平成20年度第5回柏市都市計画審議会会議録

1.開催日時 

 平成21年1月30日(金曜日) 午後2時00分から午後4時30分

2.開催場所

柏市役所 第2庁舎3階 庁議室

3.出席者

(委 員) 丸田会長、落合(実)委員、木村委員、髙辻委員、花島委員、福士委員、成島委員、山内委員、倉岡委員、落合(富)委員、菊田委員、深野委員、留守委員

(事務局) 

都市計画部:日暮部長、結城次長

都市計画課:後藤課長、奥山副参事、染谷主幹、小野副主幹、

野口副主幹、遠藤副主幹、関口主事、小笠原主事、寺崎主事

4.議題

(1) 議案第1号

柏都市計画地区計画(加賀地区)の決定について

5.報告事項

(1) 柏市都市計画マスタープラン(素案)について

6.議事(要旨)

 議案第1号を審議し可決。

柏市都市計画マスタープラン(素案)について報告。

議案第1号

 柏都市計画地区計画(加賀地区)の決定について

  本地区は、東武野田線増尾駅西側に位置し、昭和40年代の宅地開発による計画的に市街地整備がされた約31haの区域である。 しかし、市街地整備から40年余りが経過し、地区内において小規模な開発行為や空家が多く見られ、市街地環境の質の変化が生じてきた。今回、都市計画法第16条第3項に基づく柏市地区計画等の案の作成手続き条例第4条による地区計画の申出制度において、関係権利者から申出書が提出されたことに伴い検討した結果、良好な住環境を将来に渡って保全する内容であったため、本案のとおり地区計画を決定するものである。

 平成20年11月7日から11月21日までの間、地区計画(案)の縦覧を行った結果、意見書の提出はなかった。

≪主な質疑応答≫

○同意状況

委 員 同意の状況ですが、所有者割合で64.8%、面積割合で60.3%となっているが、最終的にはどうなったのか。

事務局 原案の縦覧の前に説明会を開催し、住民の皆さんに集まっていただき、その場でもいろんな意見が出た。それを受けて原案を作成し、原案の縦覧をした。原案の縦覧期間中にも意見が出てきたが、町会とも話し合った結果を受けて、町会から市の考え方、町会の考え方を地域の住民の皆さんに文書を配って説明し、それを受けて案の縦覧を行った結果、縦覧期間に意見がなかったため、地域住民の皆さんに理解していただいたと考えている。

委 員 地域住民の方が主導ということで、町会長さんや班長さんが各家を回って、同意を集めたのか。

事務局 役員が町会の中を回って同意をもらった。どちらでもいいとか、回収できないなどの場面もあったと聞いている。やはり住民の皆さんが一生懸命まちづくりのことを考えてということで、できるだけ申出をしやすいように提案制度では3分の2とする同意割合を柏市地区計画等の案の作成手続き条例では、2分の1以上としている。実際に説明会などいろいろ議論をするような場を想定し、少し最初のハードルは低くしたほうが良いと考え、その結果2分の1以上の同意を得た。

委 員 加賀1丁目から3丁目の各一部の区域となっているが、入れなかった場所というのは、同意が得られないとか、異質な用途が入っているとかどういう理由なのか。

事務局 昭和40年代前半から開発された小田急不動産と東急不動産の分譲地が基本的なベースになっている。今回の申出にあたって町会の街づくり委員会を中心として地域を回った中、同意が出来なかったなどの理由により縁辺の形が整形でない部分が何箇所か発生しているが、基本的には町会からの申出の区域どおりで決定した

○建築物の最低限の敷地面積の規制

委 員 最低限の敷地面積の規制があるが、分割できなくなると財産権の侵害というところは全てクリアされているか。

事務局 地域住民の方々に直接関係する地区計画ということから、丁寧な説明を行っており、案の縦覧など都市計画法の定めによる手続きや都市計画審議会での意見を踏まえ、公共の福祉という観点からも制限を考えている。

委 員 最低敷地面積の制限が145平方メートルとなっているが、住宅地区の平均的な敷地面積はどのくらいか。

事務局 約9割が145平方メートル以上となっている。多いところは160から170平方メートルぐらいの敷地面積である。

委 員 建築物の敷地面積の最低限度の中で、市長が公益上やむを得ないと認めたものとは何か。

事務局 例えば交番など、そんなに大きな面積が必要なく、公共性があるものは認めるということを表現している。

委 員 住民側からこういうものが欲しいと要望があった場合、市からこういうものをここに作りたい場合、そのどちらの場合も認められるのか。

事務局 両方考えられるが、そこに本当に公共性があるかという点から、大きな面積が必要ない交番や公衆便所などが対象である。

○建築物等の用途の制限

委 員 ワンルームマンションの反対運動が多いが、こうした申出制度を利用したほうが、地域とすれば抑止効果がある。

事務局 ワンルームマンション等は、1住戸の床面積40平方メートル未満のものについては制限を設けている。地域の皆様から、街並みに合わない集合住宅等を少し制限してもらいたいという観点から申出書が提出されている。

委 員 住民の方々が落ち着いた佇まいの住環境を保っていかれようとする取り組みは素晴らしいと思うが、アパート類、集合住宅などが、増加してくることによって、直接的に景観が損なわれたり、住環境が損なわれたりといった不都合が生じてきたので、早急に共同住宅の建設に対して規制をかけてほしいといったことはあったのか。

事務局 例えば、地域の高齢化や商業衰退から、地権者のかたが退いて、マンションやアパートが今後建っていってしまうのではないかという将来的な不安はあったように感じたが、共同住宅に関する建築紛争という情報はない。共同住宅を作るにしても、いわゆるワンルームという形態ではなく、最低でも1住戸の床面積40平方メートルぐらい確保していただき、いわゆる家族的な共同住宅の立地については、町会としてもそれを規制するものではない。

委 員 建築物の用途の制限があるが、既存の建物で制限にかかる建物はあるのか。

事務局 住宅地区で制限している長屋については3棟 共同住宅については6棟、沿道地区については、長屋で40平方メートル以下のものが1棟、共同住宅も1住戸の床面積が40平方メートル以下のものが4棟、駅前の地区については集会所、これは葬儀場ですが1棟あります。

委 員 それらを建替えする場合にはどうなるのか。

事務局 現状で建ってるものの用途は、引き続き建替えても認める。

○決定図書の記述

委 員 建築物に関する事項で145平方メートルという制限があるが、(1)の文書など、もう少し解かりやすい表現にできないか。

事務局 計画書は、建築基準法の要項等を参考にしながら作成しているが、住民のかたがたにはわかりやすいような表現、かたちで周知するよう考えている。

委 員 地区計画の目標にある、なお書き以下に第4条の規定に基づきと書いてあるが、何のために入れているのか。

事務局 第4条には、手続きの他に申出の内容が、本市の総合計画その他の本市のまちづくりに関する計画、方針等との整合性を有するものであるという条件がある。今回の地区計画は、地域の方々が申出をされた内容に基づいて作成しているが、地域の声だけでなくて、総合計画など本市の考えにも沿っているということを強調したものである。

委 員 建築等の整備の方針の中に 特に「住宅地区」においては、建築物の用途、敷地面積、壁面位置及びかき又はさくの構造の制限を定めると書いてあるが、沿道地区も同じ制限をしているのではないか。

事務局 沿道地区内のほのぼの通り沿いには、緩和規定があるため「住宅地区」と「沿道地区」は同じではない。

○柏市地区計画等の案の作成手続条例

委 員 地区計画は、この条例をベースにして進められているのか。

事務局 地区計画は地域に密着していることから、その手続きについても条例に委ねており、平成13年の都市計画法の改正により、地区計画で申出が出来るようになったことを受けて手続き条例を改正した。

○建物の色彩

委 員 建物の色についての制限は議論されたのか。

事務局 今回、申出の前から住民のかたがたとの協議の中でどういうことをやりたいか、一番重要なものは何かを伺い、その内容をまとめている。昭和40年代に開発された従来からの街であり、各家によって景観的な雰囲気、デザインも違っていたことから、建物の色の部分までは発展していかなかった。景観上の問題、地球温暖化の対策等も地区計画の中に盛り込んでいくことも今後は検討していくことになると思う。

報告事項

 柏市都市計画マスタープラン(素案)について

 導入部分となる序章、本編となる1章から5章までの構成となっている。1章では、未来へのビジョンを示し、2章では、市域を7地域に分類し、市民ワークショップにより地域別構想を作成した。この1章2章を受けて3章では柏市全体の将来都市構造と土地利用の方針を。4章では、分野別の整備方針を示している。柏市の将来都市構造を実現するため、5章実現化方策でその手法や指標を整理している。

≪主な質疑応答≫

○工業系地域の将来都市構想

委 員 準工業地域における大規模な集客施設の立地については、適正な土地利用と中心市街地活性化の観点から制限します。とあるが、これはどのような制限をするのか。

事務局 昨年認定された柏市中心市街地活性化基本計画の中で、特に最近、郊外への大型商業施設の立地による中心市街地の地盤沈下が課題になっていることを踏まえ、改正された都市計画法では、準工業地域については、1万平方メートルを超える大規模な商業施設の立地が可能だが、中心市街地活性化の観点から準工業地域で建てられるものを制限していこうとする考えである。

委 員 柏市産業振興会議で沼南中央地区における郊外型の大型商業施設のあり方について検討されているが、沼南中央地区についてはどのようになるのか。

事務局 産業振興会議の中でも、沼南中央地区については従来から総合計画の中期基本計画や沼南地域整備方針の中でも、位置づけられていることから進めていくとする意見がある。都市計画マスタープランの将来都市構想では、準工業地域については大規模な集客施設の立地については、適正な土地利用と中心市街地活性化の観点から制限するとしている。

委 員 柏市の準工業地域はどのぐらいあるのか。

事務局 柏インター周辺に現在、柏インター第1地区、第2地区、土地区画整理事業で産業振興を図っている地区のほか、現在の公設市場があるところ、高田付近の工業団地、イオンの南柏店があるところなど全部で約170ヘクタールほど準工業地域がある。

委 員 それら一つ一つに規制を加えるのか。

事務局 特に課題となっているのは、準工業地域における工場の撤退などによる大きな空き地、跡地が発生することであり、そういったところに大規模な商業施設等が立地することを出来るだけ規制していこうとする考え方で、具体的にどのような制度を使っていくかなどについては今後考えていきたい。

委 員 規制する内容は。

事務局 準工業地域であれば基本的に大規模集客施設、1万平方メートルを超える床面積をもった店舗、飲食店、あるいは観覧場といった立地が制限できるといった制度を使うことも考えていきたい。

委 員 そうした枠を決めた場合に地域の皆さんの意見はどうなるのか。

事務局 都市計画マスタープランに示した内容をお知らせするとともに、地域の皆さんの意見を伺いながら、スポット的なこともあるので、スポットごとに考えていきたい。

委 員 大恐慌だといわれている時代に 土地利用に制限が加えられ、利用も出来なくなることが心配である。

事務局 工業系地域における移転等による土地利用転換等については周辺のかたがたの合意形成、生活環境の向上ということで、できるだけ適切な土地利用に誘導します。としており、特に準工業地域は、住工混在という課題もあるため、できるだけ誘導したいと考えている。

委 員 工業系地域の記述をみると、工場が移転したらどうしますという話であり、工業系をもっと誘致するような話が出てこない。

事務局 既存の工業団地の他、柏インター第1地区、第2地区、それから第3地区や沼南中央地区を産業振興の拠点として新たな企業、事業所の受け皿として進めているが、現実的な問題として工場の撤退や事業所の移転による跡地の問題もあり、産業振興の拠点としては、工場の方々に継続していただくことはもちろんだが、もし移転等があった場合も想定し、都市計画の面からこのように記載した。産業振興については、経済産業部と鋭意進めていく考えである。

委 員 柏が生きられるようにする必要がある。工業を誘致する、農業は保全するとはっきりしたものがあると思う。

委 員 むしろ、柏市として準工業地域がどう位置付けられているか。どう活用していくかという幅広い考え方で改善していく必要がある。そうしたことを都市計画マスタープランの中で、どう表現していくかが課題である。

事務局 準工業地域には、住工混在などいろいろな問題もあり、例えば、用途地域の見直しや特別用途地区などの手法もあり、できるだけ用途の純化を進めていく必要があると考えている。

委 員 こうしたことを都市計画マスタープランの中で表現していくことは難しい面がある。

○地域活動の推進

委 員 私の思う都市のイメージでは、小さなコミュニティは小学校区が中心にあり、小学校は週末などに住民が色々な活動をする場所になる。地域別構想の地域区分の考え方に20のコミュニティ区とあるが、柏の場合、中学校区をコミュニティ区のベースに積み上げて地域になっていくことが地理的には考えられると思うが、そうした考え方は入っているのか。

事務局 コミュニティ区一つが、だいたい中学校区と同じぐらいのエリアになる。柏市が昭和50年代に行ったふるさと運動の各コミュニティ区を小さなコアとして、小学校、中学校を含めた集約がなされていけば、ここに近隣センターもあることから、地縁活動、地域活動、コミュニティ活動をこれからも継続していき、小さな核が大きくなり、ライフエリアで大きな核の生活圏になるという考え方である。

委 員 子どもたちの教育に関係するので、歩いていける生活圏、遊ぶ範囲が段々広がっていくコミュニティ区の考え方を踏襲しているのであれば、外観的に入れておいたほうが良い。

委 員 逆井地域の人達が自主的に立ち上げた「十色咲かそう会」がある。子どもは一人一人色を持っていて、同じような教育対応だけではなく、地域と家庭と学校で何かできることはないかと若い人から70歳代の人まで50人以上が参加している。携わっている人達のネットワークは、人と人の有機的なかたちのつながりであり、幼稚園や小学校から何とかしていこうとする考え方は本当に大事なことである。

事務局 地域別構想のワークショップにも、そういった方々から参加していただいており、コミュニティ区のかたがたの思いやご意見を出来るだけ反映している。もう一つ柏市の特徴としては、NPOの活動が盛んでNPO団体が非常に多い。今までの地縁活動といった地域の活動とNPO活動といった個別の活動が建設的に連携して、さらに大きなまちづくりに繋がっていくような盛り上がりをソーシャルキャピタルという概念で示しており、そういったかたちで次世代型まちづくりを実現していきたいと考えている。

○市街化調整区域の将来都市構想

委 員 市街化調整区域の基本方針に、市街化区域は拡大しないとしているが、この文章の最後の2行にある急激な市街地拡大の恐れがないことや既存集落の維持及び保全に寄与することから、旧沼南町の開発許可基準は、当面の間存続させるという方針は違和感がある。

事務局 旧柏市では、市街化調整区域の開発行為として、市街化区域の縁辺について、昔でいう50戸連たんしているものについて開発を認めていないが、旧沼南町では、県の基準に従って市街化区域の縁辺についてはその開発を認めるとしており、現在2つの基準があるため、基本的には統一を図っていくという考え方である。但し、旧柏市と旧沼南町では、交通環境の問題や縁辺部の集落の過疎化など諸条件が異なるため、しばらくの間はそういうものについては継続し、将来的、長期的には統一を図るという基本的な考え方を示すものである。

7.傍聴

(1)傍聴者   7名

(2)傍聴の状況 傍聴要領に反する行為は、見受けられなかった。