令和元年度第2回柏市環境審議会生物部会会議録

1 日時

令和元年12月25日(水曜日)午前10時から正午まで

2 場所

柏市役所 分室1 2階 第1会議室

3 出席者

(1)生物部会委員

野村部会長、相澤副部会長、川瀬委員、井ノ﨑委員、田口委員、星委員、半沢委員及び松清委員(計8名)

(2)事務局

國井環境部長、鈴木環境部次長兼環境政策課長、髙橋主幹、野村副主幹、森山主任及び宮﨑主事(計6名)

4 議題

  1. 柏市生きもの多様性プランの改訂について
  2. 今後のスケジュールについて

5 議事(要旨)

柏市生きもの多様性プランの改訂について

資料に基づき、事務局より説明。

その際に表明された主な意見は、次のとおり。

  • (川瀬委員)手賀沼を核にすることはよいが、柏市の中には手賀沼流域ではない地域もある。
    (事務局)市内の約2割は手賀沼流域以外の地域である。ただ、多くの市民になぜ生物多様性の保全が必要なのかをどのようにして理解してもらおうかと考慮した際に、計画そのものや希少種の保全を前面に出しても捉えづらくなり輪郭がぼやけてしまうと考えている。そのため、意識を向ける方向性として多くの市民が身近に感じ易いであろう、手賀沼に目線を向けられればと考慮した。
  • (相澤副部会長)上水と下水はどこから来てどこへ流れるのか。
    (事務局)上水は江戸川と地下水から採水しており、下水は手賀沼終末処理場で処理された後、手賀川を通って利根川へ流れる。
  • (半沢委員)様々な地域がある中で、最も広い地域を占める手賀沼にスポットを当てたことになる。地域の自然の特徴を定めることが大事である。
  • (野村部会長)手賀沼は皆さんにとって『帰ってくる場所』であるのか。そうなのであれば共有意識を持てると思う。
  • (星委員)手賀沼はサイクリングやマラソンなどのイベントで触れることは多いが、あまり自然として意識したことはない。ただ、最近では鳥類なども増えたように見受けられ、過去の『汚れた沼』というイメージから、かなり見応えのある沼に変わったと感じる。
  • (井ノ﨑委員)柏市に住み始めたころは手賀沼が汚いという話を耳にしたが、自然に関わりはじめ、実際に足を運んでみると、綺麗になったと感じた。また、様々な河川が関わっていると知ってからは、それらの河川も綺麗にしていかなければならないと思うようになった。
  • (星委員)最近では手賀沼を利用したトライアスロンなども開催されており、綺麗に改善されたのだなと感じる。認知度は上がっている。
  • (田口委員)柏市に住んで10年ほどしてから、手賀沼にサイクリングロードなどがあることを知った。他市からの転入者や転入後間もない方、また短期在住者にも広く認識されるような施策を行ってほしい。
  • (野村部会長)私の住んでいる市では、これが自然の象徴的な場所であるという対象が思い浮かばない。なので、柏市の皆さんがとても羨ましい。そういう意味では皆さんが共有意識を持つ手賀沼を核にするというのはよいと思う。
  • (松清委員)手賀沼はよいと思うが、手賀沼流域としてしまうとそれ以外の地域の子供たちが環境を学ぼうとするときに、自分の地域が全く出てこないとなってしまう。そこは出来るだけ大きな流域を捉えた上で、手賀沼を重要視していけばよいのではないか。手賀沼に対する認識で言うと、小学校などで学んでいる子供たちは印象が強いと思うが、柏市全体で見ると、社会人になってから転入した方も多く、その方たちからすれば関わる機会が少なく、手賀沼は柏の自然の象徴だと言っても腑に落ちないのが現状ではないか。そのような人たちに対し、どのように啓発していくかを考え実行していかなければ、何をテーマに据えても意味はない。また、綺麗だった頃の手賀沼を知る年代の方々が高齢化により段々と減っており、汚い沼というイメージを刷り込まれた年代の方が殆どになっている。現在の手賀沼は観光材料としての利用計画が殆どで、その先の繋がりがない。手賀沼をテーマにすることは扱いやすいが、柏市全体をフォローするテーマにした上で、特に手賀沼をモデルとしてフィーチャーするやり方がよいのでは。
  • (半沢委員)私は逆に汚ない手賀沼というイメージすら持たない若い世代が増えてきているように思える。例えば過去には誰も利用していなかった手賀沼周辺の公園に、テントを張って丸一日過ごす家族などもいる。首都圏の近くに開けた水辺があって、子供を連れて遊びに行ける、これは貴重な環境である。なので、観光的な活動を行うと同時に、この素晴らしい水辺環境があるのは、生物多様性があってこそのものだというような、環境問題に対する意識を向けてもらえるような活動を実施すべきと思う。
  • (松清委員)現在はその部分が政策から抜けてしまっている。アグリの発想で環境の話をするとなると、農業体験しか出てこない。自然体験リーダー講習会を始めたが、参加者が地域の環境をあまり知らないのでその先に繋がりにくい。大人でも学びたいという人は多く、高齢者も地域に関わりたいと思っている。手賀沼に関わろうとするときに何かあるのかと探しても講座などが何もない。手賀沼を通して環境に関して学べる機会を増やすべきである。これは行政側に欠けている部分だ。
    市民側の担い手不足の問題もある。情報を知らないことによる掘り起しが出来てないことが非常に大きいと考える。里山活動などそれぞれの拠点で始めた人達は、立ち上げた人達の色が強く出るので、新規会員がその輪に新しく入っていくのは相性などもあり、そう簡単には上手くいかない。これを継続的に維持していくにはしっかりした組織運営ができるノウハウをもっていないと難しい。これには行政側のサポートが重要であり、その責任もあると思う。行政側と担い手としての市民団体が、しっかり役割分担をしていく必要があり、それを支えるプラットフォームがあれば、それぞれの活動が展開していけるのでは。また、これを見える化していかないと市民団体は乗ってこないのかと思う。これを行わずに『人材不足』というのは行政側の問題だと思う。
    人材不足というソフトの部分も大事だが、ハードの部分、いわゆる場所を守る努力も継続していくべきだと考える。現状ではなかなか難しいとのことであるが、喫緊の課題として自然が無くなっていく状況があるので、そこは市の姿勢として打ち出し続けなければならない。
  • (川瀬委員)里山活動に対して魅力を感じている人はいる。その方々にその場所がなぜどのように重要なのかを理解し易くし、また、活動参加時間も短時間からでもいいなど、参加し易く、広く開かれたシステム作りが重要。
  • (野村部会長)活動拠点を設け、そこの地元で興味を持った人々へ様々な活動を紹介していき、そこから少しずつ盛り上げていけたらいいのではないか。その手法やその後の広げ方などについては、やはり行政が主になっていく必要があるのかなと思う。
  • (半沢委員)美手連の中心になっているのが我孫子市であって、柏市は市役所こそ関わりを持ってくれているが、他の環境団体などとの繋がりが薄い。
  • (松清委員)団体に限らず一般市民を含め、生物多様性等の環境問題に関心を持たれるプログラムが少なく思える。例えば、年に一回、市内の環境団体を集めて市役所も一緒に意見交換会を開催してはどうか。また、既存の施設の中に生物多様性センターを作って、自然観察や地域に詳しい人を置くなどが理想である。新たなハードを用意しなくても既存の建物内に発信拠点を構えることは可能ではないか。子供たちの学びの場所や機会も少なくなってしまっている。
    現実問題、全て実現することは難しいと思うが、目指していくことは必要ではないか。例え今まで出来ていなくても、目指すこと自体を止めてしまったらそれで終わってしまう。
  • (野村部会長)市内で自然観察教室は行っているのか。
  • (松清委員)団体がいるところは行っている。例えば『名戸ヶ谷ビオトープを育てる会』では春と秋に生き物観察会を行っている。
  • (野村部会長)継続的に実施することで少しづつ根付いていき、また広がっていくものと感じる。
  • (川瀬委員)意識の高い市民が参加するのだろうが、例えば小学生全員が手賀沼や生物多様性のことを学べるかというとそうではない。結局、一部の機会に恵まれた環境にある方のみが教育を受けられるのが現状。本来、自然は道端にあり、誰でも触れられるものであって、そこで疑問に思ったことを気軽に尋ねられる生物多様性センターなどがあることが理想である。
  • (半沢委員)千葉県環境財団が県から委託を受け細々とやっていた拠点も無くなってしまい観察会や展示ブースが減ってしまった。
  • (松清委員)重点施策の中に教育と普及啓発はあるか。
    (事務局)はっきりとした文言では掲載していない。
  • (松清委員)学校教育の中で、先生に知識として持ってもらうための教材を用意してはどうか。これは非常に有効な手段であり、最低限必要なことだと考えている。教育の現場で子供が知れば親にも伝わるので、普及啓発のツールとしての教材作りが必要だと思う。近年、参加校が減ってきてしまっているが、市内の小学生を対象とした手賀沼船上見学を行った際も、先生の知識によって学習の深まり方も違ってくる。
  • (川瀬委員)大堀川を通じて水循環の学習を行っており、これは手賀沼の学習にも繋がっている。学校ごとに総合学習の内容は異なるが、市内の小学生には一度は手賀沼船上見学を行ってほしい。
  • (半沢委員)全校で実施してほしい。ただ、手賀沼の中を回るだけでは内容が薄い。例えば、下船したときに谷津の入り口を散策するなどの体験型の内容を取り入れると良い。
  • (松清委員)参加校が減った理由の一つとして、水の館が県から我孫子市に移管されたことにより、子供たちが学習する場から、農産物直売所等に変わってしまったということがある。以前は船上見学と合わせて、水の館で専門員から講義を受けることができたが、現在はそれができないため、船上見学のみのために参加させようという学校が少ないのでは。対策案として、道の駅しょうなんなどで自然環境を学べるコンテンツがあったうえで、船上見学とパッケージにするなどが考えられる。また、こういったメリットがあるということを学校側に紹介することも有効。学校の先生たちは多忙なため、こちら側から提供することがよい。
  • (相澤副部会長)現行の多様性プランにある『生きもの多様性プラン庁内調整会議の設置』を早急に進めるべき。そこで教育委員会や都市部と連携をとっていくことが重要。
  • (川瀬委員)今年の台風の影響で地下水位が上昇しており、湧水が復活傾向にある。浸透する水がかなり増えたことが原因と考えられる。ただし、日常レベルでの工業排水の水質は決して良くはなく、さらに洪水により工業地帯から油などの流失事故があり、水質の悪化に繋がってしまっている。企業に対して水質改善についての啓発活動を行っていくべき。
  • (半沢委員)アグリビジネスについて。観光と農業と環境保全が繋がっていない状況になっていることが気になる。例えばフィッシングセンターの生け簀にどんな生き物を入れるか考えたときに、生き物に対しての知識がないため、あくまで観光目的になってしまっている。環境のことを理解した上で取り組んでほしい。
  • (星委員)手賀沼検定という、無料の検定を受けたことがある。手賀沼の生き物や植物や環境など、試験内容が幅広い。無料で受験できる上、賞状や認定カードなども貰えるため、小中学生などを中心にもっと大々的にアピールしてみてはどうか。
  • (松清委員)水の館で環境財団が入っていた時に、過去に何年か行っていた。現在は行っていないのでは。
  • (井ノ﨑委員)観光地で城の見学などをすると、ガイドが説明をしてくれる。環境もこれに倣って、なにかしらの検定に受かったような方が説明をされるとよい。

今後のスケジュールについて

事務局より説明。

6 傍聴者

傍聴者なし

関連ファイル