平成22年度第3回柏市環境審議会生きもの多様性部会会議録

1 開催日時

平成22年9月30日(木曜日) 午後2時00分~午後3時50分

2 開催場所

柏市教育福祉会館2階 大会議室

3 出席者

(委員)

野村部会長、日野原副部会長、大木委員、大島委員、熊田委員、山口委員、鈴木委員、佐々木委員、森委員、柄澤委員

(事務局)

金子環境保全課長、中山副参事、海老原副主幹、成島主事補

4 議題

(1)生きもの多様性プランの基本的施策

(2)その他

5 議事(要旨)

事務局から説明を行った後、委員からの質問、意見があった。

(・は委員からの質問、意見、要望)

(⇒は事務局の回答)

(1)生きもの多様性プランの基本的施策について

<委員>

・基本的施策について。事務局の説明では、基本的施策の中身については議論しなくて良いということか。

<委員>

・基本的施策(案)の多くの記述は、国家戦略からの引用である。

・たとえば、(p11)にある環境保全型農業への転換を見てもわかるように、それは国家戦略の記述そのものであり、柏市の意思としてまとめられているようには見えない。

・(p12)に記載のアライグマや(p18)に記載のアレチウリは、生態系を脅かす存在として例示されているが、現実にそうした外来生物や外来種の生息や生育が柏市の生態系の危機の原因となっていることを調べているのか。実際のところ、柏市の現状を踏まえてと言うより、国家戦略にアライグマやアレウチウリが例示されていたから、同じように書いている。

・一方、(p28)にあるハビタット評価認証制度の導入の部分は、国際機関NGOが環境省から請け負った調査報告書からの引用である。

・柏市の自然資本が毀損しているのだとすれば、その原因や本質をはっきりさせるところから入るべき。開発なのか。地球温暖化なのか。農地や林の手入れ不足なのか。外来種なのか。柏市の場合、自然環境や生態系について、せっかく自前の調査をやっているのだからこうしたことも活かしつつ現状の分析や原因の把握を進め施策に反映させていくことが必要。

<委員>

・国家戦略の中で求められていることをただ選択するだけではない。柏市にとって要不要で取捨選択し、そぐわないものは削除、独自に取り組む必要があるものは重点的に拾い上げていくべき。こうした議論のきっかけとして、今日配布の資料の意味はある。

<部会長>

・柏市独自のものでいきたい。総花的なものではなく。その気持ちは各委員みな同じ。ただ、どうメリハリを付けていくか。

<委員>

・基本的施策は網羅的に並べるのではなくて、今の段階で取捨選択しておかなくてはいけない。ある施策をプランで取り上げるということは、その遂行と結果において市民に対して責任を負うということ。短期的なもの、中期的なもの、長期的なもの、計画の実行段階に分けて、施策を振り分けておく必要がある。その中から、短期的な局面において優先度合いの高いもの、あるいは中長期的な効果を見込むが今からの取り組みが欠かせないものを重点的施策と位置付けるとか、全体を整理する必要があるのではないか。担当を決めて進めないと。

⇒重点施策について事務局から説明。国家戦略を柱に柏市の実情に見合った形で施策の内容を取捨選択しまとめていること。柏市の現状と課題については、資料編に掲載すること。市民にとって訴及力のある施策は重点施策に反映する等して構成していることを説明。

<委員>

・庁内調整とのすり合せ確認。生物部会で決めたことは庁内調整会議を通して行政内にフィードバックしていくのか。

⇒庁内調整は現在までに1回開催。部会の内容は、その都度庁内調整に図りつつ今後も進めていきたい。本来であれば、今日こうした場に主管課も同席し、調整できればよいのだが。

<会長>

・施策の優先順位を整理していく必要がある。

⇒地域の特性から、計画をどういったものに作り上げていくことが大切か。議論を深めていって欲しい。

<委員>

・柏市における現状の認識をはっきりと明示すべき。里山の現状、農地の現状など。現状認識がしっかりしていなければ、有効な施策が導き出されない。たとえば、里山における生物多様性の損失の主たる原因が、柏市の場合、後継者難による耕作放棄にあるのか、農薬の不適正な使用にあるのか、あるいは開発にあるのかによって、施策の優先度合いはおのずと異なってくるはず。第一であればNPOや企業の参画のもと農地利用を重点的に考えるし、第二であれば農薬の適正使用の推進や有機農法の啓発を同様に考えるし、第三であれば開発と生態系保全との接点をもたらす仕組みや制度を同様に考える。

・生態系からのサービスを受けられなくなると、人々が柏市に住みたい人という動機に影響する恐れがある。健康の問題なども出てくる。結果として経済の発展ともリンクする。

<委員>

・あと部会は何回ある。その中で形をつくる必要もある。重点的施策の中味について一歩議論を進めていくことも大事ではないか。

<委員>

・重点的施策に移る前に、柏市の現状認識から各基本的施策を用意したという因果関係が見えるようにすることが必要。プラン(案)では多くの項目において、「考え方」も「基本的施策」も国家戦略からの引用なので、そこに柏市の現状が反映されているように見えないし、両者に有意な関係があるとも思われない。委員が手分けしてまとめる位の危機感を持たなくては。

<部会長>

・それは結構大変な作業になる。

⇒柏市の現状と課題については第1回目の部会においてお示ししているはず。

<委員>

・柏市の現状と課題がすでに別の箇所で議論されていることは承知している。しかし、プラン(案)では、現状と課題を踏まえたうえで基本的施策を検討したという構成と中身になっておらず、それでも問題なしとするべきだろうか。

<委員>

・現状と課題から基本的施策、重要的施策に至る落し込みについて他の自治体はどうしている。

⇒基本的施策の書き込み方、まとめ方については現状は手探り状態。これで決った訳ではない。

<部会長>

・今はあまり絞り込まず施策の内容についても広く取り上げ、選択的余地を残していくようなまとめ方もあるのではないか。

⇒そのあたりは、部会の皆さんの考え方による。

<委員>

・国家戦略の中から柏市として特異性のある積極的に打ち出していきたいものはアピールすべき。

<委員>

・国家戦略の中から、柏市にとって、必要な施策もある。総花的な提示も必要なのではないか。時期がきて取り上げられるものもある。長い目標も大切に。

<委員>

・鳥獣保護区の設定について。手賀沼には、狩猟解禁地域の問題がある。国家戦略の中にはなくとも柏市として打ち出してほしいこともある。

<委員>

・農業を取り巻く状況について。柏において何が課題か。切り口は何か。メリハリあるまとめをしてほしい。

<委員>

・(p3)にある、生態系の状態変化イメージについて。将来、多様性が現状以上回復するとしているが、柏市でこのようなことがありうるのか。

<委員>

・柏市は随分と国と比べ前倒ししている。実行は大丈夫か。

<委員>

・柏市として高い目標を持つのはよいのではないか。

<部会長>

・意欲として、受け止めたい。

・多様性プラン(案)について。柏市の現状をもう少し書き込んだ方がよいのではないか。

・構成などは市民目線で工夫して欲しい。

⇒絵などを盛り込み、わかりやすいものにしていきたい。

・今日、この(案)について。活かしたいところ、削除したいところ。発言、提案して欲しい。

<委員>

・プラン策定の背景も書き込む。

・「プランが作り出す柏のまちの情景」などイメージが伝わるような写真を多用して。

<委員>

・文書量が多い。誰が読む。インターネットにおけるキッズコーナーの創設。小・中学校や児童館での利用を考えわかりやすいものにして発信すべき。生きもの多様性をやっているんだとアピールが必要。

<委員>

・(p28)にある「生きもの環境影響評価制度の創設」は意義深く画期的な取り組みになると思われるが、現実には条例を作り審査会を運営していくことになる。どの程度の開発に対してどういう態度をとっていくかという線引きの難しさがあるし、制度の運用にはコストがかかる。行政として覚悟の程は。

・同様、「ハビタット評価認証制度の導入」はいまだ事例が少ない。日本生態系協会が認証業務を行っているが、これまで認証を取得したのは大企業を中心に4社しかない。企業への義務づけを考えている?同協会の利用を考えている?柏市が独自に認証業務を導入する?他の委員さんのお考えも聞いてみたい。

⇒ハビタット評価認証制度は企業に考え方を広げていきたい。

生きもの環境影響評価制度は、法律的な制度整備とともに積極的に考えていきたい。

<委員>

・2~3ヘクタール程度の規模から環境影響評価制度の対象になるのであれば、柏市はこうした取組みの先進都市になる。

<委員>

・これらの取組みの制度や内容については次回の部会で詳しい説明をして下さい。

・柏市版レッドデータリストについて。現状お渡ししているものは市民が最も親しみやすいものを取り上げている。レッドデータリストとは全く異なる。

<副部会長>

・2050年という長期目標、私たちにはどうすることもできない。次世代の子供にPRしていきたい。わかりやすいリーフレットを作ってほしい。

<委員>

・学校ビオトープの整備は啓発であり、自然の再生ではない。

<委員>

・農業関係の中から重点的施策に上ってくるものはないか。

⇒環境に配慮した施策も上っている。

<委員>

・(p12)にある「農地と水辺のネットワークの保全」と「耕作放棄地の復元」は柏市にとって日本にとっても緊急の課題と捉えるべき。自然の豊かな手賀沼周辺とか。

・(p22)にある人里の生きものに関して。里山の自然であるとか環境保全型農業であるとか農業と市民とのかかわりについても一緒に考えてほしい。

<委員>

・(p22)にある里山の自然とのふれあい。実際の里山に連れていく。親も一緒に。学校ビオトープより効果ありと考える。こうした施策はもっとふくらませるべき。

<委員>

・ビオトープは学習施設であり、自然水の循環形態としての湧水を一連のものとして議論すると湧水そのものを、矮小化させてしまうおそれがある。

自然水の循環としての湧水、その中で生き物の多様性が、育まれてるのだから、湧水の担保が大切。湧水そのものを保全するための湧水条例の制度化はどうか。

<委員>

・TEEBの考え方を取り入れてほしい。生態系の保全を通して、まちづくりや経済の活性化につながった事例もある。この視点がどこにも入っていない。自然から受ける生態系サービスが財政に対する寄与につながること。この視点は是非おさえてほしい。

<部会長>

・具体的な金額ではないが。必要な視点として、受け止めていきたい。

<委員>

・学校ビオトープは学校側の取組み姿勢にバラツキもあり、限界がある。

・里山の自然とのふれあいを通して、生きた自然相手の方が環境教育の効果があがるのではないか。

<委員>

・ものは古くなるとメンテナンスが大変。ビオトープにお金を使うなら生きた自然に投資すべき。

<委員>

・(p28)開発行為の関係者に対する生きもの多様性の重要性に関する普及啓発は柏市において重要な施策だと考えたい。生きものに考慮した開発につながる。重点的施策に上がっていないのは何故。?柏市にとって取組むことが無理な内容なのか。

<委員>

・柏市の環境重点施策に対応した、独自の評価制度として、今年の8月から運用している「CASBEE柏」があり、取り組みが公表される。このシステムとの連携をすべきではないか。

⇒建築評価制度(CASBEE)について紹介あり。みどりを多くして生きもののことを考慮するとポイントが高くなる。

⇒柏市独自の環境影響評価制度は沼南地区における開発の歯止めに有効と考えている。面積115k平方メートルの市内にあって例えば沼南地区を保全していくことの意義。ひるがえって今、柏市でプランを作ることの意義について、皆さんのお考がえを。

<委員>

・環境と経済活動のオフセット。その見返りとして提供されるサービス。私たちにとって心地よいものをどう経済に反映させていくか。

⇒プラン策定の目的について。自然からの恵みを失くさない。こうしたことが種の存続にどう影響していく。地球的にどう影響していくのかを考えると、地球から見ても柏の狭い地域から今、取組まなくてはいけない。

<委員>

・柏市に限らずすべてのことが人間を含めあらゆるものがつながっている。そこをどう表現していく。心は絵画と一緒。すばらしい環境は経済効果と無関係ではない。

<委員>

・柏市民は、相対的に豊かな自然資本から生態系サービスを受けている。サービスに対しては、当然ながら対価を支払わなくてはいけない。PESの考え方は取り入れるべき。

・地球全体のことを考えることは民度を測る尺度の一つであって、今後普遍的な価値をますます高めるはず。まさに地球市民の考え方が大切。限られた柏市という範囲からの取り組みであっても、他地域へ影響力を持つ可能性もあり、そうなれば市の誇りにもなる。

<委員>

・委員は生態系サービスによる経済効果のことを言っている。地域のことではなく、すべてのことがつながっている。このことが大切。

<委員>

・東京から30km圏で上利根弁天下など広大なところはなかなかない、旧沼南町の斜面林、手賀沼、畑とみなつながっている。

<委員>

・生物多様性の観点からだけでなく、自然を残さなくてはいけない要素は他にもいっぱいある。子どもたちの教育のため、成長のため、食べることのため、ありとあらゆることが根拠になっている。全部を駆使して説明すればよい。

・何故柏市に住むか。市民意識調査をみると自然が豊かで安らぐからとの答が多い。

<部会長>

・今日の議論を含めご意見等あれば1週間程メドに出してほしい。

<事務局から>

・北総台地の扱いについて。(下総台地でまとめていく。)

・第2回目部会、柄澤委員からの指摘について、サンコウチョウとの種名は記録から削除。

6 次回開催日時

11月1日から始まる週開催で調整していきたい。