平成28年度柏市健康福祉審議会 第2回児童健康福祉専門分科会会議録

1 開催日時

平成29年3月27日(月曜日)午後1時30分~午後3時10分

2 開催場所

柏市柏五丁目10番1号 柏市役所 第5・6委員会室

3 出席者

(1)委員

阿部会長、鈴木副会長、奥野委員、島貫委員、髙松委員、溜川委員、平野委員、望田委員、吉田委員

(2)事務局

 田所こども部長、宮島こども部次長(兼)保育運営課長、松澤子育て支援課長、小倉こども福祉課長、依田学童保育課長、関野保育整備課長、黒須こども発達センター所長(兼)キッズルーム所長 その他職員11人

4 議題等

(1) 平成28年度の重点施策について

(2) 平成29年度における幼児教育の段階的無償化の推進について

5 議事等(要旨)

 事務局による説明の後、質疑応答及び意見交換を行った。主なものは次のとおり。

(1) 平成28年度の重点施策について

委 員 保育士不足について、合同就職説明会は回数を重ね、成果が出ていると思うが、これからの試み

    として、説明会に来てくださいというだけではなく、養成校に出向いていき、保育園の仕事の内

    容や、やりがいのある仕事ということ、処遇はこうやって工面している状態だということを学生

    に知っていただくといったアプローチも必要ではないか。近隣の養成校に出向いて説明するとい

    うことは考えているか。

事務局 合同就職説明会は今年度で6回目となった。現在は、学生に直接は説明していないが、合同就職

    説明会自体のPRを近郊の養成校の就職部に出向いて説明に行っている。直接学校とタイアップ

    して、遠くから保育士を採用している市もあると聞いている。今回、処遇改善や宿舎借上げ支援

    を実施するので、それら施策との相乗効果が得られるよう、近郊だけでなく幅広い声かけや、場

    合によってはこちらから出向いて行くということも今後の保育士確保の取組の中では積極的に展

    開していきたいと考える。

委 員 それぞれの事業所でも努力はしているが、行政の仕掛けは大きな効果が得られるので、よろしく

    お願いしたい。また、千葉県保育協議会でも2~3年前から、千葉市近隣の養成校に現場の人間

    が直接説明に行っている。効果がどれほどかは把握していないが、これについては柏市にはあま

    り恩恵がないと思われるので、力を入れていただきたい。

委 員 東京都特別区では幼稚園教諭の採用に関して、大学(養成校)に試験対策などの説明に来てくれ

    る。また民間では、東京都の大規模な保育フェアに学生がかなり参加する。柏市も東京と一緒に

    できると宣伝になるのではないか。

委 員 ひとり親家庭の高等職業訓練貸付事業等は国で実施しているが、市も進めていくということか。

    対象の方へは、経済的に安定するように制度の利用を考えてということを話しているが、それを

    どのように広めていくのか。児童扶養手当の申請のときに口頭で伝えても、記憶に残りにくい。

    制度を書いたものを渡すといったことも一つの方法であると思う。

事務局 市では、ひとり親家庭に対し看護師などの国家資格を取得する場合、市民税非課税世帯には月額

    10万円、非課税世帯以外には月額7万500円の給付金を出しているところ。今年度国の事業で、

    学校の入学時や卒業後就職するときの支度金の貸付があり、卒業後5年間その仕事を続ければ、

    償還が免除される制度ができた。市では市民税非課税世帯の月額10万円の給付金にさらに5万円

    の貸付をする制度を作るが、制度を分かりやすく伝えていくことは大きな課題であると認識して

    いる。児童扶養手当の毎年8月の更新の際に制度の案内書を全世帯に送っており、給付金がどの

    ように給付されるのか、わかりやすく伝えることにより、貧困の連鎖が起きないよう制度の周知

    を図っていきたい。

委 員 児童虐待の件について、児童相談所の奥野委員に所管の傾向や状況をお聞かせいただきたい。国

    も地域性を持った配置を進めるため設置を拡大してきたと思うが、市も調査・研究していくとい

    うことなので、改めて専門の先生からお聞かせいただきたいと思う。

委 員 1月末現在で把握している平成28年度の管内の件数を報告する。柏児童相談所(以下柏児相)の

    児童虐待の通告・相談受付総数は1,614件。うち、柏市に住所のある子どもの虐待の通報は455

    件となっている。人口の偏りもあるが、一番多いのは松戸、2番目が柏市。最近の虐待の通報、

    対応件数は増加傾向にある。平成27年度に国から報告のあった実績では、千葉県は全国で4番目

    に児童虐待の対応件数が多い。その中で柏児相は管内人口が130万人を超えており、全国的に見

    ても規模の大きい児童相談所となっている。その中で1,600件を超える受付をしている状況で鋭

    意努力しているところである。きめ細やかさという点では、法律上通告は児童相談所・市、どち

    らでもよいことになっているため、市のほうでも対応していただいている。要対協(要保護児童

    対策地域協議会)を通じて市などと連携・対応している。児童相談所の持つ独特の機能として、

    一時保護などの強力な権限を行使する機能などがある。中核市での児童相談所設置については、

    身近なところでそういった業務が行えるようになることが、地域の子どもにとっては非常に有益

    に働く可能性があると考える。柏市でも設置に向け、どのように進めていくかや有効性などを検

    証しているところで、これから取組をしていただく状況。市から児童相談所に職員研修などの相

    談もいただいているところであり、できれば設置に向けて進めていただき、地域に密着したとこ

    ろで児童相談所業務を行っていただければ、より子どもたちの安全安心につながっていくのでは

    ないかと思う。柏児相の傾向でみると、このままでいくと、平成28年度の総件数としては1,900

    ~2,000件近くになるのではないか。これは過去最高の件数。市の家庭児童相談担当と連携しな

    がら細やかな対応が出来ればと考えている。

委 員 専門性が高い仕事なので、市も設置に向けて検討事項が多く大変な作業であるが、実態を鑑み

    て、設置に向けて努めていただきたいと思う。

委 員 虐待の内容はどのような傾向か。

委 員 累計別では心理的虐待に相当するものが一番多い。1614件中815件でほぼ半数。身体的虐待429

    件、ネグレクトが353件、性的虐待17件。心理的虐待が多いのは、全国的に同じ傾向があり、厚

    労省で分析しているが、DV(家庭内暴力・配偶者間暴力)の環境に子どもが置かれていると心

    理的虐待の可能性があるということで警察等からの通報が多い。兄弟の一人が身体的虐待を受け

    ている場合、他の兄弟は直接身体的虐待を受けないが、それを見ている場合心理的虐待となる。

    また、夫婦間の暴力に警察が介入するようになり、警察から通報がある。落ち着かない環境にい

    る子どもがたくさんいる実態がある。

委 員 虐待や貧困は喫緊の課題と思う。社会福祉法が改正になり、社会福祉法人が一年間の収支決算で

    余裕残額が発生した場合、地域貢献をすることになった。できることとできないことはあるが、

    模索中であり、子どもや高齢者など各分野で行政サイドからまたは専門の方々からこんなことを

    やってほしい、期待しているという提言があればお聞きしたい。

事務局 一例として、柏市社会福祉協議会も法改正に対応することとなっており、社会福祉協議会では、

    子どもの居場所として、子ども食堂などの団体に活用できるような体制整備を考えていると話を

    いただいている。

(2) 平成29年度における幼児教育の段階的無償化の推進について

委 員 国も大変だと思うが、対応しなくてはならない実態があるのだろう。新制度移行の際、審議会で

    も市でも充分検討し、国基準よりも保育所の区分を手厚く事細かに段階を作り、かつ市の独自財

    源をあてて、利用家庭の負担軽減にあたってきたが、それを受益する人や一般市民がどこまで承

    知しているか、といつも思う。この制度に限らず、保育士の処遇改善策などについても、そこの

    ところを強調したパンフレットを一枚作っていただければ、私達も保育士養成校や該当する保護

    者に、柏市は独自の施策があるんだよと差し上げ伝えることもできる。他市より手厚いことが柏

    市で行われていることも、単なるPRでなく、「実際にそういうことが行われているんだ」とい

    うことが市民の皆さんに広がっていくと思う。アイデアを出して作っていただければ、委員も何

    らかのお役立ちができるのではないか。国費が投じられた分、市独自財源で埋めていた分が、他

    の子育て支援策に回っていくよう御配意いただきたい。

委 員 乳幼児期にきちんと手当することが将来の貧困や虐待の防止につながっていく。お金はかかる

    が、スタートのところを平等にすることが大事。

委 員 時間外保育で、比較的高い年齢の方が保育にあたっており、送り迎えで人が往来する中、元気な

    子どももいるので、危険が伴っていると聞いたことがある。財源が正職員の保育士や若い保育士

    の採用に回ってほしいと思う。

委 員 保育の量だけでなく質の問題。共に対応しなくてはならない。市は方策は考えているか。

事務局 臨時保育士だけになるということはないが、朝晩の時間外の時間帯は臨時職員が多い。地域の手

    をお借りして保育を実現することも大事なことだが、安心安全の点で問題ないかという意見もあ

    ることは承知している。子育て支援員の活用の議論もあるが、柏市は質を重視し、子育て支援員

    は最低限の範囲で使い、使う場合は正規のベテランと一緒に組ませるなどの配慮をして、使い方

    にも気をつけることにしている。その一方で、保育園に入れない方からすると、保育士不足の状

    態で、使える制度を使わないで入園できないというのはどうなのか、という意見があるのも事

    実。私達はいつも狭間でゆれている。量と質はどちらも必要であり、一定のバランスをとりなが

    ら、安全安心はしっかり担保しなくてはいけないと思う。柏市は私立保育園を含めて「オール

    柏」での連携が非常に進んでいると自負している。そういった取り組みや保育士確保事業等を通

    じてしっかりやっていきたい。

委 員 「はぐはぐひろば沼南」は社会福祉協議会が作って運営しているものか。

事務局 社会福祉協議会所有の建物を使い、市から委託しており、市の事業として行っているものであ

    る。

委 員 保育士確保について、資格がある方が積極的に保育の場に戻るとよいと感じている。出産で退職

    した保育士に現場に戻らないのか聞いたが、保育士は不足していることを知らなかった。資格者

    でも働く意識がないと目線が行かないと感じた。働く意欲が生まれなければ目が行かないので難

    しい。また、虐待について、不登校などは周囲で聞くが、虐待は自分の周りで見たことも聞いた

    こともなく、衝撃的。どうやって把握するのか。所属団体にも伝えたい。

委 員 心理的虐待の815件は通報件数。確実に虐待の影響が出ているかどうかは別にして、そういった

    状況が確認されたので通報されたもの。一番多いのは家庭内で暴力沙汰があり、110番通報され

    るケース。警察が出動すると、夫婦・パートナー間での暴力を子どもが目の当たりにしている可

    能性があるということで、心理的虐待の可能性を疑い、警察から通報がある。また、怒鳴り声や

    争乱の声が聞こえて、近所から110番や児童相談所に通報されることもある。直接暴力を受けて

    いなくても、暴力を目の当たりにすると、子どもは傷つく(心理的外傷体験)。子どもにとって

    親は仲良くあってほしいと思い、かなり激しい暴力を見ていると生活している環境=家庭が壊れ

    てしまうのではないかという強い不安を抱く場合がある。体験が繰り返されると大きな不安を持

    つ。それを親にぶつけられず、気持ちの中に溜め込んでいくと、成長する過程で処理されない傷

    つきが長年蓄積される。特に問題になるのは思春期、大人になってパートナーを見つけようとし

    たときに、適切な関係が結べない。男女間の関係に暴力があること、傷つけあうような応酬があ

    ることが普通という感覚を持ってしまうことがある。積極的に攻撃をしてしまう子もいるし、攻

    撃されても「それはおかしいからやめて」といえず、回避策を取らないで攻撃を受け続けてどん

    どん傷ついてしまう。正常な家庭生活、あるいは対人関係を結べない等の影響が出てくる。通報

    があると家庭に行き、夫婦間の揉め事があったかを確認をし、あったなら影響があるので気をつ

    けてくださいと伝えたり、関係が改善できないなら、被害を受けた側に何らかの対処を進め、D

    Vの相談機関を紹介する場合もある。夫婦間のトラブルで被害者の大人も傷ついているので、そ

    れを子どもにぶつけてしまう場合もある。直接ぶつける場合もあるし、最近目立つのは、大人が

    精神的に不安定になり、自傷行為(大量服薬や手首を切るなど)を子どものいるところでやるな

    どの心理的虐待のケースが目立ってきている。子どもにとっては「親が死んでしまうかもしれな

    い」ということは非常に不安なこと。混乱させられ、振り回される。ダメージを受けた子は人と

    の信頼関係を結べないなどの支障が出てくる。居場所の問題が出ているが、安心できるところが

    あって、「今の状況は普通と違う」ということを教えてもらったり、健康な大人との関わりを体

    感するということが重要。日常、不適切な環境に置かれているので、おかしいということに気づ

    かず、いつもけんかしているのが普通の親と思って生活をしている。テレビなどは架空の世界と

    思いがちなので、自分の周りに健康な大人がいてふれあえる、ということがその子の将来にとっ

    て非常に大事なことだと思う。

委 員 こどもルームについて、空き教室・余裕教室の検討を市でしていただいたおかげで、今年度、自

    分の子が通うルームは待機児童がいなかった。4年生以降は以前は鍵っ子で家に帰っていたとい

    う意見もたくさん出たが、報道のあった松戸市の女児誘拐殺人事件も、今度4年生になる子ども

    だったので、安心できない。親が安心して働けないと、経済的安定が難しいなどにも、つながっ

    てくる。親が働いており、短縮日課で給食がない日にお昼の用意がなく、友だちの家に行って食

    事をもらっている子どもがいると聞いたことがある。きちんとした預け先があれば弁当を持たせ

    て通わせることもできる。4年生以降は入所が安定していないので申込を躊躇する人もいる。安

    心して入れれば親も安心して預けて働けるので、今後も進めていただきたい。

6 資料

平成28年度第2回次第(PDF形式 26キロバイト)

資料1 平成28年度のこども部重点施策について(PDF形式 168キロバイト)

資料2 平成29年度における幼児教育の段階的無償化の推進について(PDF形式 166キロバイト)

7 その他

 平成29年度は7~8月頃、10~11月頃、3月の3回に開催予定の事務連絡後、閉会。

8 傍聴者

なし