平成20年度 柏市保健衛生審議会母子保健専門分科会第2回会議録

1 開催日時

平成20年12月17日(水) 午後6時30分から午後8時30分まで

2 会場

柏市柏255 柏市保健所小会議室

3 出席者

(委員)11名

小林正之、和田靖之、伊藤政之、喜田善和、小澁達郎、小松崎英樹、

高畑和子、田熊 立、武田紀之、田中 齋、松井宏昭 (敬称略)

(事務局)18名

保健所長、地域健康福祉課長、総務企画課長、保健福祉総務課長、教育研究所長、障害福祉課長、十余二学園長、柏育成園長、他関係職員

4 議題

(1) 発達障害児に関わる関係機関の取り組みの現状と課題等

1.医療機関、医療の現場から

2.専門機関から

(2) (仮称)子ども発達支援センターの概要について

(3)意見交換

5 議事

午後6時30分 開会

(1)保健所長あいさつ

(2)議事

1.発達障害児に関わる関係機関の取り組みの現状と課題等

【医療機関、医療の現場から】

<委員>

日大松戸歯学部附属病院には特殊診療部が設置されており、発達障害者に限らず障害を持つ人たちへの歯科治療を行っている。基本的には全身麻酔で行っており、外来治療がメインである。研修医の指導も行っており、地域でも障害者の歯科治療ができるようにしている。

基本的には、大学病院では患者さんが歯科治療が受けられる状態になるまでトレーニングを行い、地域に戻ってかかりつけ医の先生に診てもらうのが望ましい。しかし現状では協力医の先生方も実際にどのように対応すればよいかわからないという問題があり、患者さんが地域につながらず大学病院に戻ってくる傾向がある。

<委員>

発達障害児と発達障害を持つ可能性のあるお子さんには、早期支援が必要である。松戸市立病院では現在外来で月に約250人を診察しており、その内3分の2の児を自分が担当し、その内14%の児に重度障害がみられている。その中には双子や3つ子、外来受診すらできない重度ケース(視覚障害、聴覚障害、脳性まひ、てんかんなど)もいるため、地域との連携が必要である。

重度障害を持つお子さんの保護者の中には、地域の療育に不満があり、自分でサービスを探して利用している人もいるため、どこかで家族の声を聞くことが必要であると考える。療育はすべての障害のあるお子さんに対して行われるため、市ですべて対応することは難しいと思うが、中間に入ってアドバイスして支援してくれる人がいると(子ども発達支援センターがそれにあたると思うが)スムースになり患者さんの負担も減るのではないか。

また、幼稚園・保育園はハイリスク児を把握するのに一番よい場と思うので、うまく活用して支援体制を整える必要がある。

重度障害児の親が倒れないよう利用できる短期入所施設は、現在東葛地域にはなく、家族の会でつくろうと試みているところなので柏市もバックアップしてくれたら思う。野田市でも施設をつくろうとしている。

このテーマの中で自分は一番重いお子さんを担当し、見ていると感じている。

<委員>

医師会として、通常の診療のほか1歳6か月児・3歳児健康診査、幼稚園、保育園、小中学校の校医として発達障害児と接する機会がある。

通常の診療では、発達障害を抱えたお子さんに対して個々の先生方の判断で柏市の相談窓口を紹介されているのが現状である。校医の場合もやはり個々の先生の判断でアドバイスされているのが現状である。

医師会としては、小児科医を主な対象とした勉強会や、柏市乳幼児保健懇話会の発達障害児小委員会で研修を行っているが、出席者が少ない状況である。

医師側の発達障害に関する認識が異なり、特に軽い症例ほど個々に対する説明が違うため、かえって保護者の不安を大きくする場合もある。したがってどのような場合に発達障害を疑って、しかるべき機関へ相談・受診していただくか、共通の認識を持つことが必要と思う。乳幼児に関わる医師や校医に対し研修が必要と思われるが、実際には全員の出席は難しい。したがって共通の認識を持つには、マニュアルや簡単なチェックリストを使って発達障害の疑いを拾い上げるなどの方法の構築が必要であると思われる。ことばや運動、行動それぞれの障害が疑われた場合、どこに紹介すればよいか、重症度に応じてチャートなどを使ってわかりやすく具体的に示せるとよいと思う。

柏市の「発達の気になる子どもの子育て支援ガイド」は情報源として役に立つ冊子であるが、同じような症状でも複数の紹介機関が掲載されているので、実際の発達障害児の症例にあてはめて、その子をどこに紹介すればよいかがわかるとよい。柏市の直轄以外の療育機関も紹介されているが、それぞれの特徴や活動内容、どのような特徴の子の療育を得意とするか、もう少し詳しい解説があるとさらに便利であると思う。

柏市の発達障害関連のホームページでは、「発達の気になる子どもの子育て支援ガイド」の掲載内容すら十分に網羅されていない。関係機関の情報にもすぐにリンクできるような充実したホームページをつくっていただけるとよい。また、子ども発達支援センターの概要もホームページなどを通じてPRをされたほうがよい。

医師会としては、ホームページやFAXなどで、発達障害に関するタイムリーな情報を会員へ効率的に伝えていくことで全面的に協力したい。

<委員>

小児科開業医の立場から話をさせていただく。発達障害児と一口でいっても、生まれつき身体の障害や明らかに脳の障害がある児もいるが、一般開業医では、入園間際の3歳頃から6歳頃になって他児や親子の関係がうまくいかない、いわゆる「気になる子」の相談を受けることが多い。母としては、日頃関係を築いているかかりつけ医にまず相談をしたい。しかし、小児科専門医は柏市に14~15人しかおらず、その中で小児精神を専攻した医師はいないと思われる。

また行政窓口へ相談をしたとしても、しかるべき相談先に振り分けるスタッフに果たしてどれだけ専門性があるのか。これは柏市だけでなく全国的な傾向である。昔は寺や教会などで相談を受けていた時代もあるが今は不可能であり、小児科医が背負う覚悟をしないといけないが、現状では時間的な問題もあり難しさがある。紹介先もいろいろな情報がありすぎて、医師が判断しないといけない状況である。救急医療のように、まずはここに連絡すればどうにかなる、というようなシステムを構築してほしい。困ったとき医師も保護者も相談できる窓口を一本化し、そこから振り分けを行うスタッフの養成をお願いしたい(新施設の窓口に期待をしたい)。100%の振り分けでなくてもよいと思っている。そうすれば、最終的にどこに紹介すればよいか医師が迷わなくて済む。

また、医師向けの勉強会も必要である。乳幼児保健懇話会の発達障害小委員会の研修は平日の14時から16時で、開業医の参加が難しい。小児科開業医や、乳幼児健診などで乳幼児に関わる機会の多い開業医に対して、年1回勉強会を行えたらと思う。医師が自信を持って母親に関われるよう専門家の話は年1回は必要である。

<委員>

当院における小児期の虐待関連の事例でソーシャルワーカーが関わったものは、平成19年4月から平成20年10月までの期間で入院22例、外来14例だった。生後1か月以内の新生児が22例で半数を占め、2~6か月以内が4例、6か月~1歳1例、1~2歳2例、3~5歳5例、5歳1例、15歳1例だった。新生児から6か月以内に26例と大きなピークがあり、3歳から学童期にもうひとつのピークがある。また、市町村や児童相談所の介入した事例は15例で全体の42%だった。

また、母親が精神疾患もしくは未成年者、両親や家族の問題による虐待ケースは23例、64%を占めていた。

それに対し、児に何らかの身体的な問題があり虐待の誘引になったケースは13例。新生児から6か月までの症例は10例であり、内訳は先天性尿路奇形の合併1例、低出生体重児+奇形合併例1例、低出生体重児3例、双子2組4例、その他(生後1歳5か月でCPAと診断)1例である。そのほか5歳、10歳、4歳が各1例。いずれも児の疾患により、養育者が児の将来や現状に対しての不満から発生した虐待と考えられた。

また、学童期の3例ではダウン症1例、頭痛などの身体症状の訴えの背景に父親による虐待や性的虐待が存在した症例が2例(虐待の後遺症として身体的な症状が出現した可能性が考えられた)であった。

今回の事例では、高機能広汎性発達障害などの理由で虐待を受けた症例は出てこなかったが、水面下で存在している可能性は否定できない。今後も詳細な面談や深い介入を行い早期発見に努めたいと考えた。

【専門機関】

<委員>

特別支援学校の働きと、相談業務の中で感じたことをお話したい。平成19年の学校教育法改正により、養護学校から特別支援学校に変わった。設置者によって異なるが、大まかには在籍児への教育の充実、例えば本校は知能障害をベースとした学校であるが、そのほか聴覚障害、視覚障害、肢体不自由、医療的ケアの必要なお子さんなど、様々な障害を持つお子さんについても教育的に対応していくという内側に働きかける部分と、発達障害のお子さんの支援のノウハウを地域に向かって生かしていく、地域の資源としてのセンター的機能という2つの役割を担っている。センター的機能は他の特別支援学校も同じような機能を持っており、通学区を支援エリアとして設定している。

本校では専任の特別支援教育コーディネーターが4名おり、教育相談専任3名と進路指導担当が1名である。

センター的機能の具体的内容は、

1.相談活動:対象は本人、保護者、地域の方々、保育園・幼稚園・小中学校への支援。相談方法は、電話もしくは来校していただくか現地での巡回相談。直接的な療育や指導は行わず、相談支援のみ行っている。

2.研修活動:本校の研修の公開

3.資源提供活動:教材や支援グッズの貸し出し

4.理解啓発活動

5.関係機関との連携を進める活動

相談を通して感じていることが2点ある。

1つは幼稚園・保育園に行く機会が多いが、保護者がなんとなく心配であると気が付いている場合、専門機関としてはあくまで子育ての心配として相談ができる小児科が勧めやすい。また、保健所の相談は幼児健診などを行っているところということで、保護者にとっても垣根が低いようである。

2つ目は、ある保育園年中児のお母さんが、自分の子が発達障害ではないかと心配し本などもたくさん読んでいたが、よくよく話をすると、母自身にも困り感があり、時間の段取りがうまくつけられず子どもを急かしてしまったり、レストランでアイスを食べていて子どもが「おいしいね、今度また買ってね」と言ったとき、「次回のことはわからない」と答え子どもを泣かせてしまった、どうしてせっかくアイスを買ってあげたのに自分が怒られなくてはいけないのか、と悩んでいる。一つ一つに悩みを抱えてしまう母親なんだな、と思ったとき、子育て支援としてかなり身近に支援者がいないと良い方向に向かわないので、誰かが担わなくてはいけないと感じた。一番親子と接する機会の多い幼稚園・保育園の先生とうまく連携しながら子育てを支えていく必要があると感じている。

<委員>

発達障害者支援センターは都道府県と政令市に各1箇所設置されている。

現在電話や来所で個別相談を受けているが、全国的な大きな方針として、個別支援から機関支援に軸足を移すようにいわれている。個別支援をなくすということでなく、個別相談から生活圏の機関へつながるよう、その機関のバックアップにゆるやかに軸足を移していく。どちらかの機能を落とすことではなく、事例を積み重ねながら機関とつながるということへ移行していきたい。

一番早くに移行したのが柏特別支援学校である。こちらに保護者からの相談があったとき、まず担任へ知らせてもらい、担任からコーディネーターへ伝え、こちらが学校での様子をみて(定期的に学校へ出向いている)再度保護者と相談していくという、機関と三角形で結ばれた形で支援している。

幼稚園巡回をシステムとして始められたので、幼稚園へは巡回相談という形で機関支援を行えている。年度の早い時期に予定していただけるとさらに協力がしやすいので、システムが浸透してとりまとめ等スムーズになるとよい。

保健機関の支援に関してはなかなか介入していくことが難しく、障害児支援ではなく子育て支援の場面でシステムとして何か協力できればと思っている。今のところは保健所の相談事業に従事しているが、結局は直接の個別支援であるので、機関支援としてのつながりをもてるとありがたい。

<委員>

新入園児が100名前後おり、全員私が面接をしている。例年2名位は、その時期の入園は見合わせることを伝える方がいる。また、しばらくは集団にうまく入れないかもしれないが、長い目で見ていこうということで入園を許可する子が10名前後いる。

そうすると、発達障害を持つ子たちがある程度の割合で幼稚園の中に入っていると考えられる。しかし幼稚園は学校と違い、全体としての到達目標を設けていない。あくまでも個人がどのくらい伸びたかということを目安に指導していく。また、時間の使い方もとてもフレキシブルで、その子のやっていることを中断せず弾力的に運営や指導をしている。何かを教える、ということよりも、子どもの生活を豊かにしていこうと、生活習慣、技術、友達との人間関係、気持ちの切り替え方などを生活の中で指導している。そのため子どもたちも幼稚園の中ではわりとうまくやっていけるのではないかと思っている。

しかし小学校は教科を教えるところであり、時間も決まっているため幼稚園のシステムとのギャップがあり、幼稚園ではうまくいっていた子も小学校でうまくいかなくなることもあり、小1プロブレムという問題が出てきている。幼稚園でうまくいっているということが本当にいいことなのか、もっと違った良い対応があるのではないかと、幼稚園それぞれに先生のスキルアップとして勉強会を行ったり、学期に1回の巡回指導や、小学校への情報提供(個人情報保護の点から文書ではなく口頭で)を行い、スムーズに小学校へ上がれるようやりとりをしている。

幼稚園・保育園の就園率は5歳児で92%である。早期発見だけに焦点を当てるならば幼稚園は恰好のフィールドであると思う。家庭ではマンツーマンの関わりやルーチン化された生活のためそれほど問題にならないと思うが、ルーチンではないことも多々起こる集団生活の中で行動観察をすれば、かなりの精度で発見はできるのではないかと思う。しかし、発見だけを目的とすると悲惨な結果を招くだろう。発見よりも、どういう対応をするか、どういう受け皿をつくるかという体制づくりの方が先なのかなと感じる。特に、保護者の受容ができれば問題の半分は解決するのではないかと感じる。保護者はなかなか受容できない。だから体制づくりや色々なPRが必要。そのへんにいるやんちゃな子、ちょっと内気な子が発達障害の境目ということもある。そんなに特殊なことではない、そのような子たちもふつうにみんなと生活していこうというPRも大切と思う。「うちの子は○○です」と話したほうが楽になる、得をする体制づくりが必要と思う。

<委員>

桐友学園は知的障害を持つ子の療育施設である。

施設は柏市の子どもに限定せず、全県ないし障害保健福祉圏域を対象としている。4月1日現在で15名程施設入所している。多くは被虐待児の保護等のため施設を利用しているという実態になっていると思われる。

障害の診断前の子がかなり多い状況の中で療育を行い、幼稚園・保育園に移行していくお子さんと、就学前まで療育が必要なお子さんに分かれる。個別に色々な課題があるので、ことばの問題のある子には言語聴覚士によることばの教室や、感覚機能的なトレーニングの必要な子には作業療法士による指導(1日2人程度)や音楽教室などを活動にとり入れている。

当施設でも発達診断をきちんとできる状況をつくるため、発達心理士による診断や認知知覚的な訓練を中心にした指導を外来やデイサービスの中で実施。

学齢期では、学童保育の課題がある。学校から帰った後は、子どもが非常に混乱する時間であり、夕食までの3時間が家庭にとっては重要である。そのようなこともあって学童保育をやってきているが、関係機関との連携が重要である。柏市には小児神経科医の専門医がいないので、国立成育医療センターや都立梅が丘病院等との関係の中で診断につなげている。できるだけ柏市の中で、小児神経の専門医が中核となり発達障害等の診断とスーパーバイズを担ってもらえるような働きかけをしてもらえれば、と思う。

そして、子どもをはさんでそれぞれの行政機関が連携する療育をシステム化していくことが大事である。

以前地域療育等支援事業があり、行政を含めた関係機関との連絡会議を行っていた。子どもと家族を支援して行くため、まずはしっかり行政的な土台(連携)を作り、その上で具体的なサービス調整を行うケアマネジメントの内容をみていく。そして事業を行うそれぞれの機関が顔の見える連携をとっていくというというしくみが柏市においても必要である。

要保護児童(虐待等)については、柏児童相談所の一時保護を利用するケースが多いが、色々な事情で当施設でも受けている経験から、行政の横の連携が極めて重要であると考える。発達障害を含めた問題であれば、保健センターあたりがキーになりながら、幼児期全体の横の支援ネットワークが重要である。その中で障害福祉課はサービス部門の核になると思われる。

<委員>

発達障害者支援法の改正に関して、発達障害手帳の検討が行われている。また、支援法自体は一言で言えば早期発見・早期支援ということであるが、「早期発見=診断」ということがあまりにも突出しすぎている。医師のマンパワーの問題あるが、保護者に対してのプレッシャーがあまりにも大きすぎる。発達の気になる段階からの支援が大事であるということで検討されている。

障害関係の法律の改正準備が行われており、それを検討するための審議会の報告書の中でも「発達の気になる段階からの支援」と、その中での「家族支援」の重要性が明記されている。

千葉県の障害児支援に関する検討会の報告書がまとまったが、そこでも同じ内容を強調し、「障害児施策」ではなく「子育て支援」「児童施策」であることを書いており、千葉県障害者支援基本計画の中にも書かれることになる。

前回、柏市発達障害者支援体制整備事業について基本的な考え方をお示ししたが、今回は課題についてお伝えする。

出生から始まり、公的な事業では幼児健診の中で気になるお子さんを発見し、そのお子さんは発達相談や十余二学園等の療育機関につながっていく。

重要なのは、その流れに入っていない人たちである。幼児健診未受診者のフォローを行い、保護者とのつながりをもつこと。他市の状況でも、その中に課題を持った人が存在している。

また、幼稚園・保育園は発見の恰好のフィールドである。幼稚園は在園児8000名、保育園は4000名であり、その中で気になる子はたくさんいるはず。つまり、これまでの肢体不自由児や知的障害児のための療育だけでは追いつかない。それに対して対応していかなければならない。公的機関の相談・療育を多数の人が利用しており、その機関の能力を超えている。おそらくまたこれ以上に増えることが考えられるが、どう対応していくかが課題。

幼稚園・保育園については、専門家の巡回により先生方の支援、園の支援が重要である。保護者にとっては、できるだけハードルの低い保健センターや発達支援センターのほうがよい。

また、学校だけでなく、こどもルームを利用するお子さんも非常に多く、学齢期における支援も重要である。

課題としては、

  • 幼児健診対象者の1割が未受診であり、フォロー体制の構築が必要。
  • 途切れのない支援のためには、個人情報の扱いについて検討が必要。
  • 公的機関の外来は早期支援や発達障害の対応に特化すべきである。
  • 慈恵医大に専門医を是非お願いしたい。
  • 5歳児健診は重要な検討課題である。
  • 桐友学園等の民間療育機関の充実をはかり、連携をとっていくことが大切。

また、相談窓口の一本化はわかりやすいが、保護者にとっては色々なチャンネルがたくさんあったほうが行きやすい。それを束ねられるような連携をつくれるとよい。子ども発達支援センターに期待したい。

2.(仮称)子ども発達支援センターの概要について

22年4月にオープン予定の総合的な保健医療福祉施設の中に入る。

従来の保健所・保健センター機能、ことばの相談室機能、十余二学園、柏育成園の機能を含める。歯科医療では、障害児だけでなく高齢者も含めた診療を行っていく。十余二学園・育成園の機能を強化し、従前の療育だけでなく保健、医療、福祉、教育の多分野のスタッフによる子どもの総合的な発達支援をトータルに行なっていく。

提供するサービスとしては、継続的な相談、プラットホーム的相談(支援機関が連携をとっていくために、コーディネートする機能)。相談は、クライアントがセンターに来所・電話する固定式と、個々の家庭への訪問及び保育園・幼稚園の先生支援の充実を図る巡回式の形式で行う。

療育事業は、十余二学園・育成園の通園児だけでなく、契約外児童も引き続き対象としていく。

具体的なイメージとしては、低体重児支援や幼児健診等を担う保健所との連携を図っていく。教育機関との連携については、組織としては教育委員会の業務ではあるが就学相談等も同じ施設の中で行っていけるとよいと考えている。

具体的なことを検討する中で、コーディネーター、医師、臨床心理士等の人材の確保(社会福祉法人やNPOと連携も含めて考えていく)や、学齢期の支援等今後詰めていかなければいけない事項がある。

3.意見交換

<会長>

各委員より、今後の方向についてもお話いただいた。

分科会の最終目的は「発達支援機能の整備」「協働し合う連携体制の整備・組織づくり」がメインだと思う。機関によってかなり考え方や発想の違いがあるが、どのように整合性を持たせ、保健所の今後の方向性に寄与するような方針ができるか。

色々な問題点がある中で、早期発見が一番重要であろうが、その後どうフォローしていくか、あるいは早期発見の手立てとしてマニュアルの必要性、新生児からの対応とその後のフォローをどうしていくか。

家族が困ったときにどう支援するかが、柏市ではまだ確立できていない。

<委員>

子ども発達支援センターの位置付けによって、どう機能するかがかなりかわってくる。一番懸念しているのは、開設までにコーディネーター、医師、臨床心理士を本当に確保できるのか。ただでさえ小児科は不足しており、柏市立病院で小児科を開設できない状況である。確保できても、相談日が限定されていれば結局何か月も待たされることになる。

相談者数を在園児12000人のうち約5%600人と見積もると、例えば週2回の相談日では全然足りない。国府台病院は全国から研修医を15、6人集めている。数年先を見越すと有効である。人材確保に向けて今から動く必要がある。

<委員>

早期発見・早期支援の方法は明確である。ポイントポイントでどうするか。公的機関がすべて担うのでは無理がある。子ども発達支援センターは民間を指導する機関となればよい。医師はたくさん必要ではなく、核になるところで必要。幼稚園・保育園の先生は困り感等を助ける役割を担える。

<委員>

母親支援が重要。お子さんの診察は10分で終わるが、お母さんとの話に1時間以上かかるケースもある。幼稚園・保育園の先生はお子さんに関する支援はできるが、母親支援をどこまで担えるか。

<委員>

母親が受容できれば半分解決したようなものであるが、そこが一番難しい。

<委員>

母親支援では、母親の気持ちを受け入れて理解しなくては、こちらのアドバイスは受け入れてもらえない。それを幼稚園・保育園の先生だけが担うのは難しい。

<委員>

しかし実際今幼稚園でそれをやっている。やっているという自負はあるが、時間をかけて納得してもらうのに先延ばしにしているという後ろめたさも感じている。対応はやはり早いほうがよいが、焦ると取り返しのつかないことになる。そのあたりのアドバイスをしてもらえる人がいれば、と思う。

<会長>

実際問題として医療が関与できる問題は少ないと思う。アドバイザー的な立場は担えるかもしれないが、療育機関に任せていかないと無理がある。診断精度を上げていくこと自体はあまり意味はない。

<委員>

育児支援では、子どもを支えるのと家族(特に核となる母親)を支えるのとでは、重要性はどちらも同じだがお母さん支援が実は大変である。医師でなくても、育児に精通しているボランティアの力も借りたいくらいである。

<委員>

要保護児童のプロセスをみていくと、子育てそのものも課題が多くなってきている。発達障害以前の一般的な子育て支援、親支援の問題があり、話を聞くだけで支援になるかというと多様な問題があり、子育て支援センターや色々な機関ともっとネットワークを結び、ハイリスク児をつないでいけるようなシステムが必要。

<会長>

どこかで途切れてしまうことがないように、系時的に、経過を追って関わっていくことが一番大きな問題である。

<委員>

県も国もライフステージをとおして切れ目ない支援といっているが、母子保健のシステムにどこまでの対象が含まれるのか。就学前までか、あるいは18歳までの児童期全体の中で仕組みを考えるのか。

<会長>

本来的には18歳位まで含めなければいけないと思う。社会が複雑になり、中学・高校位の時期に危険な状況になることも考えられる。

<委員>

就園前の乳幼児期に、ハイリスクの母親に育児支援として介入していくことも大切。色々な人が関与して早期発見につなげていくことで、早期の発達支援にもつながる。低体重児の支援は法律で義務付けられているが、それ以外でも色々な問題があると思われる。どう関わっていけるか。

乳幼児の育児支援から入り発達支援につながっていくという形が一番理想的である。

<委員>

集団活動の中でないとなかなか問題がみえないことがある。5歳児健診も有用かと思う。

<委員>

3歳児までに関わるシステムはどのくらいあるのか。

<委員>

乳児健診と普段の診察程度である。

<委員>

保健師がどこまで関わり、幼稚園・保育園にどうつなげられるか。5歳児健診から就学につながるとよい。

<会長>

特別支援学校では、どのように関わっているのか。

<委員>

学籍のある子は毎日登校している。相談機能としては、学籍のない児を対象としている。在籍児童は小中高で220人。児童数は増えている。小学校は10年前は40人弱であったが、今年は約80人。知的障害をもつ特別支援学校・特別支援学級の在籍児童が増えてきている。全体的な子どもの数は減っているのに、なぜそこだけ増えるのかわからないが、療育手帳を持つ児も増えている。

<委員>

低出生児が増えており救命率が上がっているためではないか。

<委員>

東松山市では、通園施設をなくして地域全体で障害児を支え、従来の通園施設はデリバリーで相談機能を担っている。

柏市はきちんとセンターを作り、デリバリー機能を持ち地域全体の発達障害を含めた療育支援の仕組みを考えていただきたい。

<会長>

柏市のセンターは総合的に色々な機能がミックスして入ることになっている。センターをベースにして広い支援体制をつくっていかないといけない。

<委員>

手帳取得者の資料があったが、取得年齢はわかるか。手帳取得の低年齢化が進んでいるが、手帳を持つまでの間をフォローできないか。

吹田市は1歳6か月、2歳6か月、3歳6か月の歯科健診と、就学児健診を行っている。むし歯が多いケースは保護者が子どもをきちんとみていない場合もあり、虐待の発見につながることがある。取得時期のデータや過去のデータを合わせるとそのあたりもみえてくると思う。

<障害福祉課>

手帳については18歳未満の大枠のデータしかない。取得時の年齢は詳細の統計をとっていない。今手帳を持っている人の年齢を出すには、電算のシステムを変えなければならないので難しい。手帳を持っている人が多くなっているのは確かと思う。医療の進歩で、救命率が上がっていることにもよると考えられる。社会的にも理解が高まってきて、手帳を持つ人が増えている。

<委員>

診断をしている側だが、この30年で患者の権利意識が高くなっている。メリットがあるなら申請をする、というのが現実。以前は3歳以降に診断書を出していたが、今は早期療育のため比較的早い時期に出しており、一番早い子は1歳で診断書を書いたこともある。

<委員>

虐待に関する本を持ってきた。杉山登志郎著書「子ども虐待という第四の発達障害」を紹介。

(3)事務局連絡

午後8時30分閉会

6 傍聴

(1) 傍聴者

1名

(2)傍聴の状況

傍聴要領に反する行為は見受けられなかった。