平成23年度第1回柏市都市計画審議会会議録

1 開催日時

 平成23年11月22日(金曜日) 午後1時30分から午後3時30分

2 開催場所

 柏市柏5丁目10番1号
 柏市役所本庁舎5階第5・第6委員会室

3 出席者

 (委員)
 丸田会長、落合委員、花島委員、福士委員、小島委員、山内委員、中山委員、泉委員、菊田委員及び日野原委員

 (事務局)
 都市部:都市部長吉川、都市部技監澤、都市部次長兼都市計画課長岩崎、中心市街地整備課長鈴木、他7名
 土木部:土木部次長兼下水道整備課長石井、下水道整備課副参事市原、他2名

4 議案

(1) 柏都市計画下水道の変更について
(2) 柏都市計画高度地区の変更について
(3) 柏都市計画地区計画の決定について(柏の葉五丁目西地区地区計画)
(4) 柏都市計画生産緑地地区の変更について

5 議事(要旨)

 全4議案の審議を行いました。
 審議の結果、議案第1号から議案第4号まで全会一致で原案のとおり可決されました。

議案第1号 柏都市計画下水道の変更について
 今回の変更は柏ビレジ調整池施設の老朽化に伴う改修工事を実施するための施設の追加と一体的な雨水施設の排水機能を下水道事業で維持、管理していくための雨水区域の追加を行うものです。
 また、上記と合わせて、旧柏市と旧沼南町の雨水排水区名称において、異なる排水区に、同じ排水区名称が使用されている排水区があること、排水区名称の番号の付け方が旧柏市と旧沼南町で異なっていたこと(旧柏市では下流から、旧沼南町では上流から番号を付けていた)から、事務手続き上の混乱を招いていました。このため、今回の変更において、一部排水区の排水区名称を柏市の番号の付け方に変更します。
 縦覧期間は平成23年11月1日から11月15日まででございます。縦覧者は無しでございます。意見書の提出はございませんでした。

議案第2号 柏都市計画高度地区の変更について
議案第3号 柏都市計画地区計画の決定について
 柏の葉五丁目西地区は、東京大学柏の葉キャンパスの西側に面し、地区をとりまくように柏サイエンスパークとして、区画整理事業及び地区計画による、計画的なまちづくりが進められています。
 また、地区周辺には千葉大環境健康フィールド科学センター、国立がんセンター、東葛テクノプラザ、東大柏ベンチャープラザなど、学術・研究機関等が集積し、「産・学・官」連携による新産業創出拠点作りが進められています。
 周辺施設を含めた地域として不足する機能を補完、充実させる施設を誘導するとともに、隣接する市街地と連携した計画的な土地利用の誘導を図るため、高度地区の変更、地区計画の決定するものです。
 縦覧期間は平成23年8月1日から8月15日まででございます。縦覧者は1名でございます。意見書の提出はございませんでした。

議案第4号 柏都市計画生産緑地地区の変更について
 生産緑地地区は、市街化区域内において農地等を計画的に保全し、良好な都市環境の形成に資することを目的として指定しています。
 生産緑地地区として指定された農地等は、行為の制限を受けます。
 しかし、生産緑地地区の指定後30年、または、農業の主たる従事者の死亡、農業に従事することが不可能な故障等があった場合、土地所有者は市町村長に対し、生産緑地法第10条の規定により、買い取り申し出をすることができます。
 この買い取り申し出が行われ、地方公共団体等で買い取りができない等により、申し出後3ヶ月以内に所有権が移転しない場合は、同法第14条の規定により、行為の制限が解除されます。
 今回の案件は、以上の買い取り申し出による変更を含めた、次の4つの理由から都市計画の変更を行うものです。
1 買い取り申し出による行為制限の解除に伴う変更
2 生産緑地地区の一部が公共施設等の敷地に供され、生産緑地としての機能が失われたため、一部廃止するもの
3 測量による地積の確定に伴う変更
4 土地区画整理事業による仮換地指定及び使用収益開始に伴う変更

 変更理由別生産緑地番号一覧表

変更理由等

生産緑地番号

備  考

買取申出による行為制限の解除に伴う変更

一部廃止

65号、208号

全部廃止

207号

公共施設等の敷地に供されたことによる変更

124号、182号

測量による地積の確定に伴う変更

254号、262号

仮換地指定及び使用収益開始に伴う変更

469号、470号、
476号、477号

470号の一部を476号に分割、
469号及び477号を476号に統合

 縦覧期間は平成23年11月1日から11月15日まででございます。縦覧者は1名でございます。意見書の提出はございませんでした。

6 主な質疑応答

議案第1号 柏都市計画下水道の変更について
 質疑応答はなし。

議案第2号 柏都市計画高度地区の変更について
議案第3号 柏都市計画地区計画の決定について 

  • 地区の形状と土地利用について

委員:地区東側の市道の構成と幅員は?
事務局:歩道2.5m、植樹帯1m、自転車道2.5m、自動車5m、ですので、両方向で22mです。
委員:当該地は住宅地等として活用される可能性があると思いますが、概ね(東西方向は)どれくらいの幅がありますか?
事務局:広いところで東西方向50m弱の土地です。戸建住宅の計画の場合いろいろな区画割りが可能です。当地区東側の22m道路は車の出入りを制限していますが、区画道路をつくれば問題なく土地活用ができると考えています。

委員:柏の葉3丁目地区地区計画を過去に審議したことがありますが、その土地と同様の土地利用が想定されますか?
事務局:はい。柏の葉3丁目は戸建て住宅地になっておりますが、小さな面積であり市としては国に基本的に任せておりましたが、国としても戸建て住宅地を誘導したいとのことでした。
 今回の区域は東側に東京大学、西側に住宅地が立地しているので、そのクッションになるようなイメージで地区計画の内容を定めています。
 5年近く前になりますが、当時の調査では駅付近にマンションがある上に当該地は駅から遠いためマンションの需要はないが、戸建てならば十分需要があるとの結果でした。
 また、こちらの地域は付近にサービス施設がないので、できれば学生や研究者等が少し夜に買い物ができるような施設や彼らの住居を誘致したいことを国に伝えてはいました。
 近年、財務省と地区計画の内容について協議が整ったので指定の手続きにいたりました。

委員:この土地が戸建て住宅街になった場合は何戸くらいできますか?
事務局:150戸ほどです。

  • 車の出入り口の位置の考え方

委員:車の出入り口の位置の考え方についてですが、ただし書きで8戸以上を有する共同住宅の敷地については適用しないとあります。万が一このような建物が建ち並ぶ出入り口がたくさんできた場合、自転車利用者の安全性に問題はないですか?
事務局:この土地は駅まで遠く、駐車場が必要になります。仮にただし書きのような建物が連続する場合、たとえ異なる所有者の建築物でも、2棟ごとに出入口を一箇所計画するなどして数を減らすよう指導してしていきたいと思います。
 通常の住宅が約10m間隔であるのに対して、共同住宅は一棟につき、道路に面して30mほど敷地が必要です。戸建てに比べて倍以上は間隔があきます。

  • 壁面後退について

委員:壁面後退についてですが、道路や隣地それぞれ2mセットバックするのですか?
事務局:すべての道路や隣地から壁面後退が発生するわけではありません。図に示している指定した壁面線から後退が生じるものです。例えば新しくつくった区画道路から壁面後退を行う必要はなく、区割りした敷地の隣地境界からの後退も不要です。

  • 近隣地域の保留地について

委員:留保地の1も住宅地で開発する予定ですか?
事務局:市のほうでは、東京大学が購入する予定との話は聞いています。造成計画等の協議をした経緯はあります。

委員:保留地3は処分金額はいくらでしたか?
事務局:分譲住宅の売値は4000万円超でした。

委員:もともとの留保地は保留地1から4の4箇所ですか?
事務局:1から3はもともとの保留地ですが、4は異なります。もともと自衛隊の送信所で付随していた移動地で、いらなくなってもともとあった留保地1から3にくっつきました。
 現在の東京大学の敷地はもともと保留地1です。当地域も含めて送信所跡地だったが、21m道路の計画によって分断される形になりました。

委員:留保地2は市が財務省に働きかけて、交渉してきたのですか?
事務局:どちらかというと、財務省から土地利用についての相談がありました。

委員:売買金額は高いのですか?
事務局:金額はわからないですが、最低価格を提示した上で競争入札であると聞いています。
委員:以前は一般的な市場価格の3分の1くらいの金額だと思いますが、近年は国も財政状況が変わりもっと高いのかもしれません。

  • 地区計画の制限内容の考え方について

委員:地区計画はたくさんありますが、もう一歩進んだ内容が定められるといいと思います。ドイツのように、敷地計画、店舗、住宅の向き、公園の必要性などを検討して、細かい点を具体的に図示することができるようになるとよいです。また、敷地に既存の大木があれば保全するなど、緑の保全等の計画も考えた内容も大切です。全国的にもありませんが、条例にもちこめれば、最良の地区計画になります。
委員:柏市には約30地区ほど、全国で4000位地区計画があるが、全国的にそのような地区計画はない。
 当該地は短冊形の扱いにくい形状なので、ただ土地を埋めるだけになると、乱雑な街になってしまうので、そうならないようにしなければなりません。
事務局:処分について意見を求められた時には、都市計画道路に面した部分には地域に根ざしたサービス施設が必要なので、都市計画道路に面していない部分と分けて保留地の処分ができないかとお願いをした経緯はあります。ただ、財務省としてはあくまで一括処分する方針でした。
 開発行為等であれば市の手続きを踏みますのでその際には、サービス施設や街並みについて事業者と交渉したいと考えます。

委員:このような開発が進むにつれて、緑が減少してきていると感じています。そのあたりも考慮してほしいです。
委員:景観の会議からこのような意見がでてくるといいのですが。ドイツ、スイス、スウェーデン等は街並みがきれいだが、それには理由があるのです。地価が高いのもわかるが、人口減少が進む中、いい街をつくることが必要になってきます。横浜でさえ空き家がでてくる状態です。これからは、一歩先を見据えなければいけないと思います。

議案第4号(柏都市計画生産緑地地区の変更について)

  • 買取申し出について

委員:買取申し出があったことはありますか?
事務局:市のみならず、県等その他の機関にも照会をしているが、買取の申し出はこの3年間はありません。

  • 公共施設等について

委員:先ほど電力会社の鉄塔は公共施設等に該当するとの説明があったが、公共施設等の敷地とは他にどんなものがありますか?
事務局:電気事業法による一般電気事業、社会福祉法による社会福祉事業すなわち私立保育所等も該当します。土地収用法の第3条の各号に掲げられているものです。
 他に航空法にかかわるもの等、ライフラインに係わるものが公共事業に該当し、行為制限解除の対象になります。

  • 都市計画審議会に諮る時期について

委員:公共施設の場合は計画の相談が早い段階にあると思います、もう少し前に会議にかけることはできないのですか?
事務局:生産緑地地区指定解除の申し出は、年間を通じてそれぞれ個別のタイミングです。法律上、行為制限の解除は都市計画審議会を経ずに行うことができます。審議会の時点では都市計画決定の変更の事務手続きのみになってしまい、委員の皆様には大変申し訳ありませんが、逐次開催は難しいです。 

委員:決まっているから承認してくださいという話だけであり、意見を述べようがありません。もう少しいい方法はないですか?
事務局:以前もそのような意見を丸田会長のほうからいただきました。生産緑地は市街地の緑地または空地を担保する意味合いを考慮して、廃止の申し出があった場合は買取や公園に転換できるよう関係課と協議していきたいと考えます。また審議会への諮り方についても検討いたします。

  • 生産緑地指定解除後の活用について

委員:生産緑地は緑を保全する意味もあるのではないかと思います。誰もが使う公園にするというのならばわかるのですが、一部の人が利用するゲートボール場にするのは、釈然としないのですが。一部の人が使うものも公共施設等として考えるということでいうことなのでしょうか?
事務局:議案資料の9ページをごらんください。今回ゲートボール場に利用される土地の隣に、豊四季庚(かのえ)塚緑地という緑地公園があります。この緑地公園と連携して利用し健康系の活動を行いたいと地域からの声もありました。これに地主の理解が得られたので、生産緑地の一部を地域に提供して、廃止するものです。
 最初のご質問にありましたように、生産緑地は生産する緑地すなわち農地であり、普通の緑地ではありません。生産緑地地区を指定した当時、都市部で宅地化を行う農地と宅地化を行わない農地に分けました。
 長期的に農地として続けていただけるところは生産緑地として30年間、農地を続けてもらうことになりました。
 税制3法改革によって長期営農継続農地に係わる納税義務の免除制度が廃止された経緯があり、代替で元々都市計画にあった制度を活用して農地の税制優遇をしようとする側面もあります。
 市街化区域内の農地を経営する人が生産緑地地区の指定を受けています。ですから世代交代や体が不自由になって農業ができない場合等の理由で、農地として維持できない場合、買取申し出ができることになっています。
 また、都市の中の貴重な空地であり、緑地や延焼防止のための防災上の空間になります。
 今回のケースは緑地としては残らないですが、防災機能は残ります。解除してもできるだけ、空地として確保できるようにしておきたいと考えております。
委員:生産緑地は将来宅地として利用することを前提に、土地を暫定的に農地と活用しているので、どうしても(担保性が)弱くなってしまいます。

  • 都市計画道路との関係について

委員:生産緑地区地区内に都市計画道路の計画があり、事業がすすまないケースがある。あらかじめ生産緑地を避けて都市計画道路を指定することはできないのですか?
事務局:地主が交渉に応じない場合等は別ですが、都市計画の観点では事業が優先されるので、生産緑地は元々都市計画道路を整備する担保としても考えられます。
 多くの場合道路の都市計画決定のほうが生産緑地地区の指定より先に行われております。

委員:そうでないところもあるが。
事務局:区画整理等では、確かに生産緑地のあとに都市計画道路を指定する場合もあります。
 平成4年に初めて生産緑地の指定を行いました。都市計画道路が指定されている土地に、生産緑地を指定する際には、地主の方に将来道路用地としてご協力いただく旨を認識していただいたうえで指定しています。将来の公共用地を生み出すのも目的の一つです。

委員:現実には、農業従事者がいなくなるまで道路が事業進行しない等の声を聞いています。
委員:事業を行う際に用地取得のために公共側がどのような姿勢を見せるか、それにも問題があると思います。

  • 税制について

委員:生産緑地の税金は一般的にどれくらいですか?生産緑地に指定されている時は税金優遇を受け、解除されたら宅地として売買することに矛盾を感じます。
事務局:ある地区ですが、0.7円/平方メートル、隣地の市街化区域は110円/平方メートルであり、約100分の1です。
 (生産緑地地区の解除により)ある時点で急に資産の評価が上がるのは制度上おかしいのではないかという意見をいただくことはあります。
 ただ、都市計画の決定上はその期間その目的のために使用していたかどうかで評価するので、指定されている期間に耕作がされていれば制度の趣旨にあっています。また、農業従事者が農業ができる状態である限りは、30年間は生産緑地として続けなければならないという制限があります。その上で成立している税金の優遇です。

委員:所有者は、(生産緑地の指定が解除されると)生産緑地に指定されていた期間の分の税金の差額を、遡って納めなけばならないと考えている人もいます。その必要がないことは伝えていかなくてはならないと思います。

7 傍聴

 (1)傍聴者  4人
 (2)傍聴の状況
 傍聴要領に反する行為は、見受けられなかった。
 以上