令和元年度柏市史編さん委員会 会議録

第1回

1 開催日時

令和元年6月25日(火曜日)午前10時~午前11時30分

2 開催場所

沼南庁舎5階大会議室

3 出席者

(1)委員

中村委員長、川本副委員長、後藤委員、清藤委員、髙林委員、上山委員、関委員(7名)

(2)市教育委員会・事務局

生涯学習部長、他5名

4 傍聴者

なし。

5 議題等

  • 平成30年度事業報告及び令和元年度事業計画について(報告)
  • そ の 他

6 議事要旨

平成30年度事業報告及び令和元年度事業計画について(報告)

事務局より配付資料1に基づいて説明を行った。

(1)平成30年度事業報告に係る質疑・意見

(上山委員)好評という考古資料の販売状況について。

(事務局)今月1日より本格的な広報宣伝活動を行い、現時点で40冊販売。あまり多いイメージはないかもしれないが、一年で2~3冊という他の市史刊行物の販売状況と比べると、経験ないレベル。

(川本副委員長)素晴らしい内容と状況。一方、地元で浸透している地名と、本の表記地名に一部かい離も見られるようだ。間違いではないが、改訂の機会に確認してほしい。

(事務局)行政なので、資産管理上の台帳に登録されている地名表記に統一。もちろん地元で住民の方々が呼んでいる地名とかい離もある事は、現場作業を通じて把握しており、(よりよい方法も)考えていきたい。

(関委員)書棚に納める時、考古資料はサイズが図抜けて大きい。図版が多く丁寧なものであるが、大きさも感じたという感想。

(中村委員長)市史編さん事業が順調に行っているなと、安心している。ごくろうさまでした。

(2)令和元年度事業計画に係る質疑・意見

(上山委員)柏市史文化財保存活用地域計画策定の、今後の計画進行の詳細。

(事務局)今年度の文化財保護法改正を踏まえ、文化庁が新しく取り組む補助事業。これにいち早く柏市も手を挙げ、採択された。

補助を受けながら今後3か年で策定するが、各種文化財、例えば建造物や仏像・史跡・民俗芸能等を対象としているため、文化課では文化財担当が主として動くが、この文化財の一分野として古文書資料も含まれるため、その点から市史編さん担当も関わっていく。

当面1年目~2年目前半は、文化財資料の全体把握に努める調査業務に専念。最終的にどう保存・活用していくかの方針を、以降考えていく。

日本の従来の文化財保護行政は、指定主義の下、指定したものについて、行政として税金をかけ、保護していくという発想のもの。今回の法改正は、未指定のものも広く保護対象に含めた、国にとって一大転換とみなしている。

そのような未指定のものを保存しながら、まちづくりにも活用していく。そのために全体を調べて地域の活性化のため、文化財や古文書資料をどう活用していくかの方針を定めていく。

無論、そうは言っても税金を無尽蔵にかけていくわけにはいかないので、優先順位的なものを決めていかざるを得ない。税金をかけて守るもの、地域で守っていってもらうべきもの、そのものは残せないが記録保存はしていくもの等のつらいすみ分けも、していかなければならない事になる。

いずれにしてもこれまで文化財を守っていく基本方針がなかったため、きちんとつくっていこうと、これを機に踏み切ったもの。

(上山委員)東葛近隣では、他にどんな市が取り組んでいるか。

(事務局)今回の前段として歴史文化基本構想があり、銚子や酒々井等が策定していた。それを更に発展させたものがこの地域計画。この地域計画を進めているのは東葛では柏だけ。県内では4~5の自治体。この後、我孫子市等が手を挙げる意向のようだが、真っ先に東葛で手を挙げたのは柏。

(中村委員長)関連するが、古文書の学芸員はどこの市でも育っていない。考古学・発掘分野は法的にも長く在任できるが、古文書はこれまで多く収集してきた。よって、これにできるだけ長く専門的に関われる学芸員配置も、事務局では考えて頂きたい。

(事務局)文化課としても長年勤続した専門職員の後任者が欲しく、人事部門に配置要求を続けてきたし、今後も続けていく。

(後藤委員)写真展について、もっと長い開催日数が欲しい。

(事務局)利用が一単位4日であること、他市民団体の利用希望も殺到していることから、今回の日数枠となった。そこで出張写真展的な形で、沼南庁舎の市民交流サロン、図書館本館等で引き続き見て頂く機会を設けていく。

(中村委員長)今回は道がテーマだが、具体的な内容は。

(事務局)今回はいわゆる国道や県道等の幹線道路と、その周辺の街並み・生活情景を対象に、その変遷が見て取れるものを準備中。他にも柏の村絵図で水戸街道を紹介したい。

(関委員)写真展の実働部隊として関わっているが、写真選定は終わり、キャプションを付ける段階。

また古文書活用ではその成果の一環として、地元市民が集まって研究し、高柳嶋村家文書をこの通りまとめた。(席上配布)

ただし、古文書講読会や写真整理ボランティア等の史料保存活用事業は、我々世代で固定化しているのが課題。若い世代の取り込み・育成のため、足を運びやすい日程や曜日設定を希望。

(事務局)本課業務の特性上、現状でも土日開催イベントや会議等で職員が休日出勤。今回のご意見を承りつつ、職員の負担軽減にもご理解とご協力をいただきたい。

(中村委員長)弁栄上人の顕彰事業の具体的な内容は。

(事務局)何を具体的に打ち出していくか情報収集・検討中だが、基本的なコンセプトもとらえ始めている。

没後百年という事で既に全国で、様々な顕彰事業・展示展が開催。この中に埋没しないよう、生誕の地らしく、どのようにして偉人がこの柏・鷲野谷という環境で育まれ、才能が形成されてきたかという、地域密着感を前に打ち出した事業化を模索中。

上人の全国的活動拠点の一つでも調査をしたが、書籍には表れない、現場に入ったからこそのエピソードも聞いた。こうした地元柏の偉人の、人となりに触れるリアルな情報を、いかに市民の皆さんに提供していくか、引き続き検討していく。

参考情報(関委員より提供された席上配布された資料)
  • 「古文書にみる柏歴史研究会 会誌第六号 嶋村友右衛門家 慶応四歳 御用留(1)」 発行古文書にみる柏歴史研究会

その他

当月末をもって任期満了・退任する川本副委員長・後藤委員より、最後の挨拶と今後の柏市史編さんに対する期待等についてそれぞれ言葉を頂き、閉会した。

第2回

1 開催日時

令和元年12月20日(金曜日)午前10時~午前11時30分

2 開催場所

沼南庁舎5階 501会議室

3 出席者

(1)委員

中村委員長、髙橋副委員長、清藤委員、髙林委員、上山委員、関委員、藤田委員、横山委員(8名)

(2) 市教育委員会・事務局

生涯学習部長、他5名

4 傍聴者

なし

5 議題等

(1)正副委員長選出

(2)報告事項

  • 令和元年度事業報告及び今後の事業計画について
  • 柏市史編さん刊行計画(「(仮)柏市史(沼南町史 通史編)」について

6 議事要旨

正副委員長選出

前期委員の委嘱期間満了に伴い、藤田委員、横山委員が加入。

今期の委員長に中村委員、副委員長に髙橋委員を任命。

令和元年度事業報告及び今後の事業計画について

事務局より配布資料に基づき説明を行った。

(上山委員)(市制施行65周年記念写真展が開催された)インフォメーションセンターの場所は。展示期間の入場者数は。

(事務局)柏駅前にある商業施設の3階。市民課窓口に隣接しており、市の情報を発信している。不特定多数の人が行き交う場所のため入場者数は把握できていない。

(上山委員)他の催しと比較しての感触はどうか。

(中村委員長)インフォメーションセンターに市内情報に詳しい職員が戻ってきたので、今後活発になる可能性がある。事務局では古文書や古写真に関する事業を積極的にしており、特に写真の利用で成果が表れている。

(上山委員)資料はWeb上で完全に公開し、自由にアクセス可能にするのか。

(事務局)完全公開は難しいが、先進地の様子や専門業者と検討を重ねながら条件整備を進めていきたい。

(髙林委員)いつ頃の時代の資料が多いのか。

(事務局)写真は戦後、昭和40~50年代が多い。柏市の変化を説明するには良い資料である。

(上山委員)パレットでの写真展には多くの人が来ていた。写真の被写体についてプライバシーの配慮はどうか。

(事務局)顔がはっきり判る最近の写真は使用しない。

(清藤委員)いろいろと事業を開催しているのは分かるが、市民の反応はどうなのか。それらをどのように把握しようとしているのか。アンケートなどの成果をどう整理しているのか。

(事務局)写真展では感想ノートを設置し、好意的な意見を多く得ている。古文書講読会ではアンケートを行い、改善のヒントをいただいている。

(清藤委員)一般的にアンケートの結果は「よかった」の回答が多い。今後の事業展開の要望は聞いているか。

(事務局)具体的には出ていないので、行政側から多様な企画を投げかけて市民の反応を見ている。

(清藤委員)市民の要望に敏感であって欲しい。以前から触れているが、郷土資料展示室は北部地域の市民には疎遠である。地域差の補完に公民館や図書館などの活用があるが、地域を越えて柏市域全体に広げていく策を考えているか。

(事務局)郷土資料展示室のPRには従来から苦慮している。今回の市制施行記念式典のように秘書課や広報部門など他部署との連携で、式典会場での写真の展示に留まらずインフォメーションセンターを利用し展示を行うなど活用機会の拡充を継続していく。

(関委員)古文書講読会では、継続して受講している方が多い。総じて高齢者が多いので後続の世代の関与を懸念している。また、高齢化に伴い、終活の一環で資料となるものを処分してしまう。行政側でも資料を判別できる人材の養成を願いたい。

(中村委員長)難しいことだが、一人でも二人でも育っていけば繋いでいけるだろう。

(上山委員)広報かしわ連載記事(「続・柏に輝いた人たち」)で「続」とあるが前回分があるのか。Web公開できないのか。

(事務局)両シリーズについて公開を進めていく。

(上山委員)市内の大字に焦点を当てた研究や調査を進めていると思うが、市史及び教育委員会としてはどうなのか。

(事務局)今夏、郷土資料展示室にて「根戸」地区の企画展を開催した。考古資料を扱う文化財担当と古文書を扱う市史編さん担当とが協力し準備を行ってきた。今後も夏休み期間に合わせて計画していく方針である。

(中村委員長)近隣センターで、増尾地域や花野井地域などが歴史活動を行っている。

(事務局)職員が講師として協力する場合がある。

(上山委員)そのような活動に市史編さん委員会として関与できるのか。呼ばれて行くのではなく計画的に構成してもいいのではないか。

(中村委員長)今後の課題としたい。

柏市史編さん刊行計画(「(仮)柏市史(沼南町史 通史編)」について

事務局より配布資料に基づき説明を行った。

(髙橋委員)A5判縦書きでの費用の概算はどのくらいか。

(事務局)4か年の事業費として、原稿料や印刷製本を含めて1,400万円弱。

(中村委員長)発行部数と販売価格の予定はどれくらいか。

(事務局)700部を予定している。販売価格は未定である。基本原則に則り単純計算すると、印刷製本費÷発行部数から単価2万円と高額になるため、実績などを踏まえた総合的な判断による価格設定をしていく。

(上山委員)考古資料編は何部か。

(事務局)250部印刷。資料集につき少ないが、通史は多くする構想。

(上山委員)図書館や関係機関への配布を考慮すると少なくはないか。

(中村委員長)無料配布はどれくらいか。

(事務局)考古資料は80~100部だった。通史は専門書とは異なるため、市内の小中学校への配布も考えられる。

(中村委員長)内容についてはどうか。

(髙林委員)原稿が令和2年度末に集約できるか。3年度の業者への業務委託が円滑に進められるのかが重要。

(中村委員長)令和2年度までの原稿執筆が第一前提。執筆者から図、写真を入れると文章が少なくなるため項目を減らさざるを得ないのかとの意見もある。学術レベルを落とさず読みやすい原稿の執筆をお願いしたい。他にはどうか。

(髙橋委員)通史の編さんに注力するのは承知しているが、柏市史研究の刊行計画はあるか。

(事務局)2号までの刊行で終了ではない。通史の完成後に市民からの要望があれば循環的な刊行も検討したい。

その他

(関委員)旧手賀教会堂修復のクラウドファンディングの結果はどうか。

(事務局)目標額の100万円を達成し、総額138万円の寄付をいただいた。現在は来年度の本格的な改修工事に向けての実施設計を進めている。

(髙橋委員)麗澤大学において市から借用した歴史資料を介して、授業の一環ではあるが大学生と中高生が交流し地域の生の資料に触れる機会が得られ有意義であった。

(藤田委員)市民自らがふるさと柏を大切に思うきっかけとして、行政には講師の派遣、公民館活動などの啓発機会の提供とともに実働を期待する。例えば、民俗資料を有する民家で手つかずの家がある。

(事務局)目録は未整備。

(藤田委員)それらも世代間を越えた地域活動の拡充の材料にして欲しい。

(上山委員)本会議の印象として、柏の歴史事業の全体像が伝わらない。様々な事業を行っているがまとまりがないため、統合と分担の検討を組織的に進めて欲しい。

(中村委員長)文化課だけでできることではないだろう。

(事務局)文化課だけでも市史編さん委員会、文化財保護委員会、芸術文化振興委審議会があり、各委員会の中からも同様の意見をいただいている。文化課だけではなく組織的に検討していく課題だと認識している。

(中村委員長)地域の旧大字、旧村の歴史の掘り起こしや組織的な共通理解を図ることが課題となる。

以上

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