柏市保健衛生審議会 がん対策専門分科会 会議録 平成20年10月30日

1 開催日時

平成20年10月30日(木曜日) 午後1時30分~午後3時40分

2 開催場所

柏市柏255番地26柏市保健所3階 小会議室

3 出席者

(1) 委員

長瀬分科会会長ほか5名、保健医療部会委員1名

(2) 事務局

保健福祉部長、保健所長、総務企画課長、保健予防課長、生活衛生課長、保健センター所長、衛生検査課長

4 議題

(1) 所長あいさつ

(2) がん対策骨子の論点整理について

(3) その他

(4) 保健福祉部長あいさつ

5 議事

○ これまでに出された論点をもとに、今後の方向性を考えていきたい。(委員)

○ どうすれば事業を効果的に広報できるか。(委員)

○ 対象者を絞り込むとよい。(委員)

○ 大きなシステムとして考え、その中に具体的方策を入れるべきである。(委員)

○ 市の広報、記者クラブの活用、医療機関や行政の窓口でのポスター掲示等がある。(委員)

○ プロジェクトの2年間で、柏市として、予防に関して何に取り組むのか。様々ながんへの影響としては、たばこ対策が上げられる。男性では5大がんの中で肺がんがトップだった。小学校の時期から取り組まないとならない。(委員)

○ 検診とつなげ、どうシステムとして進めるかが大きい問題である。(委員)

○ 予防に関しては、未成年者のたばこ対策と、講演会を毎年続けるのがいい。(委員)

○ 予防の取り組みを評価につなげないと、効果は望めないと思う。(委員)

○ プロジェクトの2年間でやるべきことは、いかに効率的なシステムを作るかであって、結果を見るのは先のことになる。5大がんすべてに広げると大変ではあるが、それぞれの臓器ごとに啓発のシステムを作っていくことで、一般市民に5大がんのアピールをしていくことは可能と考える。(委員)

○ 啓発のシステムは1つずつじっくり作り上げていくものであって、続けることが結果を出すことだと思う。既存のものを効率よく使っていくことも必要ではないか。(委員)

○ 確かに啓発のシステムづくりは長期に取り組むべきものであるが、同時に、ある程度は短期に成果を出す必要もある。(委員)

○ 短期の対策と長期の対策は、整理する必要がある。(委員)

○ 検診についても、何に重点をおいて取り組むのか。5大がんすべての検診受診率を上げるのは難しいし、1つのがんの検診受診率が上がれば予算も大幅に増えるので、予防と検診をリンクさせながら、どこに重点を置いてやっていくかを考える必要がある。(委員)

○ 多くの人間が関わることなので、どれか1つだけにしか経費や人員をかけられない訳ではない。結果を出すべき部分とそうではない部分とを並行して動かしていく必要がある。(委員)

○ 5大がんすべてに対策を講じる必要はあるが、検診受診率が低い中では、まず特定のがんに重点的に取り組む必要がある。(委員)

○ 個別の対策も重要だが、全体をシステムとしてどうしていくかがより重要である。ただし、結果を出さなければならない部分もある。個々の部分はできる人にお願いし、全体の対策は協力し合って進めていきたい。(委員)

○ たばこを題材として上手に広報するシステムづくりを試みてはどうか。たばこで上手く行けば、他のがんも同じシステムを使って広報できる。(委員)

○ 保健所では、若年層へのアプローチとして、教育委員会を通じて、学校での禁煙教育や実態の把握を行いたい。特に、小中学生に対してアプローチしていきたいと考えている。(地域健康福祉課)

○ 医療機関が行う講演会等の事業については、どのような情報提供の方法があるか。

○ 市による広報としては、広報誌や出先機関の活用、ホームページへの掲載等がある。マンパワーの活用としては、健康づくり推進員や老人クラブに依頼する方法がある。また、他の事業や、他の部門と連携して情報を提供しあう方法もある。(総務企画課)

○ 喫煙者の多くは禁煙したいと考えていると思うので、禁煙のきっかけを与え、啓発し、個別にケアするという流れを作る必要がある。(委員)

○ 禁煙外来をやっている医療機関は、市内に4か所あるとのことなので、その情報を医師会できちんとまとめる必要がある。(委員)

○ 予防についての話をまとめると、個別に進められるものは個別に進め、全般的な部分は、行政と協力しながら、今までの普及啓発を点検し、改善が必要であれば変えていきたい。また、医療機関が実施する事業をどのように情報提供していけるか検討していきたい。(委員)

○ 予防の啓発が検診受診の促進にもつながるので、併せて検討したい。検診データの処理方法の見直しを含め、今後の情報提供のあり方を考える必要がある。また、精度管理の改善を図り、検診受診率の向上について考えていきたい。(委員)

○ 検診の登録制を見直ししてもらいたい。予算の影響が大きいので、毎年、全員に通知する必要はないが、地域をいくつかに分けて費用を試算し、検討してもらいたい。最低限、何回かに1回は必ず個人に通知が行くというルールがあってよい。(委員)

○ 例えば、1臓器だけでも登録制でない方法にするやり方もあってよいのではないか。(委員)

○ 臓器別、又は特定の年齢の方は個別通知にするなど、色々なやり方があるので、提案をいただきたい。提案をもとに市で考えていきたい。(所長)

○ 柏市の行政単位を分割し、3年程度で全員に1回通知が行くようにする方法もある。地域ごとに個別通知する方法だと、限られた財源の中で、該当地域の人すべてに通知が行き、3年で全市民に通知が行く。年齢ごとでは、どの年齢が対象として適当か判断が難しいのではないか。(委員)

○ 同じ3分の1に分けるのならば、年齢で3年に分ける方法もある。(委員)

○ 県内には、小さい人口規模で、互いに声をかけあい、80%近い検診受診率を達成している自治体がある。ただし、人口規模の大きい自治体が全体で同じことをしても上手くいかない。小さい行政単位では、対象者が少ないため教育も簡単にできる。人口規模の大きい自治体でも、小さい行政単位で行えば、上手くいく可能性はある。(委員)

○ 地域ごとに通知を出すと、その地域の医療機関に受診者が押し寄せることになるため、検診の受け皿をどうするかという問題点がある。(委員)

○ 医療連携については、医療施設側の質を全体として向上させていくことが重要である。また、互いの医療連携を進めていかなければいけない。他の医療機関を紹介するときに、相手の顔が見えていることが重要である。(委員)

○ 医療連携で重要と考えられるのは精度管理である。一次検診で要精密検査となった場合に、受け皿がきちんとできている必要がある。検診受診率が上がったときの精度管理を行える体制をきちんと作ることが重要だと考える。(委員)

○ 乳がん検診に限っていえば、二次検診機関には、最低限の要件を設けた上で、手を上げてもらっている。(委員)

○ 単に受け皿を広げるだけではなく、二次検診機関としての質の確保が必要である。乳がん検診に関していえば、二次検診機関に講習を受講させる等により、レベルの維持を図っているが、他の臓器でも必要と思われる。二次検診機関の現状把握と検診の質の向上が必要である。そして、そこから治療につなげなければならない。精密検査までの機関から治療を行う機関につなげる筋道をきちんと立てることが非常に重要である。(委員)

○ 一次検診もきちんとしている必要がある。市町村ごとに検診の実施方法が異なっており、ルールづくりをしてほしいという意見が出ている。検診がきちんとしていないと次につながっていかないので、きちんとしたルールを示す必要がある。(委員)

○ どこかでルールを作って、医療関係者に示していかないと、いくら片方で高い意識を持っていても、いつまでたっても進んでいかない。(委員)

○ がんセンターが主催している症例検討会は、上手く運営しており、参加者も次第に増えているので、参考にすべきと考える。(委員)

○ 検診結果の評価を検診機関に返していかないと、検診の質は上がっていかない。また、がん診療連携拠点病院のがん登録データの中から個々の事例を検討し、それを返していく必要がある。検診から拠点病院や他の医療機関につなげていかないとならない。(委員)

○ 一次検診から二次検診につながっていない。(委員)

○ 一次検診から二次検診へのつなぎに関しては、ルールを決めてもなかなか上手くいかない。乳がん検診の分野では、症例検討により地道に検診結果の検証を行うことで、レベルの向上を図ってきた。(委員)

○ 患者アンケートでは、しこりがあると分かっていても検診を受けない、がんの多い家系でも検診を受けない、という人が多かったので、患者の啓発はとても大事である。啓発と医師の資質向上は並行して行わないといけない。(委員)

○ こうしたことも含めて医療連携を考えていくため、公的な会を作って勉強会を行いたいと考えるが、どうか。(委員)

○ 誰が勉強会を運営するのか、テキストの作成等、大変な業務になる。(委員)

○ 医療連携について、県では、連携パスの作成を進めている。疾病ごとに個別の様式を作る形になる。間もなくできるので、連携の1つのツールとして活用してもらいたい。(委員)

○ がんにかかって治療を受けている人でも、意外と検診のことを知らない人は多い。(委員)

○ がん治療を行っている病院での情報発信も大事ではないか。(委員)

○ 大きい病院では、一次検診を受けたいといわれても困るが、どこの一次検診機関を紹介するかも難しい。(委員)

○ そのような情報を提供するのは大切である。きちんと情報提供できるツールを作った方がいい。(委員)

○ がん患者は情報に敏感なので、情報提供すれば、かなりの率で受け止めると思う。(委員)

○ 緩和ケアに関する医療機関のデータベースは少ない。医療関連の施設のデータベースが必要ではないか。(委員)

○ 情報は日々変わるので、情報量は最小限で、簡単に最新の情報に更新できる、利用頻度の高いデータベースをつくることが大切である。

○ 個別の問題は確認が必要になるので、電話できる機関、あるいは相談できる機関が載っていればいい。(委員)

○ 項目を絞って検索できるデータベースはあるが、検索しづらいので、公的機関でまとめてもらいたい。また、病院に限らず、薬局や介護の情報をまとめてもらいたい。(委員)

○ 薬局や往診できる医院もそうだが、在宅で介護できる医院、訪問看護、ボランティアなどは把握できているか。(委員)

○ 介護事業者や訪問看護はデータベースがあり、公開されているが、ボランティアや患者会はデータベースがないので、ぜひほしい。(委員)

○ 自主的に活動している患者会は把握が難しいが、重要な情報なので、そのデータベース化は必要と思う。(委員)

○ 患者会の存在の把握も大切だが、質や方針はどうか。また、市が公的ボランティアを頼む場合、講習会を受講する等の条件をつけられないか。(委員)

○ あるいは、完全に自己責任とする方法もある。条件付けは難しいので、その方がいいのではないか。ボランティアも様々あり、一括してデータベース化するのが重要だが、そこはまだ手がけられていない。(委員)

○ 緩和ケアに関して、がんの治療はもうないと医師に言われて、治療がストップした患者に漢方に来てもらいたい。また、漢方が効く症状について、医師に啓発していきたい。(委員)

○ 患者や漢方以外の医師が読んで参考になりそうな資料はあるか。(委員)

○ 漢方を始めた医師向けの教科書は出している。(委員)

○ 診療、処方に直接関わるものでなくても、見た人の気づきにつながるようなものはないか。(委員)

○ 少しでも漢方を使ってもらえるよう、グループで勉強会を行っている。(委員)

○ 漢方を用いた緩和ケアについては、興味のある医師も多い。こうした部分から医療連携が進められると思うので、対象を広げた勉強会を考えてもらえれば、協力したい。(委員)

○ 終末期にクリスチャンの病院であれば宗教家が支えになる場合があるが、そうでない場合、臨床心理士が話を聞くなど、心の支えになるような何らかの手立てはあるか。(委員)

○ 宗教に関しては、数は少ないがいる。臨床心理士が関わることもあるが、全体から見ると少ない。(委員)

○ 欧米ではキリスト教徒が多いので、その面のサポートが普通にできるのだろうが、日本では難しいと思う。(委員)

○ 臨床心理士に関しては、病院の中で働くトレーニングを受けていないと、上手く機能しない。また、海外では、宗教家が医療者と連携して動くことに慣れているので、上手く機能していると思うが、日本では慣れていない。(委員)

○ 亡くなることは避けられないが、その苦しさを家族だけで支えるのは難しい。また、家族に支えが必要な場合もある。これらを含め、どう支えるかが足りない部分である。(委員)

○ 拠点病院では、精神的な相談と、患者と医療者のコミュニケーションに関するワークショップを含む、緩和ケアの講習を開かなければならない。これは、がん診療に従事する医師がすべて受けなければならず、今後、慈恵医大柏病院や松戸市立病院が、地域に開かれた形で行うことになり、少なくとも年1回は定期的に開催されることになる。(委員)

○ 7年前から、毎回色々なテーマで、乳がんの患者向けの事業を年1回行っている。このように、医療と直接関係のないところまでケアしていかないと、本当は十分ではない。そして、これらを情報提供できる体制が必要である。(委員)

○ 様々な事業の情報が流れていかないことが、ピアサポートプログラム全体で一番大きな問題といわれている。行政で情報を一括して集める、あるいはどこかに窓口があることが大切である。(委員)

○ 行政の中に、患者とその家族が無料で相談でき、情報提供を受けられるサロンのような部署を設置してもらいたい。このような場所が常に開いていれば、システムの機能が回っていくかもしれない。また、ボランティアの力は大きいので、病院や医師会が講習会を開いてボランティアを養成し、認定し、そこで患者の相談に当たってもらいたい。(委員)

○ 今の話は、まさにがん患者・家族総合支援センターがやっていることである。今後、もし市の方で情報発信の依頼があれば、言ってもらいたい。(委員)

○ 全国的には、島根県がサロンを設置しているが、そこは場所を貸すだけで、運営は患者会、ボランティアが行っている。県でも、どのような形にすれば患者や家族会の活躍の場としていいか考えている。拠点病院である慈恵医大柏病院では、相談支援センターを設置しているが、院外の患者が拠点病院内の窓口にアクセスするのは、やはり難しい。(委員)

○ 広島県は行政主導で運営している。県が拠点病院の敷地内に相談支援センターを設置し、県職員が運営している。(委員)

○ 患者や住民が、そこに行けば何か情報が得られる、という場があるというのは、それが公営だろうが、民営だろうが、よいことである。(委員)

○ 滋賀県は面白いシステムでお金を集めている。企業に、システムに協力している旨のシールを配り、そこでの売り上げの一部が寄付になるという形態をとっている。市民にアピールしやすい寄付形態なので、そこから段々と色々な業種に広がっていき、年間数億というものすごい規模になっている。これは真似できるのではないか。(委員)

○ 医師会を中心にして、診療所同士のネットワークを作れないか。在宅支援診療所では、すべて一人でやるので大変である。いくつかの医師会では、副主治医制をとったり、複数の診療所で持ち回り当番制にしたりしているが、どこも上手くいっていないようである。(委員)

○ 県内では、八日市場と匝瑳郡市の医師会で診療所のネットワークを運用し、続いている。この地域の医師は古くから診療所を開いているので、みな顔見知りだからである。(委員)

○ 大学が医師をとらなくなってしまったので、行政で医師を複数採用し、ローテーションを組めないか。(委員)

○ 消化器系では、予防は肝炎からの肝がんしかない。B型、C型肝炎の定期健診を受けてもらい、拾い上げて、医療機関で見ることになる。検診に関しては、大腸がんで進行がんが多いが、便潜血が非常に役に立っており、早期大腸がんで治っている。(委員)

○職域健診と公的健診の組み合わせ、関連性、精度管理はどうか。(委員)

○ 職域健診に関しては、保険者が行っており、がん検診までできるのは大きい保険者だけである。県でも、乳がん、子宮がん検診について、企業に働きかけようと考えている。柏市でも、若い女性がいる企業に何らかの形で働きかけをしてもらえるといい。一昨年、大網白里町で、土・日に検診車7台を学校に並べて、生活習慣病とがん検診をまとめたミニドック検診を行ったところ、40代、50代の受診率が大幅に上がった。県内でもこのような取り組みがなされており、成果を上げている。都市部では難しい部分もあるががん対策にこうして取り組んでいるので、大きいところでもやり出せばできることを示してもらい、県内に発信していけたらと思う。(委員)