平成29年度第2回柏市いじめ問題対策連絡協議会 会議録

1 開催日時

平成29年9月25日(月曜日)午後2時30分から

2 開催場所

柏市沼南庁舎5階大会議室(柏市大島田48番地1)

3 出席者

委員

河嶌議長(柏市教育長)、原田委員(柏市教育委員)、岡部委員(千葉地方法務局柏支局)、諸富委員(千葉県警察少年課)、津金委員(人権擁護委員)、長瀬委員(医師)、表委員(弁護士)、田久保委員(柏警察生活安全課)、髙井委員(臨床心理士)、矢作委員(小学校校長)、小林委員(中学校校長)

事務局及び関係部署

内田学校教育部長、山口学校教育部理事、篠原生涯学習部長、田所こども部長、高木こども福祉課次長、依田学校教育課長、菅原教職員課長、麻生教職員課副参事、高橋教職員課副参事、杉本指導課長、須藤指導課副参事、宮武指導課生徒指導室長、藤崎指導課生徒指導室統括リーダー、菅原指導課生徒指導室指導主事、杉本指導課生徒指導室指導主事、星こども福祉課専門監、野戸こども福祉課統括リーダー、池田教育研究所長、近藤教育研究所副参事、山口教育研究所指導主事、長谷川少年補導センター所長、山田少年補導センター指導主事、安齋いじめeメール相談員

4 議題(報告・協議事項)

  1. いじめの未然防止の取り組みについて

  2. STOPitアプリの導入について

  3. 「性同一性障がいや性的指向・性自認に係る児童生徒への理解と対応」(柏市人権尊重教育研修)について

上記項目に関し、事務局が作成した資料を説明した後、委員による協議を行った。

報告1 いじめの未然防止の取り組みについて

その際に表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

ご質問やご意見はありますでしょうか。

(矢作委員)

重大事態はないが、どの学校でもいじめのきざしは相当数ある。本校に関しては、9件あった。内容としては、悪口やちょっとたたかれた等が多い。それが放置されてしまうと、「またやっていいんだ」という思いからエスカレートしてしまう。いじめの発見については、アンケートだけで見つけるのは難しく、影の部分がある。いじめに気づくためには、教員の感知が必要である。そのためには、子どもにいかに寄り添っていくかが重要である。教員には、いじめのきざしがあれば、保護者と連携して早期に対応するようにお願いしている。スピード感が大切で、後回しにせず、速やかに対応することが大切である。また、若い先生は、いじめのサインに気付いても、その後の対応が不足することが多い。学年主任や管理職が一緒に入り対応するようにしている。

(小林委員)

中学校でもいわゆる中1ギャップというものがある。そのためいじめの認知について、中学1年生が多いのは納得できる。中学校は、教科担任制なので、担任との連携が大事だと思っている。様子がおかしければ必ず伝えるようにする。また、部活動の様子も見ながら連携している。

さらに、各学期にアンケートしたり目安箱や相談箱を設置したりしている。今年度から、ストップイットアプリを導入したいただき、いろいろな面で助かっている。匿名で相談できるのは、とても画期的である。

(田久保委員)

いじめの態様について、身の危険につながることは、2つあると考えている。1つは金品のいじめである。少額と思いきや高額のやりとりも見られる。何十万というようなケースもあり、子どもだけでかかえきれない高額な金品をとられていた事案もある。もう1つはネット関連のいじめである。サイバーパトロールも行っていると思うが、ネット上の情報は決して消えない。内容によっては、親も含めて早急に手を打たなければいけないものもある。全てのいじめに対応しなくてはならないが、特に金品とネットについては、発展性が高いと感じている。必要に応じて、情報をもらえればありがたい。

(事務局)

補導センターでは、10年ほど前から掲示板やプロフィール等のサイバーパトロールを実施している。ここ数年はツイッターを中心に注視している。気になる内容で特定したものについては学校へ連絡し、事情を確認している。大事になる前に学校と連携し、解決できた事案が昨年は3件あった。個人情報が流出しているケースもあり、今後も注意していく。

(表委員)

小学校低学年からいじめの授業を実施するのは、とても良い取り組みである。これまで、いじめを受けた子どもがどのように対応すればいいのかというケースについて、信頼できる大人に相談すればいいとなっていたが、それだけでは難しい。低学年のうちから、いじめについての意識を高めることはとても大切である。いじめの未然防止の体制が整ってきたのでとてもいいと思う

報告2 STOPitアプリの導入について

その際に表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

いまの報告について、ご質問やご意見はありますでしょうか。

(表委員)

アプリのダウンロード数が低いのが課題だと思う。ダウンロードした生徒が少なければダウンロードしているだけでアプリを利用していじめの相談をしていることが他の仲間の生徒にわかってしまう恐れがある。できればほとんどのスマホを持っている生徒がダウンロードするような形が望ましい。もちろん強制はできないが、もう少し周知してダウンロード数を増やす工夫をしてほしい。

(事務局)

議員のおっしゃるとおり、ダウンロード数を増やすことが課題である。リーフレットを配布したり、教室にポスターを掲示したりして啓発している。中1のダウンロード数が多いのは、傍観者に視点を当てた授業の際に説明しているからである。今後も授業とセットで周知をしていきたい。

(表委員)

アプリで素早く対応できるのは素晴らしい。今後の対応が鍵になると感じている。休日についての対応はいいが、相談の数が多くなればなるほど、対応が不十分になってしまう可能性がある。迅速な対応に向けて、人員の確保も重要になってくると思う。漏れがあると子どもたちを裏切ってしまうことになる。気をつけて対応してほしい。

(事務局)

相談については、外部委託も考えていたが、やはり教育委員会で対応することが重要であると考えている。現在6人態勢でやっているが、今後相談件数が多くなった場合は、検討していく。

(諸富委員)

レベル3の相談が6件ということであったが、本人の了解を得ているのか。

(事務局)

本人とのやり取りの中で許可を得ている。

(諸富委員)

渋った時の対応の仕方も検討した方がよいと感じた。

(事務局)

通信会社と連携すれば、携帯端末までは特定できるようになっている。

(岡部委員)

素晴らしいアプリの導入だと思う。懸念される点としては、情報をどこまで調べられるのか。個人情報の扱いや配慮が大切だと思う。引き続きお願いしたい。

報告3 「性同一性障がいや性的指向・性自認に係る児童生徒への理解と対応」(柏市人権尊重教育研修)について

その際に表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

LGBTの研修について、柏市ではこれまで養護教諭対象に行っていたが、今年から3年間をかけて全職員に実施することになっている。ご質問やご意見はありますでしょうか。

(長瀬委員)

そういう子がいるのは間違いないので対応は必要である。しかし、病気ではない。LGBTや発達障害は個人差である。LGBTの子は必ずLGBTとして扱っていかなければならない、というわけではない。その時の自分の年齢や気持ち、誰と一緒にいるかによって、少しずつ気持ちの移り変わりがある。押しつけることだけが正解ではない。また、カミングアウトしたからといってそれが全てではない。その子がもし戻りたければ戻ってもよい。その時の自分の気持ちによっても変わる可能性がある。そして、得意不得意があるように、それを個性と捉える必要がある。

また、競争社会である上で、差別は生じる。その中で優位に立ちたいと思うといじめが起きる。いじめは絶対に起きうるものであり、対応の仕方や自分の受け止め方も教えるべきである。自殺をとどまらせるのも難しい。STOPitアプリもよい取り組みだが、自分は相談できないという子もいる。時間の違い、雰囲気の違い、友達や家庭の環境等と、様々な個性がある。自殺の回避の仕方を示すことも必要であると思う。いろいろなものを受け止めて選択肢を幅広く持つことが大切だと思う。例えば、知的障害の人と話した経験があるか。LGBTの人と会ったことがあるか。全く関わりがない人は、どうしても理解できない場合が多い。ネットや会議上のやり取りだけでは、亀裂が生じうる。いろいろな個性があるということを認めて、話す機会が大切である。

そして、最近ではテレビの影響も大きい。テレビの芸人を見ていると、笑いの取り方がいじめにつながることが多いと思う。欠点を馬鹿にするような場面が見られる。このような状況には、注意が必要である。また、病院に患者が来た時、その人は必死である。治療が終わり安心するとホッとする。気持ちのゆとりが出てくると視野が広がる。気持ちにゆとりがないと周りを見ることはできない。当たり前のやさしさや社会の在り方を知ってもらえるような努力をするべきではないか。柏市での今回のような取り組みは非常に良いと思う。

(河嶌議長)

当たり前のやさしさという言葉に共鳴するものがある。人権擁護の観点から津金委員はどうか。

(津金委員)

今回のような研修を受けたいという要望が多く、人権擁護委員会としても依頼をし、準備を進めている。人権擁護の大半の部分が差別によるものである。同和、国籍、人種、障害者、性的マイノリティー等、差別として扱っているものがいじめにつながっている。人権を侵害されている人をどうにか救ってあげたいと思い、法務局でも研修が多く実施されている。ただ、どうしても大枠で終わってしまう。心の痛みや苦しみを生の声で聞きたいという気持ちが強い。本当の痛み、苦しみを聞くことで、対応が変わると思う。単なる知識でなく、受け止められるようにしていきたい。性的マイノリティーについては、いじめにつながる大きな問題として捉えている。

(河嶌議長)

教育相談の観点から高井委員はどうか。

(高井委員)

発達に課題がある場合、違いに関して周りが敏感になりすぎることがある。保護者も、みんなと違うのはダメなのではないか。それに、親が何とかしないといけないと過剰な反応をしていることもある。学校は、安心して失敗ができて、そこから成長できる場である。しかし、失敗できるのが学校なのに、失敗してはいけないというように変わってしまっている。個性や違いをネガティブに捉えられないように、悩みや迷いを受け止められるようにしてほしい。

そして、お子さんの一番の応援団は家族である。家族の不安や悩みを受け止めることが大切だと思う。家族と一緒に考えを共有しながら、少しでも役に立てるように対応を模索している。

(原田委員)

テレビの影響はとても大きい。オカマ等の言葉が子どもたちの間でもよく出てくる。私たちがそこでどのように対応していくかが大切である。アンテナを高くするということは、LGBTのことだけでなく全ての課題に対して必要だと思う。大人として必要な目線を持っていなければいけない。当事者の話を聞けるのはとてもいい機会であり、全教員が受けることはとても良いと思う。

(河嶌議長)

全体を通して、ご質問やご意見はありますでしょうか。長瀬委員は、普段医者の立場でいろいろな患者さんと話をしていると思うが、どのように対応しているのか。

(長瀬委員)

患者として来た人を安心させて帰すためには、時間もかかる。患者さんの姿勢や雰囲気から結論を出すことが多い。しかし、大きな病院では、患者さんの話を聞かず、目を合わさない医師が増えている。それでは、患者さんの心配は取れない。学校でも同じことが起きているのではないか。現状では難しいかも知れないが、できるだけ時間をかけながら話を聞いて対応することが大切である。

(津金委員)

来年から道徳が教科になる。きっかけはいじめの問題が大きいと聞いているが、教育委員会や学校ではどのような準備をしているのか。実際に課題をどうとらえているのか。

(事務局)

柏市では、今までも年間35時間の授業を実施していた。内容について、これまで様々な副読本や独自の教材、新聞記事等を使っていたものが、教科書という柱に従ったものになる。現在、市内でも多くの学校で道徳について校内研修会が行われているが、教育委員会としても支援を行っている。新しい教科書についても、いじめに関する教材や新しく情報に関する教材も入っている。6年間を通して、きちんとした人間関係を作り、いじめの防止につなげられるような内容も含まれている。引き続き、教育委員会としても適切に授業が行われるように支援していきたい。

 (河嶌議長)

ご意見ありがとうございました。それでは、以上を持ちまして平成29年度第2回柏市いじめ問題対策連絡協議会を閉会します。

5 予定

次回開催日時

第3回 平成30年3月16日(金曜日)午後2時30分~