平成24年度第3回柏市保健衛生審議会健康増進専門分科会

1 開催日時

 平成24年10月9日(木曜日)午後1時30分~3時40分

2 開催場所

 ウェルネス柏 4階大会議室

3 出席者

  • 委員

    小林正之(会長)、石川守、大谷美津子、金子貴美枝、橘房子、田中譲治、二瓶陽子、橋本英樹、平野潤、森信悟、山縣詩乃、吉川良子

  • 市職員

    山崎保健所長、田村保健所次長(地域健康づくり課長)、中村保健所保健予防課長、坂巻保健所成人健診課長、平塚市民生活部次長(保険年金課長)[代理:西村専門監]、秋山保健福祉部次長(保健福祉総務課長)、松本保健福祉部福祉政策室長、秋谷保健福祉部高齢者支援課長、枝川保健福祉部障害福祉課長[代理:小林副主幹]、宮本保健福祉部障害福祉就労支援センター所長、上野保健福祉部福祉活動推進課長、石橋経済産業部次長(農政課長)[代理:海老原副主幹]、小貫教育委員会事務局生涯学習部スポーツ課長[代理:黒須統括リーダー]、山口教育委員会事務局学校教育部学校保健課長[代理:中村指導主事]、事務局地域健康づくり課職員

4 傍聴者

 3名

5 議事

【議題(1) 柏市健康増進計画の内容について】

【1.分野1~分野5について】

 事務局から議題(1) 1.について説明を行った後、委員からの質問、意見、要望等の表明及び委員による議論があった。

[議題(1) 1.についての説明要旨]

 第2回分科会を受けて、修正した「栄養・食生活」、「身体活動・運動」、「休養・こころの健康づくり」、「喫煙」、「飲酒」の5分野に関する計画案について説明。
(補足)

  • 「箇条書き」は委員の発言
  • 「⇒」は事務局の回答
「栄養・食生活」
  • 「主食・主菜・副菜の組み合わせのとれた食事」という表現に違和感を感じる。「バランスのいい食事」というもの(例えば、米国の「マイプレート」など)を提示することで、表現的には「バランスのとれた食事」の方が良いと思う。
  • 「バランスのとれた食事」を定義付けることは難しいが、一般論的には「バランス」という表現で良いと思う。

 ⇒「バランスのいい食事」の提示と併せて、「バランス」という単語を用いた表現に変更。

  • 調理師会では、年に数回開催の調理師対象の講習会だけではなく、一般市民対象の講習会も一度開催した。メタボリックシンドローム対策、減塩調理法、地場産の食材を活用等といった健康づくりに配慮した実習が可能であるが、参加者がなかなか集まらない。市とタイアップすることで、参加者が集まるのであれば、年に数回でも開催したい。

 ⇒検討したい。

  • 基本的には朝食の欠損に関して、親に言ったからそれが直るかというと、結局、親も忙しいとか時間がないとか、共働きであるとかといったような構造的な問題があることから、やりたくてもやれない。実際にブレックファーストフリーでも出す等といったような対策が必要ではないかという指摘を前回した。
    総じて、特に「達成するための取り組み」、これは「栄養・食生活」をはじめ、各分野を見ても、いずれもこれまで私が繰り返し指摘してきたように、啓蒙教育にかなり傾いてしまっており、第1次「健康日本21」が失敗した理由を、そのまま踏襲した内容になっていると感じる。
    やはり、環境づくり、もしくは整備といったところに関し、もう少し踏み込んだものが見られないと、結局、前回の国と何が違うのかといった形になるのではないかということを強く恐れる。
    そういった意味で、「教育委員会と共にこの問題に取り組む」ということを、ぜひ入れてもらいたい。つまり、健康セクターだけではなく、「教育委員会とぜひ」というのを一言入れると、だいぶ違ってくると思う。

 ⇒検討。当然、学校現場とは十分協議し、実行していくことが重要と考えている。

  • 食育というのは2つの側面がある。1つは、いわゆる栄養指導、栄養に関する啓発。もう1つが、いわゆる構造的な仕組みの課題。
    自分も「健康目標を達成するための取り組み」が、どちらかというと、1点目に挙げた「栄養指導啓発活動」というものが中心に置かれている印象を受けた。自分も学校現場に関わったり、また、地域、家庭というものに関わる場面が多いが、情報を発信してキャッチしてくれる人というのは残念ながら、今は割合的に非常に少ない。実感としては、1割に満たないのではないか。つまり課題なのは、情報を発信してもキャッチしてくれない人にどうやって情報を届けるかというところで、2点目に挙げた「構造的な仕組み」というところを、積極的に整備してもらいたい。
    教育委員会との連携ということがあったが、例えば、本当に学校ぐるみでの何かそういう活動を推進するとか、地域ごとでの取り組みということに少しシフトするとか、そういうことから家庭内や、個人へのアプローチというものを図ると良いのではないか。

 ⇒具体的に効果を上げる方策の実施は、本当に難しい課題だと思う。いろいろな方に知恵を出していただきながら、ともに検討していきたい。

「喫煙」
  • たばこに関して1つ情報提供。子どもに対する、いわゆる禁煙に対する教育といった部分に関して、それと、いわゆるマナーを守った喫煙という部分に関してだが、WHO(世界保健機関)の「たばこ対策、政策に関するプロジェクトチーム」が出しているマニュアルがあり、その中で、具体名で言うとJTがよくやっている「クリーンスモーキング」というキャンペーンがある。あれが、実は喫煙を促進する行為なので禁止すべきであると、マニュアルの中では書かれている。具体的には、きれいに吸えば吸っていいのでしょうということを公に認める形になるので、それは禁止すべきであると。
    それから、同様のものとして表れているのが、「たばこは大人になってから」という全国たばこ協会と、なぜか警察庁がやっているキャンペーンがあるが、あれもWHOのマニュアルによれば、子どもに対して「大人になったら吸っていいですよ」、「大人になりたいから、たばこを吸いたいんだ」という、まさに未成年の喫煙動機を逆に刺激する形になるので、あれも禁止すべきであると掲げている。
    そういった意味で、小学校における喫煙教育というものが、単なる「たばこは大人になってから」の類いに収まらないようにしてほしい。
  • 比較対照する話ではないかもしれないが、特に柏市は、他の近隣の市町村や千葉県の中でも、かなり喫煙防止に関しては努力をしている市だという認識は持っている。「受動喫煙の防止」の現状値と目標値の設定があるが、医療機関の目標値を0%にできなかった理由が何かあったのか。
    あとは飲食店に関しても、目標値を「減少」という設定ではなく、本当に0パーセントにする、受動喫煙を完全にゼロにする。このことは、欧米では当たり前のこととなっているので、ぜひ、この地域では柏からそれを始め、柏に行けばきれいな空気でおいしい食事が楽しめる、そういうまちになるためにも、「減少」という言い方ではなくて、医療機関と飲食店に関しては0パーセント という数値目標をぜひ入れてほしいと思う。

 ⇒市では、目標ゼロと掲げて何の問題もないと思うが、関係団体等との調整・確認をする必要があるかと思う。

  • やはり、喫煙ゼロというのは本当に必要なことではないかと思っている。自分の店のことで言うと、7年くらい前に郊外に移ったが、それを機に完全禁煙の店にした。その時に、やはりまだまだたばこを吸われる人が多くおり、「もう、こんな店は来ない」等と随分言われた。でも、逆に「あそこは、たばこは禁煙だから行く」というお客様がかえって増え。そういうことを少しアピールされたら良いかと思う。私も、分煙と言うが、大きい所での分煙は良いが、小さい所で分煙をやってもどうしても煙は行くので、飲食店としては完全に禁煙にした方がより良いかと思う。

 ⇒検討。

  • 「ここの飲食店は禁煙飲食店です」という、例えばマークか何かを作って、それをホームページで宣伝してあげるとか、そういことを積極的にやっていただくと、いい支援になるのではないか。やはり、喫煙ゼロというのは本当に必要なことではないかと思っている。

 ⇒既に事業開始。

「共通」
  • 今回のこの健康増進の立案だが、結局、全てを言ってしまうと、個人の努力第という形になってしまうので、こういう行政なり委員会としてどういうことに取り組むかというと、やはり環境整備ということが1番目のポイントになる。

【2.分野6~分野9について】

事務局から議題(1) 2.について説明を行った後、委員からの質問、意見、要望等の表明及び委員による議論があった。

[議題(1) 2.についての説明要旨]

 「歯・口腔の健康」、「糖尿病」、「循環器疾患」、「がん」の4分野に関する計画案について説明。

(補足)

  • 「箇条書き」は委員の発言
  • 「⇒」は事務局の回答
「歯・口腔の健康」
  • 非常に素晴らしい計画案で、本当に良いのではないかと思う。第1回分科会の資料で、「健康日本21」との比較表があり、その全国との比較の中で、まず1つが、60歳の過去1年間に受けた人の割合というのがあるが、全国が36.8パーセントで、柏市が22.8パーセントで非常に低いという感じがある。そこで具体案になるが、現在「柏市歯周疾患検診事業」をやっているが、非常に素晴らしい企画で、やはり、啓蒙の意味も含めて実施している。この事業は、20歳、30歳、40歳、50歳の節目検診となっている。しかし、高齢の方の歯の健康は、これからの健康長寿に関してすごく重要なポイントだと思い、60歳、65歳、70歳を事業対象に追加することも、ぜひ検討してほしいと思う。
    医科の特定健康診査は、40歳以上だと毎年やっている。ところが、その特定健康診査に歯科がない状況に対し、入れても良いのではないかと思っている。なかなかそうもいかないところもあり、50歳までではなく、60歳、70歳、可能であれば65歳対象とすることが、理想だと思っている。
    フッ化物歯面塗布に関しては、いろいろやり方が少しずつ変わって、いろいろ工夫がなされており、非常に良いのではないかと思うが、1回が1、500円であり、歯科医としても、援助をもう少し上げてもらいたい。これは、柏歯科医師会の代表としての一言。
    全体的に、非常に素晴らしいデータを基にやっており、これを基に、具体案を考えていけば良いと思う。
  • 先ほど、全国平均が30何パーセントで、柏が20パーセントという話であったが、それは歯科受診ということか、または治療ということか。

 ⇒歯科検診、歯周疾患検診については、もともと始めた狙いが予防ということに意味があったらしくて、そうすると早めから、20代、30代からということで取り組んだよう。ただ、現実問題として歯周疾患が発症するとか注目されると言われているのは、30代、40代以降というところもあり、その辺で対象年齢については少し見直して、実際効果の上がるような方法を検討する必要があると考える。
 フッ化物歯面塗布は、歯科医師会と協議していくこととなる。

  • 高齢者時代に突入するわけだから、50歳からもう少し上まで上げて、下の若いほうの年齢間隔を少し広げるというようなことも、工夫の1つかもしれない。トータルに密にすると、予算の関係も出てくるので、その辺の区分けをうまくされると良いと思う。
  • 私どもで進めている調査で、このことに関する結果が出ている。歯科受診、特に予防的歯科受診に関しては、明確な所得格差がある。これは、柏市を含めた4都市で実施した調査で、非常に有意に出ている。また、歯というものに対する価値観が、(経済的に)余裕のある人とない人ではだいぶ違うということが、非常に大きく響いているというような予備的結果が出ている。その点から考えても、いかに啓蒙していくか、啓蒙が届かない人が一番問題になるため、啓蒙が届かない人にどういう働きかけができるかといったことが重要。
  • 個々のフロリデーションが一番効くのだが、もう1つ海外で、特に北欧でよくやられているのが水道水のフッ素化ということで、これは明らかにう歯の数を劇的に減らすということが、ほぼ世界的にエビデンスのある話。日本国内では、水道法、その他の規制がどうもあるらしく、これがうまくいかない。このことに関しては、本来、水道に関し、市の行政になっているので、検討する余地があるのではないかと、以前から思っている。
  • 啓蒙については、フッ素が形が変わり、やり方も変わり、少し落ちる可能性があるため、さらなる啓蒙が必要。方法として、例えば回覧板を使うとか、幼稚園とかそういう所に、もっともっと啓蒙してほしいと思う。
  • フッ素の話だが、昔から歯科医師会でも言われていて、ディスカッションがあって、そういうことも問題として、確かに入れたほうが100パーセント良いことは明らかに分かっているが、やはり、その辺は行政との兼ね合いで、我々歯科医師会のレベルではなくて、柏市と国とかそういった部分になり、逆に、自分からどういう状態なるかということは、ちょっと分からないというのが、実際の状況。
  • その水道水のフッ素化については、柏市は独自で水道水を調達しているわけだが、どうなのか。何かありますか。

 ⇒基本的には、難しいということ。やはり、反対する人もいるため。フッ素に関して害はないと思うが、やはり害があるということで反対される人もいる。一律に水道水に入れると誰でも飲んでしまうため、自分の意思と関係なく、反対している人も飲まされてしまうということ。大体、どこの自治体もやっていることは、希望する人へのフッ化物洗口。
 小学校とか幼稚園などで、フッ化物洗口をしましょうと。それも、希望するといっても子どもではなく、保護者で希望する人にはフッ化物洗口を、昼休みの何時間とかに決めた時間、何回もやりましょうということを、取り組んでいる自治体はある。しかく、それもごく少数。反対する人々の意見も踏まえつつということで、事業展開は苦慮しているところが多いと聞く。

  • ということは、法的には入れても構わないという形にはなっているということか。

 ⇒その通り。

  • 当然ここは行政の議論なので、啓蒙活動が主体になるのはよく分かる。訪問診療をやっている医療関係者として、現在生活保護の人々が多くいるような、新宿区の40年代に建てられた住宅に訪問診療している。今後、柏市域でも高齢化が進んで、動けなくなって、来れなくなって、具合が悪くなって、食べられなくなって、急に医療機関にかかって、救命救急なんかでバンとお金がかかるというような世帯が増えると予測される。幼稚園児、お子さん等への啓蒙ももちろん重要だが、例えばパイロットスタディとして、訪問手段の先生方のような、自宅に伺って歯科のニーズを調査する、そういう方々の調査を少し検討し、次の段階でそこに予算を配分する、実際に動いているところを公募する、調査をする等、そういう動きも必要では。具体的に動いているところに対しての、数の把握だとか現状のニーズの把握というところに、少しお金を使うというか、時間を使われてもいいかとも感じる。そのために、柏歯科医師会に柏歯科医師会附属歯科介護支援センターという所があり、在宅に歯科医が行ってといったシステムができている。しかし、まだまだ、それが市民に伝わっておらず、ぜひ活用してもらえれば。

 ⇒計画を推進する上で検討。

  • 94ページに出てくる「DMF」とか、97ページに出ている「CPITN」とかという専門用、これは、この資料をもしも市民に広く配布するのであれば、その辺は分かりやすくしておく必要がある。

 ⇒注釈を追加する。

[糖尿病]
  • 特定健康診査の受診率の現状値と目標値だが、この現状値は具体的にどの数字か。国保の人と、あと組合健保の人とでは受診率が相当違うので、これはおしなべての平均値なのかどうか。

 ⇒保険年金課で実施した特定健診健康診査結果から持ってきた「39.5%」という受診率。つまり国保についての数値ということになる。

  • 調理師会としてやっていることだが、「健康ちば協力店」ということで、平成14年から始まり、現在で51店舗。各店舗でカロリー計算の表示とか、栄養成分の表示をやっている。カロリー計算に関しては、本年度より有料ということになっているが、これを通じて市民の健康に何か役立つこともあるかと思っている。51店舗とまだ少ないが、これをもっと進めていきたいと思っている。
  • 糖尿病に関して明確に書かれているように、まず予防。なる前にどういうふうに抑えるかということと、なってしまったあと、どう重症化を防ぐかという点で絞っていることは、全く正しいと思う。その上で、発症予防で問題になるものとして、「糖尿病の指摘を受けたが、放置している者の割合」が、結構な数いる。これを実際下げていく上で、現在、構造的な障害になっているのが、特定健診は保険者の責任のもとでやっている。しかし、指摘したあとは個人の判断でお医者さんに行ってもらう。といったところで、残念ながら、現在、予防活動とプライマリーケアの間が、どうしても日本の制度上、切れてしまっている。このような構造的な原因が、そもそもあるというところがあろうかと思う。この点で、受診率の向上は、保険者である市が指摘した後、どうやってプライマリーケアにつなげるかについて、より積極的に、医師会等の指導を仰いで、システム化を考えてほしい。
    重症化予防に関して、私どもの大学院生が研究をしているもので、2型糖尿病の患者がどのような病気経験をしているかという、インタビュー調査がある職場や家庭において、例えば「インスリン打っている」と言うと、「糖尿病で自己管理が駄目な人」、「だらしない人」というふうに周りから言われてしまうなど、非常に病気のことを理解してもらいにくいということで、悩んでいる患者さんが、実は非常に多いとのことを聞いている。
    やはり、プライマリーケアの先生方や、糖尿病を診ている先生方の医療機関において、そのような社会的支援を包括的に得られるようなものをぜひ組んでもらえると。知識がないからだけではない部分があろうかと思う。
  • 今、特定健診・特定保健指導というのは2段階になっており、メタボリックシンドロームという病態そのものは、予防病名であるというくくりにしてしまっている。病気ではないということ。そのため、この段階ではまだ受診勧奨をしない。一定の値に来た段階で、チェックしたあとは受診勧奨をしていくと。受診勧奨をした方でも行かないという人はもちろん存在する。これはもう大きな問題だが、恐らくメタボの段階で、予防の段階でどうすればいいか。ここで一番大事なのは、運動療法、食事療法なのだが、では、誰が食事療法をするのかという。栄養士のセンター化というのを、国が出しているが、そういった栄養士センターがないのが現状。これが、なぜないかというと、栄養士は今の段階では、栄養士が栄養士として保健指導をしても、一専門家でもまだない。ここをやはり、きちんとやらなくてはいけないということで、今、実は厚労省とかそういう所で働きかけているのだが、1つの町だけではなかなか動けない。国全体として、やはり防止していかなくてはいけない。
    そういう中で、やはり、保健所も一緒になって、つついてほしいというように、声を大にして、みんなで働きかけていこうということしか、なかなか解決ができない。しかも、そういった法律を作っても、ご覧のように、今、国会が開かれていない。こんなばかな話はないので、幾つも、食事関係も含めて、統一化とか、どういう成分が入っているかということ、食品提示の問題等をいっぱい出しているが、これがきちんとした法律として動かないという問題もある。だから、そういう中で、今の段階では、やはり我々が協力してやっていくという、こういう会議でしっかり意見を出していくということしかないと思う。
  • 123ページの目標値だが、この「ヘモグロビンA1cが6.1パーセント以上の者の割合」、現状値が7.6パーセントということで、目標値が1.0パーセントになっているが、6.6パーセントに減らすということか。

 ⇒現在6.1パーセント以上の人の割合が7.6パーセントいる。その割合を1パーセントまで減らす目標。国の第2期「健康日本21」の目標数値をそのまま設定。この数字が10年間で達成不可能な数値ということであれば、見直すべきと考える。

  • とても無理ではないか。糖尿病とひとくくりにしてしまうが、糖尿病の中には、明らかに生活習慣病、メタボリックシンドロームと理解できる人たちもいるが、それ以外の、生活環境だけでなくて、遺伝的なものもある。あるいはもっと、1型もあるということになるので、どう考えても1パーセントは無理だと思う。

 ⇒国が1パーセントと決めているのであれば、それを掲げるべきというような考えで1パーセントとしてしまった。現実的な数字というものを、逆にご教授いただければありがたいと思う。

  • 国が1パーセントと言っているのであれば、それはそれでも良いかもしれないが、不可能に近い数字ということでは、あくまで理想の数字ということだろうか。

 ⇒数値目標が立てにくい場合は、「減少」というような表現で曖昧にしてしまってもいいし、3%とか5%と出すと国に怒られるとか、格好がつかないのであれば、とりあえず「減少」という表現を使用するというのが、妥当だろうか。

  • 1パーセントはちょっとあんまりだと、私は思うので、「減少」で良いのではないかと思う。
  • 「特定健康診査の受診率60パーセントを目標数値に」ということだが、これは以前からいろいろ問題になっていて、なかなか上がってこないということで、この40パーセントくらいを60パーセントまで一気にもっていこうという目標値を達成するために、具体的にどういうことを方策として考えているのか。

 ⇒現在、個別の健診をメインにやっており、この2年ほどは集団健診を取り入れるなどしている。また、他健診、例えばJAとかそういう所でやっている健診などを特定健診にみなすというような形を取り、受診率の向上を図っている。端的に言うと、これだという決定版の策というのはないと思う。一つ一つ地道にやっていき、10年かけて60パーセントという数字は、実現不可能な数字ではないというようには認識している。

  • そんなことを言っていいのか分からないが、今の話を受け取ると、何か水増しで、少し数値を上に持っていっているような感じに聞こえるが。
  • 確か、国の設定は75パーセントで、もっと高い目標値。どうやってそんなことをやるのかと、私たちも疑問になるくらいの国の設定で、しかもこれで一番問題なのが、ペナルティが保険者に来ること。社保の場合は、ペナルティは雇用者と被雇用者、両方に来る。なかなか難しい問題である。
    ただ、これはやはり、とにかく健診をしてもらわないと病態は見つかってこないし、治療につながるような問題意識も出てこないので、いかに上げていくかというのが課題。医者にも問題があり、実は、ある病院にかかっている患者さんは、「私、健診受けたほうがいいですか」と言ったら、「おれがちゃんと診ているからいらないんだよ」と、こういったことを言う医者も当然いる。そうすると、受診率がどんどん減ってくると。それから、やはり、こういった不景気の段階であるので、健診に行くよりも稼いだほうがいいという考えの人も。だから、こういった現状をどうするか。
    「フリーアクセス」、アクセスをいかに良くしていくかということを、もう少し考えなくてはいけないと思う。
[循環器疾患]
  • この目標値も、大体、国と同じようなものなのか。それとも、市独自のものか。

 ⇒基本は、第2期「健康日本21」を基に、そのまま持って来ているものと、または、国が示している現状値と柏市の現状値というのが異なるため、国がどれくらいの削減率で設定しているか、柏市に当てはめて設定しているものもある。

  • 一番は生活習慣で運動すること。運動をいかに生活習慣の中に組み込んでいくかということ。あと、LDLを下げるということがメインだと思う。それが基本になっているので、あまり大きな問題はないかと思う。
  • 糖尿病と併せて、医療費に関して目標値を減少にするのは、苦しいかもしれないと感じる。特に高齢化を考えるということと、特に循環器の場合、血圧を下げる、LDLを下げるで、最も有効な方法は、もちろん生活習慣の改善もあるが、少なくとも国際的なエビデンスでいったら、確実なのは降圧剤を入れることとスタチンを入れることなので、これを考えると、医療費を目標に入れるのは…厚労省的には、それをやらないと財務省につつかれるから入れているのだと思うが、多分、実現性はほとんどないと思う。
  • 柏市でドック健診が始まって3年目までの統計を取ったら、驚くことに糖尿病も減って来ている。糖尿病で国保の段階で。糖尿病の患者数と、それで使った医療費が少しずつ減ってきている。これは、後期高齢者のものは出ていないので、いわゆる40歳から75歳まで。自分も驚いたが、これは、かなりそういったことは可能になってくるのではないかと。今後に非常に期待している。やはり、医療費が減ってこないと、これは何のためのメタボ検診かということになってくるわけで、全国レベルではどうかというのは分からないが。
  • 具体的にはどういうことが原因と考えられるか。
  • 発症率が減ったということが一番大きいのではないか。そのためのメタボ検診であって、そのための特定健診、特定保健指導の制度であったわけで。
  • では、皆さんの意識レベルが上がったということで捉えていいのか。
  • 意識レベルが少し上がっている。皆さんかどうかは分からないが、一部の意識が。
[がん]
  • この目標値で、がんによる死亡者数、平成23年847名、目標、平成34年とかなり先になりますが740名。この推定は、どうやって出したのか。統計をそのままか。

 ⇒まず、847名という平成23年度の現状値については、柏市の公的な統計の数字を持ってきており、目標値については、推定というか、目標値という観点から、第2期「健康日本21」がどの程度の削減、減少を目指しているかという、その減少率を柏市に当てはめて、計算で出した数字。

  • 平成34年というと、高齢者人口がどのくらいになるのか。まだ、ピークに達する前ではないか。高齢化率が増加していく中、がん死亡者数が847名から740名までうまく減るだろうか。

 ⇒確かに人口増加率ですとか、そういうものは加味していなかった。それも含めて精査する。

  • こういうこともやっているということで聞いてもらえれば。口腔がん検診も、今、非常に増えてきていて、柏歯科医師会を中心に口腔がん検診をやっている。そういったことも含めて、将来的にはこちらも取り入れて、タイアップしていけたらと思う。
    また、入院前後口腔ケアといって、がんの治療をするために、口腔内が非常に悪くなる可能性が高いため、治療をする前に、口腔内をきれいにしてすると。そして、そのアフターケアもやると。実際の運動を、国レベルでやっている。柏市でもやっている。
  • 今後10年の目標での会議ということで認識しているが、例えば、今年度は胃がん検診に的を絞ったPR活動をやるとか、年度ごとに、一つ特徴があって、写真をやったり、内視鏡をやったり、触診とマンモグラフィをやったりとか、単年度ごとに全体のがん検診をやっても、少し薄くなってしまう気がする。実施・告知という点でも、そろそろ年度ごとに差を付けたアピールの仕方のほうが、何か公立の啓蒙活動ということでいうと有効ではないかと感じる。
  • 具体的に職員と接する、健康問題に接するという現場の産業医、それから、企業、安全衛生委員会の担当者にアプローチをかけるという方法が、一番困っている人に対して、医師もこれだけやっているんだというアピールになるかと感じた。ぜひ、行政も、国保の場合も社保の場合も、やってもらえればと思う。
  • がん検診は、リピーターばかりで、新しい人がなかなか入ってこない、このことをどうするかということも、常に問題になっていること。だから、その辺はシステムとして、何とか工夫できると良いかと思う。

【議題(2) 柏市民の健康を取り巻く状況について】

 事務局から議題(2) について説明を行った後、委員からの質問、意見、要望等の表明及び委員による議論があった。

[議題(2) についての説明要旨]

 柏市の社会状況が10年後どうなっているかという推測するうえで、項目として、「平均寿命」、「人口」、「高齢者人口」、「要介護認定者数」、「合計特殊出生率」、「児童人口」、「離婚率」、「完全失業者数・率」、「家族類型」、「高齢者の単身世帯数」、「生活保護被保護人員数」、「高校生の大学等進学率」、「自殺者数」、「家庭児童相談件数」、「生活習慣病」を挙げ、各項目ごとに将来推計または過去から現在までの推移からの将来を見通しについて説明。

(補足)

  • 「箇条書き」は委員の発言
  • 「⇒」は事務局の回答

 

  • 柏市の10年後のデータ、それから、過去10年間の変動ということが15項目にわたって記載されている資料となる。このことについて質問したところで、推計的のものであまり意味がないく、また実際に過去から現在の実数値を、再度どうこう言っても、これも大きな問題はないため、これからのディスカッションの参考資料として活用できればと思う。

 (一同賛同)

【議題(3) 柏市の「健康増進にかかる今後の方向性」について】

 事務局から議題(3) について説明を行った後、委員からの質問、意見、要望等の表明及び委員による議論があった。

[議題(3) についての説明要旨]

 柏市健康増進計画の総論にあたる、「計画の方向性(案)」、「計画の基本目標(案)」、「計画の重点分野(案)」について説明。

(補足)

  • 「箇条書き」は委員の発言
  • 「⇒」は事務局の回答
  • 特に重要なものが「基本目標(案)」の1.(健康寿命の延伸)と2.(生活習慣病の発症と重症化予防の徹底)になろうかと思うが、資料中段に記載のある「健康日本21(第2次)」の基本的方向性は5項目とある。案の1.と2.だけでは、5目中の1.5項目だけを選ばれているように見えるが、残り3.5項目には、どのように基本目標の中に取り込むのか。

 ⇒「健康日本21」の基本的な方向性の1番目にあります「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」で、まず、健康格差の縮小が抜けていることについては、国の計画において都道府県、もっと細かい単位でいう、市区町村レベルでの健康格差を縮小するという国の意味合いになり、市の計画にはなじまない。
 そのほか、「生活習慣病の発症と重症化予防」については採用させていただいておりますが、抜けている部分「社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上」、「健康を支え、守るための社会環境の整備」、「栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善」の3点については、案の各分野、またはライフステージの健康課題、目標、取組みの中に取り込まれている内容となる。市の計画としては重点9分野をもとに計画を立てたほうが、施策を進める行政側としても進めやすく、また、市民にも伝わりやすいとの理由から、内容としては、一部少し市町村になじまないものは省いているが、一応、基本9項目、重点9項目、ライフステージの項目において、カバーするつもり。

  • 国の見直し時期での審議ということもあり、この分科会そのものの進展が、各論から入っていった。そして、今、突然総論に戻ってきて、総論をここでディスカッションしようと言っても、あまりにも時間がなく、本来的ならば、一番ポイントになる部分。だから、この総論のところのポイントを抜きにして各論は語れないため、総論のところは、改めて次回会議の場で十分に皆さんの意見を聞き、最終的なまとめを作ったほうが良いと思うが、いい加減な時間で打ち切るよりはそのような方向で行きたいと思うが。

 (一同賛同)

  •  次回欠席のため、3点だけ意見を。9項目の中で、一番簡単にできることは、やはり喫煙対策ではないかと思う。「歯・口腔の健康」、「糖尿病」、「循環器疾患」などは、疾病ですので医療がどうしても介入するし、あと「身体活動・運動」「休養・こころの健康づくり」「栄養・食生活」は、やはり気質のもののため、難しい部分がある。なくて良いものといえば、「飲酒」と「喫煙」になるということ。
    飲酒の場合には、昼間酔っぱらって仕事はできないため、どうしても昼間の生産年齢人口の健康被害に関して、今後高齢化が進み、医療費を管理するためには、やはり最効率、一番効率のいいアプローチが喫煙に対するアプローチで、行政が駄目と言えば、個々の現場ではけんかにならなくて済む。「いや、僕らは、お店は反対したんだけれども、柏市が決めてしまったから、守ってください。お願いします」ということで、柏市のせいにできますから。やはり喫煙に関して最重点というふうな位置付けが、柏市民の健康を守るためには必要では、と思っている。
  • ここで「健康日本21(第2次)」が出てきましたが、また総論に戻ってくるわけだが、この中で、やはり「健康を支え、守るための社会環境の整備」は非常に大事だと思う。そういう意味からすれば、柏というのは、例えばお寺の周りのサイクリングロードなどを作ったり、大変いろいろなことをやっている。今後はもう少し、民意というか、民活をもっと進めていくべき。例えば、今、日本栄養士会なども国からお金を取って少し動いているが、薬局と栄養士を一緒にしてというのは、栄養士の中にはサプリメントアドバイザーみたいなものがあったり、NR(栄養情報担当者)があったり、決して離れた内容ではない。現在、薬局そのものは算定をしている。そういう中で栄養士を入れていき、そこで一緒にドッキングしていろいろな形で患者さん、一般市民に対して、栄養について啓蒙していこうと、こういう運動も少しずつ動かそうとしているようである。そういった運動を利用していくということも、非常に大事でないかと思う。

【議題(4) その他】

 特になし

会議開催回数変更及び日程調整

  • 次回の会議の開催日程
    平成24年10月25日(木曜日)午後1時30分から