平成30年度第3回柏市いじめ問題対策連絡協議会 会議録

1 開催日時

平成31年3月15日(金曜日)午後2時30分から

2 開催場所

柏市沼南庁舎5階大会議室(柏市大島田48番地1)

3 出席者

委員

河嶌議長(柏市教育長)、原田委員(柏市教育委員)、関根委員(千葉地方法務局柏支局)、津金委員(人権擁護委員)、長瀬委員(医師)、表委員(弁護士)、田村委員(柏警察生活安全課)、髙井委員(臨床心理士)、飯田委員(小学校校長)、宮武委員(中学校校長)

事務局及び関係部署

内田学校教育部長、山口学校教育部理事、小貫生涯学習部長、髙木こども部長、三富こども福祉課長、星こども福祉課副参事、野戸こども福祉課統括リーダー、那須田こども福祉課家庭児童相談員、依田学校教育課長、増子教職員課長、髙橋教職員課副参事、三浦教職員課副参事、杉本指導課長、岩田指導課副参事、加藤児童生徒課長、藤崎児童生徒課副参事、菅原児童生徒課指導主事、杉本児童生徒課指導主事、小倉児童生徒課指導主事、池田教育研究所長、宮内教育研究所副参事、下妻教育研究所指導主事、北村教育研究所指導主事、長谷川少年補導センター所長、山田少年補導センター指導主事、安齋いじめeメール相談員(委員)

4 議題(報告・協議事項)

  1. いじめの状況調査及びいじめ防止の取組について
  2. 教育と福祉の連携「保護者支援の現場から~虐待やいじめの対象となりやすく気づかれ難い子どもたち~」

上記項目に関し、事務局が作成した資料を説明した後、委員による協議を行った。

報告1 いじめの状況調査及びいじめ防止の取組について

主な報告内容

  • いじめの状況調査及びいじめ防止の取組について

(児童生徒課)菅原指導主事報告

事務局が作成した資料を説明した後、委員による協議を行った。

その際に表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

  • 小学校のモデル校ということで、実際にストップイットアプリを導入した松葉第二小学校ではどのような反応であったか。

(飯田委員)

  • ストップイットアプリの導入について、職員の評判はよかった。子どもたちのいじめの状況と関係して述べると、まだSNSを使ってのいじめという案件は本校では上がっていないが、不適切な動画を見る等の報告はあった。また、今のところ保護者からの声は良くも悪くも上がっていない。スマホ所持率は高くなっているが、保護者は困り感をあまりもっていないのではないか。

(河嶌議長)

  • 昨年度から導入している中学校ではどうか。

(宮武委員)

  • 中学校区の小学校の校長先生からもよく話を聞くが、ラインの中でのトラブルは小学校でも出てきている。学校によって実態が違うのかもしれない。ダウンロード率、相談件数もあるのかもしれないが、学校にスマホを持ってこさせて、その場でダウンロードさせることも考えていく。発想の転換が必要だと感じている。

(河嶌議長)

  • 文科省でも、スマホの学校への持ち込み等の意見があったが、それについては保護者の方からの要望はあるか。

(飯田委員)

  • その件での要望は現在のところはない。「防犯のため」ということで持たせてほしいという要望はある。

(宮武委員)

  • 同じく、本件に関しての要望は今のところないが、塾の送り迎え等で持たせたいという要望はある。

(河嶌議長)

  • 教育相談の観点からはどうか。

(髙井委員)

  • 小学校のお子さんを持つ保護者から、中学校入学の機会に「スマホを持たせるべきか持たせないべきか」という質問を受けたり悩まれていたりするケースがある。しかし、機器等の代金は保護者が支払っているものである。保護者に「持たせる、持たせない」の主導権はある。自分の子どもには「与えません」とはっきり言っている保護者もいる中で、学校に持ってこさせてダウンロードするということになると、様々な意味で難しさがあると感じる。

(表委員)

  • スマホを持っている子がストップイットをダウンロードするのは当然よいことだが、親の教育方針もあるため、スマホを「持たせる」、「持たせない」の判断は親が主導権を持つべき。ストップイットで相談ができるというメリットもあるが、ライン等のいじめに巻き込まれるリスクも当然ある。学校が主導して「持ってきて~しなさい」というのは、ハードルが高いかもしれない。

別の件で申し上げると、小学校についていじめの認知件数が低年齢化している実態があるのだから、いじめの授業を1、2年生の低学年のうちから、なるべく普及させてほしい。全学年での取り組みが必要ではないか。

また、ストップイットの相談内容で、「教員の指導」という件数が37件ある。これは、「本人のいじめ」の39件と近い数であるが、具体的にどういう内容か?

(事務局)

  • 「教員の指導」の内容については、部活動での指導の件が多く上がってきている。部活動の時間や指導内容についての相談が多い。

(表委員)

  • 教師の体罰や不適切な指導は、部活動や授業で起こると考えられるが、いじめと同じくらい重要で深刻な問題である。教育委員会でも十分に指導して、注意深く見守ってほしい。

(事務局)

  • 内容によっては、学校長に連絡して指導している。引き続き、注意して見守っていきたい。

(長瀬委員)

  • ストップイットを導入した経緯としては、スマホを持たせた時の問題を解決するということではなかったはずだ。いじめられた時にどう声を上げるかという視点が大切である。相談窓口として、メールや電話はあまり利用されない状況から「スマホを使って相談したらどうか」というところから始まった取り組みである。目的がずれてしまうと意味がない。

また、多様な性を理解する教育について、「LGBT」についての理解を深めるのはもちろんのことだが、多様性やダイバーシティ、それぞれの個性の違いを多様性として理解し、お互い尊重して助け合っていく、というところに目を向けるべき。性のことだけに目を向けてしまってはよくない。

チームでの指導体制の強化は大変重要である。虐待の分野では、虐待が発見された場合、虐待をされた子は、けがをしたり精神にダメージを負ったりしていて、医療機関を受診することがある。そのような時に、相談できる形が取れるように、医師会として関係する医療機関全てに周知している。いじめについては同様なことが言えるのだろうか。いじめが原因で肉体的、精神的なダメージを与えられ、病院を受診したとしたら、医師はどこにどうやって相談したらいいのだろうか。ルートがはっきりしていない。いじめが原因で医療機関を受診した時に、どこに相談したらよいのかわかるような仕組みづくりを検討していただきたい。

(河嶌議長)

  • 先程、小学校1年生にも授業をしていくということがあったが、過去に1年生にいじめの授業をした時の反応はどのような感じだったか。

(事務局)

  • 各学年の発達段階によって授業の内容はかなり変えている。例えば、低学年では、「ふわふわ言葉」や「チクチク言葉」等を例に出し、「自分が言われたらどんな感じがする?」といった内容を質問し、意見を求めるようにしている。特に、低学年はかなり活発に意見が出される。現在は、高学年の実施が多いので、次年度以降は低学年での授業をもっと実施できるように働きかけていく。

報告2 保護者支援の現場から~虐待やいじめの対象となりやすく気づかれ難い子どもたち~

主な報告内容

  • 「保護者支援の現場から~虐待やいじめの対象となりやすく気づかれ難い子どもたち~」

(こども福祉課)那須田家庭児童相談員報告

事務局が作成した資料を説明した後、委員による協議を行った。

その際に表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

ご質問やご意見はありますでしょうか。

(関根委員)

  • 虐待する母親に寄り添って支援していくのは素晴らしいことである。事例にあった件で、学校の方に話をしているのか。このケースの場合、状況が変わると深刻な虐待となる可能性があったと思う。そのような中、学校側と虐待への意識をどこまで共有していたのか、

(こども福祉課)

  • このケースは要対協ケースではなかったため、学校とは共有していなかった。学校と話したいこと、取り決めたいことは母親自身で学校に伝えていただいた。就学相談に入り、検査も受けて発達の特性を持っているということは学校に伝わっていたと捉えている。こども福祉課としては、家庭状況の把握・調整をしていた。

(関根委員)

いじめも虐待も危機意識が重要である。何か起きたら大変なことになるという危機意識が必要かと思う。この事例では必要なかったと判断されたのならそれでいいのだが、万が一の事態も想定して対応することも大切ではないか。

(こども福祉課)

  • 今回の事例のように、母親自身が相談に来るケースは対応しやすい。要対協ではかなり深刻なケースも上がっているので慎重に対応していく。

(髙井委員)

  • 先程の意見に関連し、この事例は母親が直接相談に来たということだが、以前自分が関わったケースで「自分の子の障害を受け入れられない」、「もう耐えられない」等という相談を受けた時がある。そのような時に、すぐに家庭児童相談につないだことがあるが、教育相談の場面ではかなり重篤だと感じたこともある。いざという時には、児童相談所に連絡するということもあるのか。

(こども福祉課)

  • このケースは、ペアレントトレーニング等で家児相がつながり、医療機関等の関係機関とも情報共有し連携することができたケースである。

(津金委員)

  • 極端な例だと「児相の一時保護は人権侵害なのではないか」というのもあるので、簡単に一時保護できない児相の思いもあるのではないか。家児相から「相談に来てもらわなければ相談できません」と言われた人がいる。本人が来なければ相談できないという状況だと、家庭の中になかなか入っていけないのではないか。

また、教育委員会に質問である、現在家庭訪問をしていない学校はあるのか。家の場所を確認するだけで、中に入らない学校もあると聞いている。保護者の時間の都合や家の中を見られるのは困るという意見もあると思うが、昔は家に入り、家の様子が見えていた。そこで、家庭環境を把握することができていたと思うが、家庭訪問については、委員会の方でどの程度把握しているか?

(事務局)

  • 家庭訪問ではなく、家の場所を確認するといった学校が増えている。現状では、教育委員会として家庭訪問をしている学校の数については把握していない。

(津金委員)

  • この状況をどう考えるのか。家庭が嫌がる理由もいろいろあると思うが、検討の余地もあるのではないか。家庭環境を把握することは、大事なセーフティーネットの一つではないか。

(事務局)

  • 家庭訪問をする学校は減っている。児童虐待を含め、「子どもの安全を家庭で守る」という意識は必要であり、学校でも把握していく必要があると考えている。家庭訪問のあり方については、今後検討していく。

(河嶌議長)

  • 家庭訪問については、教職員の負担軽減というよりは、時数の増加の方に時間を費やしているからかもしれない。時代の流れの中で、もう一度考え直す必要があるのかもしれない。

(原田委員)

  • 報告された事例の中で、学校ではどのような対応をしたのか?

(こども福祉課)

  • 学校側の対応については把握していない。

(河嶌議長)

  • 柏警察の田村委員は鴨川市から異動になったと聞いているが、市によって違いはあるのか。

(田村委員)

  • 鴨川市は人口が約3万人、柏市は約43万人ということで、市の規模が全く違う。柏市で児童虐待を扱う件数はとても多いと感じている。

(長瀬委員)

  • 虐待をする人というのは、基本的に両親が90パーセントで、虐待をしている親というのは、自分も虐待された経験があることが多い。親のケアもしていかないと連鎖が止まらない。そういうことも考えていく必要があると考える。

今回報告された事例は、家庭児童相談室側の対応で物事を捉えているが、学校の場で実際にはどのような状況だったか知りたい。ここで議論している「いじめ問題」は、ささいなことも大きな問題につながる可能性があることから、一つひとつ慎重に検討していくということで実施してきた。

(こども福祉課)

  • この事例は学校と家児相は直接関わらなかったケースだが、虐待については、関係機関の間での情報共有はとても必要だという意識でやっている。また、ケースの対応については、保護者との信頼関係を構築することが望ましいと考えている。保護者が問題意識を持って状況を変えていきたいという思いがある中で、学校との関係がうまくいかなくなった時に、保護者と一緒に学校とやりとりをしながら対応している。虐待のリスクが高いものについては、要対協のケースにあげ、迅速かつ慎重に支援をしていかなければならない。家庭児童相談室はあらゆる相談について対応しているので、関係機関との連携については、保護者とも調整しながら関わっていく。さらに、学校側から相談があった場合は、保護者とどのように関わっていきたいのか確認しながら支援している。

今回については、虐待の未然防止につながったという事例をあげさせていただいた。

(長瀬委員)

  • 学校と福祉の連携をしていくのであれば、法律の壁で子どもや親を救えなかったというのではいけない。法律の壁だけでは突破できない課題にどう対応していくのか、ぜひ検討してほしい。

(こども福祉課)

  • 引き続き、子どもや保護者に寄り添って支援していく。

(河嶌議長)

ご意見ありがとうございました。それでは、以上を持ちまして平成31年度第3回柏市いじめ問題対策連絡協議会を閉会します。

5 予定

次回開催日時

第1回 令和元年5月27日(月曜日)午後2時30分から