令和元年度 柏市幼児教育振興審議会会議録

1 開催日時

令和元年10月10日(木曜日) 午後3時から午後4時30分

2 開催場所

柏市大島田48番地1

柏市役所 沼南庁舎5階大会議室

3 出席者

委員

藪中会長、江島副会長、二瓶委員、村川委員、築田委員、丹羽委員、吉田委員、伊能勢委員、岩立委員、鈴木委員、水野委員、上野委員、宇佐見委員、西村委員、多賀井委員

関係者

河嶌教育長、増子学校教育部長、恒岡こども部子育て支援課長

事務局

佐々木教育研究所長、麻生教育研究所副参事、遠藤教育研究所統括リーダー、松山教育研究所指導主事、栗原教育研究所主任

4 議題

柏市立教育研究所における幼児教育関係の取組について

5 議事等(要旨)

15時、定刻になり開会

議事等に先立ち、教育長の挨拶、委員委嘱等を行った。

報告

柏市立教育研究所における幼児教育関係の取組(柏市幼児教育共同研究)

協議

事務局による説明の後、質疑応答及び意見交換を行った。その際に表明された主な意見は、次のとおりである。

(1)柏市幼児教育共同研究について

  • (丹羽委員)私立幼稚園協会は10年間一緒に協力しながら検証したり研修をしたりして、成果は上がっている。データをどう生かすかが一番大きな課題であるが、生かされていけば参考資料にはなっていく。共同研究の10年間の成果がまとめられることに非常に期待しているし、そういう成果を発表する場としてほしい。「言葉」は、発信する側と受信側の質の問題があるから、どうデータ化するのかは非常に大きな課題であって、取り組むのであれば議論が必要である。
  • (鈴木委員)現場にいる教職員・保育士等からのアンケートに基づいての柏市の子ども達の課題というのは結果に表れている。「言葉による伝え合い」「伝え合いを楽しむ」とは「人として関わりを楽しむ」ということにつながっている。「言葉による伝え合い」ができるということは「生きた体験をどれだけしているか」ということである。これは生活や遊びの中にこそ教育があるわけで、「ただ話ができる」「思ったことを伝えられる」だけではない。もっと深いところがあるんだということを十分踏まえた上で、進めていく必要がある。
  • (水野委員)これまでの研究結果は、毎年のように子ども達の運動能力は下がっている方向で10年来た。今まで「やった、終わり」という状態だったので、下がった結果を踏まえて小学校につなげるものやそれを生かせるような方向性の研究になればよい。「伝え合いを楽しむ子を育てる」というのをどういうふうに小学校に伝えてつなげるのか、どういう形として残せるのかを考えていかないと、結局「やりました、終わり」となり、せっかくやったことがもったいない。
  • (上野委員)保育参観をして、園で取り組んでいる運動遊びを延長して1年生の体育の授業に取り入れることができればと思った。「伝え合う力」は、ほとんどの小学校で課題としてあがることである。園で実態も違うので、統一してみていく指標が果たしてどれくらい持てるものか非常に難しい。それが小学校につながると非常にありがたいし、非常にいい取り組みになり、子ども達の学びになる。
  • (伊能勢委員)外で遊ばせる時間や外遊びが、家庭でしてあげられないことも保育園に行っていたことで経験すべき時期に経験させることができた。「言葉による伝え合い」も小さい年齢のときに家族だけじゃできない部分が、保育園に行ったことからできることがあった。それを小学校の先生達がさらに頑張ってこういうとしているのだと感じた。園や学校などだけにお願いすることではない。
  • (江島委員)「言葉による伝え合い」は幼児教育の推進に関わらず、もう一つの幼保こ小連携の推進にもつながるテーマであるので、非常によい。
  • (二瓶委員)「言葉でやりとりする」ことがちゃんとできるということは大人になってもあるテーマだと言える。このことが将来的なコミュニケーション力になって、お互いの人権を尊重し合いながら関わるという関わり方が良くなる。幼稚園と保育園の両方でやらないと小学校行ってからずいぶん差が出てしまうから、長期的にそういったテーマを持ちながら続けていければよい。
  • (村川委員)「伝え合いを楽しむ子を育てる」というのはコミュニケーションができるということで、相手を思いやる気持ちを育てることに通じる。相手を尊重する教育をしていただきたい。
  • (築田委員)仕事で教育相談を受ける中で、特性を持つ子ども達の相談が非常に増えており、幼児期におけるコミュニケーションについてもかなり個性的なものが出てきている。調査をきっかけに「伝え合う楽しさ」を家庭にも意識していただけるようになったらありがたい。
  • (吉田委員)アンケート結果でなぜ「言葉による伝え合い」が上位にきているのか、なぜ必要なのか、そのためには何が影響しているのかということから理解した上でこの研究を進めていく必要がある。
  • (岩立委員)アンケート結果に出てきているということは、現場の職員がすごく困っていて、方法として研究していくのかは難しいことかもしれないが大変重要なことということである。0歳児のコミュニケーションの土台を育てる時期にきちんと大人が声をかけて大事にしていかなければならない。これは保育園だけでできることではないので、保護者にどのように伝えていくかも大事である。運動能力測定はまだ今後も続けていくのか。それなりにやってきた成果は上がってきていた。
  • (宇佐見委員)年齢が低ければ低いほどコミュニケーションは取りやすく、苦手なままどんどん歳を重ねていくとなかなかコミュニケーションがとれず、その時点で力を入れても上手くいかない面も出てくるので、小さいうちからやることは重要である。コミュニケーション能力の向上は小学校でも大きな課題であり、各学校の校内研究でも各教科で力を入れているところである。ただ個人差が非常に大きい現実がある。家庭内の会話がほとんどなくてテレビやゲーム三昧で人との関わりがなかなか持てなくなってきている子がいるのを小学校の現場としては感じるから、「言葉による伝え合い」というのは大変いい視点ではないか。
  • (西村委員)小学校はいろいろな園から集まった集合体で構成されているので、市内で統一された方向性の研究を長期的に持つというのは大変いいことである。幼児期に目指す言語活動と小学校で行っている言語活動が、果たして同じねらいで行われているのか、もしくはつながっていけるものなのか、少しすり合わせしていく必要性がある。
  • (多賀井委員)「言葉による伝え合い」は大変難しい。インプットはできるけど、うまくアウトプットできない子はたくさんいる。だから、これを研究テーマにする際にそういった子ども達にどのようなフォローしていくのかというのを考えながら取組んでほしい。

(2)幼児教育全般について

  • (丹羽委員)学生がどんどん減り、潜在的に教員が不足している状況の中で、柏市は毎月43000円の処遇改善と85000円の住宅手当を出して教員養成校へ求人を出しているが、幼稚園はそうはいかない。教員が不足しているのは、保育園だけでなく幼稚園はもっと深刻な問題である。臨時職を雇って対応している幼稚園はけっこう多く、臨時職は2~3年しか続かない。その状況で教員の質の向上になるか、いい環境が提供できるかどうか、非常に大きな問題である。我々が質の向上を目指す限り、いい先生たちを養成していただいて、その方達にはみんな平等に、子どもを取り巻く環境に進んでくれることは一番大事なことである。
  • (鈴木委員)保育園は一日が長時間であり、その中での育つ・生活する環境が大事だというのは十分認識している。柏市も待機児童が解消することに大変な思いをしている中で、いろんな環境が生まれていることに危惧するところは私立保育園協議会の立場でもある。今回の要領や指針の改訂の内容には乳児保育の大切さが示されている。子ども達や保護者の子育てを見ている中で、3歳までの育ちの環境、経験というのは、特に大人との関係の中で育つものであり、その質が問われている時代であると日々感じている。
  • (二瓶委員)児童相談所では児童虐待を扱うことが多い。家庭の中で育てるその支援をしっかりやっていくというのが虐待の防止につながっていく。その中で保育園・幼稚園というのが子どもにとって毎日の所属であり、子ども達の安全性を確認でき、家庭にサポートできるということでとても大きな役割を果たしている。

議決

  • 柏市幼児教育共同研究の次期テーマを「伝え合いを楽しむ子を育てる~言葉による伝え合いを通して~」とすることで可決された。

6 傍聴

傍聴者 0人

7 次回開催日時(予定)

令和2年10月