平成28年度 第1回柏市保健衛生審議会母子保健専門分科会 会議録

平成28年度 第1回柏市保健衛生審議会母子保健専門分科会

1 開催日時

平成28年11月8日(火曜日)午後3時から4時30分

2 開催場所

ウェルネス柏4階大会議室

3 出席者

委員

足立千賀子 、大倉充久、奥野智禎、窪谷潔 、佐藤紀子(会長)、田牧徹 、中矢静子、巻淵順子、和田靖之(副会長)

事務局等

  • 保健所 山崎所長
  • 保健所 谷口次長(総務企画課長兼務)
  • 保健所 保健予防課 中村専門監[課長代理]
  • 保健所 地域健康づくり課 髙木課長
  • こども部子育て支援課 松澤課長
  • こども部こども福祉課 小倉課長
  • こども部保育運営課 石原統括リーダー[課長代理]
  • こども部こども発達センター 黒須所長 
  • 学校教育部学校保健課 荒巻課長 
  • その他関係職員

4 議題

  1. 柏市母子保健計画の周知状況について
  2. 柏市母子保健計画の進捗状況について
  3. 平成29年度の取り組みについて

5 議事等

議題1 柏市母子保健計画の周知状況について

 事務局より、柏市母子保健計画の周知状況について、資料1に沿って説明。

議題2 柏市母子保健計画の進捗状況について

事務局より、柏市母子保健計画の進捗状況について資料2~4に沿って説明。

質疑応答及び意見交換は次のとおり。

(委員)お母さん達に悩みを聞くと「母乳指導をしてもらいたい」と。母乳指導をしてもらうために、友達から聞くなど手探りで調べたがとても困ったという意見があった。こういった点について柏市ではどのように進めているのか。

(事務局)妊娠届出時に相談があればその場で対応したり、産後に授乳ということで不安があれば地域担当保健師が訪問したり、新生児訪問では助産師が対応する。

(委員)新生児訪問は、助産師がかなり市の協力員として活動しており、その時々でお母様達の悩みに対応している。その中でも一番多いのは母乳育児で、特に産後直後のお母様達が、母乳をあげたいという強い気持ちを持っているということは感じている。私は千葉県助産師会の会員だが、電話相談の70パーセントは母乳についての相談。切れ目ない子育ての中でいろんな項目があると思うが、先ほどの意見のように、お母様達が一番気になっているところをピンポイントにあてて、これから細かく目標をたてていく中で、そこを項目にあげるのもすごくいいのではないかと。相談に応じてはいるけれども、さらに詳細に項目をあげることで安心されるお母様達もかなりいるのではないかと。母乳をあげたいと思うお母様達が、あげられなかったことで子育ての失敗まではいかなくても、思うような子育てができなかったという気持ちを持ち、2歳、3歳の頃にそのようなこともおっしゃるので、具体的な目標を掲げるということもいいのではないかと思う。また、それに関しては私のほうで提言したいことも要望書ではないがいくつか持っているので、また別の機会にお話したい。

(事務局)産婦人科の取り組みについて、ご紹介いただきたい。

(委員)お母様達の産後のニーズとして一番多いのが母乳相談で、産後ケアを当院でも行っているが、産後に相談に来るお母様達のほぼ3分の1から4分の1が母乳相談で、圧倒的なニーズがある。一方、それを受け入れ対応するマンパワーが十分かという問題がある。的確なアドバイスといっても、簡単に短時間でできるものではなく、十分なケアをするだけのマンパワー、時間、施設、適切な法整備もしっかりとしておく必要がある。相談ということに対して地域全体でどのように対応していくかということが重要な課題と認識している。マンパワーについては医師、助産師だけでは十分ではないと感じており、財政的な面でも課題があると認識している。

(委員)やはり母子密着で母乳を与えるということが子どもが一番安定するし、母乳はなんといってもミルクに勝る栄養があると思う。だから、お母さん達もそのことは十分にわかっていて実施したい。そういったことがまんべんなく地域でできていれば参加しやすいのではないかと感じている。

(委員)母乳の確立について、災害時の母子支援の時にも、母乳育児をしているお母様達は阪神淡路大震災や3.11の時にも安心してその期間子育てができたと言っているので、そこを日頃からちゃんと確立していくと、こういった災害時にも安心した母子支援につながっていくのではないか。

(会長)このあたりは子育て世代包括支援センターができることで充実していくことになるか。

(事務局)産前産後のサポート、産後ケアの取り組みの中で、そういった取り組みが強化できるよう準備を進めている。

(委員)母乳に関して、母乳はもちろんいいもので、親として子どもに接する上で母乳の確立は一番大事だが、中には母乳が出ないかたもいて、自分は母乳が出ないから子どもを育てる立場でなくなってしまうというような嫌な気分になるかたもいる。そういうかたがいかに引け目に感じずに子育てしていけるかということ、あまり母乳にこだわらずにやっていけるのもいいのではないかという感覚もある。母乳については、乳糖不耐や母乳黄疸といった問題もあり、黄疸のひどい子は1ヵ月位ずっと母乳を飲んでいる間は黄疸がある。それに対して母乳をやめるよう指導する人もいるようだが、私は黄疸があってもいいから母乳はやめないでくださいと言っている。また、下痢がひどいこともあるので、必ずしも母乳オンリーでやっていくことがいいと限らないということもある。

(会長)支援者が知識やスキルを十分に持ち、今のようなこともきちんと配慮しながら適した支援ができるよう研修等も充実していくということになるのではないか。一点確認したいのは、28年度の新生児訪問実施状況の実績について、これは割合としては何パーセント位か。

(事務局)対象が1,145人で、約60パーセントに新生児訪問を実施。そのうち第1子に関しては、少し低くなるが52パーセントに訪問している。

(会長)方向性として、第1子は全数訪問で第2子以降は希望、出生の時に不安など書いているようなかたは連絡をとるようになるということでよいか。あともう一点、災害等における危機管理体制の整備ということで、現在は、庁内部署連携の推進による情報整理と近隣自治体の情報収集ということだが、どういう体制整備を目指しているのか。

(事務局)庁内全体と保健所では災害マニュアルの整備はしているが、母子に特化した整備が必要。特に避難所の体制整備や他機関との連携も求められるので、取り組んでいく必要があると考えている。

(会長)最近は、地域のかた達が自主防災組織としてかなり色々な取り組みをしているため、そういった取り組みも把握しながら体制整備をしていくといいのではないかと思う。

(委員)私も母子の災害支援については関心を持って活動しているが、母子に特化した母子避難救護所をつくるという検討はしているのか。大きな避難所だと、母子が避難してきた時に、一番最初に避難所からいなくなるのは母子といわれている。避難所には居れない状況になるので、熊本でもそうだが、車中泊にかなり母子が多かったり、怖いけれども傾いた家に戻るといったこともある。

(事務局)現在、柏市のマニュアルにそういったことまで明記されていないのが現状。他市町村の事例もあり、東京都内だと文京区では女子大と連携し「母子は女子大へ行く」ということにしていて、女子大は設備面でも女性に特化した形で整っているので、そういった事例もリサーチしながら、市の大きな災害マニュアルの中に私達も提言して入れていけるよう、努力していきたい。

(委員)慈恵医大の看護学校など使えたらいいなと。ベッドや色々な練習用のものもあってお風呂にも入れられる。そういうものが活用できたらいいのでは。また、助産師会では市町村との災害支援協定を結んでいる。お産がたくさんある時に、災害時はゆっくりと母子が入院ができないので、生まれて地域に戻った時に、地域では私達助産師が退院したお母様たちをみていきますよということで、千葉県内で協定を結んでいる。柏市でもそういう協定が結べて、普段から準備ができたらと思っている。また、具体的な提案などをするときには意見を言わせていただきたい。

(会長)本日欠席の委員からもご意見をいただいているので、ご紹介する。資料4の進捗データに関して、指標25の「子どもの社会性の発達過程を知っている親の割合」と、これに連動して指標38に「母が育てにくさを感じている割合」というのがあるが、そのあたりで3歳児の保護者は社会性の理解はあっても育てにくさを感じているのではないかということで、子どもの社会性ということ自体を本当に理解しているのか不安があるというご意見があった。指標26の「虐待の可能性がある行為をしている親の割合」というところでは、3~4か月児の保護者については割合が高くなっており、妊娠期からの切れ目のない支援の必要性を感じるというご意見がある。また、指標34「十代の喫煙率」と指標35「十代の飲酒率」について、アンケート調査によるものではあると思うが実態はどうなのかということで、気になるというご意見をいただいている。

(事務局)十代の喫煙率や飲酒率について、柏市の健康増進計画が来年度中間の見直しをするにあたり、高校生に喫煙と飲酒のアンケート調査をしている。来年度そのデータが使えると、より実態に即した値が出てくると考えている。

(会長)もともとは小中学生か。

(事務局)今までは小中学生のデータしかとれなかったが、今回は中間評価に向けて、高校3年生を対象にアンケート調査を9~10月に実施し、現在集計中。増進計画で来年データが出るので、そのデータが使える。

(会長)同じく小中学生もアンケート調査を実施するのか。

(事務局)小中学生にもアンケート調査を実施する。

(会長)最近の状況について、少し歯止めはかかっているのか。

(委員)一昔前に比べて、今の中学生はほとんどタバコを吸わない。昔はタバコを吸うのが非行化の始まりという面もあったが、今の中学生はタバコを吸うことは、かっこ悪い、ダサいという感覚が強く、私の知る限りでは、中学生の喫煙率というのは本当に下がっていい傾向にある。高校生になると、おそらく吸う生徒が増えていくと思うが、中学生の喫煙率がどんどん下がって吸う子がいなくなっているのは、柏市が積極的に進めている禁煙教育「ノースモッ子集会」がどこの学校でも行われていて、これが効果を上げてきているという感想をもっている。ただ飲酒については、今はジュースかアルコールかわからないものがたくさん出ていて、何か行事があった後や打ち上げと称して大人の真似をして、そういったものを口にしてしまう子はいるので、そういった点は問題だと思う。

(会長)飲酒率はかなり高い。

(委員)常習とかではなく、多分飲んだことがあるかというアンケートだと思うので。常に飲んでいる子はいないと思う。

(会長)そういうことがきっかけになったり、親もノリでとか打ち上げでというようなところもあるのでは。このあたりはデータを追っていく必要がある。

(委員)会長から、虐待的育児の件で、3~4か月児のリスクが10パーセントから12.1パーセントに上がっているという指摘があったが、今虐待ということでは、0か月、出生後から1か月以内が一番多くなっているというのが、ここ10年間の推移。そこを把握するのは3~4か月ではなく、出産時の新生児死亡というか飛び込み分娩といった数を把握していく、虐待ということだとその段階で把握する必要がある。そのデータがこの中には見当たらないので、1か月までの死亡というのも指標として必要ではないかと思うが、そこはいかがか。

(事務局)産後に母子手帳を発行した数などは継続的にとれる。産後に母子手帳を発行したということは、ある意味虐待に近いと思われる。また、医療機関から妊婦健診未受診で飛び込み出産したという情報はくるので、その数は把握できる。

(会長)全国のデータでは、死亡事例は0歳児の、それも1か月以内の早い時期となっている。

(委員)虐待死の問題。

(事務局)虐待死については、警察などが入っている数ということか。

(委員)それも含めて、虐待死というのは3~4か月の段階ではなく、生まれた段階での割合が多いということは、新聞報道でもでている。

(事務局)柏市だけのデータは、ほとんどない。

(事務局)分析出来るような状態の数にはならない。もっと大きな規模で評価しないと。

(会長)指標は虐待の可能性のある行為をしている親の割合ということで、保護者自身が答えているものか。

(事務局)健やか親子21の項目をそのまま使用しており、親に聞いているもの。

(会長)このあたりは、親自身の認識と健診などで保健師等が把握する部分と、実際の死亡例や児童相談所にあがってくる相談件数などを、いろいろ見て、対応策を考えていかないといけない。

(委員)数がそれほどないということであれば少し安心できるが、見えないところでもあり、こちらにも情報がくると対応も考えられるので、また教えていただきたい。

(委員)厚生労働省の死亡事例検証の中で、ここ数年続けて0歳0日の死亡の報告があり話題になっている。重点項目として報告されているので、その関係かと思われる。調査の関係では、指標14「ハイリスク妊婦の割合」と指標15「特定妊婦の割合」に関連する部分だと思う。0歳0日ということで、そのまま適切な処置をしないと生まれたお子さんの命が失われてしまうという問題に関して、国のほうでも死亡事例を通して非常に症例数が多いということで問題にしている。リスクのある出産をどう把握していくか、対応策としてはそこに尽きると思う。項目としてここの部分の把握や、望まない妊娠の把握ということになると思う。

(会長)評価を、いくつかの項目とあわせてみていくということが重要。PDCAサイクルをまわしていく際に気をつけていく必要がある。

議題3 平成29年度の取り組みについて

事務局より、平成29年度に向けて、柏市版子育て世代包括支援センター(案)について資料5に沿って説明。質疑応答及び意見交換は次のとおり。

(委員)少し驚いたことは、資料4の指標7の「乳幼児健康診査の未受診率」というところで、データベースでは3~6か月は1.7パーセントだが、27年度は10.3パーセントと、未受診率が10倍位になっているがこの数字は正しいのか。というのは、先ほどの母子健康手帳の交付状況で、これまで事務職員が交付する行政サービスセンターなどに57パーセントも流れていたということが驚きだが、この指標7をみると、保健師等による全数面接は急務で、母子手帳交付は保健所が介入していかないとまずい部分だと思う。もう一点、虐待とか未妊健の分娩で墜落産になると、概ね仮死になる。仮死だと低体温療法が必要だが、柏市の場合、慈恵医大では低体温療法はできないので、生まれてすぐに大体は松戸市立病院か八千代の東京女子医大で低体温療法をしてもらって、戻ってくる現状がある。虐待も含めて仮死の子ども達のフォローアップを、小児科側としては柏市にも協力いただき、その後の新生児訪問も含めて障害児のフォローにつなげていただくことも重要と考えているので、よろしくお願いしたい。

(会長)まず、未受診率についてはどうか。

(事務局)この数については、再度確認してご報告させていただく。柏市では3~4か月の集団健診はなく、乳児健診の受診券も3~6か月となる。データベース値の3~4か月児と一致していない点もあるため、もう一度精査する。

(会長)仮死のフォローについては。

(事務局)未受診だったり、母子健康手帳をもらう前に突然お産になった結果、仮死となって運ばれてしまうようなお子さんが、少なからずいることは保健所でも把握していて、そういった場合は、ほぼ保健所に医療機関から連絡がくる。松戸や八千代に運ばれても、ある程度治療が終われば地元に帰ってくるため、退院の時には保健所の職員が病院のスタッフや保護者と面談するなど、連絡があった時点から病院とも連携している。在宅ケアや障害があった場合の対応など、医療機関との十分な連携が前提となるため、今後もご理解とご協力をいただきながら、柏市としても切れ目ない対応に努めていくので、よろしくお願いしたい。

(委員)松戸や八千代に行ってしまうと掴みどころが難しいのではないかということが気になる。養育医療なども使って拾い上げていくといいのでは。

(事務局)市立松戸や八千代の東京女子医大、船橋などでは、病院にソーシャルワーカーがおり、家庭的に問題を抱えているかたなどは、退院に向けて早目に市の相談につなげるなど医療機関のシステムも整っていて、協力していただいている。

(会長)柏市内で、ハイリスク妊産婦やハイリスク新生児の連絡システムはできているのか。

(事務局)市内の産婦人科や慈恵医大柏病院からは、まず保健所にいち早く電話で一報がきて、その後サマリーが送られてくる。また、産後だと退院までの間が勝負で、退院前に一度保健師に会うということが大事なので、その点は病院もかなり協力していただいている。両親とお会いする日時の調整や行政が入ることへの保護者の了解を得るなどきめ細かく対応していただき、よりよいタイミングで行政につなげるよう配慮いただいている。

(会長)センター設置に向けての課題の中に、関係機関との連携やネットワークの整備とあったが、医療機関でも先生によって多少意識の差があるのでは。連絡のフォーマットの整備や、こういったフォローがきちんされていることを医療機関に返すことで、また医療機関も安心して連絡できることにもなると思うので、そういった仕組みも子育て世代包括支援センターの設置と合わせて整備する必要があるのではないかと思う。

(委員)乳児健診について、今は3~4か月と9~11か月の無料券が配布されているが、回数としては3回位無料券を配布できるとよい。全国的には2回ということで決まっていると思うが、もう一回位増やせるともっと受診率も上がるし、子ども達も来やすくなる。現実に、3か月と7~8か月にやって、次は1歳前後となると有料になってしまう。その辺りが今後どうなっていくかということがある。あと、子どもをいかに育てていくかということは非常に大事なことだが、その裏には、子どもを持ちたくても持てなかった不妊のかた達の問題がある。そういったかたが、おなかに赤ちゃんがいますといったカードを付けてまちを歩く妊婦さんを見て、どう思うかということ。すごく嫌な思いをするかたも中にはいる。そういったかたへのケアや心づかいも陰では必要だと思う。

(会長)大事な意見なので、その辺も踏まえて今後検討するということでお願いしたい。

(委員)ママパパ学級で、妊娠中に一度は歯科健診を受けて欲しいと言っているが、健診は自費ということもあり、受けないかたが多い。妊娠中は、歯肉炎で歯肉が腫れたり、つわりがあってお口の手入れがあまりできないといった状況が増えるため、そこでお口の中で歯周病菌が増えてしまうと、低体重児の出産や早産のリスクが高まる。柏市国保では、お口のクリーニングという事業があり、年間8枚配られる利用券の4枚を持ってくると、お口の汚れや入れ歯をきれいにすることが歯科治療とは関係なくできるので、そういったものが妊婦にも使えるとよい。何か補助は出来ないものか。

(会長)妊娠中の口腔ケアは重要な課題なので、ぜひとも柏市で考えていただくということでお願いしたい。

6 資料

次第(PDF形式 37キロバイト)

資料1.柏市母子保健計画の周知状況について(PDF形式 61キロバイト)

資料2-1優先的取り組み政策工程表 アクションプラン抜粋(PDF形式 109キロバイト)

資料2-2基本施策の優先的取り組み【表】(PDF形式 122キロバイト)

資料3柏市母子保健計画進捗報告(PDF形式 520キロバイト)

資料4指標推移一覧(PDF形式 79キロバイト)

資料5柏市版子育て世代包括支援センター(PDF形式 684キロバイト)

7 傍聴

傍聴者なし