平成24年度第1回柏市保健衛生審議会健康増進専門分科会

1 開催日時

平成24年6月28日(木曜日)午後1時30分から午後3時30分まで

2 開催場所

中央体育館管理棟 2階 大会議室

3 出席者

  • 委員 13名

    小林正之(会長)、多田紀夫(副会長)、石川守、大谷美津子、金子貴美枝、橘房子、田中譲治、二瓶陽子、橋本英樹、平野潤、森信悟、山縣詩乃、吉川良子

  • 市職員 26名 

    関口副市長、山崎保健所長、関保健所次長(総務企画課長)、田村保健所次長(地域健康づくり課長)、中村保健所保健予防課長、坂巻保健所成人健診課長、平塚市民生活部次長(保険年金課長)[代理:西村専門監]、秋山保健福祉部次長(保健福祉総務課長)、松本保健福祉部福祉政策室長、秋谷保健福祉部高齢者支援課長、枝川保健福祉部障害福祉課長、宮本保健福祉部障害福祉就労支援センター所長、上野保健福祉部福祉活動推進課長、石橋経済産業部次長(農政課長)、小貫教育委員会事務局生涯学習部スポーツ課長[代理:黒須統括リーダー]、山口教育委員会事務局学校教育部学校保健課長[代理:中村指導主事]、事務局地域健康づくり課職員  

4 傍聴者

無し

5 議事

  1. 副市長あいさつ
  2. 委嘱状交付
  3. 議題
    1. 分科会の会長・副会長の選出
    2. 柏市健康増進専門分科会の趣旨について
    3. 柏市の健康増進の現状と課題について
    4. その他

《議事》

副市長のあいさつ、委嘱状交付の後、議題に入る。

【議題1.分科会会長・副会長の選出】

全会一致により、会長に小林委員、副会長に多田委員が選出される。 

【議題2.柏市健康増進専門分科会の趣旨について】

[議題2.についての説明要旨] 国の健康増進対策の経緯・内容及び柏市の健康増進計画の趣旨・概要

委員
厚生労働省の見直しの事について、若干付け足しの情報を共有できればと思う。今回「健康日本21」に関する見直しの委員会があり、委員長の先生から伺っている話として、前回の「健康日本21」は基本的にあれは失敗だったと認識されている。それはなぜだったのか、なぜ生活習慣構造をうまくコントロールできなかったのかと考えた結果、いわゆる「体質アプローチ」というやり方ではうまくいかないということが、ある意味証明されたに過ぎないというのが基本認識になっている。ではそれをどう変えたら良いかというところで、今回一番大きく出てきたのが、環境をいじるっていう事を中心にする。つまり、個人を変えるだけではなくて、健康になりやすい環境を整備するという事を今回は重点に置く事で、前回の失敗をクリアしようという事が、現在専門委員会の中で今回の見直しにおける一番大きい目玉になっている。そのキーワードとして扱われているのが「社会的健康決定要因」。例えば個人の意識であるとか、生活習慣であるとかといった個人のレベルではなく、住んでいる社会環境、もしくは所得、経済、教育等といった社会的な要因というものが、人の健康に最終的に影響を与える。それをどのように取り組むか。従来の厚生労働省の健康セクターの領域を越えて、今回であれば文部科学省、経済産業省、国土交通省を混ぜた、非常に広範な全てのポリシーは人の健康に繋がるというアプローチをなんとか導入したい。ただしこの部分は、厚生労働省としてはそこまでいけないと抵抗しているという事である。以上そのような背景があるという事は、是非今会議の中でも踏まえながら進めて頂きたい。

委員
貴重なご意見だった。具体的には来年度からが国の新しい方策ということですか。そうなると、それがある程度分かってこないと難しいのではないか。

委員
国の新しい方策が個人アプローチだけではなくなる、という事です。

委員
具体的なところが出てこないと意見等も出にくいため、議題3.の説明も受けてから、議題2.と議題3.を合わせたディスカッションにしたら良いのではないか。

(一同賛同)

事務局から議題3.のうち、「柏市の健康増進の現状」について説明を行った後、議題2.と議題3.について、委員からの質問、意見、要望等の表明及び委員による議論があった。

[議題3.「柏市の健康増進の現状」についての説明要旨]

国と柏市との健康増進に関する現状(実績数値)の比較

委員
国の現状データと柏市の現状データとの比較分析において、国と市ではかなりデータのとり方が違うので、すぐにこれで結論付けるのは難しい。国のデータは、アンケート調査によるものか。

⇒国の現状データは、国民健康・栄養調査の結果から持ってきたものが主である。

委員
計画策定にあたっては、10年後の柏市の状態をある程度見据える事も必要だと思う。そこで、柏市の現状等について、各委員のざっくばらんな忌憚のないご意見を聞きたい。あとは一般市民(柏市の生活者)の目線として、10年前と現在とを比較したご意見も聞きたい。

委員
健康問題に関しては、柏だけではなく全国的に問題になっている事であり、危機感を持っている。そういった中で、実際に「健康日本21」というものは将来予想からではなく、将来どうやったら減らせるかという観点であった。将来予想の面からはアプローチできていなかったのではないか。

委員
市内に3世代で住んでおり、最近の放射線の関係もあり、少し「食に関する不安(野菜の放射線量に対する不安)」を感じていた。以前、つくば市の研究所に行き、放射能に関する事を学べるという市の市民講座に参加した。その講座を受けたおかげで、今では野菜に関して信頼し、安心している。柏市は中高年の方たちも元気で明るい方たちがすごく多く、そのため、特に柏市ではこういう市民講座が多いのかなと思う。市民講座をはじめ、もっとこういう機会が増え、それを通して健康な人たちが増えていくのではないかと、前向きに捉えている。

委員
市としては、10年前と現在との比較は可能か。

事務局
過去の検証についても若干しなくてはいけないと思う。既存の市の計画において、どういうところに重点を置いて施策を進めてきたか、検証できない事はないと思う。

委員

専門ではないが、国の「健康日本21」というのものが、平成12年から検証され行われている。その割には何を国がやろうとしていたのか、実際市民にはよく見えない。しいて言えば特定健康診査が健康診断の中に入れられ、一種の罰的なもので強引にやらせようとした。それ以外ほとんど大きなものは見えてこなかったような気がする。

委員
まずは「健康日本21」自体が何を狙っていたのかというところだが、当初は日本人の健康状態の向上だったものが、2009年の特定保健指導制度が入ったあたりからメタボリックシンドロームや医療費の考え方等が入り、更によく分からなくなってしまった。元々の狙い自体は日本人が世界的な長寿を更に先進して、それを健康寿命という形で生活を営んでいけるようにしようという点は良かった。ただ、それを具体的にどのように伝えていくかといったところで、「健康増進法」という裏付けをもって、実際のところやっていかなくてはいけなかった。

それから、柏市のデータと全国のデータとの比較について、年齢などの単純な比較はしにくいものの、柏市はおおむね良い。ただ一つここで注意しなくてはいけない事は、平均値を見ているだけでは見えないものがあるという事は知っておいて欲しい。例えば平均値では変わらないが、たくさん広まってしまっているという問題が、先ほどから各委員の話している事である。そのあたりを含めた分析というものはやっていかなくてはいけない。

委員
ウォーキングの面から気になった事がある。先ほど「健康日本21」は失敗だったという、ちょっとショッキングな話があったが、ウォーキング協会でもウォーキングの知識だけではなく、健康に対してどういう位置付けを、どういう効果を持っているのか、そういう面に関しても「健康日本21」を基準にしている。今情報はインターネットを通じても有り余るほどあるが、それ全てが正しいわけではないため、一応「健康日本21」を正しいものとしていたが、そうではないとなると何を基準にして良いのか分からない。実は明日も千葉県ウォーキング協会の指導員の認定教室があり、私もインストラクターとして講義をするのだが、それも「健康日本21」の方針に沿った指導を行う。それが基本的に間違っていたという事になると、ちょっと問題となる。いずれにしても国の次の指針が出るまでは、これを基準にやるより他に方法はないと思っているが、先ほど間違いだったという話が出たので、仮にこの点だけは正違をとらないといけないという事が具体的にあるのならば、教えて頂きたい。

委員
間違いではなく、何かが足りなかったと言った方が正しい。足りなかったものが何だったかというと、知識と技術を拾えるというところは重要だが、それが各自に届くようなシステムが必要だった。そのシステムとは、具体的には「健康づくりに適した、健康にやさしいまちづくり、人づくり」。前回はその点が欠けていたために、せっかく色々な事をやってはみたが、残念ながら望んだような成果が出てこなかった。その結果が、今回の見直しの重要な部分につながっていると思う。

委員
柏市は未成年へのたばこ対策において、講演の開催等、非常に進んでいる市と認識している。先程から話にあった「健康日本21」だが、とにかく健診を受けさせなくてはならないという事で、先生方も頑張っている。ただ、一般の方々はがん検診を受けて、肺がん検診を受けて、異常がないと『じゃあいいんだ。』、『俺はたばこを吸っていいんだな。』、という感じになる。そこで是非とも先生方には、『あなたの吐く息でも、非喫煙者の健康を損なうんだよ。』という事をおっしゃっていただきたい。もう一歩先に進んで、せっかく健診を受けに来ているちょうど良い機会を利用し、一言でも良いので何が問題なのかについて、受診者に伝えるといった事を、システムとして考えて頂きたい。

委員
薬剤師会としては、学校薬剤師が小学校に行き、「たばこの害の講演」などに取り組んでいる。柏市の健診でも、数値的に全国平均より良いと認識している。

委員
先ほど「健康日本21」がまた新しく、抜けたピースを入れる事で完成させられたら、という話の中で、それには社会環境を整えるという事で、健康になりやすい環境を整えていけば、それが完成形に近いのではないかという話を、興味深く勉強させて頂いた。

委員
歯科医師会側の意見で言いますと、データとして、歯が20本あるという人が半分近くいるという結果は、逆に20本以上ない人が半分以上いるという事。歯が20本以上ないとやはり噛めない。一番の問題点は、健診の受診率が非常に低い事。どうにか対応して頂けないかと思う。

委員
先ほど、これからは環境を整備する事とPRが重要だという話を聞き、自分も昨年度から正に必要・重要であると思っていた。学校で昨年度半年間かけて、「育てよう心も体も元気な子」というキャッチコピーのもと、具体的な活動として、主にお母さんを対象に、PTAの委員の中で集まり、普段の生活を振り返ってディスカッションしたり、全校に募集した朝ごはんメニューを実際皆で調理実習したりした。色々な取り組みをする中で、一人ひとりの保護者の方に向けてメッセージを発信するという事が、非常に難しいと実感した経験からである。他の人から、『ちゃんと朝ご飯を頑張ってつくりましょう。』とか、『運動を頑張ってやりましょう。』と言われたとしたも、耳には入るものの意識の中になかなか入っていきづらいという事を、保護者の方々の様子を見ていて感じた。しかし、学校だったら学校全体という環境で少しずつ意識づくりをしていくと、特に子どもを持っている親は、子どもに元気でいて欲しいという思いを持っているので、ちょっとした「意識づくり」、「環境からの働きかけ」というものがあると、真面目に考えたり、生活の中でちょっと朝ごはんを前よりも手をかけてつくるようになったというような、行動変容というものに繋がる。環境というのが大きく言えば市全体とか、さらにいえば国というポイントになると思うが、地域のコミュニティやそういうところから、だんだん規模を大きくしていったり、あるいは狭めていったりしながら、楽しく、意識する・しないに関わらず、生活に刷り込まれていく様な「環境づくりの仕掛け」というものが、本当に必要である。

先ほど10年前という話があったが、子どもが3歳で自分は家庭の主婦として、子どもと一緒に家庭で過ごす事が多かった時期で、情報という面でいうと、正直なかなか届いていなかった。勉強不足だったとは思うが、当時今のようにネットも発達しておらず、毎月広報などを読んで、一生懸命健診なんかを受けていた。健康関係にしても、行政が全体的にこのような取り組みをしている事も知らなかった。今ちょうど端境期というか、情報の受け取り方に関しても2極化している。どのようなツールを使って、どうやって情報を発信していくかという事も考えていきたい。

委員
40年間調理師をしており、その中で最近感じている事は、やはりお客さんの好みがずいぶん変わってきたという事。「健康日本21」から健康に良い食材、調理法、というものをお客さんの方から提案されたり、私共の方で考えて作ったり、そのように考えている。そこでやはり、『健康に良いもの』、健康に良いだけではなくて『おいしいもの』、本当においしいものを食べて頂きたいと何となく考えてきて、やはり減塩であったり油を少なくしたりという事も考えている。減塩すると味としては物足りないものになってしまう。そこでお酢を活用している。お酢と言っても色々あり、私共が使っているバルサミコ酢とか、カボス等それらを色々工夫して料理づくりをしている。また、野菜の15種類くらいをベースにして軽いものをつくったり、油でもオリーブオイルを使ったりという事で工夫してお客様に喜んでもらっている。それはやはりお客様が、重いものよりも軽いもの、健康に良いもの、そういうものを求めているので、一般の家庭の皆さんにも提供できるものを、これから色々考えていければ良いと思っている。

委員
私たちはスポーツ推進という活動をしており、小さなお子様からお年寄りまで、生涯を通してスポーツをし、健康な体を作って頂きたいと、そういう活動を進めている。この国民健康づくり運動については、運動、身体、健康の方を担当するのかなと思いながら各委員の話を聞いた。私たちの担当を通してみると、運動に関して市民に参加を呼び掛けるが、なかなかPR活動がうまくいかないという現状がある。健康づくり運動を広めるにあたっても、PRしていく事が非常に大事だと思う。その辺が解決されれば色々な方に対し、健康に役立つ情報を届ける事ができるのではないかと思う。私たちは、ますますこれからも小さなお子様からお年寄りまで、健康で長生きして頂くよう、また病院にかかることが少なくて済むように、お手伝いをしていきたいと心に決めている。

委員
柏市の高齢者の方々は頑張ってるなというイメージがすごく強い。歯の本数についても、脳卒中についても、運動についても全国より良い数字が出ている。柏市の高齢者が結構頑張っている事を、現状の分析から思う。危険なのは統計学的な処置を厳密にやっていないため、単純な数値の比較だけでこれを言ってしまう事は、避けなくてはいけない。30年前の沖縄というのは健康長寿だったが、今は惨々たる結果になっている。10年前に自分は今の沖縄の現状をある程度予測し、とある学会で発表し、このままでは沖縄は危ないと「沖縄クライシス」を訴え、色々な行動を起こしたが今も全く食い止められていない。沖縄がなぜそういった事態に30年間で落ち込んでいったのかという事に関しては、色々な統計分析ができているので、それを負の遺産に、日本としてどうすれば良いのかという考えが必要だと思っている。私共が30年前から、「健康衛生」というもの、「環境整備」というものをやってきたが、今はそういった「環境整備」が大切であり、この10年間に対しても働きかけを充分にやっていかなければならない。そうしなければ10年後、柏市の健康や高齢者がどうなるかというと、今の50代でみると、特定健診の結果からも惨々たるものが出てくるだろうと思う。現状は頑張っているので、なんとかその後の課題を見つけて、完備していくような事ができれば、柏市としては良いと強く感じる。

委員
「健康日本21」がうまくいっていないという認識があったと思うが、少し違う。環境整備は確かにそうだが、「健康日本21」も環境整備をしっかりやった上での事だったはず。そういう事から特定健診が始まった。やはり健康増進の方向性として、一番大事な事は、自分の健康状態を自分でいかに知るかという事であり、その機会をつくっていかないと治しようがないという事。実際柏市においては、自分の健康状態を知り、研修等により指導を受けた方は、健康状態が良くなっている数が多くなっている。このような、基本的で一番難しいところをしっかりまめにやっていくという事が、一緒に力を絞ってやっていかなくてはいけない事だと思う。

委員
健診を進める際に一番問題になるのは、現在のところいわゆる健康組合に加わっている方ご本人は健診率90%、一方最低の方は国保の家族の方、これがどこも大体20%。この事が、意識の差の他に何で説明できるかというと、これは「環境」にある。

委員
昔から厚生労働省の方で、健康組合による健診は受けなくてはいけないという義務がある。国保の人は義務がない。そこに大きな違いがある。会社の場合は我々もそうだが、扶養者も受けなくてはいけない。国保にはそういった義務がない。ただ保健所は受けさせる義務があるものの、被保険者は受けなくて良いと、責任がないと。そこに大きな違いがあり、そこをどうやって埋めるかが問題となる。

委員
健康組合の方々の健診が義務であって、健診を受ける理由は、その時間分の給与が出ているから。自営の方がもし、その時間分の時間給全部を払ってもらえるという事であれば受診するはず。

委員
大きな勘違いをされている。うちは健診を担当しているが、水曜日、金曜日が休みのときは水曜日にしている。国保の方は休みの日に来られる。

委員
全体の何%くらいか。

委員
うちのデータでは、受診者全体の4分の1くらい。

委員
今丁度健診の話をしているが、実は自分は今日午前中に配偶者健診に行ってきた。受診者側で戸惑うのが、スタッフの人の感じが悪い事。口だけは患者様って言うものの、『さあそこへ座れ!』って感じがした。レントゲンにしても目茶苦茶。あのような気分の悪い事をされると、『もう2度と行くか』という気になる。具体的にはマンパワーでどうにかなる部分があると思う。是非ともその辺りを今後お考え頂ければ。やはり人間とは楽しく行けるかどうか、そこがやっぱり基本じゃないかと思う。

それからもう一つ、少しお得なお話があるので伝えさせて頂きたい。「たばこ問題を考える会」で、千葉県は昨年度から「千葉がん臨床支援機構」というNPO法人と共催で禁煙講演等の事業を行っている。講演等開催を皆さんが考える際、講師代がかかるという事から、開催が困難であるという現実があると思う。しかし、その事業を活用してもらえれば、講師代について、本当に低い金額で請け負う事ができる。もし、そういった企画をする際は、当会に声をかけてもらいたい。

委員
今後の策定作業の流れについて、教えて欲しい。

 事務局から議題3.のうち、「柏市の健康増進の課題」及び「今後の策定作業の流れ」について説明を行った。

[議題3.「柏市の健康増進の課題」及び「今後の策定作業の流れ」について]

 国と柏市との健康増進に関する現状(実績数値)比較の分析からの課題及び今後の策定作業の流れ(説明した課題を元に、9分野毎に原稿案を事務局で策定・提示し、当分科会において順次審議していく。)

(一同了承)

【議題4.その他】

 次回会議開催日程を平成24年8月23日(木)午後とする旨、事務局より事務連絡を行う。

(一同了承)

  • 閉会挨拶(保健所次長) 
  • 閉会