令和元年度第1回柏市文化財保護委員会会議録

1.開催日時

令和元年5月27日(月曜日)午前10時から正午

2.開催場所

沼南庁舎5階 501会議室

3.出席者

(委員)
椎名宏雄委員(会長)、藤井英二郎委員(副会長)、清藤一順委員、倉田恵津子委員、萩原法子委員、井上哲郎委員、中村文美委員、金出ミチル委員、塩澤寛樹委員、菊池健策委員

(事務局)

河嶌貞教育長、小貫省三生涯学習部長、吉田敬文化課長、黒須雅子統括リーダー、江藤隆博担当リーダー、高城大輔主査、井上文男主任、谷口友季主事、蔵野泰洋主事補、田中芙由子主事補

4.内容

  1. 開会
  2. 委嘱状交付
  3. 教育長挨拶
  4. 委員紹介
  5. 教育委員会職員紹介
  6. 報告
    平成30年度・令和元年度主要事業報告
  7. 議題
    (1)神明社石鳥居(柏市指定文化財)修理工事について
    (2)柏市文化財保存活用地域計画について
    ア.計画作成協議会の設置について
    イ.協議会における調査委員の設置について
    ウ.事前把握調査方針について
    エ.今後のスケジュールについて
  8. 閉会

5.会議概要

1.平成30年度・令和元年度主要事業報告

事務局より旧吉田氏庭園調査報告書刊行、増尾伊藤家住宅の登録、鷲野谷染谷家住宅の登録について配布資料に基づき報告を行った。また、現在進めている柏市文化財保存活用地域計画作成、旧吉田家住宅保存活用計画作成、「房総の牧」日本遺産申請、柏市文化財整理室屋根・外壁改修工事、旧手賀教会堂保存修理工事についての概要を報告した。
説明後の意見交換は以下のとおり。

  • 旧手賀教会堂保存修理工事について
    (椎名会長)補足説明があれば。
    (中村委員)建物の傷んでいる箇所の修理工事、耐震診断に沿って構造補強、見学者のための利便性の確保のための整備を中心として基本計画を実施した。
    (倉田委員)ガバメントクラウドファンディングの目標金額は工事費用総額の何割くらいなのか。
    (事務局)これから実施設計を行うため今後増減があると思われるが、総額約3000万円の1割で300万円を目標としている。
    (補足) この後、目標金額は100万円に変更となった。
    (椎名会長)具体的に一番痛んでいる箇所はどこなのか。
    (中村委員)建物全体の軸組が歪んでいる。治せる箇所と治せない箇所があるので、治せる箇所に取り組む。屋根については、後から増築している聖堂の取付き部分で雨漏りが起きている箇所を修理する。床組も虫食いなどでいくつか痛んでいる箇所がある。見学者の安全確保のためにも構造補強を行う。
    (椎名会長)移築してきた民家自体の建造年代はわかるのか。
    (中村委員)建築年代はわかっていない。
  • 日本遺産申請の「房総の牧」について
    (清藤委員)詳細を聞きたい。
    (事務局)シリアル型の申請方法で行う。柏市は申請主体である酒々井町から声をかけてもらった。その主な理由は旧吉田家住宅が牧の管理をする牧士をしており、見学施設があるため。

2.議題:神明社石鳥居(柏市指定文化財)修理工事について

神明社石鳥居の修理工事について資料に沿って事務局より説明を行い、経過、現状、工法、今後について、意見交換を行った。
(事務局)平成30年11月に禰宜より石鳥居修理工事の打診があり、文化課で現地確認を行い、事務局から相談している有識者に現地調査を依頼した。石鳥居の現状は、拝殿に向かって左の柱が沈下し、先々代のころにコンクリートを詰めて応急処置をしている。
所有者の提示した工法は、工事費用を極力抑えるための工法で、笠木と額束をクレーンで吊り上げて撤去し、拝殿に向かって右(高い方)の柱を約2cm切断し、笠木及び額束をクレーンにて吊り上げ復旧するものである。
有識者の見解としては、切断の工法は対象が指定文化財であるという観点からは一般的ではなく、工事費用を抑えたいという所有者の気持ちもわかるが、工法の変更をお願いしたいとのこと。切断するとなると判断に躊躇してしまうため、保護委員会で審議してほしいとの話をいただいた。
今後については、5月17日に所有者に有識者と金出委員の見解を報告し、現在の工法を見直すことで了承を得たため、所有者、金出委員、文化課、業者で協議し、都合が合えば有識者にも加わっていただくこととなった。

説明後の意見交換は以下のとおり。

(椎名会長)携わった金出委員に補足説明をお願いしたい。
(金出委員)神明社には江戸時代中期に造られた神明造りの本殿が三社ある。三社が並ぶ神明造りが約300年間守られてきた重要な文化財である。
(井上委員)石鳥居の修理工法について、切断するよりは足すほうがいいのではないか。
(金出委員)切断せずに修理ができれば一番良いが、予算などの都合でそれが難しい状況にあるものの、文化財としての保存に適切な方法をとってもらえるように働きかけていきたい。
(藤井副会長)沈下を防ぐためには、地盤を突き固め直すことが理想。
(椎名会長)笠木部分のズレが目立つようになったのは、東日本大震災の後からであろう。 

3.議題:柏市文化財保存活用地域計画について

ア.計画作成協議会の設置について

(事務局)「文化財保護法に基づく文化財保存活用大綱・文化財保存活用地域計画・保存活用計画の策定等に関する指針」において、多様な関係者の意見を踏まえた地域計画を作成するため、できる限り協議会を設置して検討を行うことが望ましいとされており、柏市としても多様な関係者の意見を取り入れた計画にしたいと考えているため、協議会を設置することで進めている。第1回の協議会は6月5日に開催予定。なお、協議会の位置づけはあくまでも意見聴取の場で、意思決定機関ではない。

イ.協議会における調査委員の設置について

(事務局)7分野、現時点で8名の方に調査委員として調査を行っていただく。なお、実際に調査を行うにあたって、追加で調査委員が必要な場合は随時追加をしていく予定。

ウ.事前把握調査

(事務局)これまでの文化財に関する既往調査を整理・分析し、調査を行った分野や地域に不足や偏りがないかを確認し、今後の調査方針を検討する。令和元年度上半期に実施する。

エ.今後のスケジュールについて

(事務局)事前把握調査を8・9月で行い、10月に取りまとめ、11月の第2回審議会で報告を行う。なお、随時、調査委員間での打合せの場を設け、情報共有をはかる予定。

説明後の意見交換は以下のとおり。
(金出委員)調査対象リストは事務局で作成するのか。
(事務局)柏市や千葉県で刊行した文献をリスト化して、未調査の分野や地域をまとめられたらと思っている。
(金出委員)国で刊行したものもあるから、各分野の先生方は、これは見逃してはいけないという文献などがあれば事務局に伝えた方がいいと思う。

6.傍聴人

1人

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