平成20年度 柏市保健衛生審議会母子保健専門分科会第1回会議録

1 開催日時

平成20年11月19日(水曜日) 午後1時30分から午後3時30分まで

2 会場

柏市柏5丁目10番1号柏市役所第2庁舎5階 第5・6委員会室

3 出席者

(委員)9名

小林正之、和田靖之、伊藤政之、喜田善和、小松崎英樹、高畑和子、武田紀之、田中 齋、松井宏昭

(事務局)22名

保健福祉部長、保健所長、地域健康福祉課長、総務企画課長、保健福祉総務課長、十余二学園長、柏育成園長、保健センター長、他関係職員

4 議題

(1)柏市発達障害者(児)支援体制整備事業実施報告書の概要

(2)柏市の発達障害児対策の現状と課題について

5 議事

午後1時30分 開会

(1)委嘱状交付

(2)保健所長あいさつ

柏市として発達障害児(者)の支援と対策が求められており、松井委員の研究やご指導をいただきながら進めているところだが、母子保健分野での発達障害児支援の早期発見・相談支援・家族支援体制を整備していくために、10月20日に柏市保健衛生審議会に諮問をしたこと、審議会会長の小林委員にも相談をさせていただき、分科会を設置して委員の皆様に審議をしていただくことになった。

審議していただいた内容で、取り組むべきものは早急に取り組み、検討が必要なものについては皆様と一緒に考えていきたいと思っている。

よろしくお願いしたい。

(3)委員自己紹介

(4)議事

1.会長・副会長の選出

会長には小林委員、副会長には和田委員が選出された。

2.柏市保健衛生審議会母子保健分科会の進め方(地域健康福祉課長)

資料「柏市保健衛生審議会母子保健専門分科会の進め方について」に沿って説明。

3.柏市発達障害児支援体制整備事業報告書の概要(松井委員)

4.柏市の発達障害児支援対策の現状と課題について(事務局)

5.意見交換

<委員>

1歳6か月児健診、3歳児健診受診後の発達相談を250~300名が利用しているということだったが、幼稚園では11月に入園のための面接を毎年90名に行っている。まだ集団生活が難しいのではないかとか、もう少し人数をかけて指導してくださるところのほうがよいのではないかという子が毎年1人から2人いる。集団生活をするには時間がかかるとか、ほかのお子さんと同じようにできるにはもう少し時間がかかるというような話をする子が7~8名はいる。もちろん受け入れはするが、気になる子は7~8名、1割くらいはいる。3歳児・1歳6か月児健診時に1割くらいは気になる子がいるのではないかと思うが、保護者とどのような話をするのか実際の様子を伺いたい。

<事務局>

1歳6か月児健診では言葉の遅れが主訴で相談にくるが、親子の関わり方のアドバイスで、障害の話題は出さない。初回で出すと保護者がショックを受けて相談に結びつかないことがあるため前向きな表現で伝えている。2歳半で話をしてほしい、3歳では二語文が出てほしいと伝え、到達しなかった場合は心配があると説明している。後日他の者が確認すると「大丈夫と言われた」と受け止めていたということもあり、保護者への伝え方についてはこちらの反省点でもある。

3歳児健診では半数が入園前に健診を受診する。10月から3月まで来所する児は入園が決まっている場合が多い。

<委員>

資料で1歳6か月児健診176人(5.6%)、3歳児健診では216人(8.6%)が発達相談を利用しているが、これは精神発達だけでなく運動発達の心配のある児も入っているのではないかと思っている。健診には15人くらいの医師が交代で6~7回出動している。そのとき心配と思える児は少ない。その前に保健師の保健指導がありフィルターがかかるので、医師に相談したい人が来る。行動についての相談は意外に少ない。歩くときに転びやすいとか、疾患の相談が多い。実感だが小学校に入学するとクラスの中に問題になる子が1人や2人はいるので割合としては意外と高いと思う。幼児健診のときに引っかかるかどうかというと母親の意識をもって相談に来ていないのではないか、また人数が60から80人来所するのでじっくり話をする場ではなく、ゆっくり相談できないのではないか。

9年前に開業した時に医師会で説明を受けたが、言語発達や精神発達で困ったときにどういうルートで、どういう相談ができる窓口があるということをまったく説明を受けることができなかった。各小児科医もそうだと思う。今日資料を見て、システムがこうなっていたことをはじめて知った。窓口としてどこに相談したら一番手っ取り早いのか、縦割りの感じもあるし、新センターの窓口と地域健康福祉課とのすみわけはどうなっているのかわかりにくい。小児科医がまずそういうシステムを理解しないといけない。そういう研修の場を作っていただいて、医者の意識を高めることが大切と思う。

<委員>

鳥取県では5歳児健診を実施しているが、受診者の9.3%に学習障害などの発達障害の疑いがあるというデータが出ており、その半数以上は3歳児健診では指摘されなかった。3歳児健診では問題が見つからなかった児で5歳児健診で見つかる場合もある。今回は1.6健診と3歳児健診の話だが、将来的には5歳児健診も実施したほうがよいのではないかと思う。また杉山登志郎先生が「子ども虐待という第四の発達障害」という本を書かれている。柏市の資料(資料2 柏市の発達障害児支援の取り組み状況P7、9)では保護者からの相談の1.1%~1.4%は虐待に関する内容が出ているというデータがある。保護者からの訴えでしかないため数値的にはこのくらいで、データをもっと集めることが必要と思った。県の歯科医師会は健診による児童虐待の早期発見の対応について行っているが、こういう問題も考えていったほうがよいのではないかと思う。

用語として2007年の発達障害者支援法の施行にて、「軽度発達障害」(資料2 柏市の発達障害児支援の取り組み状況P24)の「軽度」は使わなくなったと思う。

先日、香川県の特別支援学校の養護教諭を対象に、医療講座を持つ機会があった。特別支援教育については、特別支援学校はもちろんのこと、高等学校においても適切な対応をすることが求められている。そこで、高等学校の養護教諭に意見を聞いたところ、特別支援学校の対応事例は基本的にとても参考になるが、高等学校に進学してくる、いわゆる知的レベルの高いながらも何らかの発達障害を有している、特別な支援を必要とする生徒に対して、具体的な対応策を検討していくことが喫緊の課題となっているとのことである。

<委員>

この審議会では、発達障害児支援法に基づく発達障害児を対象とした議論に限局するのか、発達期にある子ども全体の障害について検討していくのか。今日の市からのいろいろな説明の中で、部署によっては支援法の発達障害に限局して話をされる、そうじゃないところはグローバルに話をされる、このへんがどうなのか疑問になったので確認をさせていただきたい。

<事務局>

委員のおっしゃった後者である。母子保健というところのスタンスから入っている。すべての子どもたち、先ほども皆さんの話にあった“気になる子ども”、発達障害の子だけでなく私たちの分野はさまざまな子どもたちを対象としている。柏市役所の中では母子保健を担当する主管課としてそれに対して責任を持って対応したいと考えている。

<委員>

だとすれば新生児、未熟児の関係で見るとNICUの対象の方がどのくらいいるのか、身体の障害のある方、聴覚・視覚障害のあるような方が一体柏市の中ではどういう状況になっているのかということについてはぜひ情報提供いただきたいと思う。

<委員>

いわゆる今まで見逃していた患者さんたちに対して手を差し伸べるというテーマと、もう一つすごく重い患者さんも実はいる。その子たちをどう柏市として応援できるか。今実はいろいろな施設に通っている方がいる。一番重症なのは、在宅支援で少しは動きやすくなったが病院にすら通えない人がいる。重度の患者さんも入れていただければと思う。そうすれば発達障害の全体像が見えてくると思う。

<事務局>

次回、それぞれの委員さんから今のことをもう少しふくらませてご意見をいただきたいと思っているので、ぜひ課題提供や情報をいただき、私たちが把握できているデータなどはぜひ提出したいと思っている。

<委員>

柏市発達障害者支援体制整備事業報告書のエッセンスのところだけしかお話していない。委員の先生方や市役所の方にもぜひ読んでいただきたい。第1章の20ページまでは基本的な市役所の取り組む話がそれがどう動いていくか私たちの中で書いているので、課題と提案の部分をぜひお読みいただきたい。

(5)事務局連絡

次回会議の日時、内容について説明

(6)閉会(木村保健福祉部長)

今日をふくめて6回審議していただくわけだが、それぞれの委員の先生方の立場や専門の部分から具体的で生々しい提案をだしていただければありがたい。担当課長からもあったが、この審議会は母子保健という中で、今最も課題となっている発達障害、データにもでてきているが子どもが少なくなっているのに言葉の遅れが右肩上がりになっているのは何なのか、専門的な分野であるが、いずれにしても発達障害をとらえたときに新たな障害のとらえかたがでてくるのかと思う。

すべての子どもが育っていく環境にも続いていくわけであるから、大変重要である。したがってひとつの授産施設、施設の中に子どもたちを入所させる時代では基本的にはないと考えている。そういう意味では在宅、住み慣れた地域の中で成長していく、国のモデル事業をやっていただいた松井さんがいらっしゃるので、いままで到達した方向性でぜひ柏市の障害児施策、教育そのものの中に、そして市の行政そのものの中に取り込んでいければという希望を持っている。

具体的にどこまでいくかはわからないが、先生方と我々がもっと議論していく中で作っていければいいかと思っているので、今後期待をしている。

総合的な施設には子どもを中心とした総合相談支援体制が組める状態にある。そこにソフトの部分を入れていくねらいもここにあるのでぜひよろしくお願いしたい。

午後3時30分閉会

6 傍聴

(1)傍聴者

1名

(2)傍聴の状況

傍聴要領に反する行為は見受けられなかった。