平成22年度第2回柏市保健衛生審議会議事録

1 開催日時

平成22年10月7日(木曜日)午後1時15分から午後3時15分まで

2 会場

柏市柏下65番地1

柏市総合保健医療福祉施設(ウェルネス柏) 4階研修室

3 出席者

(1) 委員

小林会長、金江副会長、石井委員、石川委員、井上委員、江角委員、大森委員、小竹委員、塩田委員、妹尾委員、多田委員、中村委員、野坂委員、宮本委員

(2) 事務局

山崎保健所長、下保健所次長兼総務企画課長、中村保健予防課長、石川生活衛生課長、大塚地域健康福祉課長、平島成人健診課長、松尾衛生検査課長、宮島総務企画課副参事、酢崎総務企画課専門監(企画担当)、佐久間総務企画課主幹(総務担当)、渋谷保健福祉総務課長、秋山福祉政策室長、池田福祉活動推進課長

4 議題

(1) 柏市保健所運営基本計画(第3次改訂案)について

(2) その他

5 議事

(1) 第1章総論について(事務局より説明)

対策の視点

柏市の地域保健の最近の動向、2年間における地域保健サービス推進の評価と課題から見直しの視点を4点抽出した。

1.市民に身近でわかりやすい保健所

2.健康危機管理機能の強化

3.職員の質の向上と計画的な人材育成

4.少子・高齢化を見据えた市民と協働の健康づくりと地域包括ケアシステムとの連携

計画策定の目的

この4つの視点の「ねらい」をわかりやすくするため、また、少子高齢化の進展や財政不況など、時代に柔軟に対応していくための「しくみづくり」という点を踏まえ、2つの目標に整理した。

1.「安全・安心な暮らしのために」

2.「健やかで活力ある暮らしのために」

「安全・安心な暮らしのために」については「市民が身近に感じる」即ち、保健所が市民の安心・安全・健康の拠点だということを知っていただくこと。「市民が身近に感じる」とは、職員の顔が見える、信頼できる、相談しやすいということ考えている。

もう1つは、ここ数年の健康危機管理事案にもあるように、いつどのような事案にも対応できる体制づくりである。

「健やかで活力ある暮らしのために」とは、親子の健やかな心と身体づくりを支援するとともに、高齢化の中でいかに一人ひとりが病気を積極的に予防し、あるいは病気になっても、あるいは障害をもっても住み慣れた地域で暮らしていくことをねらいとして、保健所がもつ特有の機能と役割をどう効果的に果たしていくかということである。

この2点をこれからの保健所運営における目標、方向性としたい。

計画の位置付け

本計画の位置付けは、柏市地域健康福祉計画や保健福祉部の関連計画及び次世代育成支援後期行動計画と緊密に連携しつつ、保健所機能をより効果的に発揮するよう、また、多方面にわたる全庁的な連携が円滑・迅速に行われるように、柏市第四次総合計画、後期基本計画の直下の計画として位置付けるものである。

この基本計画は、当審議会での議論を踏まえ、本年度末までに策定し、来年23年度当初から27年度末までの5か年を計画期間として考え、後期基本計画のスケジュールとも整合を図かる。なお、25年度には、中間見直しを行う予定である。

(2) 上記施策に対する委員の意見・質問

会長

本日欠席の委員から、施策「健やかで活力ある暮らしのために」の中の「病気になったとしても、安心して地域で暮らしていくために」という表現について、

その趣旨から、病気の人だけではないので、「誰でも」に改めたらどうかという提案があり、これは特にそのとおりだと思いますので委員一致で修正するということでよろしいでしょうか。

委員

「誰でも安心して地域で暮らしていくために」という表現は、具体的な目的が不明確になってしまう。例えば結核性疾患・リューマチ性疾患に罹患した場合、柏市でカバー出来ない。このような問題提起を明確にするためにも、「病気になっても」という表現は残す必要があると感じる。

委員

1.の「市民一人ひとりが積極的な健康づくりに取り組めるために」というところは、自助努力であり。2.の「誰でも」、安心して地域で暮らしていくためにとなると、地域の支え合いと捉えることができると考えられる。

委員

「病気になっても」という表現が好ましいと考える。「誰でも」となると経済的社会的問題も包含し、より一般的な考えとなり、具体性が無い表現なってしまい、「病気」のことが忘れ去られてしまう。

委員

柏市の健康福祉審議会の中でも同じような表現があったように記憶がある。

事務局

地域健康福祉計画が福祉部門で策定されており、その目標が「誰もがその人らしく住み慣れた街でいきいき暮らせる街柏」となっております。

委員

同じような表現になってしまっていますね。

委員

公衆衛生学的、予防医学的観点からいうと、前段の「市民一人ひとりが積極的な健康づくりに取り組めるためには」は1次予防で、後段の「病気になったとしても、安心して地域で暮らしていくため」は3次予防ということができ、公衆衛生的な観点から適切な表現であると考える。

会長

次回、委員出席の際に決定したいと思います。

(3) 第2章各論について(事務局より説明)

安全・安心な暮らしのために

施策1「市民が身近に感じる保健所を目指して」について

安心・安全のため、また健康づくりに関して、保健所は情報をいかに市民に伝えるか、市民が理解していただけるか、そして市民が具体的な行動がとれるかということが問題となる。

そのために、平時から保健所は、顔が見えること(何をやっているのか市民に分かること、信頼されること、相談がしやすいことなどが重要である。)が重要である。そのためには、普段の市民への情報提供や発信のありかたを検証する必要がある。

施策2「健康危機管理機能の強化と体制整備」について

今回の運営計画の策定に当たり、今一度、保健所が健康危機管理の役割を担うことの位置付けを共有しながら、職員の意識、訓練、連携体制、市民への情報提供や協働のあり方、日ごろの業務の点検を整理する必要がある。

補足説明「健康危機管理の定義」

平成17年の厚生労働省の地域保健対策検討会中間報告で、健康危機管理の対象分野を1.原因不明健康危機、2.感染症、3.医薬品医療機器安全、4.災害有事重大健康危機、5.結核、6.食品安全、7.医療安全、8.精神保健医療、9.飲料水安全、10.介護等安全、11.児童虐待、12.生活環境安全の12分野を示している。

柏市においてもこの12分野について、健康危機管理の指針を整えることになります。

健やかで活力ある暮らしのために

施策1「市民一人ひとりが積極的な健康づくりに取り組めるために」

今後の高齢社会の中では、健康づくりが喫緊の課題となっている、市では、地域保健構想及び地域健康福祉計画の中に、「生涯を通じた健康づくり」を位置付け、地域における健康づくり活動、啓発、がん対策としてがん検診、たばこ対策、また、地域における健康相談など、多くの事業を行っている。その指標や効果を市民と共有しながら、市民の方々の協力も得ながら、年々より多くの人が積極的に健康づくりにとりくめるような環境整備が必要である。そのための他部門との連携のしくみや職域部門の方々、地域の健康資源との協働が必要となる。

保健所は親子の健康づくりを支える重要な拠点となっており、生まれた時から一貫した相談にのれる人材、体制、情報提供ができるしくみが整っている。

この機能を生かし、将来の柏市を支える「小さな命」を守り、はぐくむための支援策を、今後、柏市保健衛生審議会母子保健分科会で審議していく予定である。

施策2「病気になったとしても安心して地域で暮らしていくために」

高齢化とともに病気や障害を抱え、地域で暮らす方が増えていく。

保健所では、今年、ウェルネス柏に移転をし、地域包括支援センターや総合相談窓口との連携、こども発達支援センターとの連携がしやすい関係になり、すでに様々な分野での連携が始まっている。この体制をますます市民に利用、活用していただくことが必要と考えている。

市民に期待される保健所の職員であるために

施策1「人材育成の考え方」

厳しい時代に対応できるために、また、今後、保健所の機能をより充実していくために、専門性・技術・知識の向上はもちろん、いかに市民から信頼を得て、地域資源との連携力を高められるかという力が求められている。

保健所職員の8割以上の職員が専門職であるが、経験年数が少ない年代の職員が多い現状にあり人材育成が最重要の課題と考えている。人材育成の方策について意見を頂きたい。

(4) 上記施策に対する委員の意見・質問

委員

中核市になり市が独自に保健所を持つようになり、市民もある程度期待しているが、必ずしも各論の中では、市保健所を浮き彫りにする様な具体例、その効果が分かりやすく書かれていない。もっと市行政全体との連携を具体的に示す必要がある。また、将来的な評価手法を示す必要がある。

事務局

(市保健所としての意義、市民への説明は、)保健所が市の行政組織に加わった2年前から、更に保健所設置準備時からの課題であり、各論「安全・安心な暮らしのために」の施策1「市民が身近に感じる保健所を目指して」で提案させていただいているところであり、委員と同様の問題意識を持っております。

狭義の保健所、即ち従来の県型保健所は、専門的、技術的分野を担っており、具体的な事例の発生により市民がその存在を意識するものですが。市保健所においては、従来の保健センター、地域健康づくりの事業を包含するものであり、こうした個々の事業の積み上げ、個々の事例への対応を通して市民にその存在を感じて頂くものでもあると考えます。また施策2「健康危機管理機能の強化と体制整備」にありますように、健康危機管理について努めて保健所から情報発信を行うことや市が最も重視している市民との協働の切り口なども加えて保健所を運営する心構えであります。

各論の表記についての不十分な点,ご意見をいただいた点については今後付け加えていきたいと思います。

委員

もう少し踏み込んで行かないと、市民のかたからは、保健所とはどういうところか、何をやっているかまったく見えないと思う。

例えば新型インフルエンザの事例、食品の安全の問題などの保健所が対応した事例、保健所が担った役割を具体的に出すことによって市民に保健所をより身近に感じてもらえると考える。

健康危機発生時には、保健所が最も客観的で正確な情報をもっていると市民に分かっていただく必要があり、そのためには、感染症、水質汚染、熱射病など具体的な事例を具体的に取り上げる必要がある。また、必要に応じて人口動態など保健所で持っている情報を発信していく必要がある。

柏市民で保健所が市の組織であるという認識はあまり進んでいないのが実態であり、県保健所と違うこと、柏市が保健所を持っている利点、地域密着型で行くということを全面的に、より具体的に提示する必要があると考える。

委員

総論の中で取り上げている「新型インフルエンザ」、「食品衛生」、「がん対策」、「母子、発達障害支援」の取り組み事例を各論にもちりばめていく方がよい。

また、各論の「安全・安心な暮らしのために」の施策1「市民が身近に感じる保健所を目指して」の課題にあるように、保健所がより幅広く市民に効果的な情報提供ができているか、必要な人に必要な内容や量の情報が届いているかなどの検証をより具体的に実施していくのが目標になってくる。

委員

危機管理については、柏市医師会においても大震災などを想定した検討を進めてきた。

今までは、災害時の医療機関と危機管理のコマンダー(市長)との場所的な位置関係が大きな障害であったが、保健所がウェルネス柏に移転したことにより、医師会、慈恵医大とも近接している、保健所の裏手には公園がしっかりあることから、こうした立地上の条件は非常に改善された。こうなると、具体的な対応について踏み込んで考えることができる。平成18年に柏市の地域防災計画が改訂されたが、その後のこうした動きに対応して、具体的な事例への対応の構図、シェーマを示す必要がある。そうすることで、市医師会における対応も明確にすることができる。

事務局

柏市が保健所を持つ前の一般の市町村の危機管理の概念からいたしますと自然災害を中心とした地域防災計画が定められておりました。柏市が保健所を持つことで、更に健康危機管理という分野が加わり危機管理の守備範囲が非常に広くなりました。

柏市が危機管理をトータルで担えるようになり、市民の安心安全を支える体制が整いつつあります。

先ほどから保健所からの情報提供が必要とのご意見をいただいておりますが、委員の指摘がありました具体的な事例に対する対応についても市民に分かりやすく説明していく、また事例を通じてしっかりとした体制を構築していくことが必要だと考えております。

委員

保健所の存在を知らしめるにはキャンペーンなどのイベントも必要である。各論の「市民が身近に感じる保健所を目指して」の施策には、市民との協働による啓発活動の展開として、市民行事や民間との協働による同時開催などによる相乗効果を狙った効果的な展開の工夫という記載があるが、今までは具体的にどのような事を実施しその効果はどうであったか、事例があれば示してもらいたい。

事務局

総論の取組み事例の中でも紹介させていただきましたが、総合的ながん対策プロジェクトの中では、健康づくり推進員さんによる地域におけるがん予防の啓発、また、民生児童員の方の集会にも参加させていただいて、がん予防の話や、がんになってしまった場合の相談窓口、がん家族総合支援センターの案内などもさせていただきました。それからがんフォーラムを柏市医師会やがん対策研究センター東病院、慈恵医大柏病院の皆様の協力をいただきまして、市民参加型のフォーラムとして開催しております。

千葉県との共催によるがん予防展では、市内の大型ショッピングセンターの協力を頂きまして2日間で1万人弱のかたにご来場いただいております。

総合的ながん対策プロジェクト以外にも、動物愛護フェスティバルなどそれぞれの分野毎に様々なキャンペーンを展開してきました。

街頭などで市民のかたに直接はたらきかけること情報提供することは非常に効果があることと考えており、今後も実施していきたいと考えます。

委員

総論の保健所運営基本計画の経緯のところには、本年度は、柏市第四次総合計画の後期基本計画の策定年度にもあたり、その中で、急速に進む少子高齢化の進展と深刻な経済不況を背景にした、健康と支え合いのまちづくりの骨格が示されるとある。この命題に対して市、保健所、医師会と東京大学でやっている豊四季台団地におけるプロジェクトについても記載してもよいと考える。

人口動態、歪な年齢別人口構成などを元に、社会的な機運に対して10年後、20年後の社会を保健所から見た視点で提言していくような積極性があっても良いと感じる。

事務局

柏市全体の街づくりの取組みの中で保健所がどのようなスタンスで役割を発揮するかという視点が不足していたと思います。情報提供については、単にお知らせということでなく積極的に保健所をPRしていく、戦略的情報提供も考慮し、市の大きなプロジェクトの中での役割も発信したいと思います。

委員

豊四季台のプロジェクトは、市が東京大学と協定を締結して進めているプロジェクトであり、保健所は関係があるが直接の所管部署ではないと認識している。

事務局

福祉政策室長です。豊四季台のプロジェクトを所管している部署でございます。

今までの経緯から簡単に説明させていただきます。

柏市、東京大学及びURと5月13日に3者協定を締結いたしましてあるべき姿を明確にしております。その中でも中心となるのが地域医療、特に在宅医療の推進であります。今後到来する超高齢化社会の中で病院、診療所等の利用者が急増する。千葉大学の先生の言葉を借りると「津波」のような状態になる、入院したくても入院できない状況が想定されるため,在宅医療が中心になります。そして最重要になる事業が、在宅医療の拠点づくりです。在宅医療の拠点を豊四季台団地につくり、そこからモデルとして発信しようとするものです。

豊四季台のプロジェクトは、医師会の協力を頂きながら医療・介護・生活支援・高齢者就労支援この4つを1つにして地域包括システムをつくり上げるものでありますが,在宅医療の拠点の発信という部分で保健所の役割の位置づけが必要かと考えます。

委員

各論の「安全・安心な暮らしのために」の施策2「健康危機管理機能の強化と体制整備」の中に、健康危機体制の整備では、関係者、関係機関、保健所内各組織、職員の情報共有が大前提になり、その上で、それぞれの専門性からの見解が導きだされ、被害拡大防止の最善策が実施されるような、組織として実効性のある動きを担保できる意思決定のシステムと組織体制、行動計画が必要となる。

この意思決定のシステムが非常に重要なポイントとなるが、意思決定のシステムというものを現在どう考えられているか示してもらいたい。

事務局

今、ご審議いただいている保健所運営基本計画は、保健所設置から2年を経過し、今後の保健所の方向性を定めるものであります。只今ございました健康危機管理など個別の大きな分野につきましては、更に個別に具体的な指針などが必要になります。

まだ具体的なものではありませんが、内部のほうで検討を進めているものが、ご指摘いただきました健康危機管理と、計画の運用管理の項目にあります人材育成です。具体的に詳細な計画プランを練って、基本的な指針を具体的な取り決めを掘り下げます。これは、保健所運営基本計画と併せて進行するものです。

委員

すばらしい言葉が並んでいるが、行動することが大事である。今、現実問題として、柏の保健所の人数は足りているのか。増員の計画はあるのか。

事務局

職員体制のお話でありますが、各論3章の計画の運営・管理のところに保健所職員106名の職種・配置を掲載しております。

職員数の問題は、市全体の定員管理の問題でもあり一概に判断することは難しいのですが、今一番大きな問題は、重要な判断、意思決定などは、県からの派遣の職員に頼らざるを得ない状況であるという点です。県からの職員の派遣がこのままいつまでも続けられるというものではなく期限がございますので、それに向けて市職員の指導力の維持向上、更に市民サービスへの還元できるような体制をつくりあげる必要があります。

そのためには人材育成プランが必要であり、先ほどの健康危機管理の指針とともに具体的なものが必要になります。

県からの職員派遣の期間は残り2年半であり、市の職員だけで十分な経験則を補う事は難しいものではございます。

今のところ皆様にご迷惑をおかけしないで何とか運営させていただいておりますが、今後も安定的に維持運営していくには具体的な人材育成プランを更に進めていかなければならないと考えております。

委員

豊四季台のプロジェクトですが、UR・東大・柏市の計画が住民に浸透していない。住民は自分の事として自覚していませんが、今回、保健所がどうかかわってきてくれるか期待もある。

時折地域にも足を運び説明し意見を聞く必要がある。

豊四季台で今問題になっているのが、一人暮らしのかた、身内がいらっしゃらないかたが非常に多く、そのかたの鍵を預かる人がいないという事がある。即ち部屋の中で倒れた時に部屋を開けるすべがないのが現状である。

民生委員に鍵の管理を要望するかたもおられるが、民生委員では対応できない。URでの鍵の管理を行い、中で倒れたときに対応できるようにしていただきたいと考えている。現状では、ベランダの鍵を開けて置くように助言している。

最近、豊四季台では、往診の車をよく見かけるようになったが、民生委員は、往診してくださる医療機関を把握できていない。保健所からは、地域に往診をしてくれる医療機関のリスト・情報を提供されたい。

委員

議論が多岐にわたっておりますが、保健所の業務は地域保健法にやるべき事項が法定されている。この審議会では、事業の評価を目的にしたものなのか、今後の新たな展開の提案が目的なのか審議会の趣旨をもう一度明確にしてもらいたい。

事業の評価であれば、事業年報や今回の総論、各論を見て一定の評価ができる。

事務局

柏市は中核市移行時に県から1,150項目に及ぶ保健所の事務を移譲されました。また、柏市保健所では、従来の保健センターの業務、地域健康増進事業も併せて行っております。

当初2年間はベースとなる仕事、県保健所の機能を維持することを目的とし、組織体制も含めて整えてきたところです。まだ充分に機能を発揮できてない部分もございますが、今回は、機能の充実と市独自の保健所をつくることを目的とし、柏市保健所運営基本計画の策定について諮問をしております。また併せて従来の基本となる部分も含め、広くご意見をいただきたいと思います。

委員

21年度の概要について、インフルエンザや食品衛生の問題は、計画的に行ったということではなく、そういう事態が発生し、積極的に対処していったものであった。そういう意味では、昨年度、一番ポイントとしてあげたいのはがん対策だったと考える。

がん対策は、市が保健所の事業として掲げ、さまざまなキャンペーンを繰り広げ、ネットワークも構築しそれなりの効果があった。

そういう意味では、今回の計画は、内容は高邁ですばらしいが具体性に乏しい。

高齢者問題、少子高齢化、母子問題など具体的なものを一つでもあげてそれに重点的に取り組むことも必要だと考える。

委員

子育て支援の関係でウェエルネス柏にくるが、保健所はよくやっていると感じている。危機管理の問題についても昨年の食品衛生の事案について、保健所の対応は迅速で良かったと感じた。今後も包み隠さない迅速な情報提供を心掛けてもらいたい。

委員

柏市の地区では看護管理者の集まりがない。地区として集まりはあるが、診療所やクリニックなどでは協会に入っていないこともあり、そういった集まりがあることも知らない場合がある。

他の地区においては、保健所が主体となって、市内の看護管理者を集め、研修を年2回、3回と実施している。

そこで看護管理者のネットワークができる。そのネットワークを通じて市民への情報提供などに活用できることもあると感じている。

私のところでは、事例について、ネットワークによる顔が見える関係の中で相談できる環境がない点が問題に感じており、市内の看護管理者のかたからも同様の意見を聞いている。

今後、看護管理者の集まりなども企画いただきたい。

事務局

ご意見ありがとうございます。PR不足であったと思いますが、昨年度は2回、今年度は1回ではございますが、市内の病院、診療所の看護管理者の方にリクエストをとり、研修会を実施しております。今後ご意見を頂き、情報の出し方を検討したいと思います。

委員

この柏市保健所職員人材育成の問題はかなり差し迫った問題と承っております。審議会としてバックアップできることはありますか。

事務局

具体的にこうした場でご指導いただくということは、難しいと思いますが、今回の計画案の3章には、人材育成のテーマがあります。

具体的な施策の提案や、皆様からのご意見をいただきたいと考えております。そういうかたちで保健所の体制をフォローアップしていただきたいと思います。

委員

各論の第3章計画の運用・管理の施策1では、柏市保健所職員人材育成の考え方、こういう人材が欲しい、また目標を書かれておりますが、具体的にどのようなことを考えているのか教えていただきたい。

事務局(宮島副参事)

当面進めていることを一つ紹介させていただきますと、「前倒し採用」というものを実施しております。先ほど職員配置の話をさせていただきましたが、保健所の設置に伴い、県から職員の派遣をいただいております。当初は25名おりましたが、現在は17名で今後減って行きます。帰った後に人を補充するのではなく、先行して職員を採用し県職員とともに業務に従事する期間を作っております。

引き継ぎの意味もありますが人材育成を目的として行っており、これは他の自治体には見られない柏市独自のものです。

この前倒し採用は、市の人事、職員定数管理の部署の協力を頂き、議会のご理解をいただき、条例を改正して行っており、職員定数削減の風潮のなかでは極めて特異なケースでございます。

委員

県保健所であれば転勤があり、それに伴い自動的に知識、経験、人脈が増えていきますが、市保健所では転勤がない、そのマイナス面はないか。

事務局

市型保健所では、専門職として採用されると保健所から異動がありません。

地域密着した顔の見える人間関係ができる一方で、相対的にレベルアップのスピードが遅い傾向にあります。県型保健所であれば、各地の保健所に少数の新規採用職員が配属され、大きなパイの中で人材が育成されますが市型保健所ではそういったことがありません。また、現在、職員の年齢構成も若い世代に偏っており、なかなか管理部門の職員に育成するのに時間がかかります。

また、同じ職場で異動がないことは、ある種の限界も生じ、モチベーションが下がるというようなリスクがありますので、個々の職員の常に問題意識を持ち業務に取り組まなければならないと感じております。

委員

県内で中核市は他にもあると思いますが同様の問題を抱えているのか。

事務局

県内では、千葉市が平成4年に政令指定都市に、船橋市が平成15年に中核市となって保健所を持っております。船橋市では、保健所は全員、市職員で運営しておりますが、一市一保健所体制となっておりますので同様の問題を抱えていると思われます。

まだ、検討段階でございますが、船橋市と柏市の人事交流の可能性も探っていきたいと考えております。

委員

特に県に拘らず、県を超えて自治体間でお互いに経験をつむシステム作ることを考えてよい。

委員

各論を読んでいて具体策がありません。各論は計画そのものであるので、具体的に書く必要がある。

事務局

今回の段階は、現状報告と方向性の確認と考えております。

今回の計画は、事業充実・新規事業が難しい中で、今ある資源、事業をどのように効率的・効果的に活用する仕組みづくりを主に1.人材育成2.地域との連携の切り口から探るものであります。

具体策は現在内部で検討中でございます。

会長

もう一度審議会を経てパブリックコメントになりますが、もう少し具体策を盛り込んでパブリックコメントに行いたいと考えます。

次回の日程は、11月4日(木曜日)に行います。

これをもちまして第2回柏市保健衛生審議会を終了したいと思います。