平成20年度 柏市保健衛生審議会母子保健専門分科会第3回会議録

1 開催日時

平成21年2月27日(金) 午後2時から午後4時まで

2 会場

柏市柏255柏市保健所小会議室

3 出席者

(委員) 10名

小林正之、和田靖之、伊藤政之、喜田善和、小澁達郎、高畑和子、田熊 立、田中 齋、藤田俊之、松井宏昭 (敬称略)

(事務局) 18名

保健所長、地域健康福祉課長、総務企画課長、保健福祉総務課長、保健センター長、児童育成課長、障害福祉課長、十余二学園長、他関係職員

4 議題

論点整理1.「発達障害児支援のための早期発見、相談・支援体制」

5 議事

午後2時 開会

(1)あいさつ

(2)議事 論点整理1.「発達障害児支援のための早期発見、相談・支援体制」

<会長>

第1回・第2回会議では、柏市及び関係機関における発達障害児対策の現状と課題を出していただいた。現状を踏まえて、意見交換を行っていただきたい。これから答申を作る準備に入っていくことになる。事務局から論点整理の資料について説明をしてもらう。

<事務局>

「(資料1)論点整理」及び「(資料2)論点整理のキーワード」の説明

<会長>

過去2回の整理に付け加えることはあるか。

<事務局>

資料は、ご発言いただいた方に意見の要旨を確認しながら作成した。資料中の「公的機関は相談支援機能に特化する」という意見についても、事前に発言者より具体的な説明をいただいた経緯がある。本日、追加資料を提供いただいている。後程、説明をお願いしたい。

<委員>

「(参考資料2)柏市における療育支援の在り方について2 (提案)」の説明

<会長

質問や意見はあるか。

<委員>

親にとって、子どもの障害を受け止めるまでは民間より公的機関の方がハードルが低いと思う。そういう意味で公的機関は早期療育および発達障害児対応に特化するとよい。

<会長>

平成22年に総合的な保健医療福祉施設ができる。その中に子ども発達支援センターができる。その青写真はできているか。

<事務局>

庁内ワーキングで、子ども発達支援センターにどのような機能をもたせるか検討しているところである。

<会長>

センターの役割として、敷居が低い相談の入り口として、最初の相談機能を担うのはどうか。

<委員>

22年の総合保健医療福祉施設に反映するための意見として発言してよいか。

<事務局>

第1回会議の「母子保健専門分科会の進め方」でもお伝えしたところだが、この審議会の内容を反映できるようにしたいと考えている。

<会長>

24年の法律の改正内容とは?

<委員>

障害児の通所施設を一元化し、重度心身障害児通園事業と統合するもの。柏市として医療型通園事業が必要であれば新施設に医療型機能を設けないといけない。育成園・十余二学園は福祉型となる。厚生労働省は検討事項を絞り込んでいる。

<委員>

法的にはどうかというと、参考資料2の4ページの社会保障審議会障害者部会報告(障害者自立支援法施行後3年の見直しについて)の中で説明がされており、検討していくべきである。

<会長>

かなりの機能が、市町村に任されているということか。

<委員>

そうである。

<委員>

2ページの図の「相談室」の位置づけはどうなっているのか。親だけでなく幼稚園・保育園などの相談も受けるのか。

<委員>

受けることを想定している。市民とすべての関係各所に対応する総合窓口である。

<委員>

医療機関からも相談できるか。

<委員>

そのとおりである。理想論かもしれないが、横浜市は実施している。教育委員会、障害福祉課がどのくらい協力してくれるか。

<会長>

昨日の柏市健康福祉審議会地域健康福祉分科会でもあったように、子ども発達支援センター機能の整備には協力体制が必要。人材確保についてはどうか。

<委員>

相談者の予想数は約600人で、ひとつの施設で対応するのは無理。センターのコア機能と、支援機関との連携・協力による重層的なネットワーク化が重要。これら全体をひとつのシステムとして考えていくことが大切。

<会長>

子ども発達支援センターの具体的なことはこれから詰めていく予定とのこと。

<委員>

平成24年4月の自立支援法改正をふまえて、子ども発達支援センターの機能がどの部分を兼ねるのか、具体的な考えが示されるとよい。イメージは人それぞれとなってしまうので資料があるとよい。

<委員>

今回の資料内容は提案である。

<事務局>

今後の庁内ワーキングの進捗状況は審議会で報告させていただく予定である。

<委員>

子ども発達支援センターで診断はできるのか。

<会長>

専門性を持った医師がいるようになるのでは。

<委員>

専門医は少ないので、早めに準備する必要があるがいかがか。

<事務局>

現在は、隔月の保健所の発達支援相談に、児童精神科医師と臨床心理士に来ていただいている。来年度は、医師・臨床心理士ともに毎月来ていただく予定である。

常勤医師としての確保ではないが、保健所専門相談の機能を確保する考えである。

<委員>

柏特別支援学校の学校要覧と、昆かおり医師がまとめた「小児科診療所で自閉症児を診察するときの工夫」という論文を本日配付した。参考資料として活用願いたい。

<会長>

早期発見・相談支援の論議なので、健診未受診者とそのフォローについてはどうか。

<委員>

健診未受診の中に重度心身障害児や多胎出生児がいるのではないか。多胎は健診へ連れて行くのが大変であり、重症児は人目があるのでということがある。誰かに手伝ってもらって行ってみては、と伝えている。行く時の支援や、行きたくない人への支援が必要。「病院外来に来ているからといい」という人には、行くように勧めている。重症児については、地区担当保健師に連絡しているが、受診につながっていないようである。未受診者の中にハイリスクが隠れている。発達障害に特化して見ているわけではない。

<会長>

柏市の幼児健康診査の状況を報告してもらいたい。

<事務局>

第2回会議で平成19年度幼児健診未受診者内訳の資料を配付している。1.6健診は対象者の91%が受診。その後の働きかけで状況把握できた6%、転出1%、把握できず2%である。3健は対象者の86%が受診。その後状況把握できた7%、転出1%、把握できず6%であった。。

<委員>

ポイントは、受診していない障害をもつ児を誰がサポートできるか。

サービスを受けている人は、健診を受けているのでは。未受診の障害児に誰が福祉サービスを紹介しているのか、親はどう対応しているのか。自閉症サポートセンターにも、ホームページ等で情報を探し、迷いながらもやっと民間のサービスへ到達した保護者が多くいる。

<会長>

未受診者を完全に把握できているか。

<事務局>

健診未受診者へは電話や訪問等による働きかけを行っているが、対象者全数のうち、1.6健診では80人、3健では204人の状況を把握できていない。

<会長>

早期把握の問題として、早期発見から早期支援へ、どこで見つけるのが有効なのか。

<委員>

子どもが毎日通う幼稚園・保育園で先生方が気づく子もいる。保健所の健診として5歳児健診をやる意味はあると思う。

<委員>

親が子どもに合った育て方を知るためにも、早期の気づきは必要。1歳6か月を過ぎる頃にわかってくる子もいる。療育は3歳位から始められる。将来的・社会的にも大きく関わっていく。

<委員>

1年間発達支援相談を行ったが、相談機関での診断は難しい。継続支援ではなく窓口としての支援である。親御さんも医療機関にかかりたいという希望がある。医療につなぐことが必要。つなげられる診断機関が欲しいと考えている。

<委員>

「がじゅまる」(障害児者の医療を考える会)、「医療機関で働く皆様へ 発達障害のある人の診療ハンドブック」を本日配付した。参考資料として活用願いたい。

<会長>

医師会でもマニュアルのようなものがあれば良い。どこかで使われているところはあるか。入り口のマニュアルがしっかりしていないし、機能していないのでは。

<委員>

現在は作っていない。以前の職場ではチェックシートを診断補助に活用していた。

<委員>

医師会としては作っていない。

診察をするとき、子どもに質問をしたり運動機能を見ている。ADHDが疑われるお子さんには、目を20秒つぶってみることをやってもらうなどの方法を用いている。

鳥取大学の小枝先生による5歳児健診に関する研究がある。問診票の項目をチェックシートとして活用できると考えている。

<委員>

厚生労働省ホームページに「軽度発達障害児に対する気づきと支援マニュアル」があり、チェックリストが載っている。活用できる内容だと思う。

<会長>

子ども発達支援センターにおいてもマニュアルは必要となる。

<委員>

「療育」とくくってしまうが、幅がある。どのような療育を受けるのが適切か、アドバイスと診断+サービスマネジメントが必要。

軽度は一般と大きくは変わらないが、一人ひとりの特性に合わせた子育てが必要。療育部門の類型化が必要。受診する親は子育ての意識が高いが、引きこもりの保護者はちょっとしたことで追い込まれていく。どう支援するかを盛り込んでいかないといけない。

4歳の事例。下の子が生まれ、親は下の子を育てながら障害のある上の子を育てている。ストレスを感じている。具体的な支援をどうしたらよいか。通所にもナイトケアの機能を整備すべきである。デイサービスも大事だが、レスパイトも大事。

<委員>

早期発見=診断ではない。診断よりも親子を支える体制が重要である。

障害児対策は、法的に障害児でないと事業の対象にならない。手帳ありきではなく、障害を認定しなくても支援できる体制が必要。母も診断にこだわらない。

横浜市では保健師の意見でサービスを利用できる(案内する形を取っている)。その後、適切な方法を選んでいく。入り口は敷居を低くし入りやすくして、必要となる他の機関につなげている。

<委員>

1.6、3健、就学時等、子どもによって「なんだかおかしい」と気づく時期が違う。

色々なルートがあるとよい。1対1では分からなくても集団だから分かることもある。幼稚園・保育園の巡回相談は園のサポートのための巡回。

支援機関が園を支え、園が保護者を、保護者が本人を支援する。円滑に学校教育につながるとよい。

5歳児健診のチェックリストは活用できる。

<委員>

委員の網を細かくすることも大切だが、どこの段階で発見されても、気づきを支援に円滑につなげられるようになればよい。

健診だけでは見つけられない。幼稚園とはよく話をするが、保育園も気づきや家族支援の場である。保育園での取り組みはどうなっているか。

<事務局>

保育園の巡回相談は各園に年3回実施している。入園してしばらく経ってから子どもの特性がわかった場合、保護者に特性を認識してもらうのが難しい。

<委員>

保育園の巡回相談員をさせてもらっている。

0歳から上がってくる子もいるが、軽度の知的発達障害の子は気になる子として入園審査を経て入園する。全園にいると思う。年3回の巡回だけで保育士に有効なアドバイスができているかどうか。保育課のニーズに沿って質を高めていきたい。

加配は集団保育に必要だが、加配のシステムに乗せるための児童相談所の判定は母のこころのケアを伴った指導を行ってもらう。巡回相談と加配の支援体制が必要。

<委員>

肢体不自由児も、診断がつかないと療育できないというのは難しいこと。家族のケアと子育てのモチベーションを落とさずにサポートできるシステムが大事。

誰がどのように関わるか。行き先がないのも大変。年齢の問題ではない。

<委員>

家族に話せるのは、学校の先生と幼稚園の先生、保育士だと思う。

<会長>

保健所にうまくつながっているか。

<委員>

幼稚園・保育園の取り組み次第。ことばの相談室は敷居が低い。関係をつくり児の様子を保護者に伝えてからことばの相談室につなげている。

<委員>

行きやすいことも大切だが、キャパシティーが小さい。気づき、フォローし、療育へとつなげていく流れが必要。

<会長>

フォローは保健所だが、入りにくい印象はあるか。

<委員>

保健所、保健センターは一番敷居が低いはずなので、相談、マネジメントができるとよい。桐友学園のようなところは壁がある。親も覚悟して来ることが多い。

子どもの発達の支援は敷居が低いほうがよい。

<委員>

巡回相談に行っている。発達相談、ことばの相談室、育成園外来につないでいる。支援内容として、チームによる関わりを望んでいる。

<委員>

集団・小グループの必要性がでてくる。

<委員>

巡回相談からことばの教室、外来療育、ことばの相談室につなげている。内容はソーシャルスキルができる小グループがよい。

<委員>

小グループの療育は大切。グループと個別の半々が必要。

<会長>

診断がないと療育は受けられないのか。

<委員>

受けることは可能。

<委員>

「障害」ということばがなくても支援が受けられるようになっていくとよい。保護者も自然とその子に何が必要か受け止められる支援が必要。

<委員>

支援が繰り返され、信頼関係が培われていくことで、親と支援機関が離れていかないようにしたい。

<委員>

支援は一元化の方向へ。一元化でありながら個別の対応も必要。マンパワーも大変になってくる。

<委員>

ノーマライゼーションはいいが、新しいセンターで脳性まひ、ADHDの子が同じフロアにいて(安全面等)大丈夫か。ことばはいいが、それぞれにあわせて対応していくことがとても大事。

<事務局>

現在の十余二学園・育成園の機能は、新施設でも分けていくため問題ないと思われる。

<委員>

一元化は22年度初めからか?

<委員>

制度上ひとつの箱に収めるが、それぞれの積み上げがなくなることではない。

<委員>

盲・聾も含めてというのは、現実的には大変。

<会長>

経済的な問題もある。障害種別、特性、年齢に応じた支援の担保の検討が必要である。

今回は、「発達障害児支援のための早期発見、相談・支援体制」についてご意見をいただいた。次回は、「家族支援体制」に焦点をあてて論点整理を行っていくので、よろしくお願いしたい。

(3)当事者の家族からの意見聴取について

<事務局>

「(資料3)当事者の家族からの意見聴取について」説明

<委員>

聞き取りの保護者は母親か。

<事務局>

今回の聞き取りは母親が中心となる。

<委員>

自閉症協会で出しているDVDに自閉症の母の負担度について調査結果をまとめている。聞き取りの内容と答えに母親の苦労についての尺度をつけてもらうと分かりやすい。

<事務局>

今回の聞き取りで、兄弟との関わりでの苦労や受診時など社会の中での苦労もあることをうかがった。

次回審議会で報告をさせていただく。

(4)事務局連絡

午後4時閉会

6 傍聴

(1) 傍聴者

なし