平成27年度第3回柏市健康福祉審議会高齢者健康福祉専門分科会 会議録

1 開催日時

平成28年1月28日(木曜日)午後1時30分~3時25分

2 開催場所

柏市役所本庁舎5階 第2委員会室

3 出席者

水野治太郎、須田仁、赤羽康彦、植野順子、竹之内明、平野清、古川隆史、山名恵子、横尾好永、吉野一實

事務局等

  • 保健福祉部長(下隆明)
  • 保健福祉部次長兼高齢者支援課長(秋谷正)
  • 保健福祉総務課長(藤本裕司)
  • 福祉政策課長(永塚洋一)
  • 地域医療推進室長(稲荷田修一)
  • 法人指導課長(渡邊祐康)
  • 介護基盤整備室長(渡辺清一)
  • 障害福祉課長(小川正洋)
  • 障害福祉就労支援センター所長(宮本大)
  • 福祉活動推進課長(佐藤髙市)
  • 生活支援課長(酒巻薫)
  • 社会福祉協議会事務局長(村田恒)
  • その他関係職員

4 配布資料

5 議事(概要)

(1)在宅医療・介護連携推進事業の取り組みについて

(地域医療推進室から、資料1「在宅医療・介護連携推進事業の取り組みについて」に沿って説明)

(委員)

 私はずっと医療と介護の連携に取り組んできた。昔から医療と介護の連携と言われていたが、介護の人から医者は敷居が高く、連絡を取りにくい等と言われてきた。何とか打開したいという思いでやっていた。そして、行政と一緒になって始めた。もちろん100パーセント完全かというとそうでもない。私はいつも思っているが、絵に描いた餅はどうでもいい。実際に成果がなければ意味がない。医療と介護の連携を開始した当初、訪問診療をやっているところは15箇所あったが、実際に一生懸命やっている先生は3箇所しかいなかった。そのため、現在の実質の成果としては5、6倍になっている。柏の在宅医療の数は満たされていると思う。全国でも訪問介護ステーションが2、3年で倍増している地区はない。昔から言われていることだが、行政、医師、介護職が連携しているところはありそうでない。行政、医師、介護職みんな縦割りで、横の繋がりを意識していなかった。また、行政は積極的な部分もあるが、引いてしまうところもあった。全面的に行政も腹をくくってやってくれたことが大きかった。東京大学のバックアップもあったが、行政がレベルアップしたと感じている。

(委員)

 先ほどの説明で、柏市のサービス向上は理解できた。

 4ページの病床利用者の数値の取り方についてだが、他と比較して数値が高い。これは柏市民の意識として、病院の依存率が高いのか。それか柏には病院が少ないのか。病院の使い方の効率化について、依存度が高いとどんな時も入院してしまう。本当に必要な人だけ入院させることはできないか。意識としてどうか。また、平成23年度のデータなので、それから5年も経っているので、数値も下がってきているのでは。それなりの成果が出ているのではないかと思った。

 5ページの死亡の場所の推移だが、病院が下降するようになってきている。こちらが意図するような動きが出ている。これは評価するべきだ。しかし、下の方のグラフが重なっていてよくわからないから拡大してほしい。もう少し見えると有難い。

(事務局)

 まず病院の使い方について、千葉県では、病院機能の分化・連携を含めて、計画策定しようとしている。

 病床の利用率が下がってきているという話があったが、最近の正確な数字を持ち合わせていない。利用率が下がったことについて、分析は出来ていないため、原因は分からないが、柏市の在宅医療の取り組みが進んだことによって、病院でなく、在宅でも治療を受けられるという環境が整ったという事が言えるのではないか。

 グラフは厚生労働省のものである。グラフの拡大について、分かりやすく見易いものにしたい。

(委員)

 柏では在宅医療をやっているが、何をやっているか分からないと言った声があったため、在宅医療の現場の先生を呼んで、先日、私の地域で在宅医療について勉強会をした。110名ぐらい集まった。非常に分かりやすく、とても熱く語っていただいた。

 しかし、「わがや」は一般のチラシと似ているため、見過ごしてしまう。私も地域のかたに「わがや」を知っているか聞いてみたところ、分からないと言っていた。広報誌の在り方を見直してほしい。高齢者は「広報かしわ」は見ている。在宅医療をやっているということをアピールできるようなものにしてほしい。高齢者の方々は、こういった在宅医療を望んでいると思う。今、社協などで在宅医療の勉強会などを開いているが、もう少し関係機関に宣伝し、広めてほしい。そういったところに力を入れてほしい。

(委員)

 14ページの絵は初めて見た。この絵はどのくらい広まっているのか。小規模多機能を市民に知らしめるために、この絵をどんどん出して、この絵は何を物語っているのか分かりやすくPRして、市民に知らせてほしい。

(事務局)

 安心できる地域のイメージをこの絵で表現している。地域の皆さんも介護に直面しないと分かりにくいことがある。最初は地域医療連携センターで勉強会をするのが主だったが、今後は地域に出向いて、市内全域で理解してもらうことが必要である。

 また、小規模多機能のサービスは重度な人向けのサービスだが、なかなか理解されていない。ケアマネジャーに対して、もう少し噛み砕いて理解してもらう必要がある。柏市でも来月、定期巡回フォーラムを行ない、啓発に努めていこうと思っている。市民に対してもっとPRしたい。

(委員)

 国としては、医療費の抑制を考えているため、長期入院をさせない。病院でも2週間を超えると診療報酬が下がってしまうため、経営上、必要なこと。昔は甘いことがあったが、今は慢性的な患者は病院に長期入院させない。柏市では慢性的な患者がかなりの割合で病床を占めていた。本来、急性期の人が病院。自宅という選択肢を与えないと溢れてしまう。われわれは国の政策に左右される。

 また、小規模多機能や老健、特養が必要ないということではない。これらは必要なことで、グループホーム、特養、サ高住でも看取りは始まっている。家にいるだけが在宅ではなく、施設も在宅の一部である。オールラウンドで在宅を支えていかないといけない。

(会長)

 NPO法人「生と死を考える会」を組織して、20年以上経っている。大半の病院の患者さんの相談に応じたり、死別体験の悩みを分かち合うということを行なっている。13ページの2の患者家族の意思決定支援は非常に大事で、死へのソフトランディングにとって一番大事なテーマになるのではないか。先ほど情報のことで皆さんに意見をということだったが、河合隼雄さんの言葉を使うなら、「死への物語」ということ。これだけ立派な体制が十分機能していけば、いい物語ができる可能性がある。実際に掘り起こして、市民に情報提供してもらうことが大事だと思う。患者さんが自由に発言出来る場があるといいのではないか。患者や家族が一緒に考えていけるような場があればいい。自分はこういう経験をしたが、さらにこうするといいという提案が出来るといい。終末期に関する意見交換する場所がほしいと思っている。欧米を中心に1、000の町でデスカフェが行なわれている。終末期だけではなく、生と死を巡るテーマについて話し合う場である。このような広報誌があるといい。そして、色々な医療機関を消費者として自由に活用して、最後に死へのソフトランディングを実現する。つまり、敗北としての死ではなく、色々と苦労はしたが、最後に勝ち得た幸いなる死があるのではないか。そのような市民の一人一人のアイデアを結集させる工夫をしてほしい。私は民間としてやっていることだが。

(委員)

 4ページの「入院患者の増加」ということで、病床利用率が記載されているが、私はこれに違和感を感じる。病院は病床利用率が上がらなければ収益は上がらない。病床利用率を下げろと言っているようにも聞こえる。介護施設は今後作っていくわけですよね。病床利用率が満杯で、一方で介護施設を作っていくというのは、この表は一体どのような意味があるのか。病床利用率が85.1パーセントということより、施設への入所患者が増えていくという方向にした方が分かりやすいのではないか。病床利用率が70パーセントや80パーセントとなると、病院経営としては苦しくなる。病院としては、病床利用率が90パーセント近くないと経営が難しいのではないかと思っている。

(事務局)

 今後は、亡くなるかたが増えるので、満床で受け入れられないということが危惧される。病院としては、一定の稼働率がないと経営的にやっていけないが、それ以上にオーバーしてしまうため、国で在宅を推進しており、選択肢の一つとしている。病院の稼働率には上限があり、そういう意味で危機的なところがある。柏市は全国や千葉県と比べて病床の利用率が高く、あまり余裕がないということを示している。病院以外で亡くなる場所の器を作らなくてはならない。そういう意味で説明させてもらった。説明の仕方を工夫したい。

(会長)

 委員のかたが言いたいのは、解釈の仕方は色々あるということ。一概に数値が高いということだけを表すと、違和感を持つ人がいるのではないかという問題提起だと思う。

(委員)

 高齢者だけではなく、一般の病院の利用率をとって、介護の関係に持ってくることは少し違うのではないかと感じた。

(2)介護予防事業の推進について

(福祉活動推進課から、資料2「介護予防事業の推進について」、資料3-1、3-2、3-3「栄養とからだの健康チェック」に沿って説明)

(委員)

 今、柏歯科医師会ではいつまでもおいしく食べるということをメインに活動を続けている。去年1年間で約40ヶ所で活動したが、それだけでは足りないところもいっぱいあると思う。一人ひとりが理解していない。資料に1万人が自発的にとあるが、今後どのように啓発活動を行っていくのか聞きたい。

(事務局)

 フレイルについて、アドバイザーとして東京大学等や市民のかたにもご協力いただき、専門的なご意見と市民サイドのご意見を伺いながら進める。啓発していくためには地域ぐるみで行わないといけない。地区社協などでは、サロン等地域の皆さんが主体となって行っているところもあり、全地域で、それぞれの地域ごとに、話し合いを持ちながら語りかけ、フレイルの活動を盛り上げていきたい。まだ推進委員会は立ち上がってないが、年度内に会議を開きたい。具体的に各地区で動いていくのは、来年度以降になると思う。どうすればフレイルが広まるのか、というところも含め一緒に考えていきたい。一次予防は、身近なところでやっていただかないと高齢者の1割が参加できない。保健所やスポーツ関係のところにも参加してもらい、高齢者の健康づくりについて進めていきたい。栄養については参加者が楽しみながらやっていかなければならないので、色々ご助言いただければと思う。

(委員)

 広報かしわに4月号から1年間ページいただいたので、いつまでもおいしく食べるということをこれからも頑張っていきたい。

(委員)

 1億総活躍のように言葉を掲げられ、本当はゆっくりのんびりしたいという人も引っ張り出されてしまうイメージになってしまう。

 また、東大ばかりなので、もう少し別の機関のアイデアも見てみたい。内容は大変立派だと思うが、人が来なければ何も始まらない。どうすれば人を集められるのか、出てこない人を参加させられるのかということが肝心。それについては考えているのか。

 また、色々なプログラムを組んでいるが、それを指導する人たちの養成は、かなり大変だと思う。どのように養成していくのか気になった。

(事務局)

 一次予防は、多くの人に参加してもらわないといけないため、地域ごとに広がっていかないといけない。地区社協、ふる協などの口コミで地域に浸透することが必須と考える。嫌がる人を強制できるものではないが、身近なところで、お金がかからず、みんなで支え合いながら活動できる環境を整備することが、一次予防で一番大事だと言われている。行政としてまだ結果がどうなるか分からないが、地域の皆さんと一緒に環境を作っていくことが、手段となり、達成できるのではないか、と期待している。

 また、10ページの介護予防センターについては、地域に広げるための手段として、利用していきたい。人材育成は必要になってくる。地域のかたで、先生になってもいいというかたも今後出てくると思う。そのようなかたを養成したり、活動を行っているかたのフォローアップを年に1回は行い、継続できるように育成していくことも、介護予防センターの大きな役割となっていくと思う。地域や多職種の皆さんと進めていきたい。

(委員)

 柏市は非常にたくさんの人が集まり主体的にフレイルをやっていると伺っているし、写真も見させてもらった。フレイルは老年医学会で言われていて、今までは体のことばかりだったが、精神的、社会的な部分も必要であり、総合的な予防をしなければならないという考え。先ほどの意見の逆を言えば、東大があるおかげで先進的な取組ができているということ。絵に描いた餅ではなく、実際に成果を出しているということが大きいところだと思う。ひとつ質問だが、トータルヘルスケアステーションの特区構想の位置づけは、フレイルが占めているのか。

(事務局)

 トータルヘルスケアステーションという構想は以前から持っていた。現在関係団体と話をしているが、三位一体で行わないと成果が出にくいので制度設計が難しい。決定的なものがまだ出ていないので、フレイル予防としてトータルヘルスケアステーションを位置づけるということは、今のところ想定していない。今後ヘルスケアステーションについて考えていく中で、フレイルに落とし込むことも検討していきたい。

(事務局)

 資料13ページに地域リハビリテーション活動支援事業とあり、技術的助言をするようなメニューがある。フレイルプロジェクトの要所でお手伝いをしてもらうといったことは当然考えられると思うが、まだ具体的なところまでは落とし込んでない。

(委員)

 学会でフレイルの話があったということだが、そもそも何故柏市でフレイルを位置づけようということになったのか、どのような話し合いの中で意志決定がされたのか。

(事務局)

 老年医学会では介護予防という言葉だとイメージがあまり良くないため、フレイル予防といえば高齢者の介護予防のことだと分かるよう、フレイルというネーミングを使い、メタボのように社会的に通用する言葉にしていきたいということである。現在は、フレイルとは何か、となってしまうが、フレイルという言葉が社会に通用するよう、柏市から発信していこうと思っているところ。ロコモフィットかしわも、当初はよく分からないという声があったが、現在はロコモ=運動器機能障害と理解していただけるようになってきたかなと思う。それと同じように、柏市だけでなく、一般的にも伝わるようにしていきたい。

(委員)

 趣旨は理解した。ただ、介護予防には色々な側面がある。例えば地域でグラウンドゴルフをやっているのも介護予防、朝早く起き太極拳をやっているのも介護予防、となんでも介護予防になる。そうなると、先ほどスポーツや地域活動にも声をかけたいとおっしゃっていたが、どこまで含めるかという難しい問題が出てくる。個人的な考えは、そこの線引きは曖昧であり、こういうところに出てくる人ばかりではない。そのような人にどうやって出てきてもらうかは、綺麗事を言っていてもできないと思う。積み上げの議論の中で、そこも含めてこのような話が出てきたのであれば良いが、市民に身近な仕事をするにあたって、上の発想で行うのは本当にいいのだろうか、と正直思う。介護予防で言えば、ほのぼのプラザをやっていると思うが,そういうもっと自分に近いところを拡充できないのかな、と私は思ってしまう。応援はするが、軸足だけはずれてほしくない。慎重に進め、うまくやってほしい。

(会長)

 今までやってきた事業、例えば、一人住まいの老人に電話をかけて、フレイル程度を確認する、ということをやっていると思う。今まで積み上げたものをどうやってこの大きな総合計画の中に位置づけるのか。組み換えのプロセスが大事であり、落とさないようにしてもらいたいと思う。そこは疑問に思った。

 いくつか意見があったと思いますので、参考にしていただければと思います。介護予防事業の推進についての審議は打ち切らせていただく。

 (3)その他

(福祉活動推進課から、当日資料「かしわ認知症オレンジパス」に沿って説明)

(委員)

 私は認知症を担当したことがあり、オレンジパスをつくるときに色々意見を言わせていただいた。認知症は、受診をしない人がたくさんいる。お医者さんが嫌いなかた、絶対に薬は飲まないというかた、そういうかたが非常に問題である。外来の先生は外へ出かけないので、在宅の医者が行かないといけない。また、外来で受診していたとしても、認知症は薬だけでなく、ケアがとても大切であるため、介護職や家族へのケアの指導や、チームプレイが必要となる。多職種の連携がとても大切。先ほども言ったが、柏市は多職種連携が出来上がっている。これを利用しない手はないのではないか。利用しながら、多職種のかたがお互いに連携を取れば良い治療ができる、と提案させていただき、このようなパスとなった。他の市町村も作っているが、柏は割とシンプルでわかりやすいということでご評価いただいている。

(福祉活動推進課と高齢者支援課から、当日資料「みんなでささえる介護保険別冊(介護予防・日常生活支援総合事業分)」、「介護予防・日常生活支援総合事業の進捗状況について」に沿って説明)

(委員)

 去年立ち上がった研究会に委員として加わり、色々と検討をしてきてやっと出発にたどり着いた。ご承知のとおり、介護保険制度が昨年改正された。要支援1・2の人たちが、介護保険の範疇から外れるということになり、その管理や責任は各市町村で担うことになった。町会単位で支え合おうというのが、国の考えであり、この事業の真髄。かじサポ申込者が多かったということに、研究会の委員としては、ほっとしている。今後、益々、高齢者世帯が増えていくが、総合事業により難しい審査を受けなくてよくなる、身近な人たちで支えあっていく、ということを柏市を通して市民に知ってもらいたい。支え合うということは、今後益々、高齢社会で武器となるものだと思う。

(委員)

 ようやく開始となり、良かったと思う。不安が無いわけではないが、訪問型サービスAの担い手や事業者が徐々に増えているということなので、一安心した。かじサポについても、定員40名のところ110名という非常に多い申込みがあったということで、よかったと思う。ただ、そのうち実際に行うかたは、どの程度いるのか。資料には、20パーセント新規就労と書いてあるが、研修を受けたが就労できないということがあっても困るし、今までボランティアとしてやってきたことが、仕事となった場合、どこまでやってくれるのかという不安はある。また、市内全域で行うには、もっと事業者が増えていかないと大変である。せっかく出来た体制なので、上手くやっていけたら、ありがたい。

6 傍聴

(1) 傍聴者

2名

(2)傍聴の状況

傍聴要領に反する行為は、見受けられなかった。

7 次回開催日

平成28年7月開催予定