柏市民ギャラリーの指定管理期間間満了に伴う選定事務の進捗状況について
    2. 協議事項
      • 第五次芸術文化振興計画について(諮問)
      • 第五次柏市芸術文化振興計画策定に向けた意見交換
  5. その他
  6. 閉会

会議概要

柏市芸術文化振興計画における第四次計画から第五次計画への変更点について

事務局より、前回(令和2年3月27日)の会議以降に各委員から聴取した意見を取り入れた改定内容について、第四次芸術文化振興計画からの変更点及び推進内容を説明した。

第五次柏市芸術文化振興計画策定に向けた意見交換

(飯森委員)第五次芸術文化振興計画(案)についての意見をいただくが、皆さんの考えができるだけ反映されて、必要な修正や加筆が増えていくことが求められる。事務局からの説明の中で広報の話があったが、これまでの審議会においても広報をしっかりやらなければならないことは全員一致しているところである。市民に周知する広報の可能性について、この分野に詳しい亀岡委員に調査をお願いしていたが、その報告をお願いしたい。

(亀岡委員)広報の大事さを日頃から感じており、審議会の席でも発言をしてきた。豊島区の事例から、柏市で市内で行われている文化活動が一括して見られるようなサイトが作れないかと提言したことがあったが、具体的な部分を周囲にヒアリングしたところ、サイトの作成に2~3ケ月かかるが、ニーズに合ったサイトにするならば、既存のシステムを加工するよりもオリジナルの作成が必要であり、費用は100万円くらいかかる。サイトは作って終わりではなく、その活用が問題であり、そのサイトに誰もが入力できるようにするには、セキュリティの課題がある。安全性を高めるためには入力の専任スタッフが必要になる。似た事例として、柏市のストリートミュージシャンが柏駅のダブルデッキで演奏するために、柏市からパフォーマーとして認定を得る登録制度がある。当初、柏インフォメーションセンターが窓口であったが、業務をやりきれずにボランティア団体であるストリートブレイカーズに窓口を移行したが、事務作業の煩雑さ、特に多岐にわたる問い合わせに対応できる人の配置と予算の取得は片手間ではできないという結論に至った。豊島区は区の方針として、自治体の消滅危機を抱えていることもあり、危険な池袋からおしゃれで安全なファミリー層も安心して暮らせる区を目指し、文化行政にも力を入れてきた。その中で文化の発信サイトを作っている。柏市においても文化行政の位置付けと予算の取得をしっかりやらないと実現できないと実感している。

(飯森委員)審議会の中では理想論かもしれないが、市内のあらゆる文化芸術活動が市のホームページを通じて広報できたらどれほど便利だろうと話をしているが、現実にはお金や人の問題で容易なことではない。今回、市の所蔵作品やイベントについての情報をホームページにまとめた「かしわミュージアム」は素晴らしいと思っているが、市の職員の中でも知らない職員がいて、周知が行きわたっているわけではない。

(堀委員)自分の経験として、「あーと・わの会」でホームページを立ち上げて、一番良かった点として、図録の画像をすべて掲載したところアクセス数が伸びた。全国のコレクターにも好評で画像の掲載が効力を発揮していると感じている。「かしわミュージアム」もスタートはこれで良いので、5年10年の長期間を見据えて地道に内容の充実を進めていくのがポイント。我々は20年かけてホームページを作り上げてきた。

(飯森委員)私も「柏わたくし美術館」のホームページを拝見して、多くの作品とともに貴重な情報が掲載されており、大変な作業であったと思う。「かしわミュージアム」は美術や音楽などの代表的な催し物やカジュアルに楽しめる内容を含めてまとめられている。事務局からは、今までやってきたものを集めただけという言い方をされたが、外部から見ると、どういう考えを持って、どのようなことをやってきたかがわかる。相手が何を考えているかを知ることは大事なこと。例えば、芹沢銈介展をたくさんやってきたこともわかるわけだが、柏市民のほとんどの方が芹沢銈介を知らないと思われるが、そこまで名前が出てくれば、作品を観てみよう、郷土資料展示室に展示しているのなら観てみよう、なるほど素晴らしいものだ、と気付いてもらえる。柏市の芸術活動はこういうことをやっているんだということがわかる。そのような蓄積が思いを伝えられるものである。先ほど亀岡委員の発言にあった情報をまとめることは現実的には難しい状態であるのであれば、市でやってきたものだけでも系統的に説明・紹介していくことはとても意味のあること。第五次計画にも継続して良いのではないだろうか。広報に関しては一旦ここまでにして、時間も限られているので事務局に対して質問はいかがか。

(手塚委員)アンケート等も読ませていただいたが、裾野を広げるということだが、松葉町の秋の文化祭は写真、習字、絵などいろいろとあるが、松葉町の住民が参加している。それと柏市文化祭は別物なのか。

(鈴木委員)柏市文化祭は、主催が教育委員会、実行委員会が柏市文化連盟で、主軸は文化連盟の所属団体を中心に運営している。松葉町では松葉町地域ふるさと協議会が地区文化祭として地域で行っているもの。

(手塚委員)合唱団で子どもたちが松葉町でも演奏会をするが、他の地域の文化祭に呼ばれて行くこともある。これも裾野を広げると言っていいだろうか。音楽家協会のポスターは松葉町内でも貼っているが裾野が広がるのか。裾野はどうしたら広げられるのか。興味のない人はポスターが貼ってあっても気に留めない。

(林委員)少しでも多くの方の目に触れさせたいのでポスターを張るが、口コミや実際に観に来て共感を覚えていただいて繋げていくという形でないとなかなか広がらない。

(手塚委員)弁栄展も朝日新聞の告知で知ったが、家族も柏市郷土資料展示室の場所がわからなかった。パレット柏での長縄えい子展は最終日に知って慌てて行ったが、裾野を広げるとはどういうことなのかと思った。カルチャーの人たちが例えば松葉町に来て絵を描いている人や写真を撮っている人たちも興味はあると思うがなかなか足は運ばない。裾野を広げるとは、広報等で発信してもらって興味があることを拾い上げていくということなのかと思う。

(飯森委員)個人的には重要な問題だと思う。裾野を広げる、どのように興味を持ってもらえるようにしたら良いか、ご意見をいただきたい。例えば音楽で、小中学生が千葉交響楽団の生のオーケストラの演奏を聴くということは大変な体験で、その生徒によっては一生に一回しか聴かない唯一の機会になるかもしれないくらい重要なこと。ただそれで終わっていいのかということがある。どうしても入門的なものにならざるを得ないが、さらに関心を深めていきたい生徒が次にどのような音楽会に行けばいいのか、展覧会でもそうだが、どのように関心を持ったらいいのかを導くのも市の仕事なのではないかと思う。もう少し掘り下げた企画も提供して千葉交響楽団の入門的な演奏会の次にはこれがある、美術館であれば、このイベントの次にはこういう展覧会が面白いから見せようという繋がりができてくると、その先は自分で見つけられる、あるいは友達やSNSやネットで自分の価値を広げられるようになるのだろうが、そこまでいく前の人たちは、補助的なことを外から与えてあげないと、せっかくイベントとしてやっていてもそれが繋がっていかない。これまでの第四次計画では強くは出てはいなかったが、どうやってそれが実現可能かをこれから考えていかなくてはならない。せっかくやっているものが、知らない名前だから行かないとかはもったいない。

(亀岡委員)時代性もあると思うが、例えば予告動画を作るのはどうか。平山先生の動画も良かったので、まとめた動画を流すことで関心を喚起するのが今の時代に合っているのではないか。

(林委員)今までは時間がなく、動画で勉強したり知識を広げる題材に使っていなかったが、こういう時期になり、一般の方々もネットで検索をされたりとか知らないことを知ったということもあるのではないかと思っている。絵画や演奏の動画配信を市が協力して団体の存在を知らせて、自分も練習をして参加できたらいいなとかプラスの材料になると良いと思う。

(鈴木委員)個人的な意見であるが、教育委員会が催している柏市文化祭は文化の重要イベントと認識している。我々柏市文化連盟が実行委員会として運営しているが、自分自身も地元の協議会の文化祭にも、他の地域から呼ばれたらそちらにも顔を出している。柏市文化祭は柏市のイベントなので、ホームページ・広報かしわや市民新聞などにも掲載される。文化祭を知らないという人は、それらを見ていないだけではないか。ふるさと協議会の団体長に対して、柏市文化祭の会議に一度は出席し共通認識を持つように呼びかけても良いのではないか。文化連盟が主導するより地域のふるさと協議会の代表者が文化祭を盛り上げようと発信しても良いのではないか。

(林委員)松葉町の町内会に属しており文化祭も毎回拝見しているが、地域によってすごく活発なところと、小さなところはその地域の特質を活かしながら文化活動をされている。松葉町は合唱団や吹奏楽で子どもたちも素晴らしく、それだけ大きなまちであるので情報交換をしながら、柏市もこのように活発にやっているところもある、こういうところもあると皆さんに知っていただくのは大事なことと思っている。この時期なのでいろいろを考える時間もある。

(香島委員)裾野を広げるとは、言葉では理解できるが、現実は地域の人もそうだが、個が広げていると思う。裾野を広げようと言うときに何ができるのか。例えば、展覧会に知り合いの人を呼んでくるとか各分野で目一杯やっている。そこに柏市、さらに文化課が裾野を広げようと言っても現実的にはそれ以上は無いように思う。もっと芸術に触れる機会、音楽であれば一流の交響楽団を柏市に呼んで有料で聴いてもらう機会が柏市は少ないと思う。県レベルではなくトップクラスの演奏家たちを呼ぶ企画を出して、中央に行かなくても知名度の高い芸術家の企画、先の平山郁夫展も入場者数がすごくあったと思うが、市が広げようとするのはそのクラスを基準に置いて、個々で広げるのは、既にできているので皆さんにお任せして、柏市に大きいものを持ち込まないと皆さんに関心を持ってもらえないのではないか。費用がかかることではあるが努力はしていただきたい。

(文化課長)一流の楽団や芸術作品を呼ぶための努力も大切だとは思っているが、第五次計画の素案の中で、事務局として盛り込んだ裾野の部分は、皆さんそれぞれのグループで活動をされていることに加えて何ができるかというときに、普段の生活の中に芸術文化があることを感じてもらうが大切ではないかと考えた。身近な生活の中で感じてもらう機会を増やすことが裾野を広げることに繋がるのではないかと。例えば、アートラインの活動も、たまたま柏駅を通りかかったらコンコースに大きなアートが飾られていて、それを見たことをきっかけに興味を持ってもらえることに繋がるのだと思っている。他にも、ダブルデッキで一流ではなくても地元の方々が一生懸命歌っている姿に音楽に興味を持つ人もいるだろう。まちなかにちょっとした彫刻やデザインが反映されているところ、普段使っているお茶碗でも、家の中に飾られているものでも、子どもたちが気付くところから、生活の中で感じてもらうところから、それぞれが興味を持った分野に進み、裾野を広げることに繋がり還元されていくと考えた。そのことを今回の素案に盛り込んだつもりでいるので、それをさらに膨らませていける意見をいただきたい。

(飯森委員)香島委員は以前から一貫して、質を保たなければ意味がないとおっしゃってきている。我々が第五次計画で議論できる内容ではないと思うが、上手な人もいれば、そうではない人もいる。感動を与える人もいれば、そうではない人もいる。それを市の立場で言うと、あなたは出てもいい、あなたはダメとは絶対言えないこと。芹沢銈介は間違いなく一流であるが、他は全部ダメなのかというとそれは暴論である。質を確保した企画をするときに、展示は質を保っているかもしれないが、音楽や舞台などの上演の分野では、あなたは下手だからとは言えない。質の高いものを提供していかないと市民は納得しない。柏市の芸術活動をよく知らない、関心がないと言う人は、そんなにすごくないよ、と耳に入ってきているだろう。感動したというのであれば行っているはずである。そうでないということは、良い物を出すということができていない。これを市でやるのは難しいことだと思う。指定管理者と同じようにプロデューサーを公募して、例えば2年間、市の芸術家と関りのない人たちで企画を考えてはどうか。市の主催する美術分野は質を保っているものの、狭い範囲になってしまっているのではないか。上演芸術については、質の高いものだけをまとめることは仕組みの上でできることではないので、なんとかしないといけない。

(鈴木委員)芸術の裾野について考えてみると、いろいろな携わり方がある。1回でできる人、30回やってできる人、どちらが大切か。一生懸命芸を磨くのも芸術。人を集められる一流の人も芸術であり、上手にできない人たちでも徐々に上手になっていくのも芸の文化の向上である。裾野を広げるには、これから習う人たちに一緒に参加する楽しさを如何に訴えかけるかが重要。

(飯森委員)鑑賞する人と演じる人は別。演じるのは上手ではないけれども楽しむ、感動することも大事な体験。鑑賞する人にとっては質の高いものを観て、すごいと思うところから入ってきても良い。自ら芸術を行う人の広げ方は違うだろう。両方が合わさって芸術文化を通してのまちおこしに繋がるのだろう。全てを認めながら双方の大切さを理解しながら裾野を広げる議論にしたい。

(亀岡委員)第五次計画について市の考えを伺いたい点が二つある。資料2の5ページの4、計画の基本的な考え方の上段のところ、「文化振興の担い手が、それぞれの役割を果たしながら、互いに連携を図っていくことが重要」であるという一文があるが、それはその通りだと思うが、連携を図るとはすごく大変で難しく手間のかかることであるが、どのようなイメージなのか明確にしてほしい。柏市がプラットホームになるという考えなのか、14ページ施策2.にあるように、いくつかのイベントで連携させるようなものに留まるのかはっきりと伝えてほしい。2点目は、14ページ施策の柱(3)の施策1.のところで、「芸術文化活動を広めるための支援」のイベントをやっていくとあるが、第五次計画であっても大人向け音楽ワークショップをやっていく考えなのか。少人数向けの1回限りの事業なのか、回を重ねてきたら卒業生を集めて発表の場を作るとか、将来的な効果の見通しを立てた事業にしてほしい。

(文化課長)連携の大事さを意識しているからこそ計画に含めているが、具体的にどのように進めていくか悩んでいるのが現状。プラットホーム的な役割を文化課がやらなければいけないという意識は持っているが、どこまでできるのか。計画の表記についても皆さんの知恵をいただきたい。

(亀岡会員)その迷いは伝わる。最後に明確になっていると良い。

(文化課長)最終的には具体的に示すようにしたい。大人向け音楽ワークショップも久しぶりに楽器に触れた参加者に再び活動を続けてほしいと意図するところだが、現実的にはなかなか難しい。今年度はこれまでの参加者を含めて大人数を集めた企画を計画していたがコロナ禍により参集が難しくなってしまった。今後改めて企画を検討していきたい。

(堀委員)市がプラットホームの認識を持つことに賛同する。第五次計画の素案もよくできていると思うが、「音楽の街かしわ」という言葉は残した方が良いのではないか。

(事務局)施策の中に「音楽の街かしわ」を表記するという意味か。

(堀委員)何かを成し遂げるには、ひとつの基本的なキャッチフレーズやメッセージなど、ブレないものが必要。「音楽の街かしわ」は響きが良い。

(手塚委員)話が戻るが、柏市郷土資料展示室で展示する芹沢銈介の作品は、パレット柏は遠すぎて展示できないのか。柏市郷土資料展示室はアクセスが悪い。

(事務局)パレット柏内の柏市民ギャラリーであれば、柏駅前で観に来やすいので、柏市郷土資料展示室と同じ内容を柏市民ギャラリーで展示すれば間違いなく集客が上がるだろう。前回の審議会でも、芹沢作品は柏市郷土資料展示室、2年に1回の大きな企画展は柏市民ギャラリーでと住み分けをしていると申し上げているが、芹沢作品の展示を柏市民ギャラリーではできないというわけではない。

(手塚委員)柏市郷土資料展示室に行けない人が多いのでもったいない。

(堀委員)芹沢作品は柏市自慢のコレクションなので、5年に1度でもパレット柏で開催してほしい。

(手塚委員)髙島野十郎作品も柏市の風景があるが、知らない人が多いので大々的に良いキャッチフレーズと広報をしっかりやって裾野を広げてほしい。

(飯森委員)いろいろな意見が出たが、まだ議論も要望や質問も尽きないと思う。時間も限られているので、意見のある委員はメールや手紙により事務局へ送付し、次回の審議会で資料をいただく対応でよいか。

(事務局)意見をメールで承る。

(文化課長)皆さんの意見により、次回の審議会では本日よりもワンランク上がった案を示し、より良い計画を作り上げていきたいと思う。

(飯森委員)委員も本当に考えて思うことを発言しているので、質問や発言が通らないときには追及するつもりでいる。そういう緊張感を持って第五次計画を作成したい。

(亀岡委員)「かしわミュージアム」が充実していくと良いと思うが、柏市のホームページの作りによることかもしれないが、「かしわミュージアム」という言葉を知らないと検索ができないのでトップページから入れるようにすると良い。

(文化課長)市役所内部の話であるが、要望しても市全体の中ではなかなか思うようにいかない。本日の意見も材料に交渉を続けたい。

(飯森委員)協議事項にある「その他」として、第五次計画策定以外の発言がなければ、本日の審議会を閉会する。

(事務局)次回の審議会を10月6日(火曜日)午後2時30分から予定する。感染症対策を検討し案内をしたい。

傍聴人

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