平成25年度第3回柏市子ども・子育て会議会議録

1 開催日時

平成25年9月27日(金曜日)午後3時~5時20分

2 開催場所

柏市柏五丁目10番1号
柏市役所別館4階 大会議室

3 出席者

(1) 委員(敬称略)

阿部和子、石田淑子、小貫松江、川村敏光、西藤尚子、杉山智、鈴木美岐子、溜川良次、長澤真由美、中原めぐみ、那須美加子、野呂直子、藤本裕司、古谷美知留、満島章

(2) 事務局職員

鬼澤こども部長、秋山こども部次長(保育課長)、山口地域健康づくり課長、高橋児童育成課長、高橋児童センター所長、福島こども政策室長、宮島こどもルーム担当室長、関口こども発達センター所長 その他5人

4 議事等

地域における子育て支援の現状と課題について

5 議事等(要旨)

午後3時、定刻になり開会

(1) 子育ての状況等について

事務局による資料2ページから14ページまでの概要説明の後、質疑応答及び意見交換を行った。

質疑応答及び意見交換の主なものは次のとおり。

  • 委員
    資料の4ページに、祖父母との同居の割合が載っているが、ちなみにうちの園では、220世帯中3世帯であった。5ページの地縁の希薄化に関しては、柏市の居住して10年以内という世帯が約8割であった。
  • 委員
    子育て真っ只中の主に母親を応援しているが、0歳の子どもを持つ保護者から高校生や大学生の保護者まで、幅広い人たちが誰かをサポートしたいということで、子育て支援に協力してくれている。そういう方々は、様々な地域活動に参加していることが多いので、その方々が子育て支援活動を話題にすることによって、新たな支援者が生まれてくる。身近なところで何らかの活動をしている人の姿が、支援する側の人を増やすことにつながっていると感じている。
  • 委員
    資料の中には、保護者の孤立感や負担感の状況について載っているが、子育て支援の現場において何か感じることはあるか。
  • 委員
    子育ての大変な時期に子育て支援の情報を得ることができず、知っていたらもっと楽に子育てができたという声をよく聞く。積極的に情報を取れる人ばかりではなく、また子育てが大変な時期でもあるので、情報の取りやすさについては考えていかなければならない。子どもに手を上げてしまってどうしようもないという人が実際におり、グレーゾーンの人も多いので、そういう方々に合う支援が見つけられるようにしなければならないと思う。
  • 委員
    柏市に住み始めて、十余二や篠籠田という字が読めない、友だちもいない、道が分からず車にも乗れないという状況で、妊娠し、お腹が大きくなっていくという不安の中で、母親学級に参加した。そこで初めて、近くに住む同じような世代の親に出会うことができたのは非常に大きかった。そこで出会った人から、子育て支援の情報も得ることができた。子どもが通う幼稚園では、なかなか外に出られず地域の子育て支援について知らずにいる人が多く、また1人目の子どもの場合だと特にそういう状況にあると感じる。
  • 委員
    妊婦に対する支援をあまり聞かない。妊婦の時期から子育て支援ができていれば、いざ子育てが辛くなったときに、どこを頼ったらよいか迷わなくて済むのではないか。
  • 委員
    働いている母親は非常に多い。子どもが生まれる前から保育園のことを心配しているので、地域の子育て支援がどうなっているかなどと言っていられない。そのような状況をどうにかしなければならない。母親たちの半年間のサークル活動を支援し、その後自主的に活動できるよう送り出しているが、復職がどんどん早まっているので、その半年間の活動すらも続けられない母親が多い。母親学級にも母と子のつどいにも参加できず、地域のつながりを作れないでいる母親が多い。
  • 委員
    健康づくり推進員の活動として、妊婦訪問を行っているが、就労している家庭は、やはり面談することが難しくなっている。電話で接触した上で、どうしても会えない場合には、資料を郵便ポストに入れるという対応になっている。母親学級を見学に行くと、近くに同じような母親がいるということを知り、そこからつながりを作っていく様子が分かる。しかし、そういったところに出て来ない人をどうするかが大きな課題である。出て来たくない人と、情報が届いていない人がいると思うが、少しでも情報が届くようにする必要がある。

(2) 地域子ども・子育て支援事業等について

事務局による資料15ページから23ページまでの概要説明の後、質疑応答及び意見交換を行った。

  • 委員
    新制度の「利用者支援事業」は、子育て支援コーディネーターのような人がいるイメージだという説明があったが、それとは別に、母子手帳の交付の際に、子育て支援について何らかの情報提供は現在行っているのか。情報に接することができない人がいないよう、二重三重の対応という意味で有効ではないか。自分が母子手帳をもらったときにどうだったかを覚えていない。
  • 事務局
    母子手帳は、出張所等でも交付するので、子育て関連の資料を手渡すという対応に留まっているのが現状である。決して十分であるとは言えず、課題であると捉えている。
  • 委員
    母子手帳を交付する際には、妊婦訪問やこんにちは赤ちゃん訪問が各家庭に伺うということを伝えてあるはずだが、忘れている保護者は多い。子育て支援コーディネーターに相談をすれば、適切なところにつないでくれるような仕組みがもしできるのであれば、コーディネーターの連絡先が大きく書かれたマグネットを冷蔵庫に貼ってもらうだけでよいことになる。色々な資料を渡しても、捨てられてしまうことが多いと思うので、ここに連絡をすれば何とかなるということだけを最低限伝えられればよいのではないか。
  • 委員
    私立認可保育園で併設している地域子育て支援センターについては、母子手帳に挟めるくらいの大きさのパンフレットを以前作成した。母子手帳だけではなく、保育園が地域の中でつながっている小児科医であったり、近隣センターであったり、あるいは市役所の窓口に置いていたが、もう無くなってしまっているので、増刷を考えなければならない。どこの支援センターでも保護者のニーズが多様化していることは共通しているが、それとともに地域性がかなりある。支援センター同士の横のつながりを持っており、今年度は地域とのつながりについて意見交換をしているが、地域によって雰囲気が異なると感じている。保育園に併設されている支援センターには、保育士だからできることというものがあると考えており、それぞれ工夫をこらしている。子どもが生まれたからすぐに親になれるというものではないので、親になる過程を保育士として支援していくことが大事である。地域子育て支援拠点事業については、地域機能強化型など国では色々と考えているようであるが、大事なのは人材である。拠点事業の基準として、概ね10組程度の親子が一度に利用できる広さというものがあるが、大事なのは10組といったような数字ではない。保育士は、ちょっとした関わりの中から、遊びに来た親子の背後にあるものに気付くことができ、相手に合わせた対応をしている。地域子育て支援センターは、リピーター率が高いが、それはなぜなのかということである。就労家庭へのアプローチについては、最近は保健師と保育園のつながりができてきており、充実させていきたいところである。
  • 委員
    地域子育て支援拠点事業は、国は広さなどの規格について決めるが、大事なのは、そこを利用する親子にとってどうなのかということであり、考えていかなければならない。
  • 委員
    資料の21ページに、一時預かりのリフレッシュ目的での利用に対して後ろめたさを感じる保護者がいるとあるが、預かる側はどのように感じているか。保育園は就労している保護者が利用するところなので、リフレッシュ目的ということに対して保育士はどう感じているのかを知りたい。
  • 委員
    一時預かりという制度自体が利用目的を問わないので、利用の仕方について、保育士として何か意識するということはないと思う。リフレッシュ目的はよくない、育児をサボっているといった見方をしている保育士はいないと思う。子育てから少し離れることも大事なので、そういった心配はしなくてよいと思う。ただし、現実として、就労目的で一時預かりを利用する方が多くなっているので、必ず預かれるという状況ではないのが苦しいところである。
  • 委員
    ファミリー・サポート・センター事業も、一時的な預かりには対応できるので、利用を検討して欲しい。ファミリー・サポート・センター事業については、幼稚園・保育園や小学校などに周知をしているところではあるが、「なぜ教えてくれなったのか」という苦情はある。案内資料を配って終わりではなく、工夫が必要である。また、社会福祉協議会では、沼南社会福祉センター内にこども室を設置しており、親子で遊べるようになっているが、気になるのは、空いている時間を見計らって来る親子が少なからずいることである。他の保護者とのつながりを持ちたがらないようである。
  • 委員
    空いている時間を見計らって遊びに来るということに関して言うと、子ども同士のトラブルがあったため、なるべくそういうところには行きたくないという知り合いがいる。子ども同士のことなので、ある程度仕方がないと思うが、親の方が過度にトラブルを恐れてしまうケースもある。また、一時預かりに関して、就労目的での利用が多いということだったが、一時預かりというとその場限りの預かりというイメージだった。継続的に利用するケースがあるのか。
  • 委員
    週のうちに数回利用するというケースはある。子どもにとっては環境に慣れていくということが必要だが、預かってくれるところがなければ、同じ園で週何回という形ではなく、いくつかの園を掛け持ちするケースもある。親からすると、慣れている園がよいだろうから、週何回という形が多くなる。1回だけ利用するという割合は少ない。
  • 委員
    休業明けで元の仕事に復職するような場合とは別に、妊娠・出産を契機にそれまでのキャリアを一旦リセットして家庭に入る場合もある。子どもが2歳くらいになると昼寝の時間も少なくなり、男の子だと特に家の中ではしゃいで要求も多いので、自分が自分でなくなってしまい、気付くと大声で叱ってしまうといったようなことが自分自身にあった。そういった状況から少しだけ社会復帰するために、パートで仕事をして一時預かりを利用し、就労目的であることによってリフレッシュ目的の後ろめたさを払拭している母親もいるのではないか。就労目的で一時預かりを利用し、それを社会復帰の一つのステップとして使えるようなサイクルを、イメージとして提示することができれば、リフレッシュ目的の後ろめたさを感じず、また自分を取り戻すこともできるのではないか。第一子のときに情報を求めた先は、子育てハンドブックだったが、「リフレッシュしたい」という項目で探すと、夜間利用や宿泊を伴う利用が掲載されているページが案内されていた。宿泊といったようなことではなく、ほんの1時間でも、30分でもいいから時間が欲しいと思っている親はいると思うので、子育てハンドブックの内容も「こんなときはこうすればどうですか」というように、もっと細かく情報を提示した方がよいのではないか。柏市の子育て支援は、様々なことをやっているということを改めて知ったのだが、その情報をもっとうまく広報できるとよいと思う。また、ニーズ調査を行う際には、第一子かどうかというところも非常に重要なのではないか。
  • 委員
    後ろめたさということに関してだが、親自身がそれに対峙して、乗り越えていかなければ、親になれないのではないかと思う。元々子育て支援はそこの部分であって、後ろめたさを散らすことではないのではないか。約30年前に生後3ヶ月で子どもを保育園に預けた際には、子どもの面倒を他人にみさせて、自分勝手なことをしていいのかという社会的な風潮だった。そこだけを見ると、後ろめたかったり、やはり駄目なことなのかと思ってしまったりする状況に、当時働きながら子育てをしていた親はみんな直面した。それは、自分の生き方が問われることであった。何を言われても、自分の子どもにとっても、自分自身にとっても、この生活が良いのだときちんと親が決めないと、子どもがかわいそうである。つまり、後ろめたさを抱えながら、自分が充実するために子どもを預けるということだと、子どもの側からすると、ある意味で見放された感覚があるかもしれない。やはり親が深く深く考えていくことを支援することが、子育て支援なのではないかと思う。昔は今のように便利ではなかったので、自分と子どもが幸せになろうとすると、自分たちで保育園を作らなければならなかった。しっかりと自分の生き方に向かい合わないと、幸せになれないような気がする。
  • 委員
    今話している内容は、子育て支援をどう考えていくかの根幹である。他の様々な会議でも、子どもが親の元にいるのが幸せなのか、そうでないのかといったことや、弁当と給食の問題などが議論されている。本当に興味深い話をしているところではあるが、時間が来てしまった。なお、今後の制度を考えていく上では、今の議論ははずせないので、必ずどこかで採り上げたいと思う。

(3) ニーズ調査について

事務局から、ニーズ調査について、参考資料1及び参考資料2を用いて概要説明を行った。

(4) 委員提出資料について

委員提出資料について、提出した委員から説明があった。

  • 委員
    前回会議で幼稚園に関して議論があったので、幼稚園の立場についてまとめた。まず1つ目に質の高い教育・保育についてだが、柏市私立幼稚園協会として様々な研修を行っており、質を保持しているところである。また、ソニー教育財団の保育実践論文には、柏市の幼稚園が連続して受賞しており、質の高い教育・保育を行っていると自負しているところである。2つ目は永続性の確保ということについてである。柏市の幼稚園は全体として定員割れの状況にあり、特に常磐線の南側にその状況が強い。理由の一因として保育園の新設がある。保育園で0・1・2歳児を預かれば、3歳以上になっても保育園に行くことになるので、結果として、ほとんどの幼稚園で5歳児クラスは定員割れとなっている。3つ目に、柏の葉キャンパス駅周辺には幼稚園がないことがある。1つの幼稚園を作るのに8億円ほどかかるが、これに対する補助金はほとんどないのが現状である。幼稚園の場合、補助金なしで篤志家が土地を寄附して、そこに建物を建ててということになるが、そのようなことは今はなかなかできない。また、認可基準があり、児童数に基づくと、柏市で幼稚園を新設できるのは、柏の葉キャンパス周辺だけである。それ以外のところに作った場合、既存の幼稚園が定員割れし、その結果経営が立ち行かなくなれば、教育の質が落ちていくことになるためである。そのようなところが保育園とは異なっている。4つ目には、今後の課題として、保育園との住み分けや、子ども・子育て支援新制度の対象となるのかどうか、あるいは認定こども園になるのかどうか、保育を行うのであれば保育園にあって幼稚園にない給食調理設備や午睡室などの整備をどうするのか、小規模保育施設との連携をどうするのか、といったようなことがある。これらは、1つの幼稚園だけでは解決できないことであるので、柏市と連携しながら取り組んでいきたいと考えている。
  • 委員
    質の高い保育というものを考えると、やはり子どもの育ちそのものに着目することになる。育ちの見通しを持ちながら、そのために今何をすべきかを見極められる力、要するに保育者の質ということになると思う。子どもの傍らにどういう大人がいるのかが、その子の将来にまで影響する。また、今は預かっている子どもを保育していれば済む時代ではなく、家庭支援、保護者支援が大きなウエイトを占めている。地域子育て支援センターとしての子育て支援だけではなく、保育園としての在園している子どもの保護者に対する子育て支援も大事になっている。子育ての第一義の責任者は親であると思うが、その親が困っているので、本当の親になっていくための段階に合わせた支援をどうするべきかが問われているのではないか。それは、1か所で1人の人がやっていてもできることではないので、地域にある様々な資源のつながりをどう構築していくかが大事なのだと思う。柏市の子ども・子育て会議は、そのきっかけになるものであろうし、制度が変わろうとしている中で、子どもの育ちというものをはずして欲しくない。最後に、一般論として保育園は子どもをみているだけと思われているところがあり、保育園の保育がどういうものなのかが知られていない。全国的にそういう状況があり、保育所保育をきちんと発信しなければならないと思っている。乳幼児期の教育の考え方の違いがあることから、保育園の捉え方が違ってくると思うので、子どもの教育とは何を指すのかについて、時間があればこの会議の中で意見をいただければと考えている。
  • 委員
    子ども・子育て支援というと待機児童対策という形での述べられ方が多い。また、本日の資料においては、普通に生活している家庭が思い浮かぶ内容となっているが、虐待を受けているような子どもに関する情報を目にする機会がなかなか無いのではないかと思う。児童虐待相談対応件数は年々増えており、千葉県でも同様である。平成24年度の柏市の家庭児童相談室への虐待相談は227件で、これに継続しているケースが積み重なる。本日の資料の中に虐待の未然防止という言葉があったが、千葉県における虐待が通告された後の対応状況は、面接指導が90%以上となっている。つまり、地域の中で生活しており、身近にあるということである。したがって、未然防止ということだけでなく、既に虐待をしている家庭が、身近に存在しているということについて考えて欲しい。そのような家庭を見守り、支援していくという視点が必要である。そのような家庭に育つ子どもにどのような傾向があるかというと、千葉県の調査では、大人からの暴力の有無によって、自分のことが好きかどうかに大きな違いが出ている。また、柏市の調査では、自分のことが嫌い又はどちらかというと嫌いと答えた子どもは、家庭が楽しいと回答する割合が低いという結果が出ている。暴力の有無や家庭の楽しさが自己肯定感、自尊感情に影響を与えているということである。しかし、子どもは家から出て行くことはできず、大変な状況の中で成長していくので、将来に影響が出ることが考えられる。そのような家庭や子どもをどのように支えていけるのかという視点を是非持って欲しい。厚生労働省の虐待対応手引きでは、保育園や学校が虐待対応にとって大きな役割を担っているとしているが、保育園の職員配置は老人施設と比べて少ないのではないか。保育士は、子どもだけではなく、その親の支援も行うのだとすれば、今の基準では不十分であると思われる。また、保護者が精神疾患であったり、DV被害にあっていたり、あるいは子どもが障害を抱えていたりなど、様々な家庭があることから、きめ細かな調査が必要である。
  • 委員
    この会議においては、我々は、いつでも子どもにとっての最善の利益とは何なのかということを念頭に置いており、決して親の利便性を求めるものではないということは認識しているはずである。しかし、様々で複雑な環境に生きている若い世代に、これまでであれば必要なかったような支援が必要になっていることも感じていると思う。子ども・子育て会議は、幼稚園や保育園に入っている子どもだけを対象にするのではなく、もっと広く全ての子どもについて考えていくので、委員それぞれの立場から意見を十分に出していただきたい。立場の違いを超えて、どこかで共通理解、相互理解が図られていく中で、柏の子どもたちにとって良いものが出来上がっていくことを期待したい。

6 その他

事務局(こども政策室)より、次回の会議開催予定等を示した。
その後閉会

7 傍聴者

8人