平成24年度 第3回柏市健康福祉審議会病院事業検討専門分科会会議録
1.開催日時
平成24年11月22日(木曜日) 午後3時~5時
2.開催場所
柏市役所第3委員会室
3.出席者
【市立病院事業検討専門分科会】
大久保委員、岡田委員、金江委員、小林委員、妹尾委員、中谷委員、野坂委
員、水野委員、吉田(博)委員
(欠席)江角委員、吉田(勝)委員
【柏市】
関口副市長
【庁内会議構成委員】
下保健福祉部長、藤江保健福祉部理事、佐山消防局副局長(羽石消防局長代理)、平島防災安全課長、松本福祉政策室長、関保健所次長兼総務企画課長、田村保健所次長兼地域健康づくり課長、関口救急課管理監(濱田救急課長代理)
(欠席)山崎保健所長、秋山保健福祉部次長兼保健福祉総務課長
【事務局】
保健福祉総務課(医療公社担当):原田副参事、石塚統括リーダー、平塚副主幹(担当リーダー)
公益財団法人柏市医療公社:捧病院事務部次長、飯島経理担当主査
パシフィックコンサルタンツ株式会社:石川氏、川畑氏、佐藤氏
【傍聴者】
1名
4.議題
市立病院中期構想について3.
テーマ1:市立病院の今後のあるべき姿
テーマ2:市立病院の現状
5 資料
(1) 次第
(2)市立病院に新たなあり方とその現状
(3) 補足資料
6 議事(要旨)
1 開会
[関口副市長挨拶]
前回、前々回と柏市の地域医療の課題についてご議論をいただいた。本第3回審議会からは、その地域医療の課題をうけて、市立病院自体の今後のあり方など、市立病院そのものの将来についてのご検討をお願いしたい。市立病院は柏市が開設している病院なので、地域医療の課題の解決できる病院であり続けることが、当然の姿であるが、現状においても様々な問題を抱えており、その地域医療の課題を解決できる病院として、何を改善していくべきなのか、ご審議をお願いしたい。
2 議事
「テーマ1;市立病院の今後のあるべき姿」
事務局より、これまでの審議会の議論等を踏まえた上での市立病院の今後のあるべき姿について説明後、質疑及び意見交換
【事務局説明】
(省略)
【質疑及び意見交換】
(小児救急について)
<質疑>P17の、小児科医1人あたりの患者数平均の外来7.4人という数字は少なすぎないか。
<応答>自治体病院協議会が毎年実施している調査結果を引用している。全国の病院の入院・外来患者両方の平均の数値としてこのように公表されている。
<意見>1時間に1人くらいしか診ていないことになり、実際にはありえない数字である。これでは医師が何人いても足りない。
<意見>小児40床程度の一般病院では、入院患者を6~7人で回しているだろう。
<意見>以前、小児病棟を設置していた時、40~50床で、常勤医師は2~3人だった。
<意見>一般病院の小児外来は午前診だけで50名程度の患者が来る。外来がない時も入院患者の診療が割り当てられているので、朝早く来たりしている。
<意見>その辺りは、現実問題としての検討を今後行ってほしい。
<応答>必要なスタッフ、病床規模は、小児学会が示した医療機能と必要医師数を元に出している。小児学会が示す必要医師数と実際の現場では数字に乖離があるので、これはあくまで理想的な数字と捉えていただきたい。
<意見>この数値は、1日の外来患者数を常勤医師数で割るという計算ではないか。小児科医が10名いる病院であれば、1日の患者数は70名だと思う。実際に診療している患者数が1日7~8人というわけではないと思う。
<応答>計算方法は、その通りである。1日の外来患者数を常勤医師数で割り戻している。
<意見>慈恵医大柏病院のような高度な疾患に対応しているのであれば、40床に対して小児科医10名が必要かもしれないが、市立病院が診る医療レベルや内容によって必要医師数は変わると思う。急性肺炎や小児喘息などの急性疾患対応であれば、小児科医でも1人で患者を10人診ることは可能だと思うが、例えば白血病や腎臓病は三次の高度医療なので、それなりの医師数が必要となる。市民は、市立病院にそこまで診てほしいと要求していないのではないか。急な疾患での2~3泊の入院などを診て頂ければありがたい。また、救急であれば、人数の計算の仕方が全く違ってくると思う。
<応答>イメージとしては委員のご指摘のとおり、慈恵医大柏病院があるので、市立病院は高度専門医療ではなく、二次救急と一般的な入院医療に対応できるものを考えている。医師数について、10人は多いという指摘を頂いたので、どの程度の医療レベルを提供するのかを加味して検討していきたい。
<意見>24時間365日小児科医を配置するという点から、人数を出す必要がある。そこから2.5次など医療レベルや機能が出せるかは別の話である。
(相談機能)
<意見>P21の相談支援機能に関する問題点は、相談内容によって相談場所が異なっている点である。現在、医師会が豊四季台団地の中に相談拠点を作る計画を検討している。相談拠点を2箇所に分けるよりも、市がやるなら1箇所に集約した方が市民は行きやすい。その辺りの整合をとるようにしてほしい。また、高齢化に対応するのであれば、アクセスが大切になる。市立病院は北部にあり、拠点としてはアクセスが良くない。
在宅医療後方支援病院について、在宅医療のための後方支援ベッドの確保は非効率。在宅患者で入院が必要になる時は、色々な状況があるが、容態が急変したときにどうするかという問題である。これを市立病院で全て引き受けるとなると、24時間365日受け入れられる救急体制を作らなくてはいけなくなる。後方支援は今行っている救急の一環と位置づけた方が現実的である。レスパイト機能を考慮するなら、別かもしれないが。
<意見>基本的には、常に受け入れ可能な状況を作っておきたいという程度だろう。
<意見>そうであれば、24時間365日、医師を配置し、受け入れられる体制を整備する必要がある。
「テーマ2;市立病院の現状」
事務局より市立病院の現状について説明後、質疑及び意見交換
【事務局説明】
事務局より市立病院の現状を、医療実績、財務、施設の3区分に分けて、現状説明を行い、それぞれについての質疑の後、各委員より今後の対応策について、意見を頂いた。
【質疑及び意見交換】
(財務について)
<意見>市立病院の財務について、一般的に病院の人件費は50パーセントを超えているところが多く、60パーセントになる場合もある。だが市立病院は40パーセント程度と、民間の病院も驚愕する数字である。医師の人件費が高くて経営面を圧迫することが多いが、市立病院は民間病院に比べて安いのか。数字から見るととても優良な病院である。
<応答>これは院内処方の薬剤費が含まれているためである。材料費が40パーセントを占めており、これが減ると人件費の割合が増える。
現実問題として、市立病院の医師の給料は決して安くない。一般から比べ、非常に抑えられているということはなく、普通の公立病院並みである。ただ、医師の絶対数が少ないということは言える。
<意見>決して医師数は少なくはないのではないか。
<応答>現在の外来患者数を考えると、そうではないかと思う。
(救急について)
<意見>先ほどの目指す姿からすると、小児救急を含め、入院外来比率を、今の3倍近い数字から2.5倍くらいにしたいのだと思う。そうすると、二次の患者を増やす必要がある。通常の外来ルートから来ることもあるかもしれないが、それだけではおそらく充足しないため、救急の窓口を充実させる必要があるが、集中治療が1床では難しいと思う。実は、救命救急センターを持っている病院でも病床数には濃淡があり、慈恵医大柏病院は4床あるが、日本医大の千駄木病院は2床である。要は最低でも複数あればいい。その内訳にはいわゆるER床が必要となる。小児の、入院が必要のない一次対応の患者を診る場所がないと対応できなくなる。2床の二次救急対応床とERに対応できる診療室がないと、最初に描いたビジョンが達成できないと思う。
(今後の対応策)
<議論の方向性について>先ほど示した小児救急、災害時、感染症対策等、その全てを取ってみても今の病院の状況では対応は難しいのではないか。築30年で老朽化も激しく、ここで思い切って将来に向けた対策を取った方がいいのではないかということが議論のベースになると思う。それに対し様々な話が出たが、皆さんがこの方向でよければ、次回以降、どのくらいの予算、どのくらいのことをすればいいのかというような、将来構想に向けての議論に入りたいが、それに向け、委員の皆さんからアドバイスや意見があれば頂きたい。
<質疑>小児に関して、以前から二次救急を各病院の輪番制で週7日間を対応しようという方向性があるが、それを崩して市立病院だけで週7日間24時間対応する形にするのか。それとも、現在の輪番制の中に入り、市立病院が5日間、他2日を他病院で対応し、三次は慈恵医大柏病院が診るというピラミッドに入れていくのか。その2つのいずれかになるのか。
<応答>市立病院は他民間病院と相互補完的に存在していくことを基本スタンスとして考えている。
<意見>それであれば、人員配置等は先ほどの資料とは大幅に変わっていくということになる。常勤医師の他に、夜間の当番日は非常勤も入れるという形で補充するというスタンスで考えていかなければならない。7日間全て市立病院で対応するとなると、当番日でなければ小児科医は院内にいなくてもいいということになってしまうかもしれないので。
<意見>小児の二次救急の輪番制は、院内に小児科医がいなくてもよいということで、平成2年から3病院で開始され、その流れでずっときている。
<意見>現行の輪番制の中で月曜日を当番として受け持っている病院では、常勤小児科医が3人しかいないが、月曜日だけはオンコールではなく小児科医の当直体制をとっている。他のある病院でも、小児科医がまだ少ないので、当番日に二次応需で、他の診療科の医師が対応し、困難な場合はオンコールで小児科医を呼び出し対応してもらう体制をとっている。
<意見>小児科医を配置するか否かは、個々の病院のやり方である。今の輪番制の運用では、内科医が小児を診てもいいことになっている。今まで変わってきていない。
<意見>市立病院の体制を変える際に、二次病院の輪番制とリンクして、小児科の二次応需に対応する日は、小児科医が常駐しているということを含めて検討してほしい。
<意見>そうなると二次救急の輪番制全体を変えなければならない。
<意見>柏市の医療全体に関わることだが、慈恵医大柏病院が三次で、市立病院以外は、個人病院である。そのため、経営者の感覚や交代で、方針は変わってしまう恐れがあり、一番恒久的にやれるところは、やはり市立病院である。経営が悪化したり、医師が不足すると、救急をやめる病院も実際ある。成人の救急は、現在の二次応需で大体何とかできる現状であるが、小児は小児科医が不足しており、小児科が増えてくるという可能性は低いため、個人病院には無理がある。恒久的にやるには公的なところ、市立病院で対応することが望ましい。
これまでは慈恵医大柏病院で対応してもらっていたが、三次になり二次の患者を対応できないことが想定されるため、それを補完するところが必要である。他の病院で小児救急をやると言ってくれたら、受け入れ先が増えるわけだから、これはこれで良いことなので、その体制でやっていただければよい。ただ、やはり市立病院は24時間365日やって頂きたい。将来を考えれば、安定的に公立病院が機能することが必要だ。また、市内の輪番制については、現在、市と話し合いをしており、一部変更を予定している。
<意見>市立病院が主体となって、どれだけ小児科医を集められるかまだ見通しがつかないので何とも言えないが、これだけの小児科医を抱えることができれば、うまくいくのではないか、ということに希望をつないで、無理であればそれから考えるということになるだろう。
<意見>市立病院でやってくれたら民間はありがたい。
<意見>市の医療体制の中で、一番の弱点は小児救急である。おそらく大人に関しては、外科系も内科系もそれほど困っていない。
<意見>救急室の考え方について、感染対策のために遠くに離す必要はあまりない。動線だけ変えれば良いので、同じスペースでも入口の動線を変えればいい。場合によっては隔離のスペースを作ることも考えられる。どういうスペースの中で対応するかは見えないが、今の中で再構築するのであればそういう考え方もある。
もう一点、小児の話はこれまでの検討で良いが、全体的な救急について、救急隊から見ると、二次応需で一番困ることは、患者の症状によりどこの医療機関であれば対応できるかということである。ここに行けば小児科医がいるという体制が小児科だけでも作れれば、救急隊にとっても運用しやすくなるので、是非そこは解決していただきたい。小児科のみならず、他の診療科も同様であるが、全てをカバーすることは難しいので、まずは小児から一つずつ解決してほしい。市の二次救急医療体制をどう構築し、その中で、市立病院が何を担うのかといった点で検討してもらえればと思う。
<意見>輪郭の5つについて、可能であればお願いしたい。建替えができれば一番よいと思う。
<意見>建替えをしないと何も進まないということは理解できるが、それまでには時間がかかり、その間何も手が打てないということでは困る。病床稼働率を見ると数字上は余裕が見えるので、その部分を小児外来や小児救急にあてるなど、その間の工夫が必要である。建替えてから小児を充実させるのではなく、それまでのステップを考えて工夫してほしい。
<意見>患者の住所地のデータが必要である。がんセンターは茨城県や埼玉県からも来ているので、同じことが市立病院でも言えるかもしれない。市全域から来ていなければ、建替えの際に立地の問題が出てくるのはないか。建替えの必要性は分かるが、市民が納得できるようにコンセンサスをとっていくことが必要である。一次~三次案まで検討し、ここで議論できるとよい。10~20年先の展望をみて、建替えの必要性と当面の課題とその対応策などを整理する必要がある。スタートから何を増やすかなどの議論になっているが、基本的な検討が必要である。
<意見>思ったより経営状態がいいので、積極的に色々とやってほしいと思う。
<意見>現在、一次、二次、三次の医療体制を構築しようとしているが、今ある資源の中で、ベストのものを構築していくことが一番大切である。ただ、市立病院を見るといろんな問題を抱えている。動線も分かりづらく、一世代以上前の病院である。現在、色々な病院で建替えを行っているが、10年経つと構造や考え方も変わってくる。慈恵医大柏病院も建設計画当初よりも外来患者数が増加し、10年を待たず増築した。
大切なのは、30年後にどうなっているのかという点である。30年後には人口構造が変わり、団塊世代はいなくなっている。しかし、小児は絶対残ると思う。これ以上、小児が減ってしまうとこの社会は本当に希望がなくなってしまう。小児は増やさなければいけない。30年後を見て小児科を置くということは必要なことだと思う。
<意見>個人的な意見もいくつか言わせていただく。P21の相談支援は、市立病院の患者に対して相談支援を充足させるということである。市全体については、1箇所でやる方が、効率的でありサービス面でもよいと思う。後方支援ベッドについては、今後、病院会議で決めていくことだが、支援ベッドを空けておくことは非常に不経済なことだと思う。それぞれの患者がかかっている病院に入院し、そこが無理であれば、救急対応で別の病院に入院するという形もあると思う。その体制を今後整えていく必要がある。
小児救急について、40万人都市の小児救急を他の病院、先生方の協力を得ながらやっていくことがよりベターと思う。その意味で医師会が多大な協力をしてくれている休日・夜間の一次救急の医療センターは非常に重要で、引き続き医師会の先生方にお願いしたい。二次救急についても、他の病院でできるのであれば分担してやっていければと思う。もちろん最後は市立病院で対応する心づもりを持ち、三次については慈恵医大柏病院で対応していただくという形で、役割分担をしながら小児全体をカバーできればと思う。
患者の住所地は、多くは北部地域で、一部我孫子市からも来ている状況である。市が設置する病院である以上、市全体に恩恵がくるように、もう少し中央に移転できれば、我々も望むところである。現在地建替えとなるのであれば、病院の少ない南部に対しても、市立病院が活躍できればと思う。外来だけの小児科内科をカバーできればと思う。地域の方々にも恩恵もあるので、分散するような施設があってもよいのではと個人的には思っている。
3 事務連絡
次回 平成25年1月24日(木曜日)午後3時~5時 柏市役所第5・6委員会室
4 閉会
保健福祉部理事より総括を兼ねた挨拶があり、終了。
以上