平成28年度第2回柏市いじめ問題対策連絡協議会 会議録

1 開催日時

平成28年9月26日(月曜日)午後2時30分から

2 開催場所

柏市沼南庁舎5階大会議室(柏市大島田48番地1)

3 出席者

委員

河嶌議長、原田委員、岡部委員、奥野委員、諸富委員、津金委員、長瀬委員、表委員、田村委員、宇佐見委員、伊藤委員、羽間委員、高井委員

(補足)伊藤委員と羽間委員は、議題2が終了した際に退席。

事務局及び関係部署

山本学校教育部長、山口学校教育部理事、篠原生涯学習部長、田所こども部長、小倉こども福祉課長、星こども福祉課副参事、飯田学校教育課長、菅原教職員課長、杉浦教職員課副参事、麻生教職員課副参事、梅津指導課長、宮武指導課生徒指導室長、福島指導課生徒指導室統括リーダー、関口指導課生徒指導室指導主事、石井指導課生徒指導室指導主事、内田教育研究所長、近藤教育研究所副参事、宮内教育研究所統括リーダー、冨高教育研究所指導主事、長谷川少年補導センター所長、麻生少年補導センター指導主事、安齋いじめeメール相談員

4 議題(報告・協議事項)

  1. 性的マイノリティーに係る児童生徒のいじめ防止と学校の対応について
  2. 柏市ネット型非行抑止サービス」についての実証実験中間報告
  3. 柏市いじめ防止基本方針改訂案について
  4. 12月のいじめ防止啓発月間の取組について

5 議事(要旨)

(1)報告1. 性的マイノリティーに係る児童生徒のいじめ防止と学校の対応について 

  1. 「性同一性障害者」の定義
  2. なぜ今、学校教育で性同一性障害なのか
  3. これまでに、どのようなことが学校で起こっていたか
  4. 以前から性同一性障害に係る生徒指導上の課題はあった
  5. 性同一性障害の対応が個別のため、「いじめ」の原因に
  6. 学校の「性同一性障害」等に関する対応
  7. 学校の基本的な考え方

(2)報告2. 「柏市ネット型非行抑止サービス」についての実証実験中間報告について

(3)報告3. 柏市いじめ防止基本方針改訂案の概要について

(4)報告4. 12月のいじめ防止啓発月間の取組について 

  • NHK「100万人行動宣言」への参加について
  • 柏市ネットトラブル防止会議の実施について
  • 「OMOIYARIポスター展」の実施について

委員及び事務局が作成した資料を説明した後、委員による協議を行った。

(1)報告1. 性的マイノリティーに係る児童生徒のいじめ防止と学校の対応について

(2)報告2. 「柏市ネット型非行抑止サービス」についての実証実験中間報告

(3)報告3. 柏市いじめ防止基本方針改訂案について

上記項目に関し、事務局が作成した資料を説明した。

その際に表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

それでは、ここまで3つの報告がありましたが、ご質問やご意見をいただきたいと思います。

(高井委員)

私自身には相談がないが、実際にスクールカウンセラーの方から、マイノリティーに関する相談を受けた方もいると聞いている。津金委員からもあったように、性同一性障害について我々がオープンでなければならないと考えている。子どもたちは、思春期になると自分の性に違和感を考える子もおり、さまざま悩む時期がある。よって、決めつけないことが大事ではないかと考えている。私たちが性に関してはいろいろなグラデーションがあることを理解していかなければならない。カウンセラーが、その感覚にオープンであることが大切である。環境や書籍など、私たちも発信しやすい環境をつくりたい。

また、性的な違和感については変動があると言われている。思春期の中で、ちょっと変わってくることもある。そのときに、そのお子さんが何に困っているのかを丁寧に見てあげることが大切である。いろいろと変わってくると思うので、その都度話をしていくことと決めつけないことが大切であると思う。

(河嶌議長)

「決めつけない」ことが大切であるという言葉がありました。ありがとうございます。

(長瀬委員)

津金委員が仰っていましたが、性同一性障害については小さいときには診断をつけることが難しい場合も多い。診断をつけたいと考えた保護者や本人が、病院に連れて行ったところから対応が始まる。性同一性障害に限らず、いろいろなお子さんに対して、現在では、発達障害などの診断名が出てしまうことがある。昔は限定するものではなかった。診断名をつけて安心する場合と不愉快になる場合とがある。診断をつけてよい場合もあるが、これらの違いを病気も含めて個性や個別性として捉えていくとよいのではないか。何より、個性や価値観の違いを認め合って支え合える社会をつくっていくことが大切である。津金先生の話を聞き、これらをバランスよく考えることと、本人や家族が何を求めているのかを考えていくことが大切であると感じた。

(奥野委員)

数年前に、性同一性障害ではないかと思われる事例があった。女性であったが対応に苦慮した。15歳未満であったことから、確定診断はせずに経過を見た。性同一性障害であることよりも、その子が抱えている課題にいかに対応していくか、集団生活の中でどう折り合いをつけるかに苦慮した。立ち戻って対応を考えると、性同一性障害を確定しようということに時間を要してしまったが、その子にとって何が必要か、また周囲の子との折り合いをつけていくことを重点として考えていく必要がある。

その子に対する理解を考えると、少ない人数であると理解されやすいが、大人数に理解してもらおうとすると限界がある。対応する大人がゆとりをもっていくことが大切。手の届く範囲での対応が必要である。

(河嶌議長)

貴重なご意見ありがとうございました。もう一つのネット型非行について、諸富委員から青少年健全育成の視点からいかがでしょうか。

(諸富委員)

少年センターでもネットからはじまる誹謗中傷のトラブルが多いので、このような問題を取り上げていくことはよいと思う。相談窓口も開設する予定があるとのことなでの、丁寧に対応していただくことは大切だと思う。

基本方針の中で「ネット型非行への対応」という記述があるが、これは「インターネットを介した非行への対応」の方がしっくりくるのではないか。

(事務局)

表現については悩んでいるところですが、柏市ではインターネットを介したいじめを「ネット型非行」として取り組んでいるため、定義も入れて「ネット型非行への対応」とさせていただいた。ただいま頂戴したご意見をもとに、もう一度検討していきたい。

(田村委員)

インターネットを介したいじめは今後も増えていくと思う。対策を早めにとっていくことが、いじめの防止につながるのではないかと思う。メールなどに日々対応していると、言葉が過激になってくるように感じる。切羽詰まった、脅迫めいた表現を送るものもあり、早めに対処していくことが私どものつとめだと考えている。

(岡部委員)

法務局では、インターネットを介したいじめなどについての相談があった場合、内容で人権を侵害されているかを検討して、侵害されていると判断した場合に削除要請するという対応をとっている。しかしながら削除要請のハードルが高く、全ての件を削除要請できないことが現実である。法務局だけでは削除要請できるわけではないし強制力がない部分もあるので、警察や補導センターと常に情報を共有していくことが大切であると思う。平成29年4月1日から、ネットトラブルの専用窓口を開設するとのことだが、専用窓口が1つでも早めにできて、児童生徒の頼るべき場所があると分かることが大切であると思う。ネットのいじめについて、言い出せないで陰湿化してしまうケースが多いので、是非開設して連携していただけたらと思います。

(河嶌議長)

法務局への相談で削除要請の件数は多いのか。

(岡部委員)

本年度の4月からはまだない。10、11月に実施の「SOSミニレター」の期間に増えるのではないかと思っている。

(表委員)

ネットいじめに関しては、単語の中で「無理」という言葉が1位に挙がっていたが、「無理」という言葉も網がけの中に入っていたのか。

(事務局)

「無理」という単語1つだけではなく、前後の文章のやりとりの中で、かかってきたものであるとご理解ください。

(表委員)

児童のアンケートから「親に全部覗かれるから秘密の話ができない」という言葉があった。普通の会話を監視しているわけではないと理解しているが、それでも「無理」という言葉がかかってきたということなのか。

(事務局)

はい。

(表委員)

子どものプライバシーとの関連は、以前から議論をしているが、「死ね」とか「殺す」やそれに関する隠語があればよいと思うが、子どもたちにとっては、ほとんどのことが監視されていると受け取られてしまうのではないかと懸念した。子どもたちにはよくない言葉をピックアップしていることを言ってあげないと、参加する方も増えないのではないかと思いましたので、ご意見申し上げました。

(河嶌議長)

学校現場から、現状を伺いたい

(宇佐見委員)

ネット型非行は、話としては聞いていない。市内の小学校でも被害に遭っているという話は聞いていない。また、性的マイノリティーに関しては、ここまで顕著な事例はこれまでの学校でも記憶にない。しかしながら、潜在的にいることは事実であるので、悩みを早くキャッチできるような教職員の専門性を高めていく必要があるのではないかと考えます。

(河嶌議長)

保護者の立場からいかがですか。

(原田委員)

今まであまり考えたことはなかったが、先生の中でもそういう方がいらっしゃる可能性もあるのではないかと思った。

以前、アンケートで男女の別を記入していただくのではなく、スケールで表したらよいのではないかと提案したこともある。それは採用されなかったが、今回の話を聞き、まじめに普段から考えていくことが大切であることと、冗談のつもりが相手を傷つけることもあるということを感じた。

(河嶌議長)

津金委員は、性的マイノリティについての執筆をされていて、反響はいかがですか。

(津金委員)

反響はあまりない。しかし、いまあらわれているものは氷山の一角であると考える。このことは、大人が隠してしまう傾向があり、本人には分からないということから、実際にデータとしては出てこない。基本的には、何パーセントかいると考え、注意してみていくことが大切であると思っている。

また、性的マイノリティがいじめにつながるということだけではなく、異質のものや違和感を覚えたものに対して、子どもたちがどのような反応をするのかを教員には考えてもらいたい。「異質だと感じることはおかしいよ」と指導される方がいるが、「どのように接近して、どのように理解していくのか」という指導が必要ではないか。いつも理解しようとするという態度を育てることが、異質なものや違和感を感じるものへの対応になるのではないかと思います。

1つ質問があります。先ほどのネットのキーワードについて、研究している団体があるのか。単語1つではなく、友達の関係やどの語が何語以上出てくるのかなど、分析があるとよいのではないか。

(事務局)

研究やデータがあるわけではないが、このアプリに関しては、いじめの発見だけが目的ではない。アプリを使っていただき、スマートフォンに関する子どもと親のコミュニケーションを活発にとっていくことを最大の目的としている。

(河嶌議長)

先ほど津金委員からご指摘のありました、性的マイノリティーについての教職員研修についてですが、これまでも養護教諭の研修で実施しております。今後は、一般教員に対しても研修を行っていきたい。

いじめの基本方針の改定について、ご意見をいただきたい。

(表委員)

10ページの「学校における取り組み」について、学校が組織として把握するためには、さらに詳細なものをお作りいただく必要があると考えるので対応していただきたい。

(事務局)

そのような方向で、再度検討していきたい。

(長瀬委員)

一通り拝見しましたが、特に気になるところはない。基本理念がすごく思いが伝わってきて、全体的によいものになっている。

(河嶌議長)

今後もお気づきの点があれば、ご意見をいただきたい。

(4)報告4.12月のいじめ防止啓発月間の取組について

上記項目に関し、事務局が作成した資料を説明した。

その際に表明された主な意見は、次のとおり。

(河嶌議長)

いまの報告について、ご質問やご意見はありますでしょうか。

 (河嶌議長)

無いようですが、その他全体を通して、何かご質問やご意見はありますでしょうか。

 (表委員)

性的マイノリティーについては、その方の希望を全て叶える形で対応することがよいのではないかと思っている。教職員への教育よりも、保護者や本人がどう思っているのかをよく聞き、対応することがよいのではないか。このことは、学校だけでなく地域全体で、障害ではなく個性であるという社会をつくっていくことが大切であると痛感した。

 (長瀬委員)

中学校の性教育に関わり生徒に話をしている。男女にはどうしても避けられない違いがあって、また性的嗜好にも個人差がある。大事なことは、空想と現実は違うということがわかっていることである。それを勘違いすると、大人になって、嫌がることを人に強要したり、できるものと思い込むと犯罪を犯してしまう。子どものうちに、やってはいけないことは教えていくことも大切である。

 (河嶌議長)

ご意見ありがとうございました。

それでは、以上を持ちまして平成28年度第2回柏市いじめ問題対策連絡協議会を閉会します。

6 予定

次回開催日時

第3回 平成29年3月17日(金曜日)午後2時30分~