柏市保健衛生審議会 保健所運営部会 会議録 平成20年11月25日

1 開催日時

平成20年11月25日(火曜日) 午後6時30分から8時10分まで

2 会場

柏市柏255番地26
柏市保健所3階 小会議室

3 出席者

(1) 委員

宮地部会長ほか9名、保健医療部会委員2名

(2) 事務局

保健福祉部長、保健所長、総務企画課長、保健予防課長、生活衛生課長、地域健康福祉課長、保健センター所長、衛生検査課長

4 議題

(1) 保健所長あいさつ

(2) 議事

ア 伊藤ハム等の事案の検証

イ 食品衛生施策の検証

ウ まとめ

(3) 保健福祉部長あいさつ

(4) 閉会

5 議事

議題1 伊藤ハム等の事案の検証について

[伊藤ハム等の事案の概要説明](生活衛生課長)

<中国産冷凍インゲン事案の概要>

○ まず、八王子市内で、中国産冷凍インゲンから農薬のジクロルボスが高濃度で検出されたと、国の報道発表が10月15日の午前0時にあった。

同じ製品、同じ賞味期限、同じロット番号のものを食べた柏市民から、異状があると、同日の午前10時に30代の男性から、午前11時40分に30代の女性から保健所に電話で連絡が入った。

いずれも、嘔吐や舌が痺れるという症状があった。

通報を受けて、柏警察に連絡し、合同で通報者宅に出向き、健康調査、食事の調査等、聞き取り調査を行った。また、冷凍インゲンの残品を回収した。

検査は、千葉県衛生研究所で行ったが、ジクロルボスを含む農薬については、すべて検出されなかった。

情報提供は、発生した当日は報道発表を行い、検査結果についても10月16日に記者会見で発表した。

考察としては、今回の苦情は検査結果から農薬が不検出だったので、農薬によるものではないと考えられる。また、今回の事例は、中核市保健所として初めて報道発表した事例であり、千葉県衛生研究所との検査に伴う連携や、国・県との調整、マスコミへの情報提供など、対応で一時混乱もあったが、全体としては比較的スムーズに行えたと考えている。

<伊藤ハムの事案の概要>

○ 伊藤ハムの事案には、2つの事案がある。

1つ目は、シアン化物イオン及び塩化シアン(以下「シアン化合物」)である。

10月23日、伊藤ハムが保健所に来所し、自社の専用水道からシアン化合物、塩素酸が水質基準を超えて検出された旨の報告があった。

伊藤ハムは、この水質基準に適合しない水を使用して製品を製造していたので、10月25日にこの旨を記者会見で公表し、10月26日に社告を出して、製品の自主回収を始めた。

現在、伊藤ハムでは、シアン化合物が検出された原因の究明について、学識経験者を含む調査対策委員会を立ち上げ、調査を行っている。

保健所では、10月24日、千葉県衛生研究所に水と製品の検査を依頼した。10月25日、シアン化合物は水、製品のいずれからも不検出であったが、10月27日、塩素酸が検出された。

なお、10月24日から施設の調査を開始しており、保健所としては、水道施設の使用停止、原因究明、製品及び井戸水の自主検査を指示した。

また、伊藤ハムの公表を受けて、検査結果を含めた報道発表を行い、市民への情報提供に努めた。

現在、回収状況の確認を行っているが、11月4日以降は、回収品の廃棄の確認にほぼ毎日職員が立ち会っている。

考察としては、柏市が水道水に使用している地下水について、10月27日に水道部では、36か所の井戸から採水し、検査をしたが、すべてシアン化合物は基準値以下であった。また、環境部では、伊藤ハムを含む周辺井戸も10月27日に採水し、検査したが、こちらもすべて基準値以下であった。従って、現時点では、地下水汚染は想定しづらいと考えている。

また、保健所は、水道施設の一部使用停止、原因の究明、製品及び井戸水の自主検査など、現在、適正な指導を行っている。

千葉県衛生研究所との連携も速やかに行うことができた。

ただ、このような全国規模の事件であったので、柏市全体の危機管理として取り組む体制を、今後、さらに強化していく必要があると考えている。

○ 次に、2つ目の伊藤ハムのトルエンに関する事案について説明する。

シアン化合物と同じ時期に発生したが、10月24日、伊藤ハムからユーコープに出荷している、委託製造のウインナーに、苦味の苦情が出ている旨の情報提供があった。

10月25日になり、原因がトルエンであることが判明した。

翌10月26日から、伊藤ハムが製品の自主検査を開始した。

さらに調査を進め、11月2日、埼玉県が、株式会社DNPテクノパックの埼玉県にある工場で製造している製品の包装資材、つまりソーセージを包んでいる袋から、トルエンが検出されたことを発表した。

保健所の対応については、10月27日、水と製品の検査を千葉県衛生研究所に依頼し、10月31日、製品の回収品からトルエンが検出され、水からは検出されなかった。

なお、苦情の原因がトルエンと判明した10月25日から、保健所では立入検査を実施し、製造ライン、薬剤の管理、工場の調査を行い、10月31日には、厚生労働省関東信越厚生局と合同調査を実施した。

考察としては、今回の事例の原因が包装フィルム接着剤からトルエンが溶出し、ウインナーに移染したものと考えられる。

また、千葉県衛生研究所との連携やマスコミへの報道発表も、比較的順調に行えたと考えている。

[委員からの意見等]

○ 食品衛生協会では、柏市食品衛生監視指導計画に基づき、保健所の指導のもと、色々な店舗の監視を行っている。また、柏まつりは大きい祭りなので、事故が起きないように、柏市職員と一緒に検査しており、市場まつりも同様に行っている。今回の事案が出るまで、柏市が中核市になってから食に関する事故が一度も起こっていなかった。これは県下で柏市保健所管内だけであった。しかし、今回、トルエンも水もそうだが、これまで想定してこなかった事案が発生した。これからどんな問題が出るか想定できない。今までの食に関する事故というのは、ある程度、元を断てば防げたが、今は感染症も多く、外国から来る色々な品物に何が含まれているか分からない。こういった中で、今の柏市保健所の体制は大丈夫なのか。これは保健所が悪いというのではなく、以前は必要だったが今は必要ない人員を、必要な部署に配置することができないのか。それというのも、今の保健所では、今回の伊藤ハムのような事案が起きたときに、普段の仕事ができなくなってしまう。そういうような状態を見たとき、本当に大丈夫かと思う。担当の職員は大変だと考えている。伊藤ハムとは一緒に仕事をしてきたので、他人事ではなく、自分のことのように思う。本当に何人かの知識がなかったか、甘かったかは分からないが、発見から時間がかかってしまった。そのために色々な問題になった。経営者の一つの甘さから何百人の人が路頭に迷うような事態になってしまう。そういったときに、色々な意味で、食べ物を扱っている身として心配になってしまい、商売を止めようとも思ってしまう。今、それくらい経営者も食べ物に気を遣っているが、気がつかない、できない。今、水の問題で、飲料水の検査は保健所で行っていない。今までは保健所で飲料水の検査をしていたので、ちょっと悪いと保健所から確認しろと来ていたが、今は検査機関で行うので、多少悪くても来ない。具合が悪くなって医者にかかると、食中毒の疑いがあった場合に届け出なければならない義務がある。そういったことがあるように、場合によっては水の検査も、検査機関で疑わしいものがあった場合に基準値の前でも届け出ることを条例に定めることも必要ではないかと思う。みなさんの意見を聞きたい。保健所の食品衛生監視員は大変だと思う。県の場合は周りに広域監視班という組織があり、今は松戸にあるが、以前は松戸、柏、野田保健所管内を受け持つ組織が保健所の食品担当とは別に柏にあり、立入検査を行っていた。柏で何か起きて県に相談するといっても、今は県から職員が来ているからいいが、将来、5、6年経ってどうなるか。特に食品の場合、特別な技術、知識が必要である。これからどうなるのかという不安がある。この辺のことを市にも考えてもらいたい。文句を言うのではなく、こうしたらよくなるのではないか、という意見があってもいいと思う。(委員)

○ 個々の行政の体制については、この後、次の議題で説明するので、その後で意見をもらいたい。(保健所長)

○ 水質検査や給食室の衛生検査を行っているが、何もなくて当たり前である。例えば大腸菌など、何か出てしまうと、厳重に注意する。伊藤ハムなどは、出なくて当たり前であり、でたらすぐに連絡し、何らかの対応をしなければならない。本案は後手後手に回っている気がする。毎日とは言わないが、2日に一度なり、週に一度なり、もっと水質検査をやっていれば、絶対にこういうことは起きなかったと思う。その辺りが歯がゆい。(委員)

○ 関係してしまうと、その担当者は色々と考えてしまう。だから、そこを第三者で少し後ろを押してあげる人がいれば、気がついて、保健所なりに相談するのだろうが、そこで何とかならないかということで、水質が悪いと感づいた段階で、どこかに届けなくてはという部分が働かないのではないか。だから、その働く何かを作るために、第三者がちょっと後ろを押してあげられればと思う。(委員)

○ 第三者ではないと思う。自分の会社が可愛いから庇うのではなく、それはどんどん出さなければいけない。出して当たり前なのだから。(委員)

○ それが動けなかったから、今回があるのではないか。そこが問題になる。(委員)

○ 会社の人が甘かった。(委員)

○ 甘かったためにできなかったのだから、結果としてその人だけを責めるのではなく、動けなかったということは、実際にわが身になると、そうなってしまうということなのだろう。(委員)

○ 我々、医療機関では、一番問題となるリスクマネジメントのポイントは、いかに早く公表するかである。早く公表すればするほど、アクシデントが小さく収まる。それを、遅くすれば遅くするほど、だめになっていく。それは一般的な社会常識になってきていると思う。だから、それはたぶん、伊藤ハムの中に、きちんとしたリスクマネジメントの組織がなかったということになる。そこが一番問題である。(委員)

○ 今までのこともすべてそうである。何かが働くから、そこを考えて、提案するのもこの会議だと思う。(委員)

○ そのとおりだと思う。だから、組織的に学ぶことは、伊藤ハムのことを批判するのではなく、こういう問題を早く決着し、解決するためにはどうすればよいかということを保健所に考えてもらい、指導を企業にしていくことが大事ではないか。今の時代は、リスクマネジメントをきちんとやっていないと、どの企業もおかしくなる。一つ間違えると、企業が潰れてしまう。そういうことを常に考慮して、対応する必要がある。それは、企業のトップの考え方次第である。(委員)

○ 今回はミスだから、他のところでも出るかもしれない。下手をすると、甘さの中で、どうしても対応が遅れてしまう場合があると思う。(委員)

○ こうなった上で伊藤ハムに何を言っても仕方ないので、保健行政としてやることは、できるだけ早く、こういう問題を他山の石として、リスクマネジメントの対応を作るように、各企業に助言するということになる。(委員)

○ 今の話をまとめると、すでにあるのかは分からないが、これから伊藤ハムの中に、リスクマネジメントの組織を作るよう働きかけることである。また、検査についてはどうなっているのか。(委員)

○ 伊藤ハムは、水道法では専用水道というカテゴリーに入る。専用水道は、毎月検査を行う義務がある。検査項目は、毎月行うものは10項目程度、3か月ごとに行うものにはシアンが含まれ、年1回行うものはもう少し検査項目が多い。また、毎日の検査もあり、色、にごり、残留塩素を調べ、その状況を確認してもらうことになっている。(生活衛生課職員)

○ 検査を既定のこととして行っているということは、分かった。理容の関係で、検査の状況はどうなっているか。(委員)

○ 全国的に、検査があるところと、ないところとがあり、柏の場合は、特にお願いして、定期的に検査してもらっている。(委員)

○ 検査される側が大変だということはないか。(委員)

○ 厳しく検査してもらえるようお願いしている。(委員)

○ 獣医師という立場では、何か関係がないか。(委員)

○ 個人的には井戸水を使用しているが、臨床をしている上では、使用している水は、あまり関係ない。毎年、同じ検査機関に検査をお願いしており、特に異常はない。話は違うが、冷凍インゲンの事案では、起きた時間が昼間で、警察と一緒に対応してスムーズにできたことはいいことだと思うが、これが夜だった場合、どういうシステムがあるのか。(委員)

○ 夜の場合は、夜間用携帯電話を管理職2名が交代で持っており、何かあれば、市民などから連絡が入るようになっている。このため、連絡が入れば、すぐに対応する。千葉市の大変な例があったので、何かあれば、すぐに対応するような体制にしている。(生活衛生課長)

○ 豊四季団地の水はすべて井戸水で、今回の事件があったとき、高齢者からすぐに連絡が入り、「水脈が同じではないか、もし何か変なものが入っていたら、自分たちも危ないのではないか。」という質問があった。だが、「団地の水道は、水道部が月に1回きちんと検査し、保健所に届けているはずなので、大丈夫だろう、何かあれば、すぐに連絡があるから大丈夫だ。」と対応したが、とても心配だった。しかし、今回の話を聞いて、水ではなく、包装の接着剤が原因だということなので、また同じような質問があったら、きちんとこういうことも高齢者に伝えてあげたいと思う。とても心配だったが、今は安心している。(委員)

○ 医療機関のリスクマネジメントに関する意見に同感である。こういう事案は歴史を振り返ると、隠蔽の連続が大きな問題を生んでいる。カネミも、雪印も、みな、事後になって連絡するから会社が潰れる。もっと挙げれば、他にも例はある。伊藤ハムの場合は、よくこれだけで済んだという気がする。保健所の対応がよかったからだと思う。会社が傾くような事案である。心配もよく分かる。結論は、経営上、絶対に隠してはいけないというのが危機管理の鉄則のようになっているのではないか。(委員)

○ 食品衛生も、水質もまったく関係ないが、こういう色々な事件に対応することで、いかに迅速に対応できるかということが共通していると思う。児童相談所は、児童虐待が中心になっているが、いつ起こるか分からない。食品の事案もいつ起こるか分からないので、24時間、365日体制で、何かあれば連絡が入り、必要があれば職員が対応するということである。夜中の2時、3時に起こされて行ったということもある。食品でもそういうことがあるかは分からないが、リスクへの対応、方策というのは考えておくことが必要だと感じている。(委員)

○ 柏に住んでいて、柏の水はきれいだと思っていたので、このニュースを聞いたとき、どうしてかと思った。説明を聞いて、事案が出た段階では何かあったが、今は大丈夫だということが分かり、安心した。先ほどからも話に出ているとおり、公表を早くしていれば、あまり大きな問題にはならなかったのではないか。今は、食に関して、みなナーバスになっている。冷凍インゲンの問題では、結果的に、そんなに色々な毒のようなものはなかったということである。伊藤ハムのウインナーも、原因は包装だということだった。先日、伊藤ハムが調査委員会を作ってやっているということも報道されていた。みなニュースで見ていて、次々に情報が入ってくるので、我々市民としては、いいことだと思っている。今の世の中なので、保健所が一生懸命やっていることは助かる。大変だとは思うが、今後も市民の色々な面に気をつけていってもらえたらと思う。(委員)

○ この事案に関しては、保健所と歩調を合わせて対応してきた。いずれも事件という形には至らなかったが、一歩対応を誤ると、保健所も、警察も、批判の的になってしまうような、いずれも大きな事案だった。これだけ大きい事案だと、警察署、あるいは保健所としての対応以上の規模になってしまう。というのは、県も出てくる、国も出てくる、その狭間に保健所と警察が挟まれ、現場は苦労している。こういう対応は、保健所と警察が連携を取って、一番いい対応を取っていかないといけないと思うが、そこには色々な苦労があるということを理解してもらえればと思う。本当に今回は、早い対応だったと思う。警察としては、常に事件性を考えている。井戸が汚染されたといえば、誰かが混入したことを疑うなど、常に保健所から情報を提供してもらい、注意しながら対応してきた。(委員)

○ 伊藤ハムの件で、フィルムというのは伊藤ハムだけでなく、色々なところで使用しているので、こういうことでも問題になるということを、食品を取り扱っている企業にきちんと知らせた方がいい。そうすれば、お互いに気をつけるのではないか。また、食品を取り扱うとき、マニュアルをきちんと出して、復習してもらいたい。今回の件が、よい教訓となって、柏市の食品衛生に役立っていけばと思う。(委員)

○ フィルムの問題というのは、伊藤ハムだけの問題ではないと思うが、その辺りはどのようになっているか。(委員)

○ 他には影響はなかった。たまたま、伊藤ハムの製品だけに問題が発生した。包装フィルムを接着する機器が歪んでいたということだが、早い段階で原因が分かったので、防げたということである。(保健所長)

○ 具体的にはどういうことか。(委員)

○ 包装フィルムを接着する、回転する機械が、本来はピッタリと合うはずなのだが、そこが歪みでずれていた。2枚の包装フィルムのポリエチレンとポリエチレンテレフタレート(ポリエステルの1種)の接着にトルエンが使われているそうだが、機械が歪んでいたため包装に隙間が生じ、そこにトルエンが入ってしまった。そして、乾かなかったために、ウインナーの方に流出してしまったということである。苦情を受けて、伊藤ハムでは、まず工場内でトルエンの使用を調べたが、1か所もない。そこで遡って、原料の肉や包装フィルムなど、原材料を遡って調べたところ、包装フィルムの会社で、こういうことが分かった。そういうことで、迅速な対応で、他の被害は出なかった。(保健所長)

○ はっきり言うと、機械の整備の問題か。(委員)

○ そのとおり。(保健所長)

○ だから、食品はこういうことも気をつけないといけないということを業者に知らせないといけない。(委員)

○ 本当ならば、フィルムを出すときに会社の方でチェックをするのだが、見た目では分からない。ずれているといっても、見た目ではきれいに合っているように見えるし、臭いも時間が経たないと出てこないので分からず、パスしてしまう。包装したところはちゃんとしたところかを見るが、真ん中のラインだけをチェックするそうである。端の方は見ないが、実際には端の方に歪みが出ていて、トルエンが入り込んでいた。包装はロールになっていて、いくつものラインで包装するが、そのうちの端の方だけから、そういう製品ができてしまったということで、これが発見をわかりづらくしてしまったということである。チェックするポイントは真ん中の方のラインだということである。(保健所長)

○ 「健康危機情報が一元的に管理されたトップダウン体制の強化の必要がある。」とのことだが、具体的にはどういうことを意味しているのか。(委員)

○ 先ほども説明したが、今回の件は保健所が中心になって対応したが、今回のような全国的な事案については、市全体で取り組むということで、上は市長、副市長から、下は我々まで、健康危機管理に取り組む体制を強化していきたいという意図である。(生活衛生課長)

○ 要するに、情報がいかに速やかにトップにつながって、そこからトップダウンで早く進めるシステムを構築するということか。(委員)

○ そのとおり。(生活衛生課長)

議題2 食品衛生施策の検証

[食品衛生施策の概要説明](生活衛生課長)

○ 初めに、平成20年度柏市食品衛生監視指導計画について説明する。

まず、1番目の監視指導体制については、委員からも質問があったが、現在、食品衛生監視員は専任が5名、あと、4月から食鳥検査業務を行っており、食鳥検査員4名が兼務しており、合わせて9名が今回のような事例に対応している。食品の検査は、保健所の衛生検査課と、千葉県薬剤師会検査センター等の登録検査機関に委託して実施している。なお、千葉県衛生研究所とも連携を取り、実施している。

2番目の重点監視指導項目については、まず、食中毒予防に係る指導事項として、例えば、ノロウイルスやサルモネラ、腸炎ビブリオなどについて、重点監視の指導項目を決めて、監視を行っている。次に、食品群ごとの食品供給行程を通じた指導項目、つまり、食肉や卵などの食品ごとに、製造から販売までの段階ごとに指導項目を決めて、監視指導を行っている。また、使用する原材料の適正な表示について、立入検査の際に指導している。

3番目の立入検査については、年間立入検査として、食中毒などの法違反で行政処分を受けた施設、製造及び販売される食品の流通の広域性と営業の特殊性を考慮して、実施回数を決めている。また、柏まつりや市場まつりなどの大規模なイベントが市内で行われているので、その際に、模擬店などと称している簡易な飲食店を対象として、衛生的な取り扱いについて、事前に説明会を今年も開催し、大規模な食中毒が起きないよう、事故防止に努めた。

4番目の収去検査については、食品の検査を実施し、不良食品の排除、健康被害の発生防止、安全な食品の流通を確保している。

5番目の健康被害の未然防止については、今回の伊藤ハムのような大型の製造施設には食品衛生管理者を設置し、一般の飲食店などには食品衛生責任者を設置し、対応している。また、食品等事業者の自主的な衛生管理の推進として、柏市食品衛生協会と協力し、食品等事業者への指導助言及び自主管理の向上を目指している。保健所の職員だけでは、市内のすべての施設を見るのは無理なので、こういった形で協力してもらっている。食品衛生情報の提供としては、広報かしわやホームページなどで、食品衛生情報を随時提供している。食中毒予防に関する普及啓発としては、食品等事業者の講習会、ホームページ、広報などにより、食中毒予防に関する普及啓発に努めている。

[平成21年度柏市食品衛生監視指導計画の策定手順の概要説明](生活衛生課長)

○ 次に、平成21年度柏市食品衛生監視指導計画の策定手順について説明する。

今日、委員から提言をもらった後、来月、素案を作成し、1月にはパブリックコメントを行う。2月に計画案を作成し、3月に再度委員から意見をもらい、最終的に計画を策定したいと考えている。

[食品衛生思想の普及啓発についての概要説明](生活衛生課長)

○ 最後に、食品衛生指導の普及啓発について説明する。

10月末現在、食品衛生講習会は23回開催し、延べ2、160名が参加、食品衛生責任者講習会は2回開催し、延べ300名が参加した。

食中毒防止キャンペーンについては、巡回パトロールとして、食中毒キャンペーンとして行っている。また、柏まつりでも2回行っている。さらに、広報紙やホームページにも掲載している。

模擬店やバザーの指導啓発については、個々の指導啓発は163回、柏まつりの全体の講習会は2回、市場まつりの全体の講習会は1回行っている。

中核市保健所になり、だいぶ食品に関する相談が増え、これまでに137回、去年の2倍程度に増えている。

終わりに、今後取り組む事業の例示だが、我々としては、例えば、食の安全に関するフォーラムや、伊藤ハムを含む大規模製造所への監視の強化、食の安全に関する情報の提供など、色々と、今後取り組む事業の検討を行っている。

[委員からの意見等]

○ 非常に精力的に啓発を行っている。食品衛生に関しては、O-157や感染性胃腸炎など、色々とあるが、何かあったときに、ホームページにはもちろん出すのだろうが、必ずポスターに出すなど、そのとき、そのときで、臨機応変に出しているのか。(委員)

○ 先ほど説明したとおり、ホームページや広報かしわはもちろんだが、今回のように何か事故があったときは、速やかに報道発表をし、市民にこういった事件があったということを速やかに情報提供するよう心がけている。特に、この4月から中核市保健所になったので、身近な保健所ということで、市民になるべく早く情報提供したいと考え、取り組んでいる。(生活衛生課長)

○ 今は出しているか分からないが、県の時代には「保健所だより」というのがあった。どこに配布していたかはよく分からないが、あのようなお知らせに大事なことは出すといい。けっこう色々なことが出ていた。(委員)

○ 「保健所だより」は、県の保健所の時代に出しており、県下の保健所で年2回程度、保健所で行っている事業の紹介と併せて、その時々の市民に対する健康情報の提供を主眼に発行していた。夏や冬に出していたが、夏はどうしても細菌性食中毒の予防ということになり、冬になると、例えばインフルエンザやノロウイルスなどの感染症と食品にも関係するような情報提供を行っていた。今回、県の保健所から市の保健所になったが、市では、広報かしわが非常に充実しているので、そこに色々な記事を保健所が要望すれば載せてもらえる。発行部数がほとんどの市民に行き渡る形になるが、従来の保健所だよりは保健所に関係する機関に配布し、窓口に置いてもらう形なので、市民の色々な層に行き渡らないという欠点があった。現在は、市の広報紙への掲載を主として、進めている。ただ、確かに意見のとおり、関係する事業者や業態には確実に情報が行っており、そういったところからまた配布してもらうことはでき、紙面はこちらで作れるので、豊富な紙面内容にすることができるので、検討してみたい。(保健所長)

○ 柏まつりの全体講習会の対象は模擬店を出す人ということだが、いわゆる露天商は参加しているのか。後ろを歩いて見ていると、フランクフルトをカッターで切っている。そういうのは指導しているのか。(委員)

○ 露天商は、以前より良くなった。商店街の店も昔はなかなか検査できなかった。商工会議所が中心となり、保健所や食品衛生協会が中に入って、やっと今のような形になってきた。露天商も今は検便は受けてくれている。カッターで切るのはよくないが、露天商の食品の取り扱いは、飲食店が出店を出すよりもしっかりしている。飲食店の人間は、今は指導してほとんどなくなったが、以前は冷凍品などを地べたに置いていた。露天商は屋台がしっかりできているので、しっかりしている。飲食店の出す模擬店も、まつりなのだからうるさいことを言うな、と言われるが、模擬店の出店の届出を出しているので、保健所と一緒に見回りをしている。今のように厳しくなってきたのはカレー事件があった以降のことで、保健所の指導によって、町会の催しなどでも検便を保健所に出すようになってきた。ところが、段々と少なくなってきてしまっている。なぜ届出を出すかというと、もし事故が起きたときに、材料をどこから仕入れたかなど、ルートをすぐ管理できるということである。先ほどの水の問題ではないが、早く届け出れば早く解決できるということである。もし町会などで模擬店を出すときは、出店の届出を出してもらいたい。最近、届けが少なくなってきたようだが、事故はいつ起きるかわからないし、それが、事故が起きたときに早く解決する方法なので、届出をしてもらいたい。保健所に来て出店の届出をする際、食品の衛生管理の指導もあるので、学校で行うときもそうだが、必ず届け出てもらいたい。以前は、検査も何もしない状態だったが、今は、他市から見ると、柏まつりはすごく良くなっていると思う。他では、あれだけの出店はやっていないので、他に行ったとき、ぜひ見てもらいたい。これは保健所の指導の中で、このようになってきた。今年は特に、保健所の職員が2名、3名と一緒に回ってくれた。市場まつりも、これから段々と良くなっていくのではないか。事故が起きると大きくなるので、大変だとは思うが、保健所に市場まつりもやってもらいたい。(委員)

○ 地域の活動で高齢者の食事会をしている。以前は便検査をしていなかったが、このところ、参加者も大勢なので、作っている人間が検査しなければと思い、市の保健所になってから、便検査をすることにした。そのときに保健師から、便検査は事業の1週間くらい前に出すが、当日の体調がとても大事なので、体調の悪い人は参加しないように、ということを教えてもらい、地域ではちゃんと守ってやっている。まつりとは違い、地域の高齢者を招いて行う事業なので、高齢者の体調もあるが、家に持ち帰らず、その場で食べ切ってもらうよう指導している。ちゃんと便検査をしているので、安心してもらいたいが、検査料が1人1、000円かかる。予算がないから検査料をどこから捻出しようかと考えたが、今は個人負担としているので、半額程度になるといいと思っている。この件についても考えてもらいたい。(委員)

○ 学校給食の職員は、毎月便検査をしており、安い検査料で行っている。そういう機関にお願いすると、安くて済む。(委員)

○ 我々は個人負担でやっている。学校の行事ならば、学校給食の人にお願いできると思うが、地域のことなので、我々は学校にはお願いできない。(委員)

○ 自前の検査機関があれば、安くできる。なぜ自前の検査機関がないのか。中核市になる前は、保健所に検査機関があったはずである。(委員)

○ 今も検査機関はある。衛生検査課で検査業務を行っており、便検査も行っている。(保健所長)

○ 県の手数料よりは、若干安くなっている。(衛生検査課長)

○ そういうものには、市が補助を出してくれるといい。(委員)

○ 健康づくり推進員として地域で活動しているが、自分たちの活動の中から何かあったら大変だということで気をつけている。町会や地域の活動のときにはどうかということには我々は踏み込めないが、そこのところをどうするのか。柏まつりはしっかりやっているとのことだが、地域の中では、たぶん届出なしでやっているところもあると思う。今まで一回も事故はなかったが、中核市になったということで、自分たちの活動で事故を起こさないよう、保健師にすごくよく指導してもらっている。去年までは許されていたこともだめということで厳しくなったが、それが必要なことなのではないかと思い、地域でやっている。何か起きてからでは遅いと思い、みんなが検便しているということを話している。検便を安くしてもらえたらと思う。(委員)

○ 食品衛生に関しても、警察として関わる部分には関わっていきたい。食の安全に関しては、警察も非常に関心が高い部分である。ぜひ、行政の中で、食の安全に関わる事案があれば、積極的に情報提供をいただければ、警察も対応していきたい。特に、産地偽装などは、なかなか警察には情報がない。悪質な、指導の範囲を超えるものがあれば、事件化していきたいと思うので、よろしくお願いしたい。(委員)

○ 保健所が立ち入れない店舗があり、警察に相談したら、対応してもらえた。食に関しても一緒になって、協力してやっている。普通の人間は入れない、検査にも入れない店があるが、そういった店も警察にお願いして対応してもらっている。(委員)

○ 児童相談所では、子どもを預かっているので、食品に関しては定期的に検査するなど、必要なことをやっている。子どもの健康管理や食べ物には注意しなければいけないし、何かあれば保健所に相談したい。(委員)

○ 施策に関しては、いい教訓が生かされている気がする。(委員)

○ 平成20年度の計画は、意地悪な見方をすると、非常に一般論的な気がする。次年度に向けてはどうか。(委員)

○ 次年度に向けては、先ほど説明した策定手順と、今後取り組む事業の例示のように考えている。(保健所長)

○ 何が言いたいかと言うと、何でも羅列するのではなく、もう少し重点的に21年度に取り組む事項を言ってもらえると、具体的で、市民にも納得できるようなものになるのではないか。ぜひ、素案を作成する際は、そのような部分に気をつけてもらえればと思う。(委員)

○ 我々は、店舗検査なども保健所に厳しくお願いしたいと簡単に言うが、千葉県でも理容美容の店舗は4、000ほどあり、千葉市内でも700ほどある。我々は簡単に言うが、これらすべての店舗を検査するのは大変なことである。人手がないところに、今回の伊藤ハムの件があり、大変なことと思う。保健所には、何かあればすぐに報告するよう経営者に指導してもらいたいと思う。(委員)

○ 施策に関する意見はおおむね出揃ったと思う。細かいことについては、来年度の施策の素案で反映するということになる。マニュアルを作ってもらい、それを手本にしてもらうことで、今回のようなことは防げるのではないか。次は「その他」だが、事務局から何かあるか。(委員)

○ 特にない。(生活衛生課長)

○ 今後、伊藤ハムから改善の報告が出てきたときに、我々は知ることができるのか。(委員)

○ できる。(生活衛生課長)

[まとめ](保健所長)

○ 提案のあったリスクマネジメントの観点からの対応、マニュアルの活用、市民への情報提供などについて、改善の余地があるので、今後の事業に生かしていきたい。伊藤ハムの件に関する今後の対応については、水道に関する改善、安全管理を整えた段階での業務の再開について、現在、伊藤ハムが検討中であり、その報告をもらうことになっているので、3月の審議会で委員に報告したい。

6 傍聴者

なし

7 次回開催日時

未定