柏市保健衛生審議会 がん対策専門分科会 会議録 平成20年9月4日

1 開催日時

平成20年9月4日(木曜日) 午後1時30分から4時まで

2 会場

柏市柏255番地26柏市保健所3階 小会議室

3 出席者

(1) 委員

長瀬分科会会長ほか6名、保健医療部会委員2名

(2) 事務局

保健所長、総務企画課長、保健予防課長、生活衛生課長、地域健康福祉課長、保健センター所長、衛生検査課長

(3) オブザーバー

千葉県がんセンター研究局疫学研究部長

4 議題

(1) 所長あいさつ

(2) 千葉大学のがん予防の取組みについて

(3) 柏市立病院のがん治療の取組みについて

(4) 千葉大学柏の葉診療所の緩和ケアの取組みについて

(5) 柏市のがんの状況について

(6) がん予防について

(7) その他

5 議事

○千葉大学のがん予防の取組みについて、千葉大学大学院医学研究院公衆衛生学教授 羽田委員から説明

○柏市立病院のがん治療の取組みについて、柏市立柏病院副院長兼診療部門長 酒井委員から説明

○千葉大学柏の葉診療所の緩和ケアの取組みについて、千葉大学柏の葉診療所助教 金子委員から説明

○柏市のがんの状況について、千葉県がんセンター研究局 疫学研究部 三上部長から説明

・柏市の男性のがんによる死亡率は、胃がんは減ってきており、肺がんが上位にある。引き続き肺がんがトップを占めると思われるので、肺がん対策は重要な課題と考える。

・柏市の女性のがんによる死亡率は、年齢を調整すると大腸がんがトップになっている。

・柏市の男性のがん罹患率は、胃がんは減少しているが、肺がん、次いで大腸がん、前立腺がん、食道がん、膵臓がんとなっており、全県の状況と変わりない。

・柏市の女性のがん罹患率では、胃がんが減少しているが、乳がんが85年くらいから著しく増加している。

・こういうことから、検診の主力は、肺がん、大腸がんとなる。

・いずれのがんも、柏市が突出して多いという傾向はないので、種別を選んで、重点的に対策を講じる必要があると思われる。

・1980年代には、子宮頚がんは60歳代のがんだったが、徐々にピークが動いてきて、40歳代のがんになっている。15年でがんの年齢が20歳も若返るというのは異常なことだが、潜伏期間が短く、感染症が関わるがんでは、こういうことが起こってしまう。

・女性の場合は、感染症や食事だけでなく、ライフスタイル、どういう人生を送ったかが、がんに関わってきている。

【委員】最近、子宮体がんにかかるかたが増えてきており、子宮頚がんにかかるかたを逆転している。

【オブザーバー】子宮体がんは確かに増えている。顕著ではないが、一群のがんと同様に増加している。これがホルモンが絡むのか、肉食中心の食生活によるものかは分からないが、一連の動きをしており、増加の始まりが70年代ということを考えると、生活習慣の変化が関係していると思われる。

特定の体質を持っている人が、こういう生活習慣の影響を受けると、いくつものがんのリスクを同時に抱えることになるのだと思われる。体質を調べて、予防につなげていくことができれば、子宮頚がんの話で説明したとおり、がん自体はダイナミックに動くので、減らせるかもしれない。

【委員】がんの罹患率の話は、がん登録のデータがもとになるということは、医師がきちんと報告しないと、データの信頼性が保てないということか。

【オブザーバー】地方では、個々の医師によって左右されるが、柏市のような都市部では、医療機関がどうかということになる。

幸い、柏市では慈恵医大、がんセンター東病院、市立病院などからきちんと報告が上がってきており、信頼性の高いデータとなっている。ただし、がんにかかったかたの何割かは東京の医療機関を受診しており、東京都ではがん登録をしていないため、把握できていない。

きちんと報告を上げてもらえることで、確かなデータを返すことができる。

○柏市のがん検診の実施状況について、保健センター所長から報告

・がん検診は登録制を取っている。登録制は、あらかじめ受診者が把握できるため、検診車の配車計画が立てやすく、無駄なく実施できるというメリットがある。

一方、受診者が固定化し、新規受診者が伸び悩んでいることがデメリットである。

・がんの発見率は、ほぼ全国と同じである。胃がん、大腸がん、肺がんでは、65歳以上の受診者が半数以上を占めており、40歳から60歳までの方の受診が少ないことが問題である。

・現場で考えている検診の課題については、1.若い世代の新規受診者を増やすための呼びかけをどうしていくか、2.受診者の高齢化に伴い徐々に増えてきているアクシデントにどう対応していくか、3.検診の正しい受け方をどう伝えていけばよいか、4.精密検査の未受診者に対するフォローをどうしていくか、5.検診データを事業の改善にどうつなげるか、が挙げられる。

・次に、これらの課題に対する取り組みについては、受診者に対する健康教育として、昨年度は乳がん検診の全日程、今年は胃がん検診の全日程、他の検診は全日程の半分に従事することとしている。また、女性を対象とした検診のリーフレットを作成し、啓発に取り組んでいる。

【委員】新規受診者をいかに増やすかを事業の柱にしないと、がんの発見率は伸びず、効率的にがんを減らすことはできない。

【オブザーバー】初回受診者のがん発見率は3倍から5倍となっている。

【委員】柏市内のコミュニティエリアごとに、核となる人を置いて、その人が受診を呼びかけて、検診に連れてくるようにすればよいのではないか。