令和元年度第2回柏市いじめ問題対策連絡協議会 会議録

1 開催日時

令和元年10月3日(木曜日)午後2時30分から4時30分

2 開催場所

柏市沼南庁舎 5階大会議室(柏市大島田48番地1)

3 出席者

委員

河嶌議長(柏市教育長)、中原委員(柏児童相談所)、原田委員(柏市教育委員)、諸富委員(千葉県警察少年課)、岡部委員(人権擁護委員)、長瀬委員(医師)、石井委員(柏警察生活安全課)、寺本委員(大学教授)、髙井委員(スクールカウンセラースーパーバイザー)、藤崎委員(中学校校長)、飯田委員(小学校校長)

事務局及び関係部署

増子学校教育部長、髙橋学校教育部理事、小貫生涯学習部長、髙木こども部長、三富こども福祉課長、友野こども福祉課副参事、松澤学校教育課長、杉浦教職員課長、入澤教職員課副参事、逆井指導課長、大山指導課統括リーダー、加藤児童生徒課長、福島児童生徒課副参事、平野児童生徒課統括リーダー、北村児童生徒課指導主事、杉本児童生徒課指導主事、小倉児童生徒課指導主事、菅原児童生徒課指導主事、佐々木教育研究所長、麻生教育研究所副参事、山田少年補導センター指導主事、安齋いじめeメール相談員

(欠席)関根委員(千葉地方法務局柏支局)、鈴木委員(弁護士)

4 議題(報告・協議事項)

  1. 令和元年度1学期柏市いじめ状況調査の結果といじめ防止の取組について
  2. 市いじめ防止基本方針改定(案)について

報告1 令和元年度1学期柏市いじめ状況調査の結果といじめ防止の取組について

上記項目に関し、事務局が作成した資料を説明した。

それぞれの報告に際して表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

ご質問やご意見はありますでしょうか。

(寺本委員)

いじめ防止の取組の中で「多様性」という言葉が出てきたが、最近「多様性」が社会でキーワードとなっている。取組を進めていく中で、現場の手ごたえや子供の反応はどのようなものか。また、先生方の指導上のやりづらさ等、取り組みを進める上で配慮しなければならないことがあれば教えていただきたい。

(事務局)

いじめ防止を取り組む上で、「多様性」は非常に大切なことと考えている。特別支援教育やLGBTも人との違いがいじめの原因となってしまうケースが多い。いじめ防止の土台として「多様性」を認め合うということを大切にしていきたいと考えている。

しかしながら、教職員の意識の中で「多様性」を浸透させていくことはなかなか難しい。研修を行っているが、それをいかに現場の先生方に落とし込むかが大切だと考えている。生徒指導主任や人権担当等を集めての研修はあるが、一人一人の担任に広げていくことが今後の課題である。学校の実態に合わせて研修の中身も考えていきたい。

(髙井委員)

いじめの学年別内訳で昨年度の比較を見てみると、小学校のいじめの数は横ばい、あるいは学年が上がっていじめは増えていると感じる。一方で、中学校では1年生から2年生、2年生から3年生となるにつれて、いじめの数が減っていっている。このような状況を踏まえ、学年別にも見ていかないといけないと思う。学年に対してどうアプローチしているのか、何か具体的な分析があれば教えてほしい。

(事務局)

学年をまたぐいじめについては、長引いている可能性があり、対応策をしっかりと考えていかなければいけない。昨年度、3月末のいじめの案件について、6月10日時点で継続しているかどうかの追跡調査をしている。一つひとつの事案について、学校に確認しているが、学年によってどうアプローチしていくかは、今後検討していく必要がある。

(長瀬委員)

去年よりも増えたというのは、認識の問題で増えているのか、実数で増えているのか。学年別の内訳を見た時に、1年生と6年生で増加率が高い。1年生が増えているというのは、家庭から学校に出てきた時のギャップ等が関係しているのだろうか。コミュニケーション能力、言葉の使い方、力の加減がどのように教育されているのかわからない。また、6年生についても、なぜ割合が増えているのか。

小学校様態については、「ひどくぶつかられた」というのが3パーセントから5パーセントになった。軽くぶつかられるのとは違う。それが1学期だけでもこのように増えているのが気になる。

また、ストップイットアプリのデータだが、昨年度の相談件数が165件ということで、一昨年度よりも増えている。相談件数が増えることは悪いことではないと思う一方で、教師の指導が29件となっており、とても多くなっているように思う。

教師の指導についての相談というのは、「それは仕方がない」という内容なのか、それとも改善すべき内容なのか、それに対して教師側はどう考えているのか、その辺りを教えてほしい。

(事務局)

いじめの認知が増えている中で、それが実数なのか、捉え方の感覚なのかについては、学校からはレベルが3つの段階で報告が上がってくる。A、B、Cの3段階である。その一つひとつを把握しているが、軽微なものがかなり増えていると感じている。ただ、こちら側が「軽微なもの」と捉えてしまうのは危険と考えている。必要に応じて学校に介入しながら支援していく。

いじめの態様について、「ひどくぶつかられる」という項目が増えていることについては、我々も特徴として感じている。例えば、コミュニケーション能力が低く言葉が出なくて、つい手が出てしまうという子供もいる。また、学力や成育歴なども関係しているのかもしれない。背景を見ていく必要があると感じている。

ストップイットで「教師の指導について」の相談は、非常に増えている。内容としては部活の中での暴言、差別、学力があまり高くないお子さんにたいしての罵倒なども含まれている。匿名性があるアプリではあるが、内容によっては、学校に連絡し、学校長から指導するようにしている。また、必要に応じて、教職員を指導する部署である教職員課とも連携していく。今後も教員の指導に対しての相談については、深刻に受け止め、慎重に対応していく。

(河嶌議長)

小学校の方で何か感じることはあるか。

(飯田委員)

低学年については、「いじめ」ということではなく、どんな事象があったかということで振り返りをして、記入している。数値的なものはあまり重要視しておらず、どんな内容があり、それに対してどう対処していくのかが大切だと考えている。

(藤崎委員)

小学校と中学校では発達段階が違うが、中学2年生と3年生でいじめの認知が減っている要因としては、子どもたちが成熟していく中で減っていくという部分と、1年生の場合は複数の小学校が集まり、様々な人間関係の中でいじめが増えていると感じている。それを乗り越え、学年が上がるにつれて減っていく部分もある。また、数字よりもその内容が大切だと捉えている。本人がいじめられていると感じたら「いじめ」と認知しなければいけないが、同時に「お互いの人間関係をどう作っていくのか」ということを考えさせなければいけない。

中学校としては、学級や学年経営にフォーカスするが、気を付けなければならないのは、行事に対して、学級・学年で一つのことに取り組んでいく際に、どうしてもそこに入ることのできない、乗りきれない子がいた時にどうするか。みんなでやることが絶対的な正義ということで進んでしまうと、その同調圧力から漏れてしまう子がいじめの対象になってしまう。気を付けていかなければならない。

(諸富委員)

いじめの解消率は84.3パーセントと出ているが、何を基準として解消とするのか、どの程度において、誰が判断しているのか。統一しているものがあるのか教えてほしい。お子さん同士のトラブルで、先生方はおさまっていると考えていたが解消していなくて警察が介入したケースがあった。

(事務局)

いじめの解消の定義を定めている。目安は3か月。必ずそれを一人で判断するのではなく、校内のいじめ防止対策委員による複数での確認を行っている。また、教員が加害者に指導したり、謝罪をしたりしたことで安易に解消としない、ということを学校には働きかけている。

(河嶌議長)

柏市には教諭が1400人いる。そのうちの5割が経験年数10年以下というのが柏市の現状であるが、管内全体がそのような状況であるが、経験がない分、なかなか子どもたちの様子を察することができないということもある。一方で、本人を激励したつもりでも、それが子どもにとっては暴言と捉えられるようなこともある。今後、教職員全体の指導にも生かしていかなければならない。先日、担当課にも伝えたが、「いじめの科学」ということもあり、いじめの内容を分析し、根拠となるデータから探っていきたいと思う。

報告2 柏市いじめ防止基本方針改定(案)について

上記項目に関し、事務局が作成した資料を説明した。

それぞれの報告に際して表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

ご質問やご意見はありますでしょうか。

(原田委員)

資料4の改定案、11ページで学校における取組「障害については適切に理解し~」というところがあるが、他のところで詳しく書かれているから消されたのか改めて確認させていただきたい。また、8ページの(4)5.の「ネット非行防止会議」の部分が消されているところについて教えていただきたい。

(事務局)

11ページについては、削除せずに引き続き文言を入れていきたいと考えている。8ページの部分について、「ネット非行防止会議」というのは、これまで補導センターと児童生徒課で部が違っていたので存在していた。平成30年度から一緒の課になり、会議という形を取らなくとも、普段から連携が取れているため削除している。

(髙井委員)

小学校には、柏市でスクールカウンセラー(以下SC)が配置されている。基本方針の「教育相談」の箇所でスクールソーシャルワーカー(以下SSW)の名前がよく出てくるが、SCの活用というところをもう少し入れていただきたい。LGBTの相談で、実際に相談を受けたという中学校のSCの話も聞いている。もう少し教育相談の中でSCを位置付けてほしい。福祉的な見立てというところではSSWだが、心理的な見立てとしてはSCも積極的に活用を考えてほしい。

(寺本委員)

資料2のスライドの9枚目、「特別な支援を要する児童生徒の対応」の中で、個別の教育支援計画、個別の指導計画を立てるよう、新しい学習指導要領でも言われているが、対象の児童生徒はどのように設定されているか。本人および保護者の申請があって初めて作成されるのか、それも含めて専門職の気付きがあって、いわゆるアウトリーチをして保護者への理解を進めていくのか、結構大変な作業になる。「計画を立てて」というのは、チームの専門職、コーディネーター、外の機関との連携、就労施設も入ってくる。かなり大掛かりなシステム化も必要となる。課題や現状について教えていただきたい。

(事務局)

個別の教育支援計画、指導計画の作成については、特別支援学級に在籍している児童生徒及び通常の学級にいながら通級している児童生徒は全員対象としている。また、特別支援学校への通級をしている児童生徒も全員が対象となる。

保護者から合理的配慮をしてもらいたいという申し出があった場合は、保護者の合意形成を図ったうえで作成している。さらに、保護者からのニーズがなくても担任から課題意識が出てきた場合等は、柏市で作成しているチェックリストを活用して判断している。

指導計画が必要となると、校内で指導計画を作成して、関係する教職員で共通理解を図っている。昨年度の作成率は70パーセント台であった。今年度は今のところ80パーセント台である。今後とも作成率100パーセントを目指して学校に周知徹底を図っていく。また、支援は連続していかないと意味がないので、小学校から中学校、中学校から高校等の引継ぎの徹底を図っていく。

(長瀬委員)

8ページの「ネット非行防止会議」を消すのは理解できるが、ネット型非行で、ネット薬物等の文言も全部消えてしまうのはどうなのか?

(事務局)

「ネット型非行」という言葉がわかりにくいと判断した。「ネットトラブル」としたほうが分かりやすいと考えている。

(長瀬委員)

かえって分かりにくいのかなと思う。教職員の研修の中で、自死予防のゲートキーパーの研修はなくなってしまうのか。子供たちの自死を防ぐために、と考えられたものだったが今後も継続していくのか。

(事務局)

ゲートキーパーの研修については、今後も教育研究所が担当し、初任者を中心に研修を継続していく。教育委員会内の横のつながりも含めて基本方針に記載するか検討していく。

(長瀬委員)

外国にルーツのある児童生徒について、「ルーツがある」というのは具体的にはどういうことか。例えばハーフは含まれるのか、日本国籍の有無なのか。日本国籍がないということになると義務教育への就学義務はない。そのような配慮も含めているのか。

(事務局)

「外国にルーツ」という意味は広くとらえている。ハーフの子であったり、クォーターの子であったり、様々なケースが考えられる。これまでのいじめの報告を分析し、外国にルーツのある児童生徒がいじめの対象になっているケースについて傾向をつかみ、対応策を考えていく。

(長瀬委員)

SOSの出し方教育について、大事なところだとは思うが、SOSを出すだけでなく、出された人がどう対応していくのかが大切である。信頼できる大人に相談するとあるが、「大人」というのはどういう定義なのか。18歳未満は大人じゃないのか。大人というのは、学校の先生、親、その他なのか。ターゲットは曖昧ではいけないような気がする。

(事務局)

できれば、教職員や家族等、身近にいる大人が対応できれば一番良いのだが、そうでない場合も考えられる。知らない人に相談するのは危険である。信頼できる相談窓口の一つとしてストップイット等も積極的に周知していきたい。

(長瀬委員)

この基本方針は、学校の対応を主体として考えているのかもしれないが、「柏市」というのであれば、もう少し幅広い内容が含まれるべきである。例えば、学童ルームは放課後に子どもたちを預かっているが、そういうところのいじめは含まれているのか。また、いじめに対して、家庭がどうあるべきか、社会がどうあるべきか、という視点も必要ではないか。視点が学校だけに偏っている気がする。

(事務局)

内容については、今後検討していく。

(河嶌議長)

学校以外の子供たちが集う場についても考えなければならない。学童ルームの話題が出たが、こども部ではどのように捉えているか。

(事務局)

学童ルームでは、お子さんをたくさん預かっている。ニーズも増えており、過密状態である。そのような状況の中、いじめやけんかがエスカレートした事案、保護者も含めてのトラブルになった事案等、様々な報告が上がっている。必要に応じて、学校の校長先生、教頭先生にも相談しながら、校長室に保護者の方を呼んで話をしたり、学童だけでなく学校での具体的な対策を伝えたりしながら対応している。その中で、学童ルームだけでは解決できないケースもある。

地域や家庭の協力もないといじめの解消は難しい。基本方針の中に、地域や家庭、学童ルームも参画できる視点があれば内容に含めていただきたい。

(河嶌議長)

今年、学童ルームを訪問したが100人を超えるルームもあった。今後柏市で200人を超えるルームができるという話もある。ルームと学校がいろいろ連携を取りながらいじめ防止対策を進めていかなければならない。

(岡部委員)

県のこどもSOSの電話相談をしている際、加害として暴力をふるう側の人から相談を受けた。その方は、多重人格のような症状があり、病的な部分も理解してほしいという訴えだった。加害側に、精神的なものが原因となっている可能性もあると思う。

(河嶌議長)

ネットのトラブルの7割がいじめという記事もある。警察ではどのように捉えているか。

(石井委員)

ネット上のいじめを認知した場合、早期解決が最も重要だと思う。放置してしまうと親が介入したり、いじめの方向性がどんどん広がってしまったりする。早期発見・早期解決を心がけていく必要がある。

(河嶌議長)

児童相談所ではどのように捉えているか。

(中原委員)

児童相談所でいじめの問題を取り扱うのは少ないが、配慮を要する児童への対応というところで、背景に虐待や貧困のあるお子さんにかかわることが多い。児童虐待のケースにかかわる中で、心理的虐待のケースが半数以上ある。警察からの児童通告も増えており、いわゆる面前DVが多い。子供にとって一番身近にいる大人が親なのに、その大人が暴力で物事を解決する様子を見てしまうと、子どもが誤学習してしまう。そういった背景があり、学校で暴力行為が出てしまうこともあると思う。子どもの前で暴力を振るうということは、そういった悪影響が出てしまうということを親に伝えることも大切だと思う。

(河嶌議長)

今回のいじめ防止基本方針の改定にあたり、新しく入ってきた言葉として、「多様性」がある。児童生徒課としてもこの「多様性」への対応が重要だと捉えている。我々教職員も子どもたちの多様性に対して、どのように対応していくのかということを考えていかなければならない。

(河嶌議長)

それでは、以上を持ちまして令和元年度第2回柏市いじめ問題対策連絡協議会を閉会します。事務局へお返しします。

(事務局)

皆様、ご意見ありがとうございました。これを持ちまして、次第の一切を終了させていただきます。本日は、長時間のご協力ありがとうございました。

5 予定

次回開催日時

第2回 令和2年3月13日(金曜日)午後2時30分~

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