令和元年度第2回柏市文化振興審議会会議録

開催日時

令和元年9月27日(金曜日)午後2時30分から午後4時30分

開催場所

沼南庁舎5階 大会議室

出席者

委員

飯森豊水委員(会長)、鈴木將勝委員(副会長)、中村眞知子委員、亀岡浩美委員、手塚ナツ子委員、香島ひで子委員、 堀良慶委員、風澤俊一委員、出浦真緒梨委員

事務局

河嶌貞教育長、小貫省三生涯学習部長、吉田敬文化課長、野澤資子主幹、横山左千江副主幹、古瀬康平主事

内容

  1. 開会
  2. 教育長挨拶
  3. 会長挨拶
  4. 議事
    1. 報告事項
        柏市の教育・生涯学習・芸術文化についての市民意識調査アンケートについて
    2. 協議事項
        第五次柏市芸術文化振興計画の策定に伴う意見交換
  5. その他
  6. 閉会

会議概要

令和元年度芸術文化事業について・市の文化事業が計画にどのように反映されているかの検証・分析

事務局より、教育振興計画、生涯学習推進計画、芸術文化振興計画の三計画における、次期計画策定に向けての基礎資料としてアンケートを行うことを報告。アンケート実施スケジュールを説明し、芸術文化振興計画におけるアンケート設問の部分(案)を委員に提示し、意見を伺う。手塚委員より、アミュゼ柏でも同じようなアンケート調査を行っていたが、このアンケートと関係があるのかとの質問を受けたが、事務局より、そのアンケートとは直接関係がないと回答した。

亀岡委員より、問39~の質問の文章に、「柏」がないことについて、柏の芸術文化に限定したものなのか、芸術文化全般における問いなのか分かりにくいとの意見をいただいた。

事務局より、柏に限定したものではなく、芸術文化全般に関する設問であることを説明し、設問の前に、そのことがわかるような注釈を入れることとした。

第五次柏市芸術文化振興計画策定に向けた意見交換

柏市の文化行政を取り巻く状況について、事務局より説明を行う。具体的には資料に沿って、柏市第五次総合計画、第四次柏市芸術文化振興計画、国の文化芸術推進基本計画(第1期)の概要を事務局より説明を行った。

(飯森委員)説明を受けて、第五次芸術文化振興計画を策定していくためには国や市の計画を踏まえていく必要があることが分かると思う。その意味で、委員ご自身がそれぞれの分野で具体的に考えていることと、行政において何をすべきかということを少し切り離して考えていかなければならない。ただし、文化芸術に関わっている方々の経験が次の計画に活きるだろうと思うため、ご意見をいただきたいと思う。柏市の現状としては、柏市全体の文化政策に対する評価は高くない。柏市のアンケート(柏市まちづくり推進のための調査)で出ている芸術文化が盛んであるかについて、そう思う市民が30パーセント台という結果が高いか低いか、単純には判断できる話ではない。そのことを踏まえ、議題に入りたい。

今回は、平成28年度から現在までにいただいた各委員の意見を一つずつ掘り下げていこうということで一覧表にした。その資料をもとに、ご意見いただき意見交換をすすめていきたい。自由にご発言してほしい。今回の紙面での提案依頼に対しいただいた意見から議論したい。

(中村委員)柏市では吹奏楽を中心に、「音楽の街かしわ」が推進されており素晴らしいと思うが、「邦楽」のことについては触れられていない。子どもたちが伝統的な楽器である三味線や琴に触れる機会がなくなっていくことをとても危惧しており、日本人として三味線、琴が知られない楽器になってしまうのは恐ろしいことだと思っている。そういう意味で「邦楽」という分野のことも頭に入れてすすめてもらえたらと思い意見した。

(堀委員)ダブルデッキで行っている参加型のイベントに参加することはできないのか。

(中村委員)できると思う。10人以上でお琴を奏で、吹奏楽とのコラボレーションをすることも可能。ただし、いつもその時期が文化祭と重なってしまっているため、なかなか参加ができていない状況である。

(亀岡委員)ダブルデッキで、やっているストリートミュージシャンは、登録申請すれば自由に演奏することができる。ジャンルは問わないため、琴や三味線等を弾いたらみんな喜ぶのではなかと思う。自然な形で日常の生活に出ていくことができればいいと思う。

(中村委員)登録申請は柏市にすればよいのか。

(事務局)実際には別の団体が行っており、その担当課も文化課ではないため、希望があれば担当課を通じて団体を紹介することもできる。

(亀岡委員)そういう情報が伝わっていないということが問題。登録するための料金も比較的安いし、活動のとっかかりになりやすいと思う。担当課は中心市街地整備課だったと思うが、このような情報提供について、文化課にも手を貸してもらえたらと思う。

(堀委員)ダブルデッキでやるお祭りとしてのイベントを充実させるのがいいと思う。子供たちの歌声(合唱)をきかせてもらえるような工夫もして盛り上げていくのがいいと思う。松本市の「サイトウ・キネンフェスタ」、新潟の「大地の芸術祭」のように、一つの目玉をつくらないと、吹奏楽だけでは弱いかなと思っている。

(飯森委員)少し話題がずれてきてしまっているので戻したい。ストリートミュジシャンの登録についてはそのような方法があるということで、邦楽が多角的に紹介する機会がないだろうか、ということの議論に戻したい。邦楽に関して、関連イベントをしたことはあるのか?

(事務局)邦楽に限定して行うものとしては、柏市の文化祭であり、毎年邦楽部門の日を設けている。

(事務局 吉田課長)アウトリーチコンサートとして一度、旧吉田家の土間で雅楽の笙の方に来てもらい、地元ゆかりの方の演奏ということで取り上げたことがある。

(出浦委員)自分の中学時代に琴の授業があり、部活としてもやっていた。若い方でも興味のある分野だと思う。弾く機会のない珍しい楽器を子どもたちに弾かせてあげたいと思っているお母さん方もいると聞いている。幼稚園等の掲示板に貼ったりして広報するのも良いのではないかと思う。

(香島委員)自分の感覚からすると、柏市は「音楽の街かしわ」と謳っているが、対外的には盛んだとは思っていない。イチカシは有名だが、それ以外に目立ったものがなく、「音楽の街かしわ」は、アピールされておらず、お役所だけでいっている言葉ではないか。「音楽の街」というのであればもっと大々的に、吹奏楽に頼らず、柏を飛び出す勢いでやらないと意味がないのではないかと思う。

(鈴木委員)横浜ベイスターズのラミレス監督の指導の仕方が、芸術文化振興に関連するのではないかと思っている。

横浜ベイスターズがなぜあんなに強くなったのか、それは、いろいろなスポーツの文化を選手が学ぶことを指導したからではないか。ニュージーランドのラグビーチームの指導方針、イギリスプロサッカーチームのコーチやバレーボール全日本のコーチを呼んで、二軍の選手も含めて全員そのスポーツの文化について話を聞くということをさせた。様々な文化を取り入れあうためにミーティングを行ったことが成果に繋がったのではないか。これを柏市の芸術文化に置き換えた時、横のつながりが全くない。吹奏楽だけではなく、いろんな文化芸術のジャンルがまとまって芸術を高めていくための話し合いの場を作っていくことが大切。教育委員会もそのことを踏まえて考えてもらいたい。これが計画審議のおおきな土台となるのではないかと思っている。

(亀岡委員)情報の行きわたりかたに偏重がある。吹奏楽等はテレビにも取り上げられている。取り上げられてはいるが、それを観る人が世代よって違っていて、観ていない人は観ていないということがわかった。ダブルデッキで行っているストリートミュージシャンというとギター弾き語りというイメージがあるが、本当はジャンルを問わず、誰でもできるもの。まちかどライブ(街頭ライブ)もジャンルを問わない。一般の日常的に触れる場があるのに、なかなか繋がっていない。そのような繋がりの部分を文化課にも考えてもらえたらいいと思う。学校教育に取り入れるのはいいと思うが、学校授業という限られた時間の中に入れ込むことも実現までに時間がかかると思うので、手軽にどういうことができるのか、そういう情報を行政に聞く努力も必要かと思う。

(飯森委員)情報のやりとりについて、特に広報のあり方についてはこれまでの審議会でも指摘されているところである。自分自身の意見としては、文化芸術におけるプラットホームのようなサイトができればいいのではないかと思っている。情報を出すだけではなく、参加するようなイメージ。文化芸術に関心のある人が気軽に情報を取りに行けるサイトが大事だと考える。邦楽の活性化については、以前ドイツに留学した時、外国の方から、日本の音楽やってくれと言われ、全くできない経験があった。音楽はヨーロッパの音楽ならできるが日本の伝統音楽を伝えることができなかった。これは非常にいびつである。日本の文化として、明治時代にそれまでの日本の音楽を切り捨ててしまった面もあるのではないだろうか。最近では文化庁も日本の伝統音楽を教育に取り入れるようになってきたが、時すでに遅しという感はある。日本の伝統音楽の文化を浸透していくためには、市の文化活動の中で今一度考えていく必要がある。これも継続審議としていきたい。「音楽の街かしわ」という言葉については、ある意味行政用語と割り切る方がいいのではないか。では、次の意見について意見交換したいと思う。アウトリーチコンサートは次の世代を育てることができるものであるため、「としょかんdeコンサート」など毎年継続してほしい、という意見について、この意見はどなたか。

(亀岡委員)私の意見だ。こども図書館が人気がある。子供時代にそういう触れる機会があればいいのかと思って意見したものだが、この意見は平成28年度に出したものであり、今ではアウトリーチコンサートも様々な場所で行われてきているので、できれば最近の委員の意見から議論した方がいいのではないか。

(飯森委員)では今年度に意見していただいたものから検討していきたい。第五次文化振興計画に、美術のインフラ整備、収蔵庫、収蔵能力、収蔵機能の充実、収蔵内容をしっかり見極められる学芸員の設置をしてもらいたい。この意見は堀委員からのものかと思うが、補足があれば言っていただきたい。

(堀委員)長いスパンで、できることからこつこつとやっていく必要があることだと思っている。

(飯森委員)お金がかかることをどう考えていくかが問題である。美術館は、あればもちろんいいと思うが、作るとなると予算が厳しいと言われる。ハード面だけではなく、学芸員等の人件費の問題も出てくる。物理的なものもあるが、このような案件は、行政のトップがどう判断するかという面も大きい。

(鈴木委員)第五次の計画を立てていく上で、予算がつかないだけではいけないと思う。美術館を作るという意見があるのであれば、寄付をすると言ってくれる人も実際いる。パレット柏があるからいいじゃないか、ではいつまでたっても話が進まない。芸術文化振興のために議会に諮っていくなどもっていき方があるのではないかと思う。

(亀岡委員)越後妻有の大地の芸術祭では、実際経済効果が上がっている。その成功があって、茨城や千葉の市原市でもやったが、大赤字を出している自治体も多い。

(風澤委員)唯一成功しているのは、越後妻有と直島(瀬戸内)だと思う。会期外でもアジア系観光客が多く来ている。基本的に観光にアートを乗せるという考えなので、柏とは少し違う意味合いがあるかと思う。ただし、見て触れて感じるがキーワードという意味においては柏も同じだと思う。

(飯森委員)資料の中に、文化庁が作成した「文化芸術推進基本計画」の概要版があるが、そこで、それ自身が素晴らしいものであるという本質的価値の他に、芸術文化が社会にどういう影響があるのか効果があるものをやろうねという社会的経済的価値の部分も謳われている。あるところでは、地域おこしで大成功している自治体もある。新しい企画をやる

のであれば、芸術文化の愛好家だけではなく、どうしたら一般市民に広く関心を呼べるか、そういったことを考えながらやる必要があるのではないか。その方が通りがよく、計画に入れやすいのではないかと思う。

(亀岡委員)旧吉田家住宅での演奏などは人気がある。市民の指示を受けていると思う。また、旧手賀地区の空き教室を活用してアーティストインレジデンスのようなことができたら、地域交流もでき、自分の住む街が新しく活用されていくことで地域にとっても良いことだと思う。そういう風に柏市もやっていけたらいいのではないのか。できることはいろいろあると思う。

(飯森委員)柏市駅周辺でアーティストに住んでもらって、活動してくれるカフェを作ったり、若い力が街を活性化していくことができる。誰がしかけていくのか。アートラインデアーティストインレジデンスのような活動はしていると思うが。

(亀岡委員)アーティストインレジデンスはアートラインではできない。柏に滞在してもらって絵を描いてもらったりすることはある。

(飯森委員)元気のなくなった商店街に、何か1つでもそういうものが入ると活性化すると思う。そういう企画が可能であれば、実現できるものもあるかと思う。

(亀岡委員)そのためには住民の方々の理解と協力が欠かせない。また、行政もいろんな課で連携していかなければ実現は難しいと思う。

(飯森委員)仕掛け人がいないと難しい問題だ。では、次の意見に移りたいと思う。郷土資料展示室の活用についてということで、堀委員より補足いただきたい。

(堀委員)作品としては、早川義孝作品、寺島コレクション、砂川コレクションを目玉として、開催してもらいたい。パレット柏での企画展のワンランク下のものでいいので、数を増やしてやってもらえれば、と思い提案した。

(飯森委員)市の所蔵作品の作品だけでなく、他の施設の作品を展示するということだと思うが、そのことに技術的な難しさはあるのか。

(事務局)展示自体は調整しながらできるが、環境(搬出搬入、レイアウト)の調整が必要となる。また、周知の方法、作品提供者の方々との調整も必要。

(飯森委員)公立美術館での貸し借りはよくあるのか。

(堀委員)全国15のわたくし美術館の作品をもってくることができる。しかし、公立美術館は公立同士ではただで貸し借りするが、博物館法により、私立の美術館には貸出ししない。私美術館では美術館同士のネットワークがあるため、作品の供給をさせていただき役立てていただければと思う。

(香島委員)柏市が所蔵している作品は収蔵庫に入っていることが多く、もっと公共施設に飾ってもらえたらと思う。賞をとった小学生の絵画作品を飾ったりすれば、みんなが見てくれる。自然に触れられる環境つくりから始めるといいと思う。

(亀岡委員)それはとてもいいと思うが、手間もかかる。連絡したり誰がやるのかなどの調整が必要。コーディネーターのような人がいて、柏市の中を横断的に繋いで、展示をしたり、アーティストの出演をコーディネートしたり、そういう人がいたらいいのではないかと思う。

(飯森委員)これについては、行政としてできない理由があるのかと思う。次回、なぜできないのか、やるとしたらどういう条件が必要なのか、事務局側からの話も聞いてみたい。

(小貫部長)様々な委員の方のご意見を拝見させていただいた。各専門分野で活躍されている委員のご意見は実用性の高いものだと思う。行政がすべては実現することができない理由については、正直に申し上げると言い訳にしかならないが、大切なのはこれから先のことである。文化課を例にあげると、まず人員数とお金が足らない。業務としても、今やっ

ていることで精一杯なのが現状である。では行政が手を出せない分野をどうすればより活かしていけるのか、コーディネーターとしての役割を担ってくださる方のお力添えをいただかなくてはならないと感じている。行政側には、一つのことをやってみよう、でも一つだけでなくもう一つのものともタイアップさせていこうという柏市全体に繋げていくという仕掛けをしていく知識がない。第五次計画を策定するにあたり、そういったところをどのように取り込んでいけるか、これからの議論になると思うが、パワーアップできるような理念を入れていきたいと思う。

(飯森委員)私たちとしては、行政が、こういう理由があるからこれができないという理由をやはり知りたい。次回は、これを削除すればこれはできるとか、そのような議論ができればと思う。

(風澤委員)上位計画である柏市第五次総合計画の後期の基本計画の策定が、この芸術文化振興計画の策定時期と重なると思うが、柏市の総合計画はいつ示されるのか。第五次芸術文化振興計画を議論する上でその計画がないと、話になっていかないと思う。

(事務局)柏市第五次総合計画については、市の企画部が所管しているが、今現在後期計画の検討に入っているという状態である。具体的な内容、策定時期のスケジュールについては、次回までに確認しお伝えしたい。

傍聴人

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