平成21年度 柏市保健衛生審議会母子保健専門分科会第6回会議録

1 開催日時

平成21年10月9日(金曜日) 午後1時30分~午後3時30分まで

2 会場

柏市柏255 柏市保健所小会議室

3 出席者

(委員)11名

伊藤政之、喜田善和、小澁達郎、小林正之、小松﨑英樹、武井 仁、武田紀之、田中 齋、長岐香寿美、松井宏昭、和田靖之(敬称略)

(事務局)21名

保健福祉部長、保健所長、地域健康福祉課長、保健福祉総務課長、教育研究所長、児童育成課長、障害福祉課長、十余二学園長、柏育成園長、保健センター長、他関係職員

4 議題

柏市発達障害児の早期発見、相談・支援並びに家族支援体制の整備指針

5 議事

午後1時30分 開会

(1)保健所長挨拶

本日は、ご多忙の中お集まりいただきありがとうございます。今回は第6回ということで、また皆様に意見交換していただき、それを集約して整備指針にまとめたいと思う。事前に皆様にお送りさせていただいた整備指針最終案に再度ご意見をいただき、最終的に答申していただく。よろしくお願いしたい。

(2)議事 柏市発達障害児の早期発見、相談・支援並びに家族支援体制の整備指針

<会長>

本日は、平成20年10月に柏市長より諮問を受けた「発達障害児の早期発見及び相談・支援並びに家族支援体制の整備指針」について答申することとなっている。前回会議では、整備指針の草案内容を皆様にご審議いただき、多数のご意見をいただいた。前回の審議内容を反映して最終案としてまとめた内容となっているので、はじめに「発達障害児の早期発見及び相談・支援並びに家族支援体制の整備指針(最終案)」について、事務局からの説明の後、皆様のご意見をいただきたい。

<事務局>(事前配布資料「第5回柏市保健衛生審議会母子保健専門分科会審議内容の反映について」の説明)

「1 指針全般に係る事項」の1.「今後の取組みとして、『進行管理や評価機能の確保(体制)』を加えることが必要」というご意見に対し、整備指針65ページに「11 今後の取組み;進行管理・評価機能について」を記載し、本指針に基づく施策推進のための体制整備として、一つは関係者等との連携について庁内連絡会議等の推進組織の設置を関係者間で検討し、関係者等の相互連携により進めることを考えている。二つ目は、発達障害者支援対策を評価する指標の設定について、柏市では事務事業評価シートの作成等により、それぞれの課が施策評価に合わせて達成度合いを評価する取組みを行っているので、それと合わせて行っていきたいと考えている。三つ目は、進行管理体制の整備として、現在も柏市保健所に設置している保健衛生審議会にこの母子保健専門分科会を設置しているが、この指針に基づく施策の進行管理機能を、またこのような形で確保して進めていきたいと考える。

2.「本指針で用いた言葉の定義を記載し、表現を整理すること」というご意見については、指針71ページ以降に「用語の解説」という項目を新たに設け、根拠法令及び条項まで入れて掲載した。

3.「保健所母子保健を起点とした、関係部署への働きかけやこども発達センターへつなげる流れ・機能を記載し、さらに地域づくりへの展開へつなげる記載が必要」というご意見については、47ページ「【資料9】柏市発達障害者早期支援体制図」の中に各関係機関・部署の相互の関連性、連携体制、「乳幼児期の障害の発見と支援」及び「幼稚園・保育園支援」の概要をこの一覧で見られるように記載した。図の中段には、CASのバックアップ機能も入れさせていただいた。この図に基づいた全体の推進にあたっては, 65ページの「進行管理・評価機能」を有効に

活用しながら進めていきたい。

4.「『切れ目なく適切な支援を行う、生涯を通じた支援体制整備』のために、母子保健対象年齢に留まらず、学齢期、成人期の支援担当・責任体制を明記して、自立支援、精神保健につないでいく流れを明記することが必要」というご意見については、47ページ「【資料9】柏市発達障害者早期支援体制図」の他、42ページ「途切れのない支援のための体制づくり」の上から5段落目に追記した。

5.「『人材確保・育成』を頭出してまとめては如何。育成は各項目で取組みを記載しているが、『確保計画』は重要。可能な範囲でも記載が必要。柏市が自前で支援を担っていくために、中期・長期的な視点で人材確保・育成計画が重要。」というご意見については、61ページ以降に「9 人材確保・育成について」という項目を新たに加え、体制整備指針という性格に基づき現段階で示せるところまでの内容とさせていただいている。

6.「重要な社会資源情報として、教育機関や民間の関係機関、千葉県発達障害者支援センター等の専門的取組みの実際について整理・記載が必要」というご意見については、前半の審議会でお示しした資料を再編し、今回の最終案の21から29ページ「柏市の発達障害児支援取組みの実際」及び「関係機関の取組みの実際」に追記した他、49ページ以降に「関係部署の取組み」、56ページ以降に「こども発達センターの概要」を記載した。特に関係部署の取組みとこども発達センターの概要については、後ほど担当課長よりご説明を加えさせていただきたい。

7.「児童虐待防止の観点からの記載も必要。妊娠期からの支援や産後うつ等への対応、子どもの育てづらさの中に発達につまずく子どもがいることの認識、記載が必要。母子保健と児童育成との連携が重要。」というご意見については、37ページ「(2)家族支援について 1.状況に応じた家族全体への支援」の2段落目の記載の他、38、39ページに資料を追加した。ご指摘の、関係者の認識というところでは、私どもの取組みの考え方を示すということで、38ページに資料「子育て支援の観点での家族支援が必要とされる背景」として、親子・家族の支援に関わる関係者が早期に関与・支援すべきという共通認識事項を図にしてまとめた。一つは子どもが抱える困難な状況・生活の大変さ、二つ目は保護者・家族が抱える困難な状況・生活の大変さ、下段にその背景と保護者の気持ち・親心・心配を箇条書きでまとめたものである。次のページには参考資料として「子育て支援の視点-虐待予防と早期からの関与―」を、とにかく早期に支援を開始する内容として加えた。さらに次のページには千葉県発達障害者支援センター(CAS)の取組みとして、前回草案の段階で、ペアレントメンターについて他市の取組み例を提示していたが、千葉県でも実施しているということで、ご指摘いただいたCASの例を提示した。

引き続き、事務局よりご説明させていただきたい。

<事務局>

「子ども発達センター機能に係る事項」については、

1.公的機関としてのセンター機能・役割を具体的・詳細に明示するとともに、官民の役割の明確化が必要。

2.人材の確保について記載が必要。

3.ケースワークや合同検討会議などの持ち方並びにコーディネーション機能の確保・担当者の明記。全てを公的機関で担うのは無理なので、連続的な支援の中で、コーディネート・割り振りを行い、つなぐ役割を担うことなどの記載が必要。

4.センターを核としたネットワークづくりの明記。関係部署・関係者間の連絡調整機能の具体策として、例えば「支援関係者連絡会議」の開催などの記載。

5.幼稚園・保育園支援(巡回相談)機能の明記が必要。

6.「診療機能」確保の考え方・方針の明示が必要。

これらのご意見について、56ページ以降に「こども発達センターの機能の概要」を記載した。詳細の人員配置案等は、本日「こども発達センターに関する参考資料」として配布した。このことについて担当よりご説明させていただきたい。

<事務局>

56ページの概要について、まず総合施設の整備状況は、約8割完成している。引渡しを来年1月12日に予定しており、それ以降は市の管理となる。引越しは4月3・4日、オープンを4月5日と計画している。

組織は資料の組織図(案)のとおり、センター長1名、企画総務担当、相談支援担当、十余二学園、柏育成園、言語指導担当、教育研究所の就学相談の機能が入る。各々の役割・業務内容については57ページ以降にあるが、職員定数は行政改革推進室と人事担当と詰めているところである。あくまでも案の段階ということで現在お示しできる数字であり、今後の調整によっては変更する可能性もある。今要望しているのはこの人員配置である。「当日配布資料3」の2ページ目「人員配置(案)」に、各担当及び職種の明細を記載している。

事業目的として3点記載しており、子どもの成長と保護者を支援する、切れ目のない相談支援システムを構築する、保育園・幼稚園をはじめとする関係機関へ専門的支援を行い安心して子育てのできる環境整備を図る。

事務分掌については大きな括りで示している。企画総務担当は企画立案。相談支援担当は相談支援、外来による療育支援、巡回による療育相談支援、障害児施策に関すること。十余二学園・柏育成園は入園児童の生活指導及び機能訓練に関すること。言語指導担当はことばの相談及び支援に関すること。

具体的な業務内容は、企画総務担当は政策の企画立案等、お示ししたとおりの業務を行う。記載はないが個人的な意見としては、センターの開設後運営協議会等を立ち上げて、四半期に一回程度、行政機能進捗率・政策がどのように進んでいるのかを協議会を通して煮詰めていく手法も必要なのではないかと考えている。

相談支援事業は、療育サービスを希望する相談受付からケースカンファレンスまでを主な事業としている。外来療育事業、巡回相談事業、障害児施策に関する事業、通園療育事業、機能訓練事業、言語指導事業(ことばの相談室)、就学相談事業(教育委員会教育研究所の事業)についても記載のとおりである。

「当日配布資料3」に平面図を添付している。2階の上段に十余二学園、柏育成園の子どもたちの訓練室を広くとっている。3階は事務室になる。中央に管理部門、そのとなりに総合サービス部門がある。ここにこども発達センターが入るイメージで考えている。進捗を見たが、かなり明るく間取りも広く過ごしやすい建物になっている。

<事務局>

引き続き説明させていただく。

7.「療育支援コーディネーターの役割・機能並びにそのバックアップ機能の明記が必要」というご意見については、33ページに、「第四次千葉県障害者計画作業部会障害児の療育・支援体制のための研究会報告書」より、現段階での千葉県の考え方として参考資料「療育支援コーディネーター具体的業務のイメージ」を掲載した。

8.「支援関係者及び保護者間で適切な支援に必要な情報共有のための『(仮称)かしわサポートブック』の性格付けや『個別支援計画』記入・作成担当者の明記が必要」というご意見については、44ページに「(仮称)かしわサポートブック」の考え方として、委員の皆様からいただいたご意見と、千葉県の考え方、及び先進事例として神戸市の取組み例を提示した。県でも実際の取組みは来年度以降と聞いている。作成担当者の明記が必要とあったが、これらをもとに柏市での実施に向けて、当事者の保護者を含め支援関係者等と今後協議を行っていきたいと考えている。

「障害福祉部門、児童福祉部門の今後の方針に係る事項」については、

1.障害福祉部門として、障害のある子どもの療育体制整備に関する今後の方向性を示すことやノーマライゼーションかしわプランにおける障害児の位置付けに関する記載が必要。

2.家族支援機能として希望が多い児童デイケア機能整備の方向性を示すことが必要。

3.保健所母子保健、障害福祉、児童育成部門等の連携を明示することが必要。

4.十余二学園は知的障害児通園施設として役割を担ってきたことから、発達障害児支援機能は十分でなかったことの認識が必要。保育園だけを対象とした巡回相談機能だけでは不十分で、「こども発達センター」機能が重要であることを明確にすることが必要。

5.発達が「気になる子」を対象とした外来療育機能(「外来」という表現の見直しも含めて、)確保に関する記載が必要。

これらのご意見について、49、50ページに障害福祉部門の現段階での取組方針等を追加した。

6.児童育成部門はすべての子どもを対象の施策を担当する立場から、子育て支援の充実として希望が多い児童デイケア、レスパイト・きょうだい児の保育、保護者の就業を支援する保育機能充実・整備などの施策の方向性を含めて、障害のある子どもへの今後の施策の方向性を示すことが必要。

7.児童育成部門としての「こども発達センター機能・役割との連携あるいは協力体勢などの考え方を示すことが必要。

8.児童虐待防止対策と母子保健対策との連携に関する認識、記載が必要。

これらのご意見について、51、52ページに以降に児童育成部門の現段階での取組方針等を追加した。8.は、先ほど「1.指針全般に係る事項」で述べましたことと重複するが、38、39ページに資料「子育て支援の観点として家族支援が必要とされる背景」、「子育て支援の視点-虐待予防と早期からの関与―」を掲載している。

それでは、1.~5.の内容について担当よりご説明させていただく。

<事務局>

1.は49ページに記載しているが、こども発達センターを療育相談支援の核として位置付けし相談支援を進めていく。同じ施設内にある保健所をはじめ、児童施設、教育委員会との連携をはかり、子どもの発達に関するすべての相談に応じ、その子に合った対応をしたいと考えている。障害者計画についても同様の位置付けをしていきたいと考えている。

2.は、昨年度策定した障害者福祉計画で、21から23年度の利用量を推計している。児童デイサービスまたはそれに変わるものとして、大人も対象に含める日中一時支援という事業があり、双方とも増加を見込んでいるので、体制を整備していきたい。基本計画を現在策定中であるが、整備の必要性につながる記載をしていきたいと考えている。

3.は支援体制図に示したとおり、個別会議あるいは連絡会議を開催して連携をはかっていくことを考えていく。

4.巡回相談は、こども発達センターで行うことを考えている。指針8ページに記載しているが、現在障害福祉課が、民間施設あるいは事業者、公立施設、特別支援学校、保健所、教育研究所、県の発達障害者支援センター等の協力を得て実施している。この事業についてはこども発達センターで引き続き継承し、できればさらに充実して回数を増やせればと考えている。この事業の20年度の決算額は約550万円であった。

5.は、これまでことばの相談室、十余二学園、柏育成園、保健所がそれぞれ相談事業を行ってきたが、一本化しこども発達センターで相談事業を行うように考えている。相談から支援につながる段階で、外来療育が適しているお子さんは外来療育につなげていく。外来療育は子ども発達センター(十余二学園、柏育成園)が一体となって実施していくが、必要に応じて保健所、民間施設の力もいただき、気になる子と保護者の支援をしていくことを考えている。

<事務局>

続いて、6.~8.について担当よりご説明させていただく。

<事務局>

指針51ページに記載があるが、方向性を示すものとして次世代育成支援行動計画の策定を現在進めている。この計画は、各部門で実施されている各種事業等を、子育て支援、児童育成という観点から体系化したものである。そのような意味から申し上げて、基本理念の中で「すべての子どもを対象とする計画である」ということを前提としており、基本理念の中に謳い込んでいこうと考えている。

資料に記載はあるが、まだ策定委員会等ですべての議論が終了していないので、現段階で考えていることである。「すべての子どもたち」ということばの中には、もちろん障害のある子もない子も含め、また、最近多くなってきている日本語を母語としない外国人のお子さん等もすべて含めて表現している。子育て短期支援事業として、保護者の育児疲れや病気等の場合に短期的にお子さんをお預かりするショートステイ事業を行っている。また、ファミリー・サポート・センター事業は会員制の取組みになっているが、やはり一時的にお子さんをお預かりする事業である。これらは障害のある子も受け入れが可能となっている。

7.は、児童育成部門としてのこども発達センターということで、この計画の中に総合的な連携が必要と謳い込んでいるが、具体的にどういう形で進めていくかというところまでは議論を踏み込んでいないので、今後詰めていきたい。

ノーマライゼーションについては、冒頭申し上げたようにすべてのお子さんを対象ということになっているので、考え方を取り入れて計画を進めていきたい。具体的には施策の展開の中で障害児施策を取りまとめているので、その中で一人一人の状況に応じた支援を連携により進めていく。児童センターで実施する事業等については、元々すべての子どもを対象としている。特に障害のある子とない子との交流等の目的を持った事業についてはPRしているが、一般の事業であっても障害のある子も参加できることになっているが情報提供がうまくいっていないということもあるので、今後考えていきたい。

児童虐待防止対策と母子保健対策との連携については、全国の児童虐待の事例の中で、児童相談所以外の関係機関で最も関与が多いのは、業務の関係上母子保健担当部署となっている。その点で児童虐待を取り扱う私どもの中にある家庭児童相談室と母子保健担当部署の連携は必要不可欠であると考える。現在も、個別のケース会議の中で情報を共有化する等の取組みや、医師、保育園・幼稚園、警察等関係機関も含めた要保護児童対策地域協議会を作っており、その中で連携を図っているのが現状である。

「教育部門の機能に係る事項」については、

1.柏市の重要な社会資源としての教育部門の取組みや今後の方向性などの記載を充実させることが必要。

2.幼児期(保育園・幼稚園・母子保健等)との望ましいつながり、流れ等の提示が必要。

47ページ【資料9】に各関係機関の連携による支援体制概要を図示した他、53~55ページに教育部門の取組み等を整理した資料を掲載した。

内容について、担当よりご説明させていただく。

<事務局>

柏市における特別支援教育として、「特別支援教育の充実」と掲げている。特別な支援を必要とする児童生徒の教育的なニーズを把握し、適切な指導及び必要な支援行うことに努めるということで、具体策として4項目掲げている。2.に特別支援教育の現状と課題を示しているが、その3つめ、「校内研修の実施率及び他の関係機関主催の研修会への参加者は増加傾向」と記載しているが、具体的に校内研修の実施率は小学校では平成20年度98%、中学校では90%の学校が校内研修の中で特別支援教育に関する研修を実施している。

個別の指導計画及び個別の教育支援計画についても、作成に着手する学校が増加している。20年度に特別支援学級が個別の指導計画を作成した学校は、小学校は75%、中学校は82%。教育支援計画に関しては、小学校は61%、中学校は51%となっている。実際の支援と連動した、より具体的な計画の作成が今後求められる。

特別支援学級設置状況については、小学校(知的障害)が26校、中学校が16校となっており、平成17年に柏市と旧沼南町が合併した頃と比べて、小学校は2校、中学校は1校増加している。通級者数は247名で82名増加している。自閉症・情緒障害学級は小学校13校、中学校6校となっているが、平成17年には小中学校ともに1校しか設置していなかったので、この5年間で小学校は12校、中学校は5校増加している。通級者数も、現在97名だが当時は5名だったので92名の増加である。

55ページには特別支援教育の重点と教育研究所の取組みを記載している。特に教育研究所の取組みの1番目、文部科学省委嘱「発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業」は、昨年度と今年度の2年間の期間で推進事業指定を受けている。具体的には保護者への理解啓発活動として、講演会の開催(今年は11月18日に市のPTA連絡協議会と共催で保護者対象の講演会を開催予定)や、昨年度は、本日皆様に配布したリーフレットを小学校に在籍するすべての保護者に配布した。来年入学される予定の児童の保護者の皆様にも、これから配布する予定になっている。

また、特別な支援を必要とする児童・生徒への支援に学生ボランティアを活用している。その他の取組みは下に記載しているとおりである。

その前段となる「幼児期との望ましいつながり」については、53ページ「幼児教育関係事業」に記載している。教育研究所は設置以来幼児教育に関する研究を進めてきているが、近年特に「小1プロブレム」という問題があり、発達障害のお子さんに限らず小学校入学後に不適応を起こすという状況が多く見受けられるところからも、幼保小のさらなる連携が必要であろうということで幼保小連携の推進という形で実施している。具体的には、幼保小連絡協議会が中心となり連携のあり方を協議し、それをもとに柏市を9つの地区にわけ、その地区の中で関係する幼稚園・保育園・小学校の関係者が学期に1回集まり、地区ごとに幼保小の連携をどうするか協議している。例えば、小学校の先生が幼稚園・保育園に様子を見に行く、また、幼稚園・保育園の先生が卒園した子どもたちの様子を小学校へ見に行く、あるいは様々な行事に相互乗り入れしたり、学校の校庭は安全な場所なので保育園の散歩コース等になっており、そのような時に連携をはかること等を通して、普段の子どもの様子を見ながらお互いに一人ひとりの子どもの実態等の情報交換に努めるように推進しているところである。その他のことも、幼児教育関係ということで関係事業を記載しているのでご覧いただきたい。

<事務局>

続いて、本指針(最終案)を先週末に皆様方へお送りさせていただき、その後いただいたご意見の内容と、その反映のしかたについてご報告させていただきたい。送付後十分な時間のない中、また大変お忙しい中ご意見をいただきありがとうございました。(「当日配布資料1 発達障害児の早期発見及び相談・支援並びに家族支援体制の整備指針《最終案》に対するご意見の反映について」説明)指針34ページの内容に関するご意見3点については、ご提言いただいた委員よりご説明いただきたい。

<委員>

本日いただいた特別支援教育に関するリーフレットの後ろのページに、通常の学級、通級指導

教室、特別支援学級の三角形のシステムが書かれている。小学校以上ではこのようなシステムになっているが、幼稚園においては通常学級、いわゆる普通学級だけしかない。その普通学級の中にいろいろな個性を持った子どもたちがいて、その中で集団生活、あるいは模擬社会生活と言ってよいかもしれないが、そういうものを行いながら、先生が一人ひとりに対応しながらそれぞれの社会性等を伸ばしていくというのが幼稚園の現状である。ですから「いろいろな個性を持った」子の中に、いわゆる発達障害に関するスペクトラムの中のある程度の部分が入ってくることは当然である。この時期の子は多かれ少なかれ色々な性格を持っているので、親が気づかずに「ちょっとやんちゃだな」ということで入ってくる子もいて、いわゆる「まじる」という状態で保育をしていくということに関しては、幼稚園の宿命と考えている。しかし、やはり「療育」ではなく「保育」なので、幼稚園としての能力があり、その能力の範囲内でというのが一つの条件になる。ただ、それがどの程度のものかは自分たちで判断できないということも一つあるが、現状としてはなんとかやっているのではないかなという状況である。そこで問題になるのが、「なんとかやっている」ということが、本当に発達の気になる子に対して正しい対応をしているのか、他の施設に行けばもっとよい対応がされているのではないかということに対しては、自分たちではチェックできない。そういう意味で専門の方のアドバイス等が必要と思う。そういう現状の中で、幼稚園によって今温度差は確かにすごくある。そういうことの情報の開示は、発達の気になるお子さんを持っている保護者は本当に求めていると思う。自分の子どもに少しでも良い幼児期を過ごさせたいという気持ちはよくわかる。でも、逆に受け入れる側からすると、その情報によってそういう子たちが人数的にも質的にも自分たちの能力を超えて大変多く来た場合、おそらく対応しきれなくなる。なので、もし情報を開示するということであれば、それなりの支援をしてくれるということと合わせてでなければ、情報の提供ということに対しては二の足を踏む。

それから、「地域の幼稚園・保育園で安心して受け入れることができるよう」という表現については、先ほども申し上げたとおり普通学級しかないので、本当にその子たちにとって適正な対応をしているかどうかということは自分たちではわからない。なので、幼稚園側からすると、いつまでたっても安心はできない、むしろ「やらざるを得ない」という状況なので、正直な話「安心して受け入れられる」状況ってどういうことかな、と思う。「安心して」というよりは、「少しでも受け入れやすくできるように」といった表現の方が現実的ではないかと思う。やはり支援体制の問題で、幼稚園が本当に安心して受け入れられるには、通級なり特別支援学級なりという体制までも視野に入れていなければ無理だろうと思う。

それから、幼稚園の先生方の任期は意外と短い。ここに来て長くなってきたが、平均して3年位。長い先生は主任としてかなり長くいてくださることもあるが、若い先生はたいてい結婚すると退職して自分の子育てに入っていくので、実質3年ちょっと位。それから、今発達障害に関する教育がある意味ブームになっていて、研修の機会はすごく多い。色々な機関から、「研修をするので人を出してほしい」という依頼がくる。大体がいわゆる基本的なことに関する研修内容である。ひととおりの研修を受けて、それからどうするか、実際の子どもに対してどう対応していくか、ということになるとそこで終わってしまい、何のために時間を割いて忙しい保育の合間を縫って研修するのか、というのが研修に関する現状である。研修機会を与えられることについては非常にありがたいが、それが実際の保育のレベルアップや子どもにかえっていくということに関しては、研修の割には効果が少ないのではないかなというのが実態である。なので、単発的なことではなくある程度系統的に、それから幼稚園の中で核になる人を育てていき、その核になる人が中心となって幼稚園の中で演題研修等を進めていけるような内容にしていただければありがたいと思う。どこかで研修内容の管理までしていただけるとありがたい。

<事務局>

いただいたご意見の反映として、各幼稚園や保育園、学校の特徴等の情報を入手しやすくする

こととあわせて、対応する園・学校への支援も必要であることを記載する。また、「地域の幼稚園・保育園で受け入れることができるよう」と表現を修正する。研修については、「今後取り組むこと」の中に例示する。

<会長>

ただ今、色々ご指摘いただいたことについての事務局としての考え方が述べられたが、これに

ついてご意見・ご質問等はあるか。本日答申することになっているので、皆様方の今日いただいたご意見その他は附帯意見として記載することになっている。是非活発なご意見をいただければと思う。

<委員>

教育に関して幼保小の連携という形になっているが、同じ義務教育機関である中学校が入っていないのはどういうことか気になった。中学校では特別支援学級や特別支援学校もあるし、その後の高等養護学校や就労等の支援も中学校は必要としているし、幼保小でどのような形で関わってきたかという情報がないと中学校の組立てができないはずなので、中学校としてどうするのかということが抜けていたように捉えられた。

特別支援教育について今課題になってきていると思う。小・中学校も十分とは言えないが、義務教育で全員参加の学校なのである程度位置付けられている。先ほどおっしゃってくださったように、幼稚園のようにある意味全員参加が義務ではないところや、高等学校以上のところでの教育提供が非常に問題になってきている実情があるので、幼稚園は確かに通常学級のみという現状であり、それについてのサポートなり、あるいはインターネットや紙面等の情報は一方通行なので、保護者の方が殺到してしまうとおそらく保育園・幼稚園が機能できないと思うので、そういったことへの配慮は必要だと思う。

<事務局>

中学校に関してはおっしゃるとおりで、小・中学校の連携も幼保小と同じように有用です。教育研究所の立場としては、小学校・中学校の特別支援教育をどちらも担当しているので、小学校から中学校へ情報を送るということについては、幼保小に比べれば円滑な連携があると思われる。ただ、特別支援教育に限らず小学校と中学校の先生が交流を深めると、小学校でここまで深まっていたのか、ということを中学校の先生が意外にご存じなかったり、小学校の先生が中学校での子どもたちの様子を知らなかったりすることがあるので、どこの小・中学校でもこれからお互いに、ただ単に書類で引継ぎをするのではなく、実際に子どもの様子を見ながら引継ぎをしていきましょう、それが一人ひとりのニーズに合った教育になっていくでしょうということで、教育課程が変わり授業日数が増えて多忙な中であるが、やはり必要なことであろうということで進めていく。指針には、具体的なことは幼保小の連携ということで記載したので、小・中学校の連携がもれたような印象があるかと思うが、そのような認識で進めている。

幼稚園の特別支援教育については、55ページの「教育研究所の取組み」の中の「各種研修会、会議の開催」に「特別支援教育補助員研修会」という記載がある。特別支援教育補助員がどのような位置付けかというと、小・中学校の特別支援教育の学級定数は8名までが1クラスで、9名以上になると2クラスになる。では、8名まで1人の先生で対応できるかというと、色々なお子さんがいるので、担任1人では十分に指導・対応できないということが間々ある。例えば教室にいられない、飛び出してしまう、そういうお子さんの場合、命の安全ということで1人ついて見てあげられないと難しいということがあるので、そういう場合には県の定数の他に柏市として特別支援教育補助員を付けていただいている。小・中学校全部で76名いる。先ほどの学級数を見ていただいても分かるように、定数だけだと対応が難しい。状況によって違うが、そのようなお子さんを受け入れると人的支援が現実問題相当求められてくると思う。

<委員>

中学校に関してもできれば明記したほうがよいのではと思う。幼保小の連携がうまくいっていないことがある、ということも実際事実だと思うが、小・中学校の連携がうまくいっていないケースも非常に多い。外来で診ている患者さんでも、小学校6年生までは非常にいい状況で支援教育の中でやれていたが、中学校に入ったとたんにうまくいかなくなってしまった方がいる。それは環境の変化だったり担任の問題だったりということがあるが、時々小学校の先生がこういう風に関わってくださいということを送ろうとして中学校につながっていなかったり、受け取った中学校が、中学生なのだからこれができなければいけないという風に関わってしまい、適応できないので支援学級にいるわけだが、無理強いされたがために学校に行かれなくなってしまった発達障害のお子さんもいらっしゃるので、中学校への連携というのも言語化されていないと医療者としては心配である。また、先ほどおっしゃられていたのは加配の先生のことだと思うが、支援学級では8人に対して先生1、2人位で、そこに飛び出し等があると加配がつくという形になっていると思う。幼稚園の場合、1クラス15人や20人の子どもがいて、そこに1人の先生がいて加配が1人ついても間に合わないという状態になってしまうのが事実だと思うので、クラス編成をどうするのかということもふまえないと幼稚園・保育園がおそらく安心してみるということは難しいと思うので、そのようなこともご検討いただきたい。

<会長>

この答申としては、常に一貫して途切れのない支援ということをやっているわけなので、小・中学校の連携もやはり記載しておいたほうがよろしいのではないか。

<事務局>

中学までは市の行政の中での話だが、高等部は都道府県立ということになるので、そのあたりも触れておいたほうがよいのかなと思う。切れ目ない支援というと、児童期は18歳までなので、中学から高等学校へのつなぎというのは受験もあってどちらかというと県立にお任せということにはなるのだろうが、市の特別支援教育の流れから見ればそこをきちんとつないでいくという仕組みも必要。やはり小・中学校での適応状態により特別支援学校の方へ転籍していく方もいらっしゃるので、市と県立、都道府県との連携につなぐところの項目が1つあってもよいのでは、と思う。

<会長>

それについて触れている部分はまったくないが、その点はいかがか。

<事務局>

先ほどの「第5回柏市保健衛生審議会母子保健専門分科会審議内容の反映について」の中で、「指針全般に係る事項」の4.「母子保健対象年齢に留まらず、学齢期、青年期につながるように」というご指摘もいただいている。今回は主に母子保健を核とした整備指針であり、さらにその次の世代については、先ほどの児童育成部門の次世代育成支援行動計画やノーマライゼーションかしわプランの中で、そちらは制度として持っておりこのことについても関わってくるので、具体的なところは委ねたいと考えている。ただ、会長が今おっしゃったように途切れのない支援ということは大変重要なところであるので、途切れのない支援について十分な連携体制を、というところは明文化する必要があると考える。

<会長>

それでよろしいか。

<委員>

かしわサポートブックを提案されているので、中学校で個別支援計画を作っていけば上につながっていくと思う。サポートブックの中でもうちょっと丁寧につなぐところを書かれていればよいのでは、思う。

とてもすばらしい指針ができたと感激している。たぶん日本でも初めての形ではないかと思う。2年前発達障害のモデル事業の報告書を出した後、こういう形にまとまったことをとても感謝している。その3年間が今に引き継がれており、柏発で県に投げ込まれている「官民協働で」というところが一番重要である。幼稚園巡回・保育園巡回でも様々な機関が関わっている。先ほど担当課より、昨年度の決算550万円とあったが、これは障害福祉課から出ているものだけである。私たちは無料でサービスしているし、関わっている県の行政機関は自らの相談事業で関わっている。当然ながら倍どころでは済まないお金の投資によって行われている。様々な方がそれぞれの専門分野で関わっていてすばらしい。

かしわサポートブックについては、基本的に私たちが作った共通の個別の支援計画が今どうやら根付いてきた。それが今度は教育委員会サイドにもつながっていく。時間はかかったがうまくできてきたな、と思う。ことばは変わっているが整備指針の中にもしっかり書かれている。

本日「自閉症児者の行動障害及び子どもの将来生活についての保護者のニーズに関する調査報告(資料4)」を配布した。これまでこの会議の中で話題にならなかったのであえて配布した。発達障害の方について、二次障害や虐待の話は出てきた。強度行動障害も無視できない。2、3日前にできたばかりで、私どもで行動障害について調査したものである。3ページ「療育手帳の所持」では、「B-2」と「所持していない」を合わせて約3割。その約3割の障害診断名はアスペルガー、高機能自閉症である。後の7割は知的障害を伴った自閉症。5ページにあるが、「強度行動障害」は医学的なことばではなく、サービスを提供するための厚生労働省が作った規定である。表2の中に「強度の自傷行為」とあるが、どういうものかというと「肉が見えたり、頭部が変形に至るような叩きをしたり、爪をはぐなど」を頻度で点数化している。強度行動障害判定指針は1から11まで項目があり、合計点をもって一定の点数になれば強度行動障害としている。6ページに調査結果がある。私どもが調査をしたところ、18歳以上で現時点で強度行動障害のある人は8%、18歳未満では19%の方がいた。これは今年度のことだが、昨年度以前まで遡ると、半分以上の方が普通の行動障害ではなく先ほどのとてもひどい行動障害が起きているというデータである。こういうことが起こるということも知っておかないといけない。

18ページを見ていただくと、行動障害の子どもたちについて、「本人の生命の危険や他人に危害を与えてしまう」と強く感じたことがあるか、というところで、親御さんの半分ぐらいが「ある」と回答していす。21ページでは、「行動障害のために家族がダウンしてしまったり家族生活が崩壊してしまう」と感じたことも半分位のかたが「ある」と回答している。大切なのは24ページ、「対応困難な強度行動障害に対応するために必要なこと」という項目で、ほっとしたのが下から3つ目、「解決し、社会生活を送るのは難しいと思う」という回答はほとんどなかった。ほとんどの方が、解決方法として専門家の支援や専門施設、医療機関等、何らかの解決方法を求めている、対応しているということである。あわせて家族に対してメンタルな支援も必要とされている。今回整備指針に書かれたことが、まさしく親御さんは求めている、強度行動障害対策においても求められているということが裏付けられたな、と感じた。どこかで一言強度行動障害についても触れられているといいな、と思った。

付け加えていただきたいのが、資料3のこども発達センターの人員配置(案)はこれでいいのかな、と思う。1ページ目の相談の流れの図が、私にはちょっとわからない。インテークをして個別面談をして支援計画を作るとあるが、この支援計画はガイドラインを示すだけなのではないかと思う。この子どもにとってどういうサービスがよいかということを示すだけであって、その後実際に十余二学園や柏育成園につながれば、その中でアセスメントが必要である。アセスメントしてしっかりと療育をしなければならない。ところがその次の人員配置を見ると、職種がすべてを言うわけではないが、十余二学園に専門的な職種の方がいらっしゃらない。私ども民間の小さなところであっても作業療法士も言語聴覚士も音楽療法士も臨床心理士もいる。やはりそれぞれにアセスメントしなければいけない。特に相談支援担当は臨時職員でなく正規で入れなければいけないと思う。人こそ主要な資源であるので、人の配置についてはしっかり組み込まないと、今後この整備指針を受けてこども発達センターに様々な人たちが相談に来た時に対応しきれないのではないかと思う。人の配置というところで付け加えていただきたいと思う。

<事務局>

十余二学園、柏育成園にいわゆる他の職種の関わりがみられないというご指摘をいただいたが、現在想定しているのは相談支援担当の中に理学療法士、作業療法士、心理士等がいる。これらの職種については基本的には相談支援担当の部分だけを行うのではなく、十余二学園・柏育成園の中に入っていき、その中でそれぞれの専門性に応じた対応を行うということを想定している。現実的にこの人数で足りるのかという話もあろうかと思うが、これは平成22年度の開設の段階で、現実的な対応としてはこの程度までしかできないだろうという中で検討しているので、将来的には拡充していく考えである。

<委員>

施設の定員は、十余二学園50名、柏育成園30名でしょうか。

<事務局>

条例定数については、現在想定しているのは十余二学園が50名、柏育成園が40名。ただ、現実的な問題として、今十余二学園には27名しかいない。これは施設の問題あるいは職員体制の問題である。それを22年度新施設へ移った段階では、まず40名体制をきちんと確保し、その後正式に50名体制に持っていきたい。

<会長>

そうすると、この人員配置は現在のものか。

<事務局>

22年度の配置案である。

<委員>

外来療育はどこが担当するのか。

<事務局>

外来療育は相談支援担当が実施する。

<委員>

それだけの余裕は十余二学園にあるのか。

<事務局>

担当としての人員関係の要望は出しているが、現実的に22年度の段階でどこまで対応できるか、という判断の中で現在この数字を出している。

<委員>

相談支援担当が外来療育を行うのか。「相談支援」という名前とやっていることが異質になるのでは。一般的にこのような分掌の中での「支援」は、ケースワークの部分なのではないか。訓練というのはあくまでも教育行為であったり治療行為であったり、クライアントに対しての直接の関わりになってくるので、支援担当がやってしまうと、親御さんのニードとお子さんのニードの板挟みになってしまい支援にならなくなるのではないか。

<事務局>

本来相談担当が担うコーディネートの部分と、実質的なサービス提供、療育の部分を分けて組織化できるのが一番よいと思う。実際そういう形に持っていきたかったが、先ほども申し上げたとおり現実的に柏市としてできるところまで、あくまで22年度の段階で実際にできる精一杯のところまでを示している。

<委員>

明らかにできないのであれば、謳ってしまうと誤解されるのではないか。できないのであれば最初からそこのところを提示せず、人員が確保できてこういうことが始められるので始めたいという形の事業を立ち上げるのが本筋である。予めそれを出しておいて、今は相談支援担当に若干人手がいるのでその人たちが代わりに外来療育を行うとすると、相談支援部門の心理職等が関わり続けて本人や家族との関係が出来上がってから、十余二学園等に市の予算が出て配置できるようになった時に「これからはあちらに行ってください」と切り離すことができないと、結局センター内の2部署の中で片方の人はこっちが見てもう片方はこっちで見て、どっちがどっちなの、という風になってしまう問題もあると思う。

<事務局>

様々な問題が考えられるのは事実だと思う。ただ、現実的な対応として相談支援担当の中で相談はやる。相談だけでよいのか、といった場合に、柏市として実質的な療育サービス(十余二学園・柏育成園)はあるが、外来療育の必要性があるという認識の中で、現在できる範囲としてはこの相談支援担当の中で、確かに臨時職員等の力を借りて行うのであるが、やれる範囲の中でやっていく、そして将来的に拡大していくという方向性である。先生がおっしゃられた形に、きちんとした体制整備に向かって努力していく。

<委員>

その人の状況の評価や把握という点で、相談支援担当が手助けをするというのはまったく問題ないと思う。結局その人の状況を判断するのに心理検査をする等、方針を立てるのは大事なことであるが、そこの中でいわゆる訓練士の役割まで担ってしまうと、訓練をメインでやっていく人は誰なの、という問題がたぶん出てくると思うので、その点も検討いただいたほうがよいのかなと思う。

<委員>

この会議は私たちの提案立てのようなところなので、外来療育や相談支援をきちんと対応できるような人員配置をすること、特に発達障害に関しては、最近私たちのところでもやっているが感覚統合的なこともとても重要な位置付けになってきているので、そういう人の配置も大切である。

<委員>

外来療育相談というと、過去に言語聴覚士を中心とした療育体制というのが古典的には基礎になっていた。実際にやり続けていると、そこから次のステージに上がっていくための療育体制をきちんと整備しなければいけない。うちとしては発達臨床心理士としてのアプローチや作業療法士の感覚統合の訓練等を行っている。相談というのはまずインテークであり、インテークされた人がさらにコーディネートされてどこかにつながっていくわけである。その療育体制をこども発達センターの中で整備するという前提でこの答申が成り立っているわけで、ここまでできるのかできないのか、ということについては、こども発達センターというハードはできるわけだしそれに見合った設備やお金を付ければできるわけだが、基本はやはりスタッフをきちんと揃えてシステムをつくるということに意見提言があってもよいと思う。

<会長>

人員については書かれているが、細かい具体的なところまでは触れていない。

<委員>

こういう指針では、理想、ゴールは明確にしなければならないというのが一番の目標であると思う。ただ、確かに現実問題として、とにかく人員に関しては県でも取り合いの状況であるので、理想論と現実論がごっちゃまぜにならざるを得ない。先ほどの「やれる範囲で精一杯」というのは本当に本音だと思う。理想的な人員配置というと、もっと数字は色々書けると思う。

今年の4月から、発達に問題のある、気になるお子さんを小学校にどう配置すればよいかを審議する就学指導委員を引き受け、色々な現場のかたと接するにつれて、皆さん情熱を持ってやっていらっしゃると感じている。文書至上主義になってしまうと、ここに書いているからやらなきゃいけない、書いてないからやらないということにとらわれてしまうが、実際にシステムを動かすには人が大事だと思う。やる人の心の向きである。私は柏市の発達支援に関わるメンバーを信じてよいと思う。

<委員>

やる気はたぶん十分だと思う。問題なのは家族が誤解するのではないかということ。何にでもすがりたい思いで来る人もいるので、これからのことを「やります」と書いてあると、そういうものだと思って裏切られた時に行き場がなくなってしまう。

<委員>

そこまで完璧を気にすると動けなくなってしまう。完璧さを求めなくてもよいと思う。これは目標であっていいと思う。最初のきっかけにならないといけない。先生の気持ちは自分も医者なので非常によくわかる。その時はその現場での言葉の対応も含めて窓口のかたにお願いしつつ、でもやはり「人が集まらないと実際にスタートできない」というといつスタートできるのかわからないという危機感も覚えるので、ベクトルを持っていくのが一番よいのではないかと思う。

<会長>

最初から完全なものを求めるのは無理かと思うので、ステップバイステップで一歩一歩堅実に揃えていくということが必要でないかと思う。

<委員>

先ほど、教育研究所の先生からの内容で、例えば具体的で一つ挙げるとこうなった、というお話だったが、他の小・中学校の考えも出ると思う。具体例としてとり挙げたところが1つだけであったとするならば、これを見た親御さんがここまでしかやっていないのか、等の気持ちが出てくると思う。ここに書かれる内容として具体例を選ぶときに慎重にならざるをえない、配慮しながら具体例に関しては掲載していかないと、たぶんやっている内容と離れているように感じられるのではないか。

<会長>

あまり具体的な例はこのような指針には不適切かもしれない。

<委員>

私の立場では、最初の会議からお話しているが重症心身障害児のことをやはり少し話題に入れていただきたいと思っており、一番気になるのがレスパイト、ショートステイのことが、これだけのページの中に一行二行で済んでしまっているというのがすごく残念である。これが全国でも一番期待されていることだし、柏発信で全国に伝わってほしいと思う。おそらく今現実にやっていらっしゃらないから書けないという弱みがあるのもわかるし、予算的な裏付けもないのもわかるが、方向性としてでもよいので、前回も申し上げたとおりもう少し具体的に書いていただきたい。子どもといっても、親も年をとるので子どもの年齢もどんどん上がってくる。いわゆる保育所での一時預かりというレベルでは済まない問題が現実に起こっている。実際、体が大きくなってきた時のほうが、親は年をとるわけだから余計に介護がしにくくなり、よりショートステイを希望する人が多い。重症心身障害児施設がこちらの方にはまったくないという現実の中で、どこまでできるか ということはあるが、このくらいの障害の程度まではできるとか、年齢の制限も「途切れのない」と言っていただいたとおりで、ある程度上の年齢まで包括したような方向性だけでも出していただけると、おそらくこれを見た障害児のお母さんがたがすごく安心されると思う。とりあえず安心させるということだけでも一言書いていただけるとよいのだが。

<事務局>

先生がおっしゃられたとおり、そのご意見を最初からいただいており、ずっと皆の心にあるが、指針48ページの「家族支援」の中の第2段落目「発達に特性を持つ子どもに含まれる、重症心身障害を持つ子どもにとっても」というところが、先生がご指摘になられたことだと思う。非常に申し訳ないが、今回発達障害児の早期発見、相談・支援の整備指針の中でなく、繰り返しになるがノーマライゼーションかしわプラン等、主にこの子たちを中心とした計画に委ねていきたいと思っており、先送りとかそちらに転嫁ということではなく、この指針の中に全部を含め責任を持って進めていくということは今回この中だけでは難しいと考えているが、関係課長も出席しているので、関係するところでこの子たちへのフォローを担当して、責任を明示しながら果たしていくことを考えている。

<委員>

お立場はわかるが、そうすると51ページの書きかたは誤解されると思う。「いずれも障害のある子の受け入れも可能」ということばがかなり強く出ていると思う。今のお話よりは積極的に書かれていて、読まれたかたはすごく期待されると思う。それで利用できないと言われてがっかりすることが目に見えているのですごく心配である。担当課にお答えいただきたい。

<事務局>

障害児が入れないかというと入れるという意味で、空きの問題もあり、積極的に受け入れるという形ではない。

<委員>

ただ、現実的には空きの問題だけでなく、色々な障害をもっている子は受け入れてくれていないと思う。

<事務局>

人の問題もある。

<委員>

そうすると障害のある子もというのは、実は軽度障害は可能というくらいの話ではないのか。あと、ファミリー・サポート・センター事業で障害児も現実的に受け入れているのか。

<事務局>

現実的に受け入れられる。会員同士のサポートする側とされる側の関係で決めているので、できない方もいらっしゃれば、できるかたであれば受け入れてもいいですよ、という形になっている。

<委員>

いわゆる医療的なケアが入ってきたらどうか。

<事務局>

医療的なことは難しいと思われる。

<委員>

だから、読まれる方はそういう風に期待されると思う。これはかなり「やるぞ」と言っているように取られると思う。今は現実的にはこのくらいだが、将来はここまでやるというような形で書かれてもよいと思う。せっかくだから出されたほうがよい。特にせっかくご家族のアンケートもとられて生の声をお聞きになっていると思うので、それを反映して今できないことも含めて述べられたかたがよろしいかと思うし、それでこそ答申案だと思う。

障害児も健常児も同じように、ということ。それがノーマライゼーションの考え方であり、重度のかたも除外しないということを基本に据えてほしい。お母さんがたは重度の子を持って育てようとは最初から思っていないのですから。

<委員>

自閉症のお子さんに関しては、自閉症の施設は国では第一種、第二種と設けていて、第二種は基本的に病院になるので、日本の中に都立梅ヶ丘病院と三重県のあすなろ学園の二箇所しかない。あとは福祉型といって医者が常駐せず、保育士や介護士が中心となる施設なので、一番の違いは医療的なケアができるのかできないのかということ、二つ目は、第1種は精神科の病院という扱いになるので、強度行動障害があるお子さんの場合は隔離や拘束という形で対応ができる。その2点の違いになる。実際に医療的な配置となると病院の設立が必要になってしまうので、そこのところをどういうふうに組み立てるのかが今後必要な話。重心の病院で問題になってくるのは、入所年数の長さ、おそらく長い方だと60年というかたもおり、そうすると次の方が入れないという状態が出来上がっていて、今の状況では仕方がないことなので結局待機に10年待ちというかたも実際いらっしゃるので、数を増やすことが大事なのか、それともある程度地域の中にレスパイト、短期で入れて短期で帰すということをしながら、できるだけ地域でつないでいくことが必要なのかは検討が必要かと思う。

<委員>

現実的には後者だと私は思う。今現実的に病院はあるのだから、小児科や内科などで関心のあるかたたちが協力してくれればそんなに難しいことではないのではないか。短期であれば。

<事務局>

あとは、20歳を過ぎたときに小児科が診るのか内科が診るのかといった課題もある。

<委員>

実際にやっていらっしゃる地域もある。今の話は、すべて市の施設でという意味ではないが、そこをコーディネートしてくれるとよい。親がコーディネートするのではなく、せっかくコーディネーターという話があるので、やっていただければすごく安心されると思う。実際に利用しなくても、そういうところがあるというだけでも、親御さんが前を向いて子育てが出来ると思う。そういう環境を作っていただきたいと思う。

<委員>

母子保健から、障害が確定されてくれば障害だし、障害がなければ児童育成、子どもの一般施策という、つまり母子保健から児童福祉にどうつないでいくのか、ということの中で、関係部局のネットワークや部局横断的な施策をやっていかないと、地域で暮らすお子さんを抱えるお母さんたちの安心を、また子どもの幸せも期待できないと思う。この辺の整理はたぶん今回の分科会での主題ではないのでそこはやり切れなったのだろうと思う。その辺りを、今後柏市の母子保健からすべての子どもたちが安心して柏市で暮らし続けるための色々な課題の整理をどこかで継続するようお願いしたいと思う。

お母さんがたに安心させて実際にサービス事業所に行ってみたら「こういう障害を持った人は受けられません」と断られた時のダメージが非常に大きい。児童育成課が持っている子どもの一般施策は、常に国のレベルでも、子どもの一般施策の中で障害児もふくめてちゃんとやります、と言葉の中に入っているのだが、具体的な障害児施策は障害福祉の施策でやってくださいということなので障害福祉部門になる。だから、このように誤解を生まないよう、障害福祉課の中でその子ども一般施策を取り込んで、どうしていくのかということをうまく調整をして、柏市の中で一般施策としてやっている事業の中で、何丁目何番地のエリアの中でサービスを受けられるということが、身近な地域で支援するということになるのだろうと思う。一般施策でやられているところにも障害を持つ方々が安心して通える、または使える場所や人を、きちんと方向性だけでもうまく部局で調整してもらえると、母子保健から安心してつながっていくと言えるのかなと感じる。

<会長>

色々な意見が出てきて、すべてをまとめることは不可能に近いと思うが、とりあえず今回の会議で答申案を作るという時間的な縛りもあるので、ここにある最終案にご理解をいただき、それにプラスして今日いただいたご意見を附帯意見として加えるという形で本日答申案をまとめさせていただいてよろしいか。

<事務局>

先ほど先生がおっしゃったことについては非常に理解しておりますので、障害者の基本計画の中につなげていきたいと思う。こども発達センターの件についても、障害者の分科会に審議していただいており、ここでの案がまとまったら引き続いて障害者については障害者計画のかたでやっていくという考えを持っている。施設については、今回の計画では具体的なものは出せないと思うが、要望はたくさんあり、近隣市との調整をしている段階である。なかなか第一歩が踏み出せない状況で非常に歯痒いところもあるが、重症心身障害者のショートステイについては光陽病院さんで認可を受けたがインフルエンザの関係で時期的にストップしている状況で、これから市のほうも一生懸命取り組んでいくのでご理解いただきたい。

<事務局>

今皆さんのご意見の中で、特に途切れのない支援について、関係者・関係機関相互の十分な連携確保ということをいただいたのでそれを加えたいことと、人材の確保のお話が先ほども出ましたので、このことを附帯意見に加えたい。

<会長>

いかがでしょうか。本日の審議はここまでとなるがよろしいか。

(3)「発達障害児の早期発見及び相談・支援並びに家族支援体制の整備指針」答申

<会長>

それでは、発達障害児の早期発見及び相談・支援並びに家族支援体制の整備指針についての答申として、平成20年10月20日付で諮問のあった発達障害児の早期発見及び相談・支援並びに家族支援体制の整備指針について柏市保健衛生審議会・母子保健専門分科会で慎重に審議し、発達障害児の早期発見及び相談・支援並びに家族支援体制の整備指針としてとりまとめましたので答申いたします。

附帯意見

  • 1 今後、当該整備指針に基づいて体制の整備を図ってください。
  • 2 体制整備に当たっては、本審議会の意見を十分尊重した対応を図ってください。
  • 3 こども発達センターの整備については、発達障害児及び家族支援に従事する専門職等の人員確保・育成計画の作成とその遂行に努めてください。特に、心理職や外来療育等の専門職の確保並びに小児専門医の確保に努めてください。
  • 4 途切れのない支援について、関係者・関係機関相互の十分な連携確保に努めてください。

以上です。

(4)保健福祉部長挨拶

それでは、ご挨拶申し上げます。6回にわたり、しかもかなり細部分までの審議をありがとうございました。発達障害者に対する母子保健からのアプローチということで、なぜ母子保健かというと皆様ご存知のとおり、妊娠したときから始まり、それをどのようにつないでいくかということが重要である。子どもたちは障害者も含めてそれぞれに発達する。ノーマライゼーションといわれるが、心のバリアフリーが非常に大事だと思う。例えば、精神障害者の施設や事業をやろうとすると、住民から苦情が飛び込んでくることがある。心のバリアフリーの問題が大きく関わっているなと感じ、言ってきた人に対してではなく、理解と啓発が絶対に必要だと思う。その意味でも、今回の指針の中にも一般市民を含めた理解と普及啓発を大きく示した。

それから、私が非常に感動したのが、分野ごとにそれぞれ取り組んでおり弱い部分も専門性もあるが、これがいかに連携し縦の線も横の線も切れ目なくつながるか、ということが示されており、方向性も打ち出していただき、相互の強みを生かした連携について出てくる。それから官民協動ということが委員からも提言されていた。この分野においてはやはり官民協動が重要であり、民間の優れた能力、技術、経験を見させていただき、モデル事業の中でも療育コーディネーターの計り知れない力を見せていただいたので、当然これは引き継ぎ、さらに発展させなければいけない。

さらに、やはり人材育成と確保である。人材は他から持ってくるということも含めて確保であり、育成というのは内部でのことであって、やはり行革の中で人が減らされている中でいかに生み出すか、という知恵もあると思う。十分に対応できない面は頭を下げるしかないが、この指針に沿ってできるだけ努力していきたいと思う。あえて附帯意見の4つを書いていただいてうれしく思う。本来であれば市長が答申を受けとって挨拶するところであるが、私から新しい市長にきちんと説明して伝えたいと思う。担当課からもあったが、こども発達センターでも運営協議会なるものを作って、常時進捗管理に努めてまいりたい。

午後15時30分閉会

6 傍聴

(1) 傍聴者

1名

(2)傍聴の状況

傍聴要領に反する行為は見受けられなかった。